私は、前半は女性の活躍や経済、そして後半は危機管理と安全保障、質問したいと思います。
まず最初に、経済再生、女性の活躍、そして地方創生、これは三位一体であるという視点から、特に、それを支える保育、介護の充実、これは私は一つのインフラと同じように重視すべきだと考えておりますので、そこのインフラを整備しないと日本の成長戦略はないという視点から質問をさせていただきたいと思います。
まず、女性の活躍、子育てと介護の両立、これが一番の問題になります。
そして、二つ目は介護の問題です。親の介護もやはりどうしても女性にかかる負担が大きかったり、それだけではなくて、女性は長生きなんです。平均年齢、女性が八十七歳、男性は八十歳。百歳以上を見てみますと、六万人いらっしゃるんですが、うち、男性は八千人、女性が五万二千人なんです。結局、女性の場合、子育てをして、親の介護もして、最後は自分の夫の介護もして、そして最後は一人になってしまうという独居の女性も今ふえてきているのが現実です。
そして、貧困率、格差の問題も今委員会の大きなテーマですが、貧困率が高いのも、シングルマザー、それから女性一人の高齢者の、独居高齢者なんですね。ここの貧困率がぐんと高いわけです。
そこで、保育とそれから介護を支える担い手が社会の基礎を支えているという観点から質問をいたします。
まず、事実関係から。
保育士さんと介護職員がしっかりと社会を支えてくださっているわけです。この二つの職業の女性の占める割合はどれぐらいですか。
○塩崎国務大臣
今先生御指摘の、保育とそれから介護での女性の比率でありますけれども、まず保育士は、全体に占める女性の比率は九三・四%。そして、介護職員全体に占める女性比率は六七・四%でございます。
○辻元委員
結局、働きながら子育てをする女性を支える保育士も、九三・四%が女性なんです。介護も、六割以上が女性なんですね。ここに非正規とか、それから非常にしわ寄せが来ています。
給与の面、今回政府はこの二つの給与を改善していくというお話なんですけれども、給与の差額、格差を見てみますと、全産業平均が三百二十四万円と言われている中で、保育士さんは二百十三万ぐらい、介護士は二百十八万と、それぞれ年収にいたしまして百万円以上の格差があるわけですね。月にしてみたら十万円ぐらい、やはり格差があるわけです。
この格差を解消していかないと、結局、子育てと仕事の両立も難しいし、親の介護、そして自分の介護もままならない。そうなると、今、介護離職も十万人以上、これは男性も離職しているという現実ですから、社会が崩壊と言ったら大げさに聞こえるかもしれないんですけれども、その危機を持つことと、そこの手当てをしないと経済成長はないと考えます。
そこで、まず保育の現場から。
今回、政府の方は保育士確保プランをお出しになったんですが、実はこれは民間の保育園だけが対象になっております。ところが、調べてみますと、民間が大体六割なんですが、公営が四割。そして、今、公営は地方自治体が運営していますけれども、公営の非正規率が非常に高くなって、公営についてもしっかり目くばせをしないと、これは保育士さん、そして子育てと仕事の両立は難しいと思うんです。
塩崎大臣、今回は民間だけなんですけれども、公営の状況について調査などはされているんでしょうか。いかがですか。
○塩崎国務大臣
今処遇につきまして先生からお話がございましたけれども、賃金構造基本統計調査というのは、おっしゃるとおり民間事業者だけでございます。
これは一つは、公立保育所の運営費というのは一般財源化、そういうことになっておるわけでありますが、それから公立の保育所の、非常勤ですね、非正規とおっしゃいましたが、非常勤保育士の賃金状況の把握は、現在のところ、ですから、私どもとしてはできていないわけであります。
公立保育所も含めて、保育士の処遇の実態把握は先生の御指摘のとおり極めて重要だと思っておりまして、全社協が全国保育組織の調査をしているとか、それから直接ヒアリングを我々でもやるとか、そういうことを含めてさまざまな形で把握をしていかなければならないというふうに思っておりますし、そういうふうに努めてまいりたいというふうに思います。
○辻元委員
これは地方創生の観点からも、石破さん、大事だと思うんですね。
それで、例えばこういう状況なんです。四十代後半の女性、いろいろ調べてみました。非正規で雇いどめがあるんですね、やはり。特にシングルマザーにとっては、公営の保育所というのは一つの本当に頼みの綱のような働き場所でもあると言われているわけです。そんな中、非常勤の保育士を転々と十五年間あちこち移動する、そしてさらには、どれだけ経験を積んでも時給が変わらないというような状況も、公営の方も出てきております。
かつては、公営だから大丈夫だろうなと思っていたら、違うんですね。先日、衝撃的なニュースがありまして、これは民間の大学が調べました。東京の場合も、公立で非正規職員が四割、そして二十三区以外では七〇・八%が非正規だったというような統計も出ております。そして、年収二百万円以下が八割、百万円以下も四割だったと。他の仕事と保育士さんがかけ持ちしている率が二〇・四%なんですね。
東京でもそうで、地方はもっと厳しい状況に公営はある。しかし、今、塩崎大臣、私立の方はいろいろ調査しているけれども、今回も手当ては若干するが、公営については調査もこれからであるということですね。
石破大臣、地方創生の観点からも、やはり、特に被災地の公営も、福島県の事例なんかも調べてみましたけれども、月十二万円程度で非正規であるというような人も多々見受けられるということなんです。ですから、地方復興の観点からも、厚労省と協力して調査をして、国からの交付の財源で賄うというだけではなくて、私は手当てを子育ての視点からもしていくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○石破国務大臣
それは極めて重要な視点であって、塩崎大臣ともこの件については何度かお話をさせていただいております。
保育士の資格をお持ちでありながら、実際に保育の現場に出ておられないという方が恐らく六十万人弱おられると思います。鳥取県の人口と同じぐらいの方が、保育士のライセンスを持ちながら出ていない。これはなぜだろうかということもよく見ていかなければなりません。
地方において女性の方々が安心して出産をしていただく、子育てをしていただく、そのために保育士の方々の処遇の改善は不可欠であるという認識は持っております。
○辻元委員
今、官製ワーキングプアという言葉も出てきているんですね。結局、自治体の職員は、全体的に今非正規化が進んでおります。特に、この保育士の場合は人の命を預かる仕事ですから、非常に大事なんですね。
塩崎大臣、もう一度、公立も含めて調査を開始するということを約束していただけますか。
○塩崎国務大臣
誤解を招かないようにあえて申し上げておきますけれども、厚生労働省が毎年行っております社会福祉施設等調査というのがありまして、ここで公営保育所に勤務する非常勤の保育士の割合というのを調べております。従業者数で見ますと、平成二十五年が二三・八%、これは平成二十年と比べて、二十年は二〇・三ですから、やはりふえてはいるんですね。先生御指摘のとおりであります。
したがって、さっき申し上げたように、全社協の組織を使うなり、利用させていただくなり、それから我々も直接ヒアリングをするなど、調査をぜひこれから前向きにしていきたいというふうに思います。
○辻元委員
してください。
次に、介護もなんですね。
今回、二・二七%引き下げるということが問題になっております、介護報酬。これは、二・二七%引き下げるけれども一万二千円手当をプラスするんじゃないんですよ。四・四八%下げておいて、ここに一万二千円分プラスするから二・二七%になっているわけですよね。
これは塩崎大臣にお聞きしますけれども、この一万二千円加算されるのは、どんな人たちが対象ですか。介護ヘルパーさんとその補助的な人だけと聞いているんですが、どうですか。
○塩崎国務大臣
御指摘のとおり、介護の現場で、ヘルパーさんなどの直接的な介護職員ということがこの加算の対象でございます。
○辻元委員
今、直接的とおっしゃった。
私は、十年前に介護ヘルパーの資格を取りまして、現場に出た経験が実はあるんですけれども、介護というのはヘルパーだけで成り立たないんですよ。いろいろな、リハビリの方とか給食の方とかそれからお掃除の方とか、全てで介護が成り立っております。そして、やはり命を扱うので、ヘルパーさんだけではなくて、周りの人との協力体制で、物すごく責任が重いんですね。保育もそうですけれども。
そうしたら、塩崎大臣に、今、ヘルパーさんとその補助をする、ケアマネそれからリハビリ職員は、今回、一万二千円の対象ですか。
○塩崎国務大臣
今御質問のケアマネとリハビリが対象かどうかということでありますけれども、これは、先ほど来申し上げているように、直接的な介護職員ということでありますので、ケアマネと理学療法士につきましては、これは、もともと我々も、大体幾らぐらいの給与をもらっていらっしゃるかということは調べています。例えば、看護だったら三十六万六千円、それからPT、OTは三十五万一千円、ケアマネは三十三万三千円に対して、介護職員は二十七万七千円と、やはり圧倒的に低いんですね。
したがって、これは麻生内閣からずっと引き上げを図ってきたわけでありますし、平成二十四年度の改定、これは民主党政権のときでありますけれども、このとき介護職員処遇改善加算というのが創設をされて、三井大臣だったと思いますが、その際に、まずはこの介護職員処遇改善加算の仕組みをつくって、そして、今回の場合でも、これをまず維持して、さらなる資質の向上とか労働環境の改善を図るためにこの加算を今回拡充して一万二千円にしたということであります。
今申し上げたような格差を我々は見ながら今回を決めましたし、それから、先ほど四・何%というお言葉でございますけれども、やはりこれは、ちゃんとそれぞれのサービスごとに一定の利益率は確保するということを念頭に入れながら、新しい点数をきちっと今回それぞれ出しているわけであります。
しかし、これは、介護職員については今申し上げたような状況ですから、必ず配慮がされるように、一万二千円については、計画もきっちり、今までよりも項目もふやして出すし、それから、それの後の実績についてのチェックもやるという運用の見直しをしっかりとやって、そしてまた、介護職員に今まで余り周知されていなかったものですから、周知も今回やるということで、運用の改善をしっかりしながら、この加算が職員の改善に着実につながるようにしていこうと思っているところでございます。
〔委員長退席、金田委員長代理着席〕
○辻元委員
今、月収でおっしゃいましたけれども、ボーナスは切られていますよ。リハビリで二百七十四万円、平均の年収は。そして、ケアマネの皆さんは二百六十二・九万円なんですよ。一般よりも、年収でいったら五十万円以上、下なんです。これが現状なんです。そんな認識で、いや、月収三十何万円だと。年収で見てくださいよ。
結局、一万二千円プラスだと言われているけれども、周りの人、これは二・二七%というけれども、四・四八%下がるわけですよ。そして、ヘルパーさんの一万二千円だけがあるわけだから、その周りの人は、結局、この介護の今回の切り下げで給与が保障されなくなる、そんな施設が出てくる。出てこないと言い切れますか。それが一点。
もう一つ、内部留保がたまっているとよくおっしゃいますけれども、どれぐらいの施設があって、どれぐらいの施設数、内部留保をためているところがあるからおっしゃっているのか、その調査の結果を示してください。
○塩崎国務大臣
ボーナスのお話がございましたけれども、先ほど申し上げたこの計画を事前に出してもらうときには、ボーナス込みでどうするかという計画を出していただいて、その計画に基づいて加算をとるわけでありますから、後から見て、それをもし実際に守っていないということになれば、これはその約束どおりやっていなかったということになるので、当然、約束どおりやらないということであれば、加算は取り消しということになります。
内部留保の話でありますが、今回の介護報酬の改定と内部留保の問題は、直接的にはリンクをしているわけではございません。
もちろん、そういう状況があるということはよくわかっていて、しかし、これはまた別途、社会福祉法人のガバナンスの問題でもあり、これは大事な介護の税金と保険料を使ってやっていく、その担い手としての社会福祉法人がきちっとしたことをやっていただかなきゃいかぬということで今回改革をやって、法律を今国会に出させていただこうと今準備中でございますけれども、そういうことを直接リンクして今回の報酬を決めたわけではございません。
事前に通告いただいていないので、今手元にはちょっと数字はございませんけれども、そういう発想でやっておりますので、基本的には、収支差がどのくらいあるのかということ、そして、いろいろそれ以外の情報もとりながら今回のことを決めさせていただいて、全体としての経営がおかしくならないようにするということは配慮しながらのことでございます。
○辻元委員
この予算委員会で山井さんも質問されていますけれども、内部留保がある施設があるから、ほかの、トヨタよりも利益率が高いところがあるからと答弁されていたじゃないですか。だから今回切り下げるんだという根拠の一つの一番大きな理由にされていましたよ。答弁していますよ。
内部留保がどれだけあるかという、今数字はわかりませんとおっしゃいました、どれぐらいの施設か。調査はしているんですか。どうですか。
○塩崎国務大臣
これまで内部留保のことをちゃんと正面から捉えてやっているということは繰り返し申し上げてきましたし、もちろん、背景として、今回の介護報酬の改定の際にそのことを全く考えずにやっているわけではないことはもう御指摘のとおり。だからこそ答弁をしてきたわけであります。
先ほど申し上げたのは、直接リンクをして介護報酬を幾らと決めたようなことは特にはないし、それぞれの社会福祉法人によってたまり方も違いますし、それから、それぞれの計画をしている将来の投資などもいろいろあるわけですから、それはちゃんと見るけれども、ちゃんとそれが透明化されて、ルール化された中できちっと将来に備えた蓄えなのかどうかということを見させていただこうということで、新しい仕組みをいろいろと今考えているということであります。
○辻元委員
そうしたら、もう一回確認しますけれども、トヨタのこととかをお出しになって答弁されてきた、それは撤回されるんですか。内部留保は一切考慮していないと。それが大きな理由だったんじゃないですか。どうですか。撤回されますか。
○塩崎国務大臣
いや、内部留保の問題は、今回の介護報酬の改定の議論をする前から、去年からもう既に政府において議論をし始めていることでありまして、それはしっかりと考えています。
今回の介護報酬の際に、特に特別養護老人ホームなどについての御指摘がいろいろあって、それはもちろん我々は念頭には入れながら、しかし、直接的に、それがリンクをダイレクトにしているわけではないということを申し上げているわけであります。
○辻元委員
これは総理も答弁されているんですよね。
それで、いろいろ高齢者の虐待のニュースや施設に入れないニュース、これは連日ですよね。先日も、介護疲れで殺人とか心中まで出てきているわけです。圧倒的に、五十二万四千人分、これは厚労省の調査ですけれども、施設も足りないと。
先ほど地方の話、地方は高齢化率が高いわけですよ。そして、地方での仕事というと、本当に役場とか、それから介護施設というのが多いんですね。地方の施設が体力があるかというと、そうでもないわけです。直撃しかねないと思うんですよ。ですから、今回の改定、これはもう一度見直された方がいいと思います。そうじゃないと、地方創生、女性の活躍と言っていますけれども、これに逆行すると思います。
よく財源の話があるんですけれども、総理にお聞きしたいんですが、法人税減税をされると言われていますよね。私はそれを充てたらどうかと思うんです。
なぜかというと、子育てと仕事の両立、みんな不安はそこなんです。それから、年をとってから介護が安心して受けられるか。この二つがしっかり保障されれば、現役世代は生活にゆとりが出ます。子供を預けて仕事をしよう、そして年をとってからの介護も一定大丈夫だろうなと思ったら、現役世代はゆとりが出ます。そうすると、お金を使うんです。そうしたら、ちょっと商店街に行って家族で食事をしようかとか、それから、ちょっと旅行に行こうか、私はこれが内需を回していくと思うんですね。
実際に、今回も、個人消費〇・三%の伸びだけで、六割が個人消費ですよね。これは将来の不安と子育てがネックになっていると思います。
ですから、これは全ての人に関係します。官僚の人もみんなそうなんです、同じなんですよ、聞いたら。ですから、どんな仕事に当たっても、この子育てと介護、ここに集中投資をしていくことは、先ほどインフラと申し上げましたが、社会のインフラを整えていくことになると思います。それは、株でもうけた人が高級時計を買っていただくのも結構ですけれども、全ての国民があと千円ずつお金を使う、これは物すごい経済効果があるんです。
ですから、ボトムアップの経済政策ですから、成長戦略として法人税の減税、二年間で一兆六千億とおっしゃっています。そして、実質来年度二千億減税とおっしゃっていますが、私は、法人税を減税するよりも、むしろこの財源を子育てと介護に思い切って集中投資した方が、地方創生、女性の活躍、そして日本の経済の再生に大きな経済効果を生む、子育てと介護は、社会保障という発想ではなくて経済投資だという発想でしていただいた方がいいと思いますが、いかがですか、総理。
〔金田委員長代理退席、委員長着席〕
○安倍内閣総理大臣
先ほど、内部留保と今回の引き下げとの関係において塩崎大臣から答弁しましたが、その際、トヨタの例について我々が挙げたということをおっしゃった。トヨタの例として挙げたのは内部留保に関係ありません。トヨタの利益率と収支差との関係において、収支差の方が多いという比較は行ったわけでありまして、これはまさに、内部留保とは別に、基本的には収支差から算定していくわけでございますが、他方、その中で、内部留保がたまっている施設もあるということについては指摘をしておいた、そういう適正化も当然必要だ、こういうことでございます。
そこで、当然、保育所あるいは介護施設、インフラの整備としてそれを進めていく、あるいは、都市部において需要が高い、なかなか対応できていない、地価が高いという問題もあります。それをどう対応していくかという問題については、我々は当然、今後も検討していきたいと思います。
しかし、介護全体の費用をどのように負担していこうか、これは、介護保険を導入した当時の考え方として、私は当時自民党の部会長でありましたが、自助、公助、共助という考え方において、自助としては自己負担一割だね、そして残りの半分半分、公助としてこれは税金を入れましょう、あとの半分は、これはお互いの助け合いということで保険料でいこうということを決めたわけであります。これが基本的な理念としてあるんだということは、これはみんなで理解し合うことが必要だろうと思います。
こういう中において、ただ単にやみくもにどんどんどんどん給付をふやしていけば、これは当然、それぞれが税金の分あるいは保険料にもはね返ってくるということも考えながらやっていかなければならないということなんだろうと思います。
そこで、この考え方とはまた別に、それはもうやめてしまおう、これはどんと税金を入れていこう、その中において、法人税をやめてこちらに回した方がこれは経済政策からいっていいんだろうというのが委員の御主張でございます。
それは、なぜ法人税減税が必要かということについては今までもるるお話をしてきたところでございますが、いわば企業、法人に我々は、法人という人がいるわけではなく、そこで働いている人たちがたくさんいて、家族の営みがあるわけであります。グローバルな経済の中において、競争力を持つことによって雇用を確保する、あるいはその中において企業がしっかりと設備投資等の投資をする、あるいは人材にも投資をしていくということでございます。
復興特別法人税を前倒ししたときも、そうやったって給料は上がらないという御批判を随分いただきましたが、しかし、そのことによって昨年の賃上げ、我々の決意に彼らは、政労使の会議の場でいわば賃上げというのは決まっていったわけであります。(辻元委員「聞いていないことまでしゃべっている」と呼ぶ)だって、今、経済政策、成長戦略の根本について聞かれたから、これは結構、説明はどうしても長くなるんですよ。ですから、ちょっと丁寧に御説明させていただいているところでございますが、そういう中において、経済の好循環を回していく上においては、我々はそれは必要だ、こう考えているわけであります。
○辻元委員
経済の好循環と今おっしゃいました。企業、働く人がいるんだ、雇用をふやすんだと。ところが、その働く人が、根本の生活の子育てと仕事の両立と介護、ここが不十分なために十分働けないんですよ。
今いろいろな調査がありますけれども、生活を切り詰めているという人が安倍政権になってからふえています、七五・六%。そして、四割を超える世帯が赤字。そして、約三割が貯蓄なしですよ。
私は、格差の話もそうですが、国民の生活にゆとりがない国に成長はないと思いますよ。だから、これは鶏が先か卵が先かという議論もあるかもしれない。しかし、やはり人への投資、それを私たち民主党は言っているわけです。結局、介護と保育への集中投資は回り回って経済成長に資する。だから、私たちは、人への投資をすることが日本の経済の根本を支えて、生活にゆとりを持たせることで国内の消費を喚起する、それが企業活動にはね返るんだということで、法人税減税よりこちらに投資したらいかがですかと申し上げているわけです。
これは引き続きこの予算委員会でも質問してまいりたいと思いますけれども、法人税減税については効果も、今までもやってきているんですよ、なかなか上がっていない。ですから、人への投資に変えられたらどうですかと申し上げているんです。
さて、次に、外交の方に移りたいと思います。
先日のISILによる人質事件の対応において、検証作業が始まるということで、昨日、岡田代表も官邸の危機管理について質問がありました。これについて引き続き、総理がそのときに、総理である私が指示を出しているんだと、選挙中に官房長官も総理も官邸にいないじゃないかということを挙げて、そうおっしゃいました。
十二月の十九日以降、後藤さんが拘束されているという確かな心証を得て、私はずっと、ISILが映像をインターネットで公開する以前に何をしたかが大事だ、ここの検証が大事だと申し上げてきました。それはなぜかというと、イギリス、アメリカは殺害されていますけれども、それ以外の国は、イタリアもデンマークもフランスもスペインも皆、ああいう映像が出る前の水面下の交渉を必死でやって取り返しているんですよ、人質を。ですから、映像が出る前の検証をしっかりやっていただきたい。
きのうは、選挙していたじゃないかというのが論点ですが、では、十二月十九日以降の総理の、何をされていたのかを調べました。
皆さん、資料を見てください。
これを見ていただいたら、十二月の十九日に政府が、拘束されているのが後藤さんであることを確信した。そして、二十日に、翌日から総理はフィットネスクラブに行かれたり、二十一日にゴルフに行っていらっしゃるんですね。そして、公務があって、特別国会があって、年末、十二月二十八日にはサザンオールスターズのコンサートに行かれ、その後、ずっと六本木のグランドハイアット東京にほぼお泊まりです。そして、フィットネスに行かれたり、元旦の日は映画鑑賞され、二日にはまたフィットネスと映画鑑賞。そして、三日には御手洗経団連名誉会長、経団連の会長たちと茅ケ崎でゴルフをされています。そして、翌日も富士ホールディングスの会長夫妻と茅ケ崎でゴルフをされています。
そして、一日公務されて、また次の日はダイアナ・ロスのコンサートに行っています。そして、四日公務されて、一月の十日、十一日と世耕官房副長官らと箱根で、別荘に行かれてゴルフをしているんです。翌日も別荘にお泊まりなんです。そして、その数日後に中東に出発されているんですね。
それで、総理、私は総理大臣が休暇をとってはいけないと言うつもりはないんです。しかし、十二月十九日から要するに結局あのISILの映像が公開されるまで、総理が映画へ行かれたり、それからコンサートへ行かれたり、別荘へ行かれたり、ゴルフをされている、この間に、事実として、これはファクトを言っているわけです。事実として、危機はどんどん、お二人の命の危険と日本の国家としての危険はこの間にぐんぐん上がっていたという認識はございませんか。いかがですか。この間が大事なんですよ。いかがですか。
○安倍内閣総理大臣
細々と私の日程を御紹介いただきましたが、いわば、総理として国政全般を見ているわけであります。
そして、私は、前政権、第一次政権のときの経験からいっても、総理大臣というのは心身ともに健康を保つことも重要な仕事である。そして、基本的には、どっしりと構えてさまざまなものに対応していく、そして、さまざまなつかさつかさがあるわけでありますから、そうしたつかさつかさにおいてしっかりと対応していくということだろう、このように思います。
その段階では、ISILということについてははっきりしているわけではありません。邦人が一時的に行方不明になるということは、これは日本国じゅうでいろいろあるわけでございます。そして、そういう中において、今回の危機対応においては、私がこういう行動をとっていたことによって何か問題があったということでは全くない、このように思うわけでありますが、同時に、こうした人質案件というのは、一年、二年、三年、四年と続く場合もあります。そうなれば、その間、総理大臣はほかのことに手がつかないということになってしまうわけでございまして、そうなった後、なるべく平常心、平常の行動を心がけるということも職責の一つであろう。
辻元さんみたいなそういう批判の仕方というのもあるかもしれない。しかし、そういう批判に一々私は反論するつもりは全くないわけでありまして、今後ともしっかりと心身ともに健康を保っていきたい、このように思います。
○辻元委員
やはり検証もそうなんですが、他の国はこの間に人質を解放しているんです。
そして、もう一つ申し上げたいのは、総理、私も総理は休みをとるなと言っているんじゃないんです。このときは特例の年末年始じゃないですか。自分の子供が誘拐されて行方不明になっていて、その家族がゴルフをしたり映画を見たりしますか。総理大臣は、一国の全ての国民の命を私が守るんだとおっしゃっていた。同じですよ。
なぜかといえば、この直前も、アメリカやイギリスで、同じようにシリアで拘束された人が殺されているわけです。そのニュースは連日ずっと報道されていたわけですよ。私、今びっくりしました。ほかの総理の行動も調べましたけれども、電話で指示されていたとおっしゃいますけれども、電話で指示されていたんですか。私、この間の危機管理はどうなっていたのかと思いますよ。
そして、例えば、会社で自分の社員が二人拘束されていたとする。社長はゴルフをしていました、休暇をとっていました。そして、いや、職員がやっていたから大丈夫なんだ。同じじゃないですか。(発言する者あり)どうしてですか。二人の国民が拘束されて、それは危機感が薄かった証拠ですよ、そうじゃないと言うのなら。ここで必死で政府は官邸を挙げて対応すべきだった、私はそう思いますよ。
菅さん、とめなかったんですか、あなた。だって、十二月十九日に確かな心証を得たといって、二日後にゴルフに行かせている。菅さん、しっかりしてくださいよ、あなた、官房長官として。
○菅国務大臣
総理大臣は、やはり国全体を考えて、体力もしっかり、気力も充実させている。それで、総理の命を受けて私どもが、そして私がだめなときは官房副長官が国家の危機管理に当たるのは当然のことだというふうに思います。
そして、三日以降の件でありますけれども、三日に初めて、犯人からのメールで、後藤夫人に対して拘束しているメールが来た。しかし、その後、後藤さん本人と確証を得たのが、きのう申し上げましたけれども、十九日であります。
政府はこの間どのような対応をしていたかということでありますけれども、まず、十一月一日に……(辻元委員「違う、十九日以降ですよ」と呼ぶ)十九日以前から、三日以降におきましては、後藤夫人がまず旧知の民間の専門家に相談されていました。そして、政府は、十一月一日以降に内閣危機管理監を中心とする体制を官邸にしっかりとっております。
そして、外務省は邦人保護の立場で外務省として当然対応をとっておりまして、夫人の気持ちに寄り添いながら、外務省、警察庁がバックアップをして邦人保護の体制をしっかりとっていたということでありますので、今、辻元議員から、邦人保護の対応として不十分、不適切というような趣旨だというふうに思いますけれども、そうしたことは全く当たらないということを申し上げたいと思います。
○辻元委員
夫人の気持ちに寄り添って。
私は、総理、国民に寄り添うということがどういうことか考えていただきたいんです。このとき、後藤さんの奥さんとか湯川さんの御家族、本当にこの年末年始はおつらい気持ちだったと思います。
今回は、この間の政府の対応、結局これは、二十日までISILだとわからなかったというのは政府の失態じゃないですか。それも突きとめられなかったということ。
私、総理は笑っていらっしゃるけれども、総理にお聞きしたいと思います。
一月二十日までにISILだということもわからなかった。そして、お二人の方が結果として亡くなられた。私は、これは政府として申しわけない、対応がやはり不十分だったから、反省すべきところがたくさんある。そして、年末年始、ホテルに泊まったり。これで、電話をかけて対応していたんですか、ホテルから。特定秘密があるとか、各国の秘密の事項があるから情報は出せませんという答弁が多々ありました。そんなことをホテルから、携帯電話かホテルの電話で指示しているんですか。総理、これで危機管理がなっていると総理はお考えなのか。それから、二十日までわからなかったのは失態だと思いませんか。
そして、私は、総理は人の批判とか意見に耳を傾ける余裕がなくなっていると思いますよ。このときに、お二人の命がかかっていたわけです。それで、総理、このときにぐんぐん危機が上がっていたという認識は本当にないんですか。いかがですか。会社だったら潰れていますよ。どうですか、総理。総理ですよ。総理ですよ。
○大島委員長
辻元さん、ちょっと座りなさい。
まず官房長官がお答えして、また総理の御発言も、手が挙がっておりますので、その順序でやります。
○菅国務大臣
十二月三日以降、先ほど申し上げましたけれども、私たちは……(辻元委員「だから、突きとめられなかったのは失態だと思わないかと」と呼ぶ)
○大島委員長
黙って聞きなさい。
○菅国務大臣
いや、全くそこは考えておりません。
シリアで拘束されたということが発生をしてから、シリアには、ISIL以外にも、アルカイダ系のヌスラという戦線だとか、さらに過激活動家が数多くいるわけでありますから、そういう中で、メールだけですよ、メールが来ただけで、それがISILという確証を得る、確定的な情報に接することができる国というのは、私はほとんどないと思いますよ。メールだけですから。
ただ、政府としては、危機管理監を中心に、国家安全保障局あるいは内閣情報官、ありとあらゆる体制の中で、部族長だとか、宗教団体の指導者だとか、あるいは関係国だとか、しっかりと対応させていただいてきたということは申し上げておきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣
今官房長官が答弁をさせていただいたように、シリアにはさまざまな過激集団がいるわけでありまして、そう簡単に特定はできないわけであります。
もちろん、その特定をするために、我々は、各国の情報機関等の情報の提供もお願いをしておりますし、部族長等々とも接触を図りながら情報を収集している。しかし、その特定というのは難しいんですよ。
その段階で、ここだという、そういう情報も入りますよ。(辻元委員「だから、電話で指示していたんですか」と呼ぶ)いや、今私が答弁しているんですから……(辻元委員「電話で指示していたのかということですよ」と呼ぶ)答弁しているんですから、聞いてくださいよ。
そこで、電話したかどうか。
これは、もちろん電話等々というのはしますよ。総理大臣として、こうしたときの案件については、大きな方針を決めるということでは、私は指示しますよ。でも、私は中心的なオペレーターではありませんから、当たり前ですが、そのために危機管理監というのがいるんですから、その危機管理監が基本的に対応というのもやりますし、また情報官もいます、その上においては官房長官がいるわけでありますから。私が判断するのは大きな方針。そして、判断は、例えば選択肢が出てきたときには、どちらにするという判断はします。そういう、すべき判断はしています。
ただ、例えば、基本的には、身の代金を払わないという基本方針を決めるのは私です。そういう対応が必要になったときには、そういう判断を私はきっちりとしています。そういう判断を総理大臣はするんですよ。その判断を間違えてはいけない、これが大切なんですよ。
日々どうするか、オペレーションそのものに私が口を出すということ、こんなことをしていたら、官邸はまさに、かつてそんなことがあったかもしれませんが、こんなことは絶対にやっちゃいけないことなんですよ。それがまず常識であるということを申し上げておきたい、こう思うわけであります。
基本的に、大切なことは、総理大臣というのはそういう判断をするわけであります。
そして、先ほど、確かにこの二人の人質の例もありますよ。でも、日本全国で例えばいろいろな事件も起こっているんですから。子供の命が危険にさらされる、そういう出来事はたくさん起こっているじゃないですか。でも、それは、例えば警察は警察がやる、県警本部は県警本部がやる。報告は全部上がりますよ。でも、それは、そういう人たちがちゃんとやっていくんですよ。そういう人たちだって、みんな大切な命がかかっているじゃないですか。そういう全体に私は責任を持っているんですよ。
そういうものについてまさに私は責任を持っている。ですから、そういう対応をちゃんとそれぞれのつかさつかさに間違いなくやるように、そういう指示をしているということであります。
○辻元委員
今総理の御発言で、今回の二人のシリアでの拘束案件と一般の誘拐案件と、私は、一般の誘拐案件もとてもきっちり対応してもらわなきゃ困ると思いますけれども、今回の案件は特殊です。違います。もしもそれを同列に考えていて対応していたのだったら、余りにも危機感がないと思います。
それで、もう一つ申し上げます。
例えば、グランドハイアットにお泊まりです。そして、映画館に行かれて、コンサートにゴルフ場、これは物すごい警備が必要なわけですよ。
この警備。私、総理が私邸によくお泊まり、きのうも私邸にお泊まりになりました。今、危機感で申し上げたら、日本国じゅうもっとテロが、もしかしたら身近なところで起こるかもしれない。東京マラソン、心配。そして、その中に総理も入るということなんですよ。総理自身、私は日本国の総理大臣だからしっかり身を守っていただきたいと思いますけれども、コンサートに行く、それから映画に行く。普通の人と違うんです、総理大臣。ホテルに泊まる、どれだけの警備が必要か。
そして、その危機管理も、この間ずっと、有志連合に入って、何人かが殺害、二人が殺害されていた。そして、総理が雑踏に行くわけですよ。その危機管理もなっていなかったんじゃないかということも、石破さんは笑っているけれども、やはり私、申し上げたい。特にこれから、総理は公邸にもうずっと泊まられた方がいい。なぜかというと、総理の私邸、御近所の方も含めて、物すごい警備だと思いますよ。総理自身も身を守っていただかなきゃいけないんです。そして、映画に行ったり、コンサートに行ったり、慎まれた方がいいと思います。
それは、危機管理上、本当に物すごい数の人が警備をして、そして、わかりますか、総理自身も狙われちゃいけないけれども、いろいろな人がテロが来るんじゃないかと心配している中で、御自身がもう公邸に泊まられた方がいいし、そして、しばらくはゴルフに行ったりされない方がいいですよ。私はそう思います。それぐらい、今、日本のテロの危険は高まっているということなんですよ。
私は、総理の身の危険もちゃんとやらなきゃだめだということも含めて申し上げております。
総理、きのうも私邸だったし、公邸に泊まられて。今やはり、この間、危機管理はすごく大事ですよ。しっかりとやられる。もう公邸に泊まってください。どうですか。もう警備も大変ですよ。ですから、本当にそれぐらいの危機感を持った方が今いいということなんです。
これはほかの総理と比べても全然違いますよ、行動が。私、村山さんに聞いたことがあります。あなたはお正月に温泉とか行かないんですかと言ったら、自分が動いたら警備が大変だ、年末年始は警備の人たちも休ませてやりたい、家族もいるしと。
でも、これとプラス、今、テロの危機が高まっているわけですから、しっかり公邸に陣取って、この年末の反省のもとに行動していただきたいと思いますが、いかがですか、総理。
○安倍内閣総理大臣
一生懸命おとしめようとしている、その努力は認めますよ。
しかし、はっきり申し上げて、日本というのは、こういうおどかしに遭ったとしても、安全な国なんですよ。我々の政権ができて、五百万人、観光客がふえた。日本はすばらしい国だ、安全な国だから、みんな来てくれているんですよ。
まるで日本が危険な国のようなことをあなたはおっしゃった。私は、とんでもないと思いますよ。
日本は安全な国だ。そういう安全な国であるということを確保するということが私の責任なんですよ。そういう大きな方針と、しっかりと予算を確保する、そういう仕事をちゃんとやっていくことが大切なんですよ、私に求められているのは。
公邸に泊まるとか泊まらないとかいうことではないんですよ。公邸にずっと泊まっていたら立派な総理大臣なんですか。私は、違うと思いますけれども。
そこで、申し上げますと、まさに日本というのは安全な国だ、本当にそう思います。海外に出てみて、首脳に対する警備についてはそれぞれ国によって全然違います。アメリカは、御承知のように大変な警備をしている。あの警備から比べれば、日本は相当軽い警備であります。
私が公邸にいるときにも、そこには相当の量の警備の方々がおられる。私は感謝していますよ。ゴルフをやっているときにも警備をしていただく。申しわけないなと思うわけでありますが、先ほど申し上げましたように、私に求められているのは、心身ともに健康を保って、大切なときに判断を間違わないことなんですよ。ですから、そこで温泉に行かなければいいとかそういうことではないんですよ。そこを間違えてはいけないと私は思います。
○辻元委員
はい、わかりました。
ただ……
○大島委員長
終わりました。
○辻元委員
二人が殺害されたということは、オペレーションは失敗したという反省をされた方がいいということを申し上げて、私は終わります。