私は、今回のシリアでの日本人拘束事案、そして、今、総理と細野さんの議論がありましたが、歴史認識について質問したいと思います。
今回のことを受けまして、多くの皆さんが、これからのかじ取り次第では、日本がどんな方向に行ってしまうのか、先ほどから過去の戦争の話がありましたけれども、再びまた日本が国策を誤り、戦争の方向に行ってしまったらどうしようというような不安をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思います。
今まで日本は、比較的国際テロの起こることが少ない国でした。これから変わってしまうのか、これからどういう国を目指していくのか。私は、こういう時期であるからこそ、忌憚なく議論すること、そして議論できることが日本の民主主義を守るということにもつながると思っています。
お二人の方が犠牲になられ、このことにつきましては、本当に憤りや悲しみをみんなで共有していると思います。そして、きょうまた、ヨルダン人のパイロットの死亡、殺害というニュースも飛び込んでまいりました。
きょうのニュースにつきまして、総理に一問お伺いしたいと思います。
このヨルダン人のパイロットが殺害されていたのは一月の初めのころであったという報道がなされておりましたけれども、総理がこのヨルダン人のパイロットの殺害の情報をヨルダンから受け取ったのはいつでしょうか。そして、ヨルダンとどんな連携をしていこうとしているんでしょうか。
○岸田国務大臣
ヨルダン人パイロットの方の殺害については、ヨルダン政府が、ことしの一月三日に殺害されたという発表をしています。ただ、ヨルダン政府は、その根拠あるいは状況について何も説明はしておりません。
我々は、ヨルダン政府とは緊密に連携をとってまいりましたが、我々が得ている情報はそれだけでございます。
○辻元委員
ということは、一月三日に殺害をされていたとヨルダン政府が判断していたことは日本は知っていたということですか。
○岸田国務大臣
本日、ヨルダン政府は、一月三日に殺害されていたという事実を公表されました。ただ、それについて何も説明をしておりませんし、我々はそういった情報しか得ておりません。
○辻元委員
緊密に連携をされてきたので、我々はその情報しか得ておりませんということなんですけれども、これはまたちょっと後ほど議論させていただきたいと思います。
そして、もう一点、先ほどから、後藤さんがISILに拘束されていたというのは、一月二十日、これはISILによるビデオでの公開がされる以前、推定はしていたが断定できなかったということ、それでよろしいんでしょうか。
○岸田国務大臣
ことしの一月二十日、映像が公開されるまでは、ISILの犯行であるということは否定できないとは認識しておりましたが、確たる情報は得ておりませんでした。そして、一月二十日、映像が公開されることによって、ISILの犯行である可能性が高いと認識をした次第であります。
○辻元委員
といいますのは、私はこの間の政府の御説明を聞いていましたら、一月二十日までにヨルダンに対策本部を設置して、情報を集め、分析をして、そしてあらゆるチャンネルを通じて働きかけをしているというようなニュアンスのことをおっしゃっていたんですけれども、一月二十日まで交渉する相手もわかっていなかったということであれば、何をしていたんですかね。
○岸田国務大臣
一月二十日までにつきましては、現地対策本部等を通じまして、情報収集、そして関係各国との連携に努めてまいりました。
その中で、シリアに国境を接するトルコに人員を送るなど、さまざま努力を続けた次第であります。そして、後藤さんの奥様にはメールが届けられているということを我々は十二月の段階で把握をしておりました。こうしたさまざまな事情について、分析をし、対応を検討した次第であります。
○辻元委員
分析をしても相手の特定も数カ月間できていなかったということが、きょう明らかになったと思うんですね。
他国の事例を見てみますと、欧米諸国でも拘束されている案件が多いんですよ。しかし、あのようにビデオで公開される前に、解放されている各国は全部その前に水面下の交渉で解放しているわけです。そして、例えばイタリア、デンマーク、フランス、スペイン、トルコ、解放されております。アメリカとイギリスは解放に失敗しているんです。それ以外の国はほとんど成功しているんですよ。
そうしますと、日本政府はあそこに出てくる前に相手の特定もできていなかったというような状態であったこと、これは日本として物すごく大きな反省点だと思いますが、いかがですか、総理。
これは総理です。総理、してくださいよ。総理、総理言わさぬといてください。総理です。ほんまに、これは、総理、すごく大事なことですよ。そこまで特定もできなかったんですか。総理、いかがですか。総理、だって、総理はあれだけテロと闘うとおっしゃっていたじゃないですか。
○大島委員長
辻元さん、まず外務大臣からお答えをいただいた後に、総理の所感をいただきます。
○岸田国務大臣
我が国としましては、湯川さん、そして後藤さんが行方不明になられたという情報を得てから後、今日まで培ってきたさまざまなチャンネル、ルートを総動員しまして、各国の情報機関、宗教関係者、あるいはさまざまな地元の関係者に働きかけ、情報を得、そして、そうしたルートを総動員して働きかけを行ってまいりました。
その具体的な内容については明らかにはできませんが、そうした条件の中で我が国としては最大限努力をし、解放に向けてさまざまな取り組みを行ってきた次第であります。
○辻元委員
今、外務大臣が、宗教者などさまざまなチャンネルで働きかけを行ってきましたとおっしゃったんですが、相手もわからないのに、どこに働きかけをしていたんでしょうか。
総理、やはり、この一月二十日にビデオでああいう形で公開される前、ここが勝負だったと思うんですよ。やはりここで非常に大きな反省をしなきゃいけない。結局、相手も特定されていなかったということがきょう明らかになったわけですが、総理、どのようにお考えですか。
○安倍内閣総理大臣
ただいま辻元委員からほかの国々のケースについての事例を挙げられたわけでございますが、それは、その国々において、あるいはその人質となった方々の家族に対するアプローチ等、さまざまだったんだろうと思うわけでございます。
残念ながら、我々は、この二十日以前の段階においては、ISILという特定もできなかったわけでございますし、また、ISIL側から我々政府に対する要求ということではなかったわけでございます。
そこで、我々は、一月の二十日に、この事案について、ISILということが彼ら自身のビデオによって特定されたわけでございますから、その段階から、さまざまなルート、培ってきた外交ルート、チャンネルを駆使しながら、このお二人の人質の解放に全力を尽くしてきたところでございます。
もちろん、それ以前にも、外務大臣からお答えをさせていただきましたように、さまざまなルートを生かしながら情報収集に努めていたわけでございますが、完全に特定するには至ってはいなかった、こういうことでございます。
○辻元委員
私は、残念ながら、これはひょっとしたら、普通の失踪者というか、どこかに拘束されたこと、それ以上には扱っていらっしゃったかもしれませんけれども、この間の政府の対応がやはり非常に甘かったと思います。そのことについてちょっと検証していきたいと思うんです。
まず、総理にお伺いしますが、日本は、いわゆる有志連合ですね、これはISILを打倒する世界連合とも言われていますけれども、この有志連合に日本は入っているんでしょうか。総理、いかがですか。
○岸田国務大臣
有志連合についての御質問ですが、この有志連合には、ISILに対して空爆を行っている、空爆に参加している軍事的な有志連合と、そして、ISILの資金源対策、あるいは人道支援を含む包括的なISIL対策を行う広い意味での有志連合、二種類があります。
我が国としましては、前者、ISILへの空爆を行う諸国から成る軍事的な有志連合には参加しておりません。最近では、一月二十二日にロンドンで閣僚級会合が行われましたが、我が国は参加いたしませんでした。
他方、我が国は、ISILの脅威に対抗するため、これまで、シリアあるいはイラクの難民、避難民支援、そしてヨルダンやレバノンといった周辺国への人道支援、こうした関連安保理決議の履行を着実に行ってきた次第です。
こうした取り組みは中東諸国からも国際社会からも高く評価されているわけですが、かかる背景から、我が国は、ISIL対策関連の累次の国際会議には参加しており、その意味で、人道支援を含む広い意味での有志連合には参加していると認識をしています。
○辻元委員
広いか狭いか、有志連合は一つだと思いますけれども、そのことは後でちょっと議論したいと思いますが、いつから参加しているんですか。
○岸田国務大臣
昨年の九月の十九日ですが、ケリー米国国務長官主宰によりまして、イラク情勢に関するハイレベル安保理会合が開催されました。我が国は、この会合に薗浦外務大臣政務官が出席をしております。その会合直後に、米国務省が、連合参加国として、日本を含む五十カ国以上の国と地域が含まれるリストを公表いたしました。
日本が有志連合参加国に名を連ねるのは、この時点が初めてだったと認識をしています。
○辻元委員
今、九月の十九日とおっしゃいました。
有志連合参加国はどこかと私は外務省に問い合わせましたら、外務省からの答えは、アメリカの国務省のホームページを見てくださいという答弁だったんですよ。日本のホームページを見るんちゃうかなと思ったんですけれども、アメリカのを見てくださいという御説明だったんです。
外務省が最初私に示したのが、この十月一日のホームページでした。これは資料を皆さんにお配りしております。そして、さらに調べていきますと、資料二ですが、九月十九日のホームページ。この二つ、これが世界じゅうに有志連合に参加している国を示す、これしかほぼないですね、世界じゅうの人が、有志連合にどこの国が参加しているのかなと検索すると一番に出てくるのがこれです。
これを見ていただきますと、これは十月一日の分ですけれども、下に参加国というのがあって、日本が入っております。そして、その下にどんな役割をするかということが書いてあるんですが、これが、九月に発表された時点では、どの国が空爆をしていて、どの国は人道支援だというのがわからないんですよね。全部一緒くたに、全部有志連合だと。ですから、国際的には、有志連合は一つなんだ、その有志連合で分担をして、空爆もあれば人道支援もあるという理解のされ方なわけですよ。
私は、日本は有志連合から一線を置いて、日本独自の人道支援をしているのかなと最初思っていたんですが、はっきりと国際的には位置づけられているわけです。
それで、これは総理にお聞きしたいんですけれども、九月からこれがホームページで公表されていたんです。九月から有志連合に日本が入った。そして、人道支援だということはわからない、ごちゃごちゃですから。そうなってくると、世界じゅうの人は、ああ、日本は有志連合に入ったんだな。
九月のこのころはどうかというと、アメリカがイラクでの空爆を開始したのは八月八日なんです。その後に、オバマ大統領が九月の十日に、シリアを空爆すると拡大の表明をして、非常に緊迫して、九月の二十三日に、シリア空爆開始、そして、アメリカは集団的自衛権の行使でやるんだという宣言もしている。殺し殺されというか、物すごい戦闘も激化して難民が続出していたときに有志連合が結成され、日本が入っている。そして空爆が始まった。どの国が有志連合に入るのかが世界から注目を浴びていたときなんですね。
こういうときに日本がもう入っているわけですから、私は、この九月の段階から、日本人がターゲットにされる。ISILも、有志連合に入っている国はどこかしらといったら、このホームページで見ているはずです。有志連合の一員をターゲットにするんだと、この九月から、物すごく日本人が狙われる、ターゲットとされるリスクがぐんと高まっていた。これがターニングポイントだと思うので、ここから、人が誘拐されたり、日本人に対しての対応を練らなきゃいけなかったと思うんです。
まず総理に、この段階から日本は狙われるリスクが非常に高くなったという御認識はお持ちでしたか。(岸田国務大臣「委員長、その前に」と呼ぶ)いや、その前じゃなくて、お持ちだったか総理に聞いているんですよ。というのは、大事なことだと思うんですね。
○大島委員長
岸田外務大臣からお答えした後に、安倍総理からお話をいただきます。
○岸田国務大臣
総理がお答えする前に、一言確認をさせていただきたいと存じます。
我が国の対応ですが、昨年、国連安保理におきまして、ISIL対策の決議が採択をされています。我が国としましては、この決議に示されている、ISILの脅威に対抗するという国際社会の決意を踏まえて、責任ある一員として責務を果たすべく人道支援を行う、こういった取り組みを続けてきました。そういった思いで、自主的に、この人道支援を含むさまざまな対応を議論する国際会議に参加をした次第です。
そして、御指摘のこのリストですが、これは、米国政府が独自にこのリストを作成し、そしてホームページにアップしたというものであります。
我が国としましては、こうしたISIL対策、この国連決議に基づいて、人道支援を中心に、この責任を果たすべくしっかり努力をしてきた。そうした努力をしてきただけでありまして、このリストというのは、そういった中で米国が発表したものであるということをまず一つ確認させていただきたいと存じます。
○辻元委員
すごく今の形式的な説明というか、日本はこうですよ、こういうことを表明しましたじゃないんですよ。世界じゅうはこれを見て、ISILも含めて、有志連合に入っている国はこういう国だな、こういう国はターゲットだなと見られていたわけですよ。
要するに、私、危機感が少ないと思います。今のは日本の都合を言っているだけ。日本は人道支援をしてくれるんだから世界はわかってくれるだろうじゃないんですよ。
実際に、これが九月から出ていて、非常に日本人が狙われるリスクのレベルが上がっていた。そして、その間に……(発言する者あり)味方じゃないですよ。シビアに、日本政府は何をしてきたのか。
この後に後藤さんが誘拐されているんです。ですから、このときに日本の危機感が、この段階で、もう有志連合に入ったということはターゲットになるんだという認識を持ってしっかり対応しないと。
もう一つ。このときに、注意喚起ですね、国民に対してこの九月から、広域地域における。
世界じゅうに日本人はいてるわけです。世界じゅうにいる日本人がターゲットにされたら困るわけですよ。しかし、どこにどんな過激主義者が潜んでいるかわからない。その人たちがターゲットにする有志連合というのは、ホームページで今でも検索したらこれが出てくるんです。そんなのんきな話ではないです。それはアメリカが勝手に書いているんだよという話じゃないですよ。
そういう中で、日本が、この九月以降に、広域情報でイスラム過激主義者に注意喚起を出したのは、たった一回だけなんですよ。
私はやはり、この九月の空爆が始まってから、そして後藤さんたちのビデオが公開されるまでの間の日本の対応というのは非常に甘かったし、甘く見ていたというか、危機感が少な過ぎたんじゃないかと思います。そんな中で総理が中東を訪問された。
ですから、先ほどから、これだけISILの危機感が高まっているのにエジプトでの発言はどうだったんだという話がありましたけれども、これは、政府全体がやはり危機感が非常に低かったんじゃないか。その中で中東訪問があったと思います。
私は、総理、今回お二人の方が亡くなってしまったわけですから、このプロセスは、総理はよく結果責任とおっしゃいますけれども、結果責任ということであれば、やはり残念ながら失敗になってしまうわけですよね。これから検証していくということですけれども、私は大きな反省をしなきゃいけないと思いますが、総理はいかがですか。
○安倍内閣総理大臣
我々がのんきだった、危機感がなかった、我々はその批判は当たらないとはっきりと申し上げておきたいと思います。
今まで何回も申し上げているように、この場でも申し上げています。世界じゅうは、いわばテロの脅威に対してどの国も安全ではない、だから万全を尽くさなければいけないということは何回も申し上げているとおりであり、我々はしっかりとそのように対応してまいりました。
また、そうした危険な地域には行かないように、しっかりと我々は発信もしておりますし、先ほども申し上げましたように、何回か後藤さんに対しても、三回にわたって、行かないようにというお話をさせていただいているわけでございます。
それと同時に、この有志連合に入ることが間違っているかのような御意見でございましたが、まさにこの過激主義を誰かがとめなければならないわけであります。日本としては、空爆とかそうした軍事支援はしませんが、しかし、周辺国に対する支援をしっかりとしていく。過激主義をとめるということの有志の連合であれば、日本もその一員であるわけでありますが、その中でそれぞれの役割があって、日本は軍事的な役割はしないわけであります。
それと、日本だけが人道支援だと思っているという御発言がありましたが、それも間違い、明確な間違いであります。
一月の二十日にISILが公開したあのビデオの中において、ISIL自体が、アラビア語の字幕とテロップをつけて、中東における人道プロジェクト及びインフラに対する借款供与を表明したと我々を非難しているわけです。そして同時に、安倍、イスラム国との闘いに非軍事的支援で貢献、こうISILが、まさに私の支援は非軍事支援だと明確にあのビデオの中で、英語とアラビア語で彼らの見解を表明しているわけであります。これは、辻元さんはそう理解をしていないかもしれませんが、彼らは明確にそれは理解をしていたわけであります。
つまり、非軍事的支援であっても彼らはまさにテロの対象とする。ここにISILの大きな問題があるわけであり、だからこそ今、国際社会は連携して彼らのこの勢いをそぎ、そして最終的にはこのISILの支配地域から多くの人々を解放しなければならない、このように考えているわけでありますし、日本は日本しかできない支援をしっかりとやっていきたい、こう考えているところでございます。
○辻元委員
私は、人道支援はするべきだし、それから総理がおっしゃった、テロと、国際連携してしっかりと対応しなきゃいけない、それはそうだと思うんです。しかし、今さっき申し上げましたように、一方でお二人の方が殺害されてしまったという、これに対しての反省はどうかと問うたわけです。
先ほど、一月二十日まで特定もできていなかったということもはっきりしたわけです。これは大きな反省をしないと、私、ここで、二人がお亡くなりになったこの日本の対応、のんきにしていたんじゃない、そのとおりだと思います。ですから、私も最初に、本当にお疲れさまでしたと申し上げました。しかし、やはり、二十日まで特定されなかったことも含めて、危機感が薄かったと言わざるを得ないということも申し上げておきたいと思います。
これについては、やはり、特に二十日までの検証というのは一つ一つきっちりしていかないと、二十日以降のことももちろんそうですけれども、その前が大事だということを申し上げたいと思います。
もう一つ。今、総理は人道支援ということを強調されましたけれども、日本が人道支援に徹する国というのは、これは過去の戦争の反省があると思います。日本は戦争と一線を画して、世界の貧困や、そして難民を支援していく、これが戦争を、負の連鎖といいますか、暴力の負の連鎖を断ち切るんだということで人道支援に力を尽くしてきたと思うんです。それで、過去の戦争の見方なんですよ。
戦後七十年の総理の談話を出されるというお話の中で、総理は、全体として過去の歴代の談話を引き継ぐとおっしゃっています。この全体としてというのは、一体どういうことなんでしょう。
○安倍内閣総理大臣
安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、そして戦後六十年の小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいるわけでありまして、今後も引き継いでいく考えでございます。
○辻元委員
小泉談話と村山談話というのは、いろいろ書いてあるんですね。資料の三です。
そして、村山談話と小泉談話の共通点は、この黄色のラインマーカーを引いてある部分、ここだけなんです。あとは、村山さんの思いやこれからこんな国にしたいということや、小泉さんの思い。
特に、小泉さんの場合は、サンフランシスコ講和条約のことに触れています。これは、靖国に行きましたので、靖国に行ったことが、東京裁判史観の否定であったりサンフランシスコ体制の否定に見られたら困るということで、わざと入れていると思うんです。
ということは、全体として引き継ぐというのは、それぞれこの核心の部分、歴史認識の部分を引き継いでいるのであって、あとはそれぞれの思いを書いていらっしゃる。ということは、引き継いでいくということは、このラインマーカーを引いている、両方の総理大臣の歴史認識のところを戦後七十年談話も引き継いでいくという認識でよろしいですか。
○安倍内閣総理大臣
先ほど答弁をさせていただきましたように、安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、そして戦後六十年の小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいるということでございまして、今後も引き継いでいく考えでございます。
○辻元委員
といいますのは、資料の四を見てください。
かつて総理はいろいろな発言をされ、積極的に歴史認識について発言をされてきました。これは、山谷大臣と、きょうはお互い、本音レベルで話しましょうと書いてある対談なんですが、その五ページを見ていただくと、村山談話について、村山さんの個人的な歴史観に日本がいつまでも縛られていることはない、その時々、総理が出せばいい、村山談話が余りに一面的なので、もう少しバランスのとれたものにしたい、こうおっしゃっているわけですね。
これは山谷さんと対談されていますので、山谷さんにもお聞きしますけれども、山谷さんも、村山談話を認め引き継ぐという立場ですね。
○山谷国務大臣
戦後五十年の村山談話、そして戦後六十年の小泉談話、歴代内閣の考え方を安倍内閣としても引き継いでいくということでございます。
○辻元委員
総理、こういうように過去に発言されているので、どうなるのかなと国際的にも見られているわけです。ですから、一つ一つ確認、歴史認識を引き継ぐということですから、この部分、先ほどの歴史認識の部分ですので。
先ほど細野さんとも議論になりました、我が国は、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れた。同じ認識ですか。
○安倍内閣総理大臣
先ほど細野委員の質問に対してお答えをさせていただいたとおりでございますが、日本は七十年前、敗戦を迎えたわけでございますが、多くの日本人の命が失われたわけでございます。そして、国土は焦土と化した。この反省の上に立って、今日の日本をつくってきたわけでございます。いわば、その痛切な反省の上に立ってきたということに尽くされているのではないかと思います。
○辻元委員
ここのキーワードは国策を誤りなんですが、これは引き継がれるということは認めていると考えてよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣
先ほど申し上げましたように、五十年の村山談話、そして六十年の小泉談話について、安倍内閣としては全体として引き継いでいる、このように申し上げていることでございます。
○辻元委員
ということは、認めているということですね。
○安倍内閣総理大臣
繰り返しになりますが、五十年の村山談話、そして六十年の小泉談話、全体として安倍内閣として受け継いでいるということでございます。
○辻元委員
さっきから申し上げておりますように、全体はいろいろ書いてあるんです。そして、共通しているのは歴史認識の部分です。ですから、そこは、国際的に注目されているのもここであるという認識があると思います。ですから、一つ一つ、私は、総理、はっきりお答えになった方がいいと思います。先ほど、国策を誤りという話がありましたが、今、暴力の連鎖の話も先ほどから議論しておりましたけれども、やはり過去、日本は戦争しているわけです。
では、次、お聞きします。
植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた、植民地支配と侵略によって与えた、この文も継承しているということ、同じ認識ということですね。
○安倍内閣総理大臣
先ほどからの答弁の繰り返しになるわけでありますが、安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、そして戦後六十年の小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えでございます。
○辻元委員
またはっきりおっしゃらないんですね。
次に、もう一つ、痛切な反省の意をあらわし、心からおわびの気持ち、これはアジア諸国などに対してですか。これも引き継いでいますね。
○安倍内閣総理大臣
繰り返しになるわけでありますが、安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、戦後六十年の小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えでございます。
○辻元委員
総理は、有識者会議を立ち上げて検討してもらうという話がありました。有識者会議に依頼するときに、この歴史認識の部分、結局、引き継がれているのはこの部分なんです、この部分の検討も含めて依頼されるのか。この歴史認識の部分はこれを引き継ぎ、そして将来に向けてや総理の思いを書かれる。どのように依頼されるんですか。
先ほど、歴史認識を引き継ぐとおっしゃいました。有識者会議には、歴史認識の部分は引き継いだ上で、いろいろな思いを、歴代内閣もそうでした、そこは引き継いでいますという検討を依頼するということでよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣
これは既に委員会で述べていることでございますが、安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、戦後六十年の小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。七十年の談話はそれを前提として作成するものであります。
談話の内容につきましては、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後日本としてアジア太平洋地域や世界のためにさらにどのような貢献を果たしていくのか、次の八十年、九十年、百年に向けて日本はどのような国になっていくのかについて、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく考えであります。
いずれにせよ、具体的な内容は、今後、有識者の御意見を伺いながら、政府として検討していく考えでございます。
○辻元委員
この有識者会議なんですけれども、議事録をとって、議事録を公開すべきだと考えますが、総理はいかがですか。
○安倍内閣総理大臣
自由な御議論を私は行っていただきたい、このように思いますので、その自由な意見の発表について、自由な発言について担保しなければならないという観点から検討しなければならないと思います。
○辻元委員
歴史認識の部分は、この有識者にも、引き継いで検討してくれというような依頼をするということでいいんでしょうか。もう一回確認します。
○安倍内閣総理大臣
安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、戦後六十年の小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。七十年の談話は、それを前提として作成するものであります。
○辻元委員
歴史認識以外のところを議論していただくのなら、議事録の公開はしやすいと思います。そこに踏み込むとしにくいということで、言葉を濁していらっしゃるのかなと思ってしまうんです。
例えば、民主党政権のときは、原子力政策を決めるときも、同時中継でインターネットでオープンにして、その中で議論していただく。これは、特にこの談話というのは、国際的に、どういう談話を出すかによって日本が孤立しかねない、そういう性質の、単なる総理の思いを書くものではないということをよく御理解されていると思います。だからこそ、有識者の委員に緊張を持って議論していただく、歴史にたえ得る議論をしていただくためにも、議事録をしっかり公開する、そのとき公開できなくても後で公開することを約束された方が国際的な信用を増すと私は思いますが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣
私自身は、国際的な信用を得ている、このように思っております。その中において、日本の国益を確保し、そして地域や世界の繁栄のために、平和と安定のために貢献していくよう努力を重ねていきたい、このように考えているところでございます。
○大島委員長
時間が来ておりますよ。
○辻元委員
はい、終わります。
今回の歴史認識の問題も中東外交も、私は、自民党も含めまして先輩たちが非常に難しいかじ取りをしてきて心を砕いてきた、日本の立場を築いてくださった、その信頼を崩すことがないように、両方とも、総理にはくれぐれも慎重な御判断をいただきたい。そのことを申し上げまして、終わります。
ありがとうございました。