平成二十六年六月二十七日受領
答弁第二六七号
内閣衆質一八六第二六七号
平成二十六年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員辻元清美君提出「凍土壁」の解凍要件及び撤退要件、選択経過及び代替工法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員辻元清美君提出「凍土壁」の解凍要件及び撤退要件、選択経過及び代替工法に関する質問に対する答弁書
一について
東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所(以下「発電所」という。)におけるいわゆる汚染水への対応に関し、凍土方式の陸側遮水壁(以下「凍土壁」という。)の構築の際に用いる工法は、御指摘の「仮設工法」に当たるものと認識した上で、平成二十五年四月以降、東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議(当時。以下「廃炉対策推進会議」という。)の下に設置された汚染水処理対策委員会等において、遮水壁の方式に係る複数の対策案について比較検討した結果を踏まえ、凍土壁を構築することとしたものであるが、凍土壁は、原子炉建屋等への地下水の流入を防止するために構築するものであり、御指摘の「本体的構造物を構築する」ために構築するものではない。
二の1及び四の5について
御指摘の「凍土壁以外の対策」については、平成二十六年五月に開始した原子炉建屋等の山側における地下水のくみ上げ及び放出、平成二十六年度中に概成を目指している雨水の浸透による地下水の増量を防止するための発電所の敷地内の舗装等の対策について、重層的に講じているところである。また、御指摘の「凍土壁とは別の行程」については、政府・東京電力中長期対策会議(当時)が平成二十三年十二月二十一日に取りまとめ、廃炉対策推進会議が平成二十五年六月二十七日に改訂した「東京電力(株)福島第一原子力発電所一~四号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」において示している。
二の2について
御指摘の「開始時期」の定義が必ずしも明らかではないが、原子炉建屋等の隙間を塞ぐことについては、現在、可能なものから対応を行っているところであり、平成二十六年度から七年程度を完了の時期の目安としている。
二の3から5までについて
凍結管については、長さ約十一メートルごとに溶接を行う予定であるが、凍土壁の構築を予定している場所(以下「凍土壁予定場所」という。)の近傍において鹿島建設株式会社(以下「鹿島建設」という。)が行った実証実験(以下「実験」という。)においては、深さ約三十メートルにかけて、溶接した凍結管を垂直方向に設置し、凍結することが可能であることについて確認されている。また、お尋ねの「完了時期」及び「完工検査」が意味するところが必ずしも明らかではないが、凍結管が何らかの理由で破損した場合等には交換が必要になるところ、実験においては、平成二十六年三月十四日に凍結を開始し、凍結を維持しつつ凍結管の交換が随時可能であることから、運用予定期間である約七年を超えた長期間での運用が可能であることについて確認されている。
三の1について
お尋ねについては、原子炉建屋等の建設当時に東京電力が行った地質調査に加え、平成二十六年二月から五月にかけて、凍土壁の構築を行う東京電力及び鹿島建設において、地質調査及び地下水に係る調査を行っているものと承知している。
三の2から5までについて
凍土壁予定場所及びその近傍における埋設管の種類、位置等については、従来から東京電力が把握していた情報に加え、平成二十六年三月頃から、東京電力及び鹿島建設において調査を行っており、今後とも凍土壁の構築を進めていく中で確認を行うものと承知している。埋設管は地中に埋設されているものであり、現時点において、凍土壁予定場所を横断する形で約百七十本の埋設管が存在することが確認されており、その中には、雨水の排水に係るものであって現在も必要な埋設管が、凍結管の設置を予定している箇所に約十本存在するが、不要な埋設管については、凍土壁の構築を進めていく中で閉塞等を行うものと承知している。
四の1から4までについて
御指摘の解析においては、凍結管に近い場所ほど凍結が早く、二本の凍結管の中間付近において凍結が遅いが、実験においては、二本の凍結管の中間付近において地面と垂直の方向に沿って温度を計測し、凍結管の先端部に相当する深度までの地中の温度について、閉合することを示す氷点下となったことについて確認されていることから、御指摘の「一時的」状態により閉合しないとは考えていない。
五について
原子力規制庁が平成二十五年十月二十五日に汚染水処理対策委員会に提出した「東京電力福島第一原子力発電所における汚染水対策に関する規制要求のポイント」において、「汚染水対策は、タービン建屋等の内部に滞留する高濃度の汚染水が地下水位の変動によって周辺の地中に漏出しないよう設計・計画されていること」としていること等を踏まえ、これまで同委員会における汚染水への対応に係る検討が行われており、政府としては、これを踏まえ、現状と同じように、原子炉建屋等の内側における水位を原子炉建屋等の外側における水位よりも低く保つことにより、凍土壁の設置に伴い、原子炉建屋等の内側にある汚染水が原子炉建屋等の外部に漏出することがないようにすることとしている。
答弁第二六七号
内閣衆質一八六第二六七号
平成二十六年六月二十七日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員辻元清美君提出「凍土壁」の解凍要件及び撤退要件、選択経過及び代替工法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員辻元清美君提出「凍土壁」の解凍要件及び撤退要件、選択経過及び代替工法に関する質問に対する答弁書
一について
東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所(以下「発電所」という。)におけるいわゆる汚染水への対応に関し、凍土方式の陸側遮水壁(以下「凍土壁」という。)の構築の際に用いる工法は、御指摘の「仮設工法」に当たるものと認識した上で、平成二十五年四月以降、東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議(当時。以下「廃炉対策推進会議」という。)の下に設置された汚染水処理対策委員会等において、遮水壁の方式に係る複数の対策案について比較検討した結果を踏まえ、凍土壁を構築することとしたものであるが、凍土壁は、原子炉建屋等への地下水の流入を防止するために構築するものであり、御指摘の「本体的構造物を構築する」ために構築するものではない。
二の1及び四の5について
御指摘の「凍土壁以外の対策」については、平成二十六年五月に開始した原子炉建屋等の山側における地下水のくみ上げ及び放出、平成二十六年度中に概成を目指している雨水の浸透による地下水の増量を防止するための発電所の敷地内の舗装等の対策について、重層的に講じているところである。また、御指摘の「凍土壁とは別の行程」については、政府・東京電力中長期対策会議(当時)が平成二十三年十二月二十一日に取りまとめ、廃炉対策推進会議が平成二十五年六月二十七日に改訂した「東京電力(株)福島第一原子力発電所一~四号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」において示している。
二の2について
御指摘の「開始時期」の定義が必ずしも明らかではないが、原子炉建屋等の隙間を塞ぐことについては、現在、可能なものから対応を行っているところであり、平成二十六年度から七年程度を完了の時期の目安としている。
二の3から5までについて
凍結管については、長さ約十一メートルごとに溶接を行う予定であるが、凍土壁の構築を予定している場所(以下「凍土壁予定場所」という。)の近傍において鹿島建設株式会社(以下「鹿島建設」という。)が行った実証実験(以下「実験」という。)においては、深さ約三十メートルにかけて、溶接した凍結管を垂直方向に設置し、凍結することが可能であることについて確認されている。また、お尋ねの「完了時期」及び「完工検査」が意味するところが必ずしも明らかではないが、凍結管が何らかの理由で破損した場合等には交換が必要になるところ、実験においては、平成二十六年三月十四日に凍結を開始し、凍結を維持しつつ凍結管の交換が随時可能であることから、運用予定期間である約七年を超えた長期間での運用が可能であることについて確認されている。
三の1について
お尋ねについては、原子炉建屋等の建設当時に東京電力が行った地質調査に加え、平成二十六年二月から五月にかけて、凍土壁の構築を行う東京電力及び鹿島建設において、地質調査及び地下水に係る調査を行っているものと承知している。
三の2から5までについて
凍土壁予定場所及びその近傍における埋設管の種類、位置等については、従来から東京電力が把握していた情報に加え、平成二十六年三月頃から、東京電力及び鹿島建設において調査を行っており、今後とも凍土壁の構築を進めていく中で確認を行うものと承知している。埋設管は地中に埋設されているものであり、現時点において、凍土壁予定場所を横断する形で約百七十本の埋設管が存在することが確認されており、その中には、雨水の排水に係るものであって現在も必要な埋設管が、凍結管の設置を予定している箇所に約十本存在するが、不要な埋設管については、凍土壁の構築を進めていく中で閉塞等を行うものと承知している。
四の1から4までについて
御指摘の解析においては、凍結管に近い場所ほど凍結が早く、二本の凍結管の中間付近において凍結が遅いが、実験においては、二本の凍結管の中間付近において地面と垂直の方向に沿って温度を計測し、凍結管の先端部に相当する深度までの地中の温度について、閉合することを示す氷点下となったことについて確認されていることから、御指摘の「一時的」状態により閉合しないとは考えていない。
五について
原子力規制庁が平成二十五年十月二十五日に汚染水処理対策委員会に提出した「東京電力福島第一原子力発電所における汚染水対策に関する規制要求のポイント」において、「汚染水対策は、タービン建屋等の内部に滞留する高濃度の汚染水が地下水位の変動によって周辺の地中に漏出しないよう設計・計画されていること」としていること等を踏まえ、これまで同委員会における汚染水への対応に係る検討が行われており、政府としては、これを踏まえ、現状と同じように、原子炉建屋等の内側における水位を原子炉建屋等の外側における水位よりも低く保つことにより、凍土壁の設置に伴い、原子炉建屋等の内側にある汚染水が原子炉建屋等の外部に漏出することがないようにすることとしている。