平成十七年十月二十五日受領
答弁第二二号
内閣衆質一六三第二二号
平成十七年十月二十五日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員辻元清美君提出小泉純一郎内閣総理大臣の二〇〇五年一〇月一七日における靖国神社参拝に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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衆議院議員辻元清美君提出小泉純一郎内閣総理大臣の二〇〇五年一〇月一七日における靖国神社参拝に関する質問に対する答弁書
一について
小泉内閣総理大臣の本年十月十七日の靖国神社への参拝は、一人の国民として行われたものと理解している。
二について
平成十三年当時に小泉内閣総理大臣が靖国神社への参拝を行いたい旨を表明したことについては、政府としては、内閣総理大臣が公的な資格で靖国神社への参拝を行うことを公約したものとは理解していない。
三について
お尋ねの判決においては、小泉内閣総理大臣の平成十三年八月十三日、平成十四年四月二十一日及び平成十五年一月十四日の靖国神社への各参拝について、いわゆる傍論で、国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第一条との関係では、少なくとも行為の外形において、内閣総理大臣としての「職務を行うについて」なされたものと認められるとした上で、憲法第二十条第三項の禁ずる宗教的活動に当たる旨が述べられたものと承知しているが、政府としては、お尋ねの訴訟において、小泉内閣総理大臣の靖国神社への各参拝は、私人としての立場で行われたものであると主張しており、その主張が認められなかったことについては、誠に遺憾である。なお、小泉内閣総理大臣の靖国神社への参拝に関する訴訟は、他の裁判所でも審理されており、引き続き、それぞれの訴訟の中で、国の主張が認められるよう、適切に対応してまいりたい。
四から六までについて
本年十月十七日(現地時間。以下同じ。)午前、在中華人民共和国日本国大使館(以下「在中国日本国大使館」という。)は、そのホームページ上に「お知らせ」を掲載し、中華人民共和国(以下「中国」という。)の在留邦人に対し注意を呼び掛けた。また、同日午後、在大韓民国日本国大使館(以下「在韓国日本国大使館」という。)は、そのホームページ上に「お知らせ」を掲載し、大韓民国(以下「韓国」という。)の在留邦人に対し注意を呼び掛けた。
今次の「お知らせ」は、韓国にあっては、同日正午及び午後一時の二度にわたり、在韓国日本国大使館前において、抗議行動が行われたことを踏まえ、また、中国にあっては、御指摘の小泉内閣総理大臣の靖国神社参拝後に、批判的な報道が行われたことを踏まえ、万が一、不測の事態に発展する場合に備え、念のため、在留邦人等がかかる事態に巻き込まれないよう、それぞれの日本国大使館の個別の判断で発出したものである。
また、同日午後四時半ごろ、在中国日本国大使館前において、抗議行動が行われたことをも踏まえ、旅行者等の短期渡航者の安全対策をも促すため、外務本省においても、中国及び韓国について「スポット情報」を海外安全ホームページ上に掲載した。
一般に、外務本省及び我が国の在外公館が在留邦人等に対して行う注意喚起は、時々の相手国の政情や二国間関係の動きに合わせて生ずる、又は生じ得る不測の事態に対し、在留邦人等の安全対策に関してこまやかに注意を喚起するため発出しているものである。
七及び八について
小泉内閣総理大臣は、靖国神社が発行する「やすくに大百科~私たちの靖國神社~」と題するパンフレットに、いわゆるA級戦犯に限られない記述として、御指摘のような記載があることは認識しているが、明治維新以来の我が国の歴史において、心ならずも国のために命を捧げた方々全体を追悼し、敬意と感謝の念を捧げるとともに、二度と戦争を繰り返してはならないとの気持ちから靖国神社に参拝しているものと承知しており、このような小泉内閣総理大臣の参拝は、御指摘の靖国神社の主張とは無関係であると考える。
九について
政府としては、小泉内閣総理大臣は、一人の国民として靖国神社に参拝したものであると理解している。このような参拝の適否については、政府として立ち入るべきものではないと考える。
答弁第二二号
内閣衆質一六三第二二号
平成十七年十月二十五日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員辻元清美君提出小泉純一郎内閣総理大臣の二〇〇五年一〇月一七日における靖国神社参拝に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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衆議院議員辻元清美君提出小泉純一郎内閣総理大臣の二〇〇五年一〇月一七日における靖国神社参拝に関する質問に対する答弁書
一について
小泉内閣総理大臣の本年十月十七日の靖国神社への参拝は、一人の国民として行われたものと理解している。
二について
平成十三年当時に小泉内閣総理大臣が靖国神社への参拝を行いたい旨を表明したことについては、政府としては、内閣総理大臣が公的な資格で靖国神社への参拝を行うことを公約したものとは理解していない。
三について
お尋ねの判決においては、小泉内閣総理大臣の平成十三年八月十三日、平成十四年四月二十一日及び平成十五年一月十四日の靖国神社への各参拝について、いわゆる傍論で、国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第一条との関係では、少なくとも行為の外形において、内閣総理大臣としての「職務を行うについて」なされたものと認められるとした上で、憲法第二十条第三項の禁ずる宗教的活動に当たる旨が述べられたものと承知しているが、政府としては、お尋ねの訴訟において、小泉内閣総理大臣の靖国神社への各参拝は、私人としての立場で行われたものであると主張しており、その主張が認められなかったことについては、誠に遺憾である。なお、小泉内閣総理大臣の靖国神社への参拝に関する訴訟は、他の裁判所でも審理されており、引き続き、それぞれの訴訟の中で、国の主張が認められるよう、適切に対応してまいりたい。
四から六までについて
本年十月十七日(現地時間。以下同じ。)午前、在中華人民共和国日本国大使館(以下「在中国日本国大使館」という。)は、そのホームページ上に「お知らせ」を掲載し、中華人民共和国(以下「中国」という。)の在留邦人に対し注意を呼び掛けた。また、同日午後、在大韓民国日本国大使館(以下「在韓国日本国大使館」という。)は、そのホームページ上に「お知らせ」を掲載し、大韓民国(以下「韓国」という。)の在留邦人に対し注意を呼び掛けた。
今次の「お知らせ」は、韓国にあっては、同日正午及び午後一時の二度にわたり、在韓国日本国大使館前において、抗議行動が行われたことを踏まえ、また、中国にあっては、御指摘の小泉内閣総理大臣の靖国神社参拝後に、批判的な報道が行われたことを踏まえ、万が一、不測の事態に発展する場合に備え、念のため、在留邦人等がかかる事態に巻き込まれないよう、それぞれの日本国大使館の個別の判断で発出したものである。
また、同日午後四時半ごろ、在中国日本国大使館前において、抗議行動が行われたことをも踏まえ、旅行者等の短期渡航者の安全対策をも促すため、外務本省においても、中国及び韓国について「スポット情報」を海外安全ホームページ上に掲載した。
一般に、外務本省及び我が国の在外公館が在留邦人等に対して行う注意喚起は、時々の相手国の政情や二国間関係の動きに合わせて生ずる、又は生じ得る不測の事態に対し、在留邦人等の安全対策に関してこまやかに注意を喚起するため発出しているものである。
七及び八について
小泉内閣総理大臣は、靖国神社が発行する「やすくに大百科~私たちの靖國神社~」と題するパンフレットに、いわゆるA級戦犯に限られない記述として、御指摘のような記載があることは認識しているが、明治維新以来の我が国の歴史において、心ならずも国のために命を捧げた方々全体を追悼し、敬意と感謝の念を捧げるとともに、二度と戦争を繰り返してはならないとの気持ちから靖国神社に参拝しているものと承知しており、このような小泉内閣総理大臣の参拝は、御指摘の靖国神社の主張とは無関係であると考える。
九について
政府としては、小泉内閣総理大臣は、一人の国民として靖国神社に参拝したものであると理解している。このような参拝の適否については、政府として立ち入るべきものではないと考える。