内閣衆質164第189号
2006年4月7日
内閣総理大臣 小泉 純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員 辻元清美君提出
一、 三及び四について
お尋ねの点については、日本原燃株式会社再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理工場」という。)において回収されるプルトニウムの量が、六ヶ所再処理工場で再処理される燃料集合体の種類等により大きく異なるものとなることから、お答えすることは困難である。
なお、日本原燃株式会社が核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号。以下「原子炉等規正法」という。)第46条の4の規定により、平成18年3月31日付で経済産業大臣に届け出ている使用計画によれば、平成20年度までに六ヶ所再処理工場で生産されるプルトニウム製品量は、ウラン・プルトニウム混合酸化物(以下「MOX」という。)製品の金属ウラン及び金属プルトニウムの合計質量換算で、17,536キログラムである。
二、 について
非核分裂性プルトニウム(核分裂性プルトニウム(プルトニウム239及びプルトニウム241をいう。以下同じ。)以外のプルトニウムの同位元素をいう。)は、軽水炉においては核分裂しにくいが、高速増殖炉などにおいて高速中性子の吸収がある場合には、核分裂性プルトニウムに比べれば核分裂しにくいものの、核分裂するものであり、ご指摘のような考え方はとっていない。なお、我が国は、プルトニウム保有量を国際原子力機関(以下「IAEA」という。)に報告し、かつ、これを公表しているが、透明性の向上の観点から、プルトニウム保有量のうちの核分裂性プルトニウムの数量を併せて公表している。
五及び六について
利用目的のないプルトニウムを持たないという原則を堅持すれば、我が国が保有するプルトニウムがご指摘の「余剰プルトニウム」となることはないものと考えている。
七について
MOXに含まれるプルトニウムのみを核爆弾装置の金属構成要素に転換することは、MOXからウランを除去してプルトニウムのみを取り出す工程が必要となることから、酸化プルトニウムを核爆発装置の金属構成要素に転換する場合に比べ、より困難である。
また、ご指摘の「IAEA保障措置用語集(2001年版)」の「核爆発装置の金属構成要素に転換するのに必要な時間(転換時間)の推定を示す表」においても、ご指摘の「1~3週間」との記述については「純粋のプルトニウムやウランの化合物はこの範囲の最短に、混合物やスクラップは最長に位置する傾向がある」と注記され、ご指摘の「核爆発装置の金属構成要素に転換するのに必要な時間(転換時間)」については「転換時間には、転用物質を転換施設に輸送する時間、又はその装置の組立に要する時間、あるいはその後に要するいかなる時間も含まれていない」と定義されていること、昭和52年から昭和55年にかけて多くの国や国際機関から多くの専門家が出席して行われた「国際核燃料サイクル評価」の報告書においては、MOXの形態でのプルトニウムの輸送は優位性がある旨及びMOXを製造する技術である混合転換は核拡散のリスクを低減させる旨が記述されていることなどから、MOXは酸化プルトニウムに比べ、テロリストによる盗取に対する懸念が小さいとの国際的な評価があると認識している。
八について
六ヶ所再処理工場においては、原子炉等規正法第48条第2項に基づく防護措置として、人の侵入を確認することができる装置、見張人による巡視等の措置が講じられている。
九について
再処理事業者については、原子炉等規正法第48条第2項及び使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和46年総理府令第10号)第16条の3第2項の規定に基づき、防護措置として必要な訓練を行うことが義務付けられているが、その具体的な内容を明らかにすることは核物質の防護上支障が生じる恐れがあることから、お答えを差し控えたい。
一〇について
我が国は、非核三原則を堅持し、核不拡散の観点から、厳格な核物質防護及び輸出管理にかかる規制を行うとともに、核兵器の不拡散に関する条約(昭和51年条約第6号)に基づくIAEAによる保障措置及び国内保障措置の厳格な適用を確保しており、平成16年1月までに我が国政府とIAEAとの間で行われた協議の結果、六ヶ所再処理工場についても、原子力の平和利用を担保するためのIAEAによる保障措置の実施の詳細が確認された。また、本年2月にアメリカ合衆国政府が発表した「国際原子力エネルギー・パートナーシップ」(以下「GNEP」という。)は、原子力発電の世界的な拡大を許容しつつ核不拡散を確保するものである。したがって、核不拡散を確保しつつ行われる六ヶ所再処理工場の運転とGNEPは矛盾するものではない。なお、アメリカ合衆国政府からは、GNEPは原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(昭和63年条約第5号)に基づく六ヶ所再処理工場における再処理に関する両当事国政府の合意に影響を及ぼすものではないとの説明を受けている。
2006年4月7日
内閣総理大臣 小泉 純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員 辻元清美君提出
一、 三及び四について
お尋ねの点については、日本原燃株式会社再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理工場」という。)において回収されるプルトニウムの量が、六ヶ所再処理工場で再処理される燃料集合体の種類等により大きく異なるものとなることから、お答えすることは困難である。
なお、日本原燃株式会社が核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号。以下「原子炉等規正法」という。)第46条の4の規定により、平成18年3月31日付で経済産業大臣に届け出ている使用計画によれば、平成20年度までに六ヶ所再処理工場で生産されるプルトニウム製品量は、ウラン・プルトニウム混合酸化物(以下「MOX」という。)製品の金属ウラン及び金属プルトニウムの合計質量換算で、17,536キログラムである。
二、 について
非核分裂性プルトニウム(核分裂性プルトニウム(プルトニウム239及びプルトニウム241をいう。以下同じ。)以外のプルトニウムの同位元素をいう。)は、軽水炉においては核分裂しにくいが、高速増殖炉などにおいて高速中性子の吸収がある場合には、核分裂性プルトニウムに比べれば核分裂しにくいものの、核分裂するものであり、ご指摘のような考え方はとっていない。なお、我が国は、プルトニウム保有量を国際原子力機関(以下「IAEA」という。)に報告し、かつ、これを公表しているが、透明性の向上の観点から、プルトニウム保有量のうちの核分裂性プルトニウムの数量を併せて公表している。
五及び六について
利用目的のないプルトニウムを持たないという原則を堅持すれば、我が国が保有するプルトニウムがご指摘の「余剰プルトニウム」となることはないものと考えている。
七について
MOXに含まれるプルトニウムのみを核爆弾装置の金属構成要素に転換することは、MOXからウランを除去してプルトニウムのみを取り出す工程が必要となることから、酸化プルトニウムを核爆発装置の金属構成要素に転換する場合に比べ、より困難である。
また、ご指摘の「IAEA保障措置用語集(2001年版)」の「核爆発装置の金属構成要素に転換するのに必要な時間(転換時間)の推定を示す表」においても、ご指摘の「1~3週間」との記述については「純粋のプルトニウムやウランの化合物はこの範囲の最短に、混合物やスクラップは最長に位置する傾向がある」と注記され、ご指摘の「核爆発装置の金属構成要素に転換するのに必要な時間(転換時間)」については「転換時間には、転用物質を転換施設に輸送する時間、又はその装置の組立に要する時間、あるいはその後に要するいかなる時間も含まれていない」と定義されていること、昭和52年から昭和55年にかけて多くの国や国際機関から多くの専門家が出席して行われた「国際核燃料サイクル評価」の報告書においては、MOXの形態でのプルトニウムの輸送は優位性がある旨及びMOXを製造する技術である混合転換は核拡散のリスクを低減させる旨が記述されていることなどから、MOXは酸化プルトニウムに比べ、テロリストによる盗取に対する懸念が小さいとの国際的な評価があると認識している。
八について
六ヶ所再処理工場においては、原子炉等規正法第48条第2項に基づく防護措置として、人の侵入を確認することができる装置、見張人による巡視等の措置が講じられている。
九について
再処理事業者については、原子炉等規正法第48条第2項及び使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和46年総理府令第10号)第16条の3第2項の規定に基づき、防護措置として必要な訓練を行うことが義務付けられているが、その具体的な内容を明らかにすることは核物質の防護上支障が生じる恐れがあることから、お答えを差し控えたい。
一〇について
我が国は、非核三原則を堅持し、核不拡散の観点から、厳格な核物質防護及び輸出管理にかかる規制を行うとともに、核兵器の不拡散に関する条約(昭和51年条約第6号)に基づくIAEAによる保障措置及び国内保障措置の厳格な適用を確保しており、平成16年1月までに我が国政府とIAEAとの間で行われた協議の結果、六ヶ所再処理工場についても、原子力の平和利用を担保するためのIAEAによる保障措置の実施の詳細が確認された。また、本年2月にアメリカ合衆国政府が発表した「国際原子力エネルギー・パートナーシップ」(以下「GNEP」という。)は、原子力発電の世界的な拡大を許容しつつ核不拡散を確保するものである。したがって、核不拡散を確保しつつ行われる六ヶ所再処理工場の運転とGNEPは矛盾するものではない。なお、アメリカ合衆国政府からは、GNEPは原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(昭和63年条約第5号)に基づく六ヶ所再処理工場における再処理に関する両当事国政府の合意に影響を及ぼすものではないとの説明を受けている。