日本のクラスター爆弾による日本の住民の被害に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
平成一九年六月四日
提出者 辻元清美
衆議院議長 河野洋平殿
航空自衛隊の田母神俊雄航空幕僚長は五月二五日の記者会見で、航空自衛隊がクラスター爆弾を保有する必要性について聞かれ、「クラスター爆弾で被害を受けるのは日本国民」、「日本は海岸線が長く、国を守れなくなる可能性が高いときにやむを得ず使うもの。不発弾による被害も出るが、占領されることの被害の方が何百倍も何万倍も大きい」(一)と説明した。
また久間防衛大臣も同日の閣議後会見で、「攻撃されて蹂躙されるか、守り抜いた後で不発弾処理をした方がいいか。今の技術レベルだと、私は後者だと思う」(二)、「日本は(国を)守るときにそれに代わるいい武器がない」「問題になっているのは攻撃側が使っているからだ。(日本が)攻撃用に使うことは百%ない」(三)と発言した。
右記の発言について、「軍の論理より民間人への犠牲を最大に配慮すべきだ」(エルトン上院議員、イギリス)「日本を占領できるほど軍事力を持つ敵だったら、クラスター爆弾程度で撃退できるわけがない」(トーマス=ナッシュ氏、NGO「クラスター爆弾連合」コーディネーター)など、各国からさまざまな疑問が呈されている。
一方、五月二五日クラスター爆弾禁止リマ会議では、日本は「同盟国との作戦における相互運用性に与える影響を考慮すべきだ」と主張した。
日本政府の慎重姿勢は「(米国など)ここにきていない国に合わせている」と、NGO等から批判の対象になっている。また、日本の保有する旧型のクラスター爆弾は不発率が高く、民間人の犠牲を伴うとして国際的な批判を浴びている。もしも日本の国土防衛戦略が、日本の武器による日本の住民の犠牲を前提に構築されているとしたら、まず国民に対し十分な説明が必要と考える。
従って、以下、質問する。
一 《(一)の発言》について
クラスター爆弾不使用時の被害は、使用時に比べ「何百倍も何万倍も大きい」という根拠を明らかにされるべきと考える。
1 政府は、ここで想定している《他国の攻撃を受けたときに我が国が被る被害》は、クラスター爆弾を使用した場合、どれほどになると試算しているか。人的被害(死傷者数)および被害総額についてそれぞれ示されたい。また、人的被害における日本の住民の割合、自衛隊員の割合についても明らかにされたい。また、それらの積算根拠についても明らかにされたい。
2 政府は、ここで想定している《他国の攻撃を受けたときに我が国が被る被害》は、クラスター爆弾を使用しなかった場合、どれほどになると試算しているか。人的被害(死傷者数)および被害総額についてそれぞれ示されたい。また、人的被害における日本の住民の割合、自衛隊員の割合についても明らかにされたい。また、それらの積算根拠についても明らかにされたい。
二 《(二)の発言》について
「技術レベル」とは何を指すのか。
三 《(三)の発言》について
1 久間防衛大臣のこれらの発言は、クラスター爆弾の不発弾により日本の住民の死傷者が出ることを想定した上でのものか。
2 日本の住民の犠牲者を前提にしなければ防げない敵国の上陸作戦とは、どのようなものを想定しているのか。どこの国の、どのような戦力による、どのような作戦行動であるかを示されたい。
3 日本政府は、クラスター爆弾の使用により日本の住民の死傷者が出ることを、国民に説明し了承を得た事実はあるか。
4 クラスター爆弾を攻撃用に使う場合と、防御用に使う場合では、具体的な使用方法についてどのような違いがあると、政府は想定しているか。その根拠についても示されたい。
右質問する。