つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」の改正等に関する質問主意書

2007.9.27

質問主意書

平成一九年九月二十七日
質問第六三号
衆議院議長 河野洋平 殿
「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」の改正等に関する質問主意書
提出者  辻元清美
 第百四十六回国会において「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(以下、「最終処分法」という)及び「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(以下、「原子炉等規制法」という)の改正案が成立したが、十分な質疑がなされたとは言えず、多くの疑問点を残している。また、特定放射性廃棄物の処分地選定についてこれまでも質問してきたが、なお明らかにされるべき点がある。
よって以下質問する。
一、原子炉等規制法第五十一条の二に加えられた「第一種廃棄物埋設」の定義中に「人の健康に重大な影響を及ぼすおそれがあるもの」との説明が、また、最終処分法第二条に加えられた「第二種特定放射性廃棄物」の定義中に「長期間にわたり環境に影響を及ぼすおそれがあるもの」との説明がある。これらの説明は、高レベル放射性廃棄物及びTRU(長半減期低発熱放射性)等廃棄物の特徴を説明したものと考えられるが、必ずしも明快とはいえない。それぞれの説明の趣旨はどのようなものなのか。
二、最終処分法の改正により「第二種特定放射性廃棄物」(TRU等廃棄物)を「第一種特定放射性廃棄物」(高レベル放射性廃棄物)と併置処分することが可能となったが、「第二種特定放射性廃棄物」については固化方法やパッケージなど未だ不確定な点が多い。そうした点の確定を待たずに法改正を行ったことは性急にすぎると考えられるが、政府の見解はいかがか。
三、上記両者の併置処分が相互に与える影響については、原子力委員会がまとめた「長半減期低発熱性放射性廃棄物処分技術検討会報告書」(二〇〇六年四月)においても、なお検討評価すべき点の多いことが指摘されている。それらの検討評価を待たずに法改正を行ったことは性急にすぎると考えられるが、政府の見解はいかがか。
四、最終処分法第二条の「代替取得」の定義の中に「特定加工」の語がある。代替される側のTRU等廃棄物としてMOX(混合酸化物)燃料加工の廃棄物もあるかのように読めるが、そうなのか。そうであるとすれば、これは従来の説明にはなかったことではないか。
五、代替取得について日本側は「オプション料」として約六百五十億円を支払うとされているが、この「オプション料」とはいかなる性格のものか。支払うことの正当性に疑問がある。その点で政府の見解を問う。
六、最終処分法第五十六条第二項に定められた原子力発電環境整備機構の「受託業務」で同機構が受託処分できるものとは、具体的に何を指すのか。改正前の定義との違いは何か。
七、高知県東洋町において最終処分場候補地調査の応募撤回に至った結果を理解活動の不足ととらえ、強化策を図ると伝えられるが、公募開始以来、資源エネルギー庁及び原子力発電環境整備機構はそれぞれ理解活動にどれほどの金額を使ってきたのか。シンポジウム・フォーラム等の開催、各種説明会、施設見学会、テレビ等広報番組、テレビ等コマーシャル、新聞広告、座談会等新聞企画、雑誌広告、ポスターの製作・掲示、パンフレット等の制作・配布、その他の各項目について明らかにされたい。
八、理解活動の不足とは、上記金額では不足だったということか。見解を示されたい。
九、二月二十七日に開かれた東洋町議会特別委員会で資源エネルギー庁放射性廃棄物対策室の吉野恭司室長(当時)は「事業内容を十分に検討せずに(最終処分場候補地調査への)応募書を提出してきたケースは複数あった」と説明しているとの報道があった。これは事実か。複数とは具体的に何件か。それらに対して原子力発電環境整備機構は具体的にどのように対応したと報告を受けているか。
十、文献調査に対する交付金は、今年度予算では何件分、いくらを見込んでいるか。使われなかった予算は、次年度に繰り越されるのか。
十一、原子力発電環境整備機構の今年度予算では、文献調査の費用として何件分、いくらを見込んでいるか。文献調査、概要調査には、それぞれおよそ一件あたりいくらくらいの経費が見込まれているのか。
十二、二月二十五日付朝日新聞のインタビュー記事で望月晴文資源エネルギー庁長官は「予備的な調査とはいえ、受け入れた自治体には国のエネルギー供給の問題を国民を代表して考えてもらうことになる。自治体を二分するような議論も起きうるわけで、相当大きな重荷を背負っていただく。その見返りに交付金を出すのは合理的だ」と答えたとされている。また、三月八日の参議院予算委員会で答弁に立った甘利明経済産業大臣は、「言わば迷惑施設を受け入れる政治的リスクも当然あると思います。それを乗り越えて、勇気を持ってやって手を挙げていただいたということについて国ができるだけのことをするということだと思います」と述べた。これらの説明は、発電用施設周辺地域整備法が目的としてうたう「地域住民の福祉の向上を図り、もって発電用施設の設置の円滑化に資すること」と趣旨が違うのではないか。
十三、九月十二日に総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会放射性廃棄物小委員会がまとめた「報告書中間取りまとめ(案)」では、「国が文献調査の実施の申し入れを行うことを可能にし」とある。しかし、処分事業は、原子力発電事業者が原子力発電環境整備機構に処分を委託することで行われる。処分の委託者でも受託者でもなく、むしろ規制監督者である国が申し入れを行うことがありうるのか。ありうるとするなら、その法的根拠を問う。
 右質問する。