内閣衆質一六九第一九二号
平成二十年三月二十八日
内閣総理大臣 福田康夫
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員辻元清美君提出
イージス艦とミサイル防衛の機密保護および日米の情報連携に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員辻元清美君提出イージス艦とミサイル防衛の機密保護および日米の情報連携に関する質問に対する答弁書
一の1について
護衛艦「あたご」は、米国ハワイ州の近傍の海域で実施したイージス装置及びこれに関連する装置の装備認定試験等の結果についての審査を横須賀に所在する海上自衛隊誘導武器教育訓練隊で行うため、横須賀に寄港する予定であったものである。
一の2について
護衛艦「あたご」は、防衛大臣が発した「護衛艦「あたご」のアメリカ合衆国派遣に関する海上自衛隊一般命令」により、平成十九年十月二十五日から平成二十年二月十九日までの間、イージス装置及びこれに関連する装置の装備認定試験等を実施するため、米国に派遣されていたものである。
一の3について
護衛艦「あたご」は、一の2についてで述べた海上自衛隊一般命令により行動中であった。
一の4について
お尋ねの「同じ海域」の意味が必ずしも明らかではないが、事故発生時、護衛艦「あたご」は、単独で航行していたところである。
一の5について
ご指摘のような護衛艦「あたご」の日程の詳細について米国政府が承知していたかについては、我が国政府としてお答えする立場にない。
二の1から3までについて
米国政府が御指摘の事故について最初に知った時期については、我が国政府としてお答えする立場にない。
また、お尋ねの「問い合わせ」、「連絡」及び「要請」が具体的にいかなるものを指しているのか必ずしも明らかではないが、御指摘の事故の内容についての通報や照会等を目的として我が国政府と米国政府との間で連絡が行われたことはない。
二の4について
米国政府が御指摘の事故に関する見解を公表したという事実は承知していない。
三の1及び2について
お尋ねの「報告義務」や「機密情報の保持」が具体的にいかなるものを指すのか明らかではないが、イージス武器システムに関しては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定(昭和二十九年条約第六号)に従って平成二年に防衛庁(当時)と米国国防省との間で作成されたイージス武器システムに関する了解覚書において、イージス武器システムに係る情報保全等について規定されている。
三の3及び4について
お尋ねの「報告義務」や「機密情報の保持」が具体的にいかなるものを指すのか明らかではないが、ミサイル防衛システムに関しては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定等に従って平成十六年に防衛庁(当時)と米国国防省との間で作成された弾道ミサイル防衛システムに関する了解覚書において、弾道ミサイル防衛システムに係る情報保全等について規定されている。
三の5について
お尋ねの「報告義務や機密情報の保持について、日本政府と米側の間で何らかのやりとりがあった場合」がいかなるものを指すのか明らかではないが、一般に、防衛省と米国国防省との間で、三の1及び2について及び三の3及び4についてで述べた了解覚書のような文書の作成に関するやり取りを行う場合には、必要に応じ、防衛大臣(平成十九年一月九日より前は防衛庁長官)が把握し、指示を行っている。なお、三の1及び2について及び三の3及び4についてで述べた了解覚書の作成に関するやり取りの逐一については、石破防衛大臣は作成時の防衛庁長官ではないため、承知していない。
三の6について
平成八年度から、毎年度数回程度、米国海軍の要員を海上自衛隊のイージス艦に乗艦させ、イージスシステムに関する訓練の支援を受けているが、自衛隊のイージス艦及び弾道ミサイル防衛システムの運用に当たり、米側の要員が自衛隊の任務を担ったことはない。
三の7について
御指摘の事故の発生時、護衛艦「あたご」に自衛隊員以外の者は乗艦していなかった。
三の8について
自衛隊の保有するイージス艦においては、搭載する各種センサーにより得られる情報を統合し、各級司令部並びに艦艇及び航空機との情報交換を実施するとともに、各種武器を管制する区画が存在する。
当該区画においては、一般に、特別防衛秘密に属する物件を取り扱うことから、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法施行例(昭和二十九年政令第百四十九号)第五条並びに特別防衛秘密の保護に関する訓令(平成十九年防衛省訓令第三十八号)第十条及び第十一条の規定に基づき、当該イージス艦が所属する護衛隊群指令により、許可なく立入ることが制限されている。
四の1、2及び5について
お尋ねの「問い合わせ」、「連絡」及び「要請」が具体的にいかなるものを指しているのか必ずしも明らかではないが、横須賀海上保安部による護衛艦「あたご」に関する所要の捜査についての通報や照会等を目的として、我が国政府と米国政府との間で連絡が行われたことはない。
四の3及び4について
海上保安庁においては、御指摘の事故について、所要の捜査を進めているところであるが、お尋ねについては、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄であるので、お答えを差し控えたい。
四の6について
防衛省として現時点で把握している限りでは、次のとおりである。
平成二十年二月十九日午前九時過ぎ、護衛艦「あたご」の航海長が、事故の状況について防衛省において説明を行うために、ヘリコプターで護衛艦「あたご」を発艦した。航海長は、説明のためのメモ等を携行した。
また、平成二十年二月十九日午前九時三十分ごろ、けがをした護衛艦「あたご」の乗員一名が、自衛隊横須賀病院で治療を行うためにヘリコプターで護衛艦「あたご」を発艦した。この乗員は、衣服、洗面用具等入院に必要な品を含む身の回りの品を携行した。
五の1について
中国海軍艦艇の訪日の際の視察先について、米側から抗議や要望があったとの事実はない。
五の2について
御指摘の「約定・申し合わせ」がいかなるものを指しているのか明らかではないが、例えば、平成十九年五月の日米安全保障協議委員会の際に発表された「同盟の変革:日米の安全保障及び防衛協力の進展」において、防衛の分野を含むオーストラリアとの協力強化について言及されている。
五の3について
我が国と外国との防衛交流について、防衛大臣会談等の重要な案件が行われた際に、米国政府を含む各国政府から我が国政府に対して、その結果等の事実関係の問い合わせがなされることはあるが、その具体的内容については、各国政府との関係もあり、お答えを差し控えたい。
平成二十年三月二十八日
内閣総理大臣 福田康夫
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員辻元清美君提出
イージス艦とミサイル防衛の機密保護および日米の情報連携に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員辻元清美君提出イージス艦とミサイル防衛の機密保護および日米の情報連携に関する質問に対する答弁書
一の1について
護衛艦「あたご」は、米国ハワイ州の近傍の海域で実施したイージス装置及びこれに関連する装置の装備認定試験等の結果についての審査を横須賀に所在する海上自衛隊誘導武器教育訓練隊で行うため、横須賀に寄港する予定であったものである。
一の2について
護衛艦「あたご」は、防衛大臣が発した「護衛艦「あたご」のアメリカ合衆国派遣に関する海上自衛隊一般命令」により、平成十九年十月二十五日から平成二十年二月十九日までの間、イージス装置及びこれに関連する装置の装備認定試験等を実施するため、米国に派遣されていたものである。
一の3について
護衛艦「あたご」は、一の2についてで述べた海上自衛隊一般命令により行動中であった。
一の4について
お尋ねの「同じ海域」の意味が必ずしも明らかではないが、事故発生時、護衛艦「あたご」は、単独で航行していたところである。
一の5について
ご指摘のような護衛艦「あたご」の日程の詳細について米国政府が承知していたかについては、我が国政府としてお答えする立場にない。
二の1から3までについて
米国政府が御指摘の事故について最初に知った時期については、我が国政府としてお答えする立場にない。
また、お尋ねの「問い合わせ」、「連絡」及び「要請」が具体的にいかなるものを指しているのか必ずしも明らかではないが、御指摘の事故の内容についての通報や照会等を目的として我が国政府と米国政府との間で連絡が行われたことはない。
二の4について
米国政府が御指摘の事故に関する見解を公表したという事実は承知していない。
三の1及び2について
お尋ねの「報告義務」や「機密情報の保持」が具体的にいかなるものを指すのか明らかではないが、イージス武器システムに関しては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定(昭和二十九年条約第六号)に従って平成二年に防衛庁(当時)と米国国防省との間で作成されたイージス武器システムに関する了解覚書において、イージス武器システムに係る情報保全等について規定されている。
三の3及び4について
お尋ねの「報告義務」や「機密情報の保持」が具体的にいかなるものを指すのか明らかではないが、ミサイル防衛システムに関しては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定等に従って平成十六年に防衛庁(当時)と米国国防省との間で作成された弾道ミサイル防衛システムに関する了解覚書において、弾道ミサイル防衛システムに係る情報保全等について規定されている。
三の5について
お尋ねの「報告義務や機密情報の保持について、日本政府と米側の間で何らかのやりとりがあった場合」がいかなるものを指すのか明らかではないが、一般に、防衛省と米国国防省との間で、三の1及び2について及び三の3及び4についてで述べた了解覚書のような文書の作成に関するやり取りを行う場合には、必要に応じ、防衛大臣(平成十九年一月九日より前は防衛庁長官)が把握し、指示を行っている。なお、三の1及び2について及び三の3及び4についてで述べた了解覚書の作成に関するやり取りの逐一については、石破防衛大臣は作成時の防衛庁長官ではないため、承知していない。
三の6について
平成八年度から、毎年度数回程度、米国海軍の要員を海上自衛隊のイージス艦に乗艦させ、イージスシステムに関する訓練の支援を受けているが、自衛隊のイージス艦及び弾道ミサイル防衛システムの運用に当たり、米側の要員が自衛隊の任務を担ったことはない。
三の7について
御指摘の事故の発生時、護衛艦「あたご」に自衛隊員以外の者は乗艦していなかった。
三の8について
自衛隊の保有するイージス艦においては、搭載する各種センサーにより得られる情報を統合し、各級司令部並びに艦艇及び航空機との情報交換を実施するとともに、各種武器を管制する区画が存在する。
当該区画においては、一般に、特別防衛秘密に属する物件を取り扱うことから、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法施行例(昭和二十九年政令第百四十九号)第五条並びに特別防衛秘密の保護に関する訓令(平成十九年防衛省訓令第三十八号)第十条及び第十一条の規定に基づき、当該イージス艦が所属する護衛隊群指令により、許可なく立入ることが制限されている。
四の1、2及び5について
お尋ねの「問い合わせ」、「連絡」及び「要請」が具体的にいかなるものを指しているのか必ずしも明らかではないが、横須賀海上保安部による護衛艦「あたご」に関する所要の捜査についての通報や照会等を目的として、我が国政府と米国政府との間で連絡が行われたことはない。
四の3及び4について
海上保安庁においては、御指摘の事故について、所要の捜査を進めているところであるが、お尋ねについては、個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄であるので、お答えを差し控えたい。
四の6について
防衛省として現時点で把握している限りでは、次のとおりである。
平成二十年二月十九日午前九時過ぎ、護衛艦「あたご」の航海長が、事故の状況について防衛省において説明を行うために、ヘリコプターで護衛艦「あたご」を発艦した。航海長は、説明のためのメモ等を携行した。
また、平成二十年二月十九日午前九時三十分ごろ、けがをした護衛艦「あたご」の乗員一名が、自衛隊横須賀病院で治療を行うためにヘリコプターで護衛艦「あたご」を発艦した。この乗員は、衣服、洗面用具等入院に必要な品を含む身の回りの品を携行した。
五の1について
中国海軍艦艇の訪日の際の視察先について、米側から抗議や要望があったとの事実はない。
五の2について
御指摘の「約定・申し合わせ」がいかなるものを指しているのか明らかではないが、例えば、平成十九年五月の日米安全保障協議委員会の際に発表された「同盟の変革:日米の安全保障及び防衛協力の進展」において、防衛の分野を含むオーストラリアとの協力強化について言及されている。
五の3について
我が国と外国との防衛交流について、防衛大臣会談等の重要な案件が行われた際に、米国政府を含む各国政府から我が国政府に対して、その結果等の事実関係の問い合わせがなされることはあるが、その具体的内容については、各国政府との関係もあり、お答えを差し控えたい。