航空幕僚長の「そんなの関係ねえ」発言と官房長官の「戦闘地域で民間航空機が飛ぶはずがない」発言に関する質問に対する答弁書
2008.4.22
内閣衆質一六九第三一九号
平成二十年四月三十日
内閣総理大臣 福田康夫
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員辻元清美君提出
航空幕僚長の「そんなの関係ねえ」発言と官房長官の「戦闘地域で民間航空機が飛ぶはずがない」発言に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員辻元清美君提出航空幕僚長の「そんなの関係ねえ」発言と官房長官の「戦闘地域で民間航空機が飛ぶはずがない」発言に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の名古屋高等裁判所の判決(以下「本件判決」という。)は、控訴人らから被控訴人である国に対する自衛隊のイラク派遣等の違憲確認請求及び差止請求について不適法なものであるとして却下し、損害賠償請求について棄却した第一審判決に対する控訴を棄却する旨の国側勝訴の判決であり、本件判決の御指摘の部分は、判決の結論を導くのに必要のない傍論にすぎず、政府としてこれに従う、従わないという問題は生じないと考える。
政府としては、航空自衛隊のイラクでの活動は、憲法の範囲内でイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)に基づき適法に行われているものと認識している。
田母神航空幕僚長は、政府と同様のこのような認識に立った上で、平成二十年四月十八日の記者会見において、部隊からの報告を踏まえ、本件判決後のイラク復興支援派遣輸送航空隊の雰囲気について、必ずしも正確な表現ではないが、自らの言葉で御指摘のような発言をしたものと承知している。
また、防衛行政については、シビリアン・コントロールの下、法令に基づき、適切に行われている。
二の1について
平成二十年四月二十一日現在、バグダッド飛行場においては、イラクの国内線についてはイラク航空のエルビル、スレイマニヤ及びバスラとの間を結ぶ便が週七日、また国際線についてはイラク航空のアンマン、ダマスカス、テヘラン、ドバイ、カイロ及びベイルートの間を結ぶ便がそれぞれ週二日から七日、またロイヤル・ヨルダン航空のアンマンとの間を結ぶ便が週七日、離発着していると承知している。
二の2及び3について
お尋ねの「非戦闘地域」とは、イラク特措法第二条第三項における、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域をいうと考えられるが、政府としては、対応措置(同条第一項に規定する対応措置をいう。以下同じ。)を実施しているバグダッド飛行場においては、これまでに我が国が独自に収集した情報、諸外国等から得た情報等を総合的に判断し、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当すると考えている。
その上で申し上げれば、仮に戦闘行為が行われているような地域であり危険な飛行場であれば、民間航空機が多数航行するような状況は一般的には想定し難いと思われ、内閣官房長官はこうした趣旨を述べたものである。
二の4について
バグダッド飛行場における民間航空機の運航の詳細については承知していないが、一般的には、砂嵐等の天候不良により離発着を見合わせる場合があると承知している。
二の5について
お尋ねの「戦闘」の意味が必ずしも明らかではなく、お尋ねにお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、我が国がバグダッド飛行場においてイラク特措法に基づく対応措置を開始した以降においては、同飛行場は二の2及び3についてで述べた、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当すると認識している。
二の6について
政府としては、イラク特措法に基づく対応措置を実施しない地域について、当該地域が二の2及び3についてで述べた、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当するか否かにつき判断を行っておらず、お尋ねにお答えすることは困難である。
平成二十年四月三十日
内閣総理大臣 福田康夫
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員辻元清美君提出
航空幕僚長の「そんなの関係ねえ」発言と官房長官の「戦闘地域で民間航空機が飛ぶはずがない」発言に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員辻元清美君提出航空幕僚長の「そんなの関係ねえ」発言と官房長官の「戦闘地域で民間航空機が飛ぶはずがない」発言に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の名古屋高等裁判所の判決(以下「本件判決」という。)は、控訴人らから被控訴人である国に対する自衛隊のイラク派遣等の違憲確認請求及び差止請求について不適法なものであるとして却下し、損害賠償請求について棄却した第一審判決に対する控訴を棄却する旨の国側勝訴の判決であり、本件判決の御指摘の部分は、判決の結論を導くのに必要のない傍論にすぎず、政府としてこれに従う、従わないという問題は生じないと考える。
政府としては、航空自衛隊のイラクでの活動は、憲法の範囲内でイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)に基づき適法に行われているものと認識している。
田母神航空幕僚長は、政府と同様のこのような認識に立った上で、平成二十年四月十八日の記者会見において、部隊からの報告を踏まえ、本件判決後のイラク復興支援派遣輸送航空隊の雰囲気について、必ずしも正確な表現ではないが、自らの言葉で御指摘のような発言をしたものと承知している。
また、防衛行政については、シビリアン・コントロールの下、法令に基づき、適切に行われている。
二の1について
平成二十年四月二十一日現在、バグダッド飛行場においては、イラクの国内線についてはイラク航空のエルビル、スレイマニヤ及びバスラとの間を結ぶ便が週七日、また国際線についてはイラク航空のアンマン、ダマスカス、テヘラン、ドバイ、カイロ及びベイルートの間を結ぶ便がそれぞれ週二日から七日、またロイヤル・ヨルダン航空のアンマンとの間を結ぶ便が週七日、離発着していると承知している。
二の2及び3について
お尋ねの「非戦闘地域」とは、イラク特措法第二条第三項における、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域をいうと考えられるが、政府としては、対応措置(同条第一項に規定する対応措置をいう。以下同じ。)を実施しているバグダッド飛行場においては、これまでに我が国が独自に収集した情報、諸外国等から得た情報等を総合的に判断し、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当すると考えている。
その上で申し上げれば、仮に戦闘行為が行われているような地域であり危険な飛行場であれば、民間航空機が多数航行するような状況は一般的には想定し難いと思われ、内閣官房長官はこうした趣旨を述べたものである。
二の4について
バグダッド飛行場における民間航空機の運航の詳細については承知していないが、一般的には、砂嵐等の天候不良により離発着を見合わせる場合があると承知している。
二の5について
お尋ねの「戦闘」の意味が必ずしも明らかではなく、お尋ねにお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、我が国がバグダッド飛行場においてイラク特措法に基づく対応措置を開始した以降においては、同飛行場は二の2及び3についてで述べた、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当すると認識している。
二の6について
政府としては、イラク特措法に基づく対応措置を実施しない地域について、当該地域が二の2及び3についてで述べた、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当するか否かにつき判断を行っておらず、お尋ねにお答えすることは困難である。