つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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中国での自衛隊による被災者救援活動に関する質問主意書

2008.5.30

質問主意書

中国での自衛隊による被災者救援活動に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
平成二〇年五月三十日
提出者  辻元清美
衆議院議長  河野洋平殿

中国での自衛隊による被災者救援活動に関する質問主意書
 報道によれば、二〇〇八年五月二八日、日本政府は中国四川省での大地震の被災者支援のために自衛隊機を送る方針を固めたが、翌二九日、中国側がこれに対し慎重な姿勢をみせたため、一転して民間機を使用する方針に転じた。
 当初、町村官房長官は「自衛隊によるものも含めて要請があった」と説明していたが(五月三〇日、asahi.com)、日本国内で「中国が自衛隊機による物資輸送を要請した」との受け止めが広がったことで、中国外務省当局者は「どうしてそういう話になってしまうのか。私たちが期待しているのは援助物資であって自衛隊機派遣ではない」と不快感を表明した(五月二九日、共同通信)。
これまでも国際緊急援助隊派遣法によって自衛隊を派遣してきた経緯はあるが、中国への自衛隊機派遣については、「両国の歴史的関係性を鑑みると慎重を帰するべき」「なぜ自衛隊機の必要があるのか」という指摘もあった。政府は「民間機より自衛隊機の方が、手続きが簡略で実用面から適当だ」と説明していたが、防衛省幹部が「自衛隊派遣を日中関係進展のシンボルにしたい」という考えを示したとの報道もあり(五月二八日、共同通信)、さらなる説明を求める声も多かった。今回のような結果となったことは、日中両国の国民感情の間に大きな齟齬があることを示すだけでなく、両政府間のやりとりが不透明で、両国民に対する説明が不十分であったことに起因すると考える。
また、二〇〇六年一二月、与党政府は十分な議論なしに自衛隊法を改正し国際協力活動を自衛隊の本来業務としたが、近隣諸国の国民感情をふまえた場合必ずしも適切であったかどうか、疑問をなげかける結果となった。
国際緊急援助隊の派遣に関する法律に基づく場合、その「被災国中国側から国際緊急救助隊の派遣の要請があった場合」で「特にその必要があると認めるとき」に自衛隊の派遣を防衛大臣と協議を行う、と規定されている。今後の日中両国の友好のためにも、どのような経緯で、日本政府が自衛隊機の派遣を検討したのか、明らかにする必要がある。
従って、次の事項について質問する。
一 《両政府の協議の経過》について
1 当初、日本政府に対する中国政府からの要請は、どのようなもので、だれに対して行われたのか。テントや毛布の数量など、具体的に示されたい。
2 中国政府からの要請に対し、日本政府は救援物資としてどれだけの物資を提供するのか。具体的に示されたい。
3 町村官房長官は「自衛隊によるものも含めて要請があった」と説明しているが、「自衛隊機による救援物資の移送」は、中国側からの要請だったのか。そうであれば、その要請はいつの時点でだれに対して行われたのか。
4 中国側からの要請でなければ、日本側の提案だったのか。そうであれば、その提案はいつの時点でだれから行われたのか。
5 「自衛隊機による救援物資の移送」について、二八日の時点で日本政府は、どのような必要性があると判断したのか。
6 「自衛隊機の手続き」が「民間機」よりも簡略であるとする根拠は何か。具体的にどのような手続きが必要とされるかを示しながら、説明されたい。
7 「自衛隊機による救援物資の移送」について、日本政府は、どのような理由で見送ったのか。
8 福田総理は、「自衛隊派遣を日中関係進展のシンボルにしたい」という意見と同じ考えか。
二 中国政府は、外国への支援要請を行わず、日本からの緊急援助隊や医療チームの派遣も地震発生から、相当時間が経過してから実現した。それでも、中国国民の感情的な反発が強いと思われる自衛隊機の受け入れが可能と政府が判断したのはどのような理由からか示されたい。
三 今回の被災者支援における自衛隊の活動内容はどのようなものになったと政府は想定していたか伺う。
そのような内容は民間の企業や団体が行うよりも安全かつ機能的であり、経済的であるかどうかだれがどのように検討されたか示されたい。
四 これまで実施された自衛隊の緊急災害支援活動はいずれも陸上自衛隊による救援あるいは医療活動が含まれていたが、中国での被災者支援活動において要請があればこうした陸上での活動を行う可能性はあるのか伺う。
五 航空自衛隊のC一三〇輸送機で物資を運ぶ予定であったが、民間の輸送機よりもC一三〇輸送機がすぐれている点は何か示されたい。
六 自衛隊が現在、保有しているテントの数はいくつか。
七 政府は、ミャンマー国のサイクロンの被災者支援において、同様に自衛隊の緊急援助隊の派遣が必要な状況にあるとみるか伺う。
八 ミャンマー国から同様の支援要請があった場合、自衛隊派遣の可能性を追求するかどうか伺う。また、その理由も示されたい。
九 ミャンマー政府が被災者支援のための物資の搬入に関し、欧米の軍用船や軍用機を利用した支援を拒否していることについて政府はどう考えるか示されたい。
 右質問する。