政府のソマリア沿岸における海賊対策に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
平成二十一年一月二十九日
提出者 辻元清美
衆議院議長 河野洋平殿
政府のソマリア沿岸における海賊対策に関する質問主意書
政府は二〇〇九年一月二七日、ソマリア沿岸における海賊対策のために、海上自衛隊派遣の準備指示を発令することを決めた。自衛隊の海外派遣については「対処療法に過ぎないのでは」などかねてから論議が多く、特に今回の海賊対策を目的とする派遣には疑問が多い。
従って、次の事項について質問する。
一 なぜ、ソマリア沿岸の海賊対策か。
1 ソマリア沿岸(公海を含む、以下同意)の海賊対策を目的とした海上自衛隊派遣は、いつ、誰のどのような要請に基づいて決定されたのか。
2 当該要請について、政府が受諾するに至ると決めた根拠は何か。どのような調査に基づいたものか示されたい。
3 国連の安全保障理事会のソマリアに関する各決議一八一六号、一八三八号、一八四六号、一八五一号に対する安保理での日本政府の発言内容および投票行動を明らかにされたい。
二 海上保安庁ではなく海上自衛隊なのはなぜか。
1 政府は、海上自衛隊の艦船をソマリア沿岸に送ることによって、「海賊」行為に対するどのような成果が得られると予測しているのか示されたい。また、それは海上保安庁が派遣された場合とどのような違いがあると予測しているのか示されたい。
2 政府は、日本が海上自衛隊を派遣した場合と海上保安庁を派遣した場合で国際社会の受け止め方が違ってくると認識しているか、しているとすれば、どのような違いがあると認識しているか示されたい。
3 海上保安庁では対処できない理由として、日本からの距離、海賊が所持する武器、有志連合軍において軍艦が対応していることなどをあげているが、①海上保安庁が最大限対応できる日本からの距離、②海上保安庁が対処できない武器でこれまでにソマリア沿岸の海賊が所有していることが確認された武器、③有志連合軍が軍艦で対応しているために海上保安庁では対応できないとする根拠をそれぞれ具体的に示されたい。
三 ソマリア沿岸の海賊問題の解決策について
1 ソマリア沿岸の海賊問題の根本的な理由を政府はどのように認識しているか示されたい。
2 今回の自衛隊派遣に関連して、①どれくらいの期間で行われるか、②そのための経費の総額はいくらか、また、③なぜ、ソマリア沿岸で海賊行為が近年増加していると考えるか、④自衛隊の派遣が海賊問題の根本的な解決につながると考えているか、それぞれ示されたい。
3 この問題を国際社会が解決するための長期的戦略があれば具体的に示されたい。その場合の日本の役割は何であると考えるか。
右質問する。