厚生年金の給付における世帯類型に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
平成二一年六月一八日
提出者 辻元清美
衆議院議長 河野洋平殿
厚生年金の給付における世帯類型に関する質問主意書
厚生労働省は二〇〇九年五月二六日、世帯の種類別に受給額を試算した結果を社会保障審議会年金部会に示した。その結果、厚生労働省がモデル世帯とする「夫が(厚生年金に)四〇年加入片働き」という世帯以外は、受給額が現役世代の手取り収入の五割を切ることがわかった。
厚生労働省年金局長は「夫が現役時代に主に正社員であった世帯のうち、約六割の世帯が妻が厚生年金に加入しておらず、片働き世帯に分類されると私どもは考えております。約六割でございます。」と、現在の年金受給者におけるモデル世帯の割合は六割という認識を示しているが(二〇〇九年五月二六日、参議院予算委員会)、同時に「労働力調査によりましても、夫が雇用者である世帯のうち、五二・五%、平成十九年の平均でございますが、五二・五%の一千十三万世帯が妻が雇用者ということでございますので、過半が共働き世帯というのが現役世代の傾向になってきております。」とも答弁している。また「社会保障審議会少子化対策特別部会 第一次報告―次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて―」(二〇〇九年二月二四日)において、「労働力調査」の結果をもとに、「従来は、共働き家庭は少なかったが、一九九七年以降、専業主婦世帯数を上回り、その後も増加を続けている」という報告がされている。
モデル世帯が実態に即していないとすれば、年金制度の構造的問題であるとともに、更なる国民不信を招くことになりかねない。
従って、以下、質問する。
一 厚生年金におけるモデル世帯とは何か。
二 厚生労働省がモデル世帯に定めている「夫四〇年加入片働き」の世帯について、下記1~4の条件をすべて満たしている世帯という認識でよいか。1~4以外に「夫四〇年加入片働き」の世帯の定義がある場合は、詳細を示されたい。
1 二〇歳までに結婚している世帯。
2 夫婦が同い年である世帯。
3 四〇年間結婚生活を継続している世帯。
4 夫は四〇年間厚生年金に加入し、妻は四〇年間加入していない世帯。
三 「夫四〇年加入片働き」のモデル世帯について下記について明らかにされたい。
1 現行制度の年金水準は、「夫四〇年加入片働き」をモデル世帯としていることは間違いないか。
2 「夫四〇年加入片働き」がモデル世帯に定められたのはいつか。
3 「夫四〇年加入片働き」をモデル世帯に定めた根拠を示されたい。
4 「夫四〇年加入片働き」がモデル世帯に定められた時点で、「夫四〇年加入片働き」の世帯の、当時の総世帯数における割合は何パーセントだったか。
5 年金局長の発言について、「夫が現役時代に主に正社員であった世帯のうち、約六割の世帯が妻が厚生年金に加入しておらず」という世帯は、必ずしも一の定義と一致しないのではないか。一致するのであれば、モデル世帯が複数存在することになると考えられるがいかがか。
6 政府は、現在は共働き家庭が過半数であり、増え続けているという認識か。
7 政府は、現在も「夫四〇年加入片働き」がモデル世帯として適切と考えるか。
8 モデル世帯を「共働き世帯」に変更すべきと考えるがいかがか。すべきでないとするなら、その根拠を示されたい。
四 二〇〇九年度現在、下記の世帯についての、総世帯数における割合は何パーセントか。調査していないのであれば、していない理由を明らかにされたい。また、早急に調査すべきと考えるがいかがか。
1 「夫四〇年加入片働き」の世帯について。
2 「共働きで、夫婦とも四〇年加入」の世帯について。
3 「共働きで、夫四〇年加入、妻二七年一一月加入」の世帯について。
4 「共働きで、夫四〇年加入、妻七年一月加入」の世帯について。
5 「男性単身者、四〇年加入」の世帯について。
6 「女性単身者、四〇年加入」の世帯について。
五 二〇五〇年度時点での、下記の世帯についての、総世帯数における割合は何パーセントと試算しているか。また、その試算の根拠となる計算方法を示されたい。試算していないのであれば、していない理由を明らかにされたい。また、早急に試算すべきと考えるがいかがか。
1 「夫四〇年加入片働き」の世帯について。
2 「共働きで、夫婦とも四〇年加入」の世帯について。
3 「共働きで、夫四〇年加入、妻二七年一一月加入」の世帯について。
4 「共働きで、夫四〇年加入、妻七年一月加入」の世帯について。
5 「男性単身者、四〇年加入」の世帯について。
6 「女性単身者、四〇年加入」の世帯について。
右質問する。