平成二十六年六月十日受領
答弁第一九二号
内閣衆質一八六第一九二号
平成二十六年六月十日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員辻元清美君提出福島第一原子力発電所における「凍土壁」の解凍要件及び撤退要件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員辻元清美君提出福島第一原子力発電所における「凍土壁」の解凍要件及び撤退要件に関する質問に対する答弁書
一、二、四、八、九及び一一から一三までについて
御指摘の「仮設構造物」の定義が必ずしも明らかではないが、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所(以下「発電所」という。)におけるいわゆる汚染水への対応に関し、凍土方式の陸側遮水壁(以下「凍土壁」という。)については、東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議(当時)(以下「廃炉対策推進会議」という。)の下に設置された汚染水処理対策委員会が平成二十五年五月三十日に取りまとめた「地下水の流入抑制のための対策」(以下「委員会報告書」という。)において、「設置後も長期間にわたって安全面を含め万全な現場体制による維持・管理を続けていくことが必要」としており、政府としては、原子炉建屋等の隙間等を塞ぐこと(以下「建屋の止水」という。)等の凍土壁以外の対策により、原子炉建屋等への地下水の流入(以下「建屋への流入」という。)が防止され、凍土壁が不要であると認められるまでの間、地中の凍結管に冷媒を循環させることにより、凍土壁を維持することとしている。このため、建屋への流入が予想される状況において凍土壁を解凍することは考えておらず、また、土が十分に凍結しない場合や地下水流入が抑制されない場合等、凍土壁の効果が現れないと認められる場合に備え、雨水の浸透を防止するために発電所の敷地内を舗装する等、重層的な対策を講ずることとしているが、必要に応じ、政府の判断において、対策の見直しを検討することとしている。
また、御指摘の「ドライアップ」や建屋の止水は、凍土壁とは別の工程で行うこととしており、「ドライアップ」については、現時点で具体的な予定は決まっておらず、また、建屋の止水については、平成二十六年から七年程度を目安として行うこととしている。
三、五並びに七の1及び5について
建屋の止水については、平成二十五年に入り、廃炉対策推進会議、汚染水処理対策委員会等において検討が行われ、例えば、委員会報告書においては、「貫通部等の止水策は、流入量が多い箇所での止水方法の確立、高線量下での作業員の被ばく対策等、技術的に非常に難易度が高いが、陸側遮水壁の設置、サブドレンによる水位管理等の他の対応策が機能しない場合でも、建屋内への地下水の流入抑制の効果を期待できるものである。したがって、貫通部等の止水策は、対応可能なものから速やかに着手し、他の対応策の実現性が明らかになってくるまで継続的に実施していくべきである。」としている。このように、建屋の止水については、技術的に非常に難易度が高いこと等を踏まえ、所要期間について七年程度を目安としているところ、御指摘の「仮設的な工事」及び「恒久的な工事」の定義が必ずしも明らかではないが、長期間、効果が維持される方法により建屋の止水を行うこととしている。具体的には、人による作業が可能な箇所については、既に、防水材や止水パネル等を用いた建屋の止水に着手しており、また、高線量等のため人による作業が困難な箇所については、現在、ロボットによる除染を進めているところであり、今後、線量が下がらない場合に備え、例えば、ロボットによる遠隔作業に係る研究開発を経済産業省の補助事業により行うこととしている。
六について
御指摘のような事実はない。
七の2から4までについて
原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋、廃棄物処理建屋及びタービン建屋のいずれについても、内部の正確な状況は把握できていない。その上で、原子炉格納容器から水漏れが続いていることについては把握しているが、更に原子炉建屋等から外部に水が漏れることがないよう、原子炉建屋等における水位が周辺の地下水の水位よりも低くなるよう管理を行っているところである。
一〇について
お尋ねの「建屋の止水」が完了したとは、御指摘の「格納容器の補修が完了し、建屋内の汚染水が完全に取り除かれ、建屋内の除染が完了した」状態と同じことを指すものではない。
答弁第一九二号
内閣衆質一八六第一九二号
平成二十六年六月十日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員辻元清美君提出福島第一原子力発電所における「凍土壁」の解凍要件及び撤退要件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員辻元清美君提出福島第一原子力発電所における「凍土壁」の解凍要件及び撤退要件に関する質問に対する答弁書
一、二、四、八、九及び一一から一三までについて
御指摘の「仮設構造物」の定義が必ずしも明らかではないが、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所(以下「発電所」という。)におけるいわゆる汚染水への対応に関し、凍土方式の陸側遮水壁(以下「凍土壁」という。)については、東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議(当時)(以下「廃炉対策推進会議」という。)の下に設置された汚染水処理対策委員会が平成二十五年五月三十日に取りまとめた「地下水の流入抑制のための対策」(以下「委員会報告書」という。)において、「設置後も長期間にわたって安全面を含め万全な現場体制による維持・管理を続けていくことが必要」としており、政府としては、原子炉建屋等の隙間等を塞ぐこと(以下「建屋の止水」という。)等の凍土壁以外の対策により、原子炉建屋等への地下水の流入(以下「建屋への流入」という。)が防止され、凍土壁が不要であると認められるまでの間、地中の凍結管に冷媒を循環させることにより、凍土壁を維持することとしている。このため、建屋への流入が予想される状況において凍土壁を解凍することは考えておらず、また、土が十分に凍結しない場合や地下水流入が抑制されない場合等、凍土壁の効果が現れないと認められる場合に備え、雨水の浸透を防止するために発電所の敷地内を舗装する等、重層的な対策を講ずることとしているが、必要に応じ、政府の判断において、対策の見直しを検討することとしている。
また、御指摘の「ドライアップ」や建屋の止水は、凍土壁とは別の工程で行うこととしており、「ドライアップ」については、現時点で具体的な予定は決まっておらず、また、建屋の止水については、平成二十六年から七年程度を目安として行うこととしている。
三、五並びに七の1及び5について
建屋の止水については、平成二十五年に入り、廃炉対策推進会議、汚染水処理対策委員会等において検討が行われ、例えば、委員会報告書においては、「貫通部等の止水策は、流入量が多い箇所での止水方法の確立、高線量下での作業員の被ばく対策等、技術的に非常に難易度が高いが、陸側遮水壁の設置、サブドレンによる水位管理等の他の対応策が機能しない場合でも、建屋内への地下水の流入抑制の効果を期待できるものである。したがって、貫通部等の止水策は、対応可能なものから速やかに着手し、他の対応策の実現性が明らかになってくるまで継続的に実施していくべきである。」としている。このように、建屋の止水については、技術的に非常に難易度が高いこと等を踏まえ、所要期間について七年程度を目安としているところ、御指摘の「仮設的な工事」及び「恒久的な工事」の定義が必ずしも明らかではないが、長期間、効果が維持される方法により建屋の止水を行うこととしている。具体的には、人による作業が可能な箇所については、既に、防水材や止水パネル等を用いた建屋の止水に着手しており、また、高線量等のため人による作業が困難な箇所については、現在、ロボットによる除染を進めているところであり、今後、線量が下がらない場合に備え、例えば、ロボットによる遠隔作業に係る研究開発を経済産業省の補助事業により行うこととしている。
六について
御指摘のような事実はない。
七の2から4までについて
原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋、廃棄物処理建屋及びタービン建屋のいずれについても、内部の正確な状況は把握できていない。その上で、原子炉格納容器から水漏れが続いていることについては把握しているが、更に原子炉建屋等から外部に水が漏れることがないよう、原子炉建屋等における水位が周辺の地下水の水位よりも低くなるよう管理を行っているところである。
一〇について
お尋ねの「建屋の止水」が完了したとは、御指摘の「格納容器の補修が完了し、建屋内の汚染水が完全に取り除かれ、建屋内の除染が完了した」状態と同じことを指すものではない。