辻元委員
本日、私は、原発・エネルギー政策を中心に安倍総理に質問させていただきたいと思います。
その前に、きょう午前中からずっと委員会がございまして、総理が率直に、前回、総理を辞任されたということで挫折を味わったというお話をされました。実は私も、総理は私より一期というか当選が早いんですけれども、議員辞職を経験いたしまして、政治的には大きな挫折を味わいました。そんなときに自分の未熟さとかそれから傲慢さというものをやはり思い知るというのが、同じような体験をされたのかなと思いながら聞いておりました。
ただ、その中で、人の痛み、自分も助けてもらうけれども人の痛みをわかれるかどうか、挫折が克服できるかどうか、かかっていると思います。そんな中で、今回の再登板ということですので、ぜひ、弱い立場の人たちに寄り添った、そんな政策をしていただきたいと思います。
といいますのも、先ほどから経済財政の議論がございます。確かに株価は上がっているんです。しかし、例えば、年金だけで暮らしているおひとり暮らしの方とか、シングルマザーでしんどい思いをされている方とか、そして何よりも被災地の皆さんとか、株価は上がっているんだけれども、変な言い方ですけれども、何かお金持ちの間でお金が回っていて、自分たちのところにしっかり回ってくるのかしらと不安を抱いている人もたくさんいると思うんですね。
ですから、ぜひ、そういう意味では、弱い立場に立っている人たちに寄り添っていただきたいなと、まず一言申し上げておきたいと思います。
きょうは原発・エネルギーの政策なんですけれども、そういう意味でも、福島で今被災して苦しんでいる人たちがやはり納得できる原発・エネルギー政策を私たちは目指すということは大事だと思います。
ヨーロッパなどの国では、エネルギーの政策というのは、単に経済政策という側面だけではなく、倫理委員会のようなものをつくりまして、宗教家やさまざまな各界の人たちが、どういう原発やエネルギーのあり方がいいかということを多角的に検討するということもなされております。ですから私は、日本でもそういう取り組みがあってもいいのではないかなと思っています。
そんな中で、まず総理にお伺いをいたします。
先ほど、人間として挫折から学ばれたということについて一言申し上げましたけれども、この原子力をめぐる問題は、やはり過ちから学ぶということが一番今私たちに求められていることだと思います。
そこで、総理にまずお伺いしたいんですけれども、この原発をめぐりましては、国策として戦後進められてきたと思います。私は、戦前の国策の誤りは、負けるはずがないと突っ込んでいった戦争だったと思います。これが最大のものだと思います。そして、戦後の最大の国策の誤りは、この原子力推進政策だったのではないかなと考えておりますが、総理はいかがですか。
安倍内閣総理大臣
福島第一原発の事故について、そして、それによって多くの方々が困難な生活を強いられていることにつきましては、戦後、自由民主党が政権の中にあって原子力政策を推進してきた、そして安全神話に寄りかかって推進をしてきたことについては、我々は深刻に反省をしなければならない、このように思っております。自由民主党総裁としても、被災者の方々に心からおわびを申し上げたい、このように思います。
原発の安全性については、国会事故調や政府事故調からも指摘されておりますとおり、複合災害という視点が欠如していたこと、規制組織の独立性が十分でなく、いわゆる安全神話に陥ってしまった点、政府として深く反省しなければなりません。
こうした反省を踏まえて、昨年九月に原子力規制委員会が新たに設置をされ、原子力安全規制の抜本的な見直しが進められているところであります。事故の検証も踏まえまして、あらゆる事態を想定した原子力発電所の安全に関する新基準について現在検討しています。
妥協することなく、たゆまぬ安全性、信頼性の向上を目指してまいります。そして、安全規制、安全文化をつくっていく、そのために全力を挙げてまいる決意でございます。
辻元委員
今、自民党総裁としてというお話がございました。やはり私たちも政権を担いましたので、そして長く国会におりますので、責任があると思います。ただ一方、やはり自民党が戦後長年政権を担っていたということは否定できません。ですから、そういう観点から、特に前回の安倍政権での原子力政策について、一、二、点検させていただきたいと思います。
まず最初に、前回の安倍政権の折の経済産業大臣、原発・エネルギーを担当されていたのは、今の甘利大臣でよろしいでしょうか。
甘利国務大臣
経済産業大臣並びに内閣府の原子力安全担当大臣が担当していたと承知しております。
辻元委員
実は、前回の安倍政権のときに、地震と津波、今回、福島第一原発の事故の大きな要因になりました、この件に関して重大な指摘がなされていたんです。
これは本会議でも指摘がございましたが、共産党の吉井英勝議員が質問主意書で、まさしく今回の事故、津波やそして地震による全電源喪失による冷却装置の停止ということがあるんじゃないか、これに対して政府としてきちんと対応しているのかということが指摘されておりました。このときの政府の、これは甘利さんが所管のときだったわけですけれども、地震、津波等の自然災害への対応を含めた原子炉の安全性については、経済産業省が精査し、そして、そのような事態が生じないよう万全の体制であるという御答弁だったんですね。
これは率直にお伺いしたいんです。やはり過去の反省というのは大事ですから、どういう点検をされて、こういう万全だという答弁をされたんでしょうか。