辻元委員
私も、この憲法審査会の役割は何かという共通認識をまず皆さんで議論していくべきだと思っております。
これは、例えば各党や各個人の考えやイデオロギーを反映した憲法をつくりたいという場ではないと考えております。憲法は国民のものという、これは皆さんで共通認識があると思うんです。ですから、国民の皆様の中から、憲法のここは変えてもらわないと困るとか、ここは変えた方がいいよという声が多数上がった点について、それではどうであるかというように、やはり国民の中から沸き起こる声を取り上げて憲法を論じるべきであるというように私は考えております。そういう意味で、各党の憲法改正、うちの党はこうした方がいいということを吟味する場ではないと私は認識しております。
そうするのであれば、例えば先ほど自民党の草案みたいなものを例にされましたけれども、その中で「国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。」というふうに憲法に書こうという御提案です。これは今、裁判でも、内心の自由との関係でさまざま論議が起こっている案件であります。それは、党の中で、では内心の自由との関係でどういうように整合性を持たせるのかということを御議論なさるのは結構ですが、ここでこの議論をしよう、これを案にしてしようと全く思いません。
というように、各党がされるのは自由ですけれども、国民の皆様から、ここを変えてもらわないと、実生活であったり社会生活で困るという点を取り上げるべきだと思っております。
それと、憲法の改正規定の九十六条についての御意見もございました。
これはこの憲法の特徴であると思います。というのは、多数の横暴を許さないという仕組みでこの憲法はつくられてきました。三分の二の規定がございます。これは、二分の一では変えないという意味は何なのかというところを吟味すべきだと思います。特に今、政権交代時代で、二分の一で多数をとる、政治的な会派であったり集団が入れかわる時代です。そうすると、そういう政治的な政権交代みたいなものが起こるたびに、これは前からも申し上げておりますが、多数をとったところが、憲法という、国の基本である、礎であるものを変えられるという状況をつくるのはよくないと私は思っております。
そういう意味において、安易に九十六条を変えるということにも慎重であるべきではないかというような基本的な認識のもとで議論をしていかないと、話が拡散していくというか、何をこの審査会でやっていくのかということがわからないまま意見を言うということになりかねないという危惧を持っております。
以上です。