つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2012年5月31日 憲法審査会

2012.5.31

議事録

辻元委員

私は、今日の日本の礎を築く大きな役割を憲法九条は果たしたと考えています。これは机上での議論ではなく、戦後の日本の歩みや、それから今後の日本の、今の国際社会の中で役割を果たしていくということに照らし合わせて、そう考えております。

戦後、近隣では朝鮮戦争がありました。ベトナム戦争がありました。最近ではイラク戦争がありました。アフガニスタンではまだ戦闘が続いております。例えば、ベトナム戦争の折に韓国は、集団的自衛権の行使、そしてアメリカとの安全保障協定のもとで参戦しております。イラクには、イギリスは行きました。しかし、フランスは反対をして、行っておりませんでした。

そんな中で、日本が、この憲法九条が万一なくて集団的自衛権の行使を認めていたならば、仮にこれらの戦争に参画していたとしたら、今日の日本の地位であったり、それから経済的な繁栄というものはなかったのではないかと思うぐらい、私は、やはり戦後の日本にとって重要な位置づけがあったのではないかと考えております。

特に、イラク戦争について、アメリカはイラクに対して、化学兵器等たくさんあるんじゃないかということで戦争をしかけました。その後、イギリスなどでは、この戦争に参画したことは間違いだったのではないかということで、国を挙げてイラク戦争についての検証を今しております。アフガニスタンも泥沼になっております。

一方、アメリカでは、これらの戦争を主導しましたけれども、財政的には戦費がかさみ非常に危機的な状況に陥り、そして、軍隊が足りないということで、アメリカの中では、経済的に苦しい人たちをリクルートしてイラクやアフガニスタンに送っているという現実があります。

こういう歴史的、また現状を鑑みたときに、日本の果たす役割は一体何なのか。

集団的自衛権の行使というのは、私は、個別的自衛権の行使とは違うと考えています。そして、よく駆けつけ警護などのことを例に挙げられますけれども、それだけでは済まないということは国際的な常識です。今、中谷さんがうんとおっしゃっていますけれども。

そうすると、今アフガニスタンで求められていることは何か。今、農業とか教育などへの支援が求められております。イラクをどのように国際社会に組み入れ、民生支援で支援していくか、大きな役割が求められています。

一方、今、世界じゅうの紛争などについて、武力で介入するよりも、仲介機能を果たす国家であったり国際機関の役割が非常に重視されてきています。NGOの中にそれに特化したような団体も出てきております。

これは、日本は憲法九条を持っている、あらゆる紛争を武力で加担して解決しないということを世界に宣言しているからこそ、どちらにも加担せずに仲介をしていくという非常に今後重要視されるそういう位置に、私は、外交的にもそして安全保障環境を整備していく上でも力を発揮していけるのではないか。

そういう力を発揮していける立場にあるときに、集団的自衛権という、これは先ほど申し上げました単なる駆けつけ警護等の事例では終わらないことに踏み込んで、その仲介機能等日本が果たせる役割をむしろ減少させていくような立場をとるべきではないと考えております。

最後になりますけれども、国民投票ということのあり方です。

私は、憲法調査特別委員会やそれから憲法調査会にずっと入って議論をしてまいりました。その中で、国論を二分するような案件については国民投票になじまないという意見もたくさんございました。それは非常に政治が不安定化するということなんです。

この憲法九条については、二分するというよりも、むしろ改正すべきではないんじゃないか、日本の特徴として生かしていく方がいいんじゃないかという世論が多いと私は承知しております。仮に二分であったとしても、憲法改正には、案件にはなじまないのではないかと現状では考えております。

以上です。