171-衆-本会議-2号 平成21年01月06日
辻元清美君
社民党の辻元清美です。
私は、社会民主党・市民連合を代表し、今年度第二次補正予算に関連して麻生総理に質問をいたします。(拍手)
この年末年始、日比谷公園で年越し派遣村が開かれ、派遣切りされた労働者が食事と住むところを求め、長い列をつくりました。私は、現地に行きましたが、政治に携わる者として、申しわけなく、恥ずかしい気持ちになりました。
私は、雇用政策の過ちによる政治災害だと考えます。総理は、政治の失敗だという御認識をお持ちでしょうか。全国に広がる悲惨な状況を引き起こした責任と原因はどこにあるとお考えでしょうか。
派遣村は氷山の一角です。まず、政府に、一九六五年で途絶えている貧困の全国実態調査を求めます。
私は、今こそ、政府と自治体、企業、労働組合、そしてNPOが一緒になって、総合的な対策本部を早急に立ち上げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
改革なくして成長なしと叫び続けた総理大臣がいらっしゃいました。今ではむなしく聞こえませんか。この改革が、国際競争力をにしきの御旗にし、外需頼みの、脆弱な、そして働く人を切り捨てる経済構造に日本をしてしまったのではないでしょうか。
麻生総理の経済政策は、改革路線の延長なのか、それとも方向転換なのか。基本姿勢をはっきりお示しいただきたいと思います。
さて、世論調査では、今回の定額給付金に七割の人が反対です。一万二千円をもらうより、医療や年金や子育ての充実、そして何よりも仕事が欲しい。総理、こうした国民の声にどうおこたえになるつもりでしょうか。
この事態で私たちが目指すべきは、仕事を具体的につくることです。本日、私は、ヒューマン・ニューディールを提唱したいと思います。人を幸せにする仕事づくりで日本を救おうという提案です。具体的には、福祉、農業、教育、環境など、人と未来に集中的に投資をし、日本の社会構造を変えるのです。
私は、辞職中、介護ヘルパーの資格を取得して、介護現場で研修をいたしました。働く人たちが志があっても食べていけない現状を目の当たりにいたしました。
しかし、介護はますます必要になっていく分野です。介護報酬の思い切った引き上げだけではなく、介護ヘルパーの職業訓練の無料化など、きめ細かな施策が必要だと思いますが、総理、いかがでしょうか。だれでもいつかは介護を必要とする人となる。それまでは介護をする方に回る。すべての人の安心のための仕事づくりです。
社民党では、田んぼの底力法案をまとめました。日本を若者が農業で食べていける国に生まれ変わらせたい。減反政策で農作物をつくらないことにお金を使うのではなく、食べるものをつくるために集中的に税金を使うのです。その上に立って、減反政策の大転換を行うべきです。
総理、いかがでしょうか。自給率の向上、食の安全、環境保全、都市と地方の格差解消、一石四鳥の仕事づくりです。
私は、この危機を、外需頼みの足腰の弱い経済から、地に足のついた、身の丈に合った、内需中心の経済に転換するチャンスにできると考えています。人を切り捨てる経済から人を幸せにする経済に転換し、日本を再生するのです。
そして、最後に申し上げたいと思います。
仕事をなくした人、年とって不安な人、資金繰りに疲れ果てた人。孤立し、絶望に追いやるのではなく、ひとりじゃない、一緒に頑張れると実感できる政治にしたい。そのためには、自分たちの手で選んだんだという、国民と政治とのきずなの回復が初めの一歩だと思います。
総理、堂々と、国民の皆さんに選挙で日本の未来を選んでもらいましょうよ。それが初めの一歩です。皆さん、いかがでしょうか。
そう訴え、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇〕
内閣総理大臣(麻生太郎君)
辻元議員の質問にお答えをさせていただきます。
まず最初に、職を失った派遣労働者や雇用政策についてのお尋ねがありました。
これまでの労働者派遣法の改正は、厳しい雇用情勢の中で、雇用の場の確保などを目的として行われたものであります。
しかしながら、今回の金融経済危機に端を発し、急激な雇用情勢の悪化や、正規、非正規の格差の問題が顕在をしてまいりました。したがって、労働者の雇用や生活の安定に向けて、現在国会に提出をさせていただいております労働者派遣法の見直しを含め、さまざまな取り組みが必要であろうと考えております。
貧困の実態調査についてのお尋ねがありました。
政府には、毎年、世帯の所得など、国民生活に関する基礎的な統計として国民生活基礎調査を実施するほか、平成十九年には、ホームレスやネットカフェなどに寝泊まりする住居不安定就労者の実態調査などを既に行っております。
さらに、最近の急激な経済雇用情勢の変化に対応するため、各地の労働局を通じ、非正規労働者の雇いどめなどの状況を把握しております。
これらの調査に基づいて、実態の把握に努め、必要な対応を講じてまいりたいと考えております。
雇用に関して、対策本部についてのお尋ねがありました。
雇用対策につきましては、国会に提出した二次補正、さらに二十一年度予算におきましては、派遣労働者、年長フリーターなどを正規雇用した企業に対する助成、雇用創出のための四千億円の基金の創設、そして雇用保険制度の非正規労働者への適用基準の緩和など、これまでにない規模、内容の対策を講じてまいります。
この実施に当たっては、昨年末に設置いたしました緊急雇用・経済対策実施本部において、政府一体となって取り組みを進めてまいります。
次に、改革の評価及び私の経済政策についてのお尋ねがあっておりました。
日本がこれまで取り組んできた改革は、バブル崩壊後の長い低迷からの脱却を果たすなどの成果を上げてきたものと認識をいたしております。
しかし、改革によるひずみ、格差の拡大や地方の疲弊が指摘され、また、新しい課題、世界金融危機が生じておりますのは御存じのとおりです。
私は、改革という基本路線を堅持しつつ、ひずみへの配慮と新しい課題への解決に取り組んでまいりたいと考えております。
私の経済政策は、これまでの改革を否定するものではなく、改革をさらに進化させるものと考えております。
次に、定額給付金についてのお尋ねがありました。
定額給付金は、景気後退下での生活者の不安にきめ細かく対処するため、家計への緊急支援、あわせて、家計に広く給付することにより消費をふやす経済効果もあり、生活対策における重要な施策の一つと考えております。
もちろん、医療、年金、子育て支援などについても力を入れるとともに、雇用機会の確保と離職した方々の対応に万全を期すべく、政府といたしましても、生活対策及び生活防衛のための緊急対策に盛り込まれた施策などを着実に実施してまいりたいと考えております。
介護分野の職業訓練の無料化などについてのお尋ねもあっておりました。
介護従事者の確保は、御指摘のように、極めて重要な課題と考えております。
平成二十一年度の予算案では、離職者に対する介護分野における無料の職業訓練について、大幅に定員をふやす、何か一万三千人ぐらいだと思います、二年間の介護福祉士コースを都道府県に設置するなど、質、量ともに一層の拡充を行うことといたしております。
最後に、米の生産調整についてのお尋ねがありました。
日本の生産調整は、EUのような、休耕を義務づけるという減反とは異なります。主食用米から他作物への生産転換を進めるものであります。
食料の自給力、自給率向上を図るためには、水田をフル活用することが極めて重要だと思っております。
このため、自給率の低い大豆、麦、飼料作物の生産を進めることに加え、米粉や飼料用の米の生産を本格的に進めてまいりたいと考えております。(拍手)
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