つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2007年2月22日 安全保障委員会

2007.2.22

議事録

166-衆-安全保障委員会-2号 平成19年02月22日

辻元委員

社民党の辻元清美です。

二月二十日に久間防衛大臣と麻生外務大臣の所信表明を伺いました。私は、特に流動化しておりますイラク、アフガニスタン、イランなどについて、どのような情勢分析や対応について述べられるのかと注目しておりました。残念ながら、この前聞いた所信表明とどこが違うのかな、同じような文言が並んでいたにすぎないという印象を持ちました。

今、イラク情勢を含めて大きく動いております。両大臣の御発言を聞いていますと、アメリカを通してイラクを見るとか、アメリカを通してアフガニスタンを見るとかというふうに見えて、きょうは、そうではなくて、イラクやアフガニスタンの現実を真正面からじかに直視して、そこから日本のとるべき道はどうなのかということをぜひ一緒に考えていただきたいと思います。

イラクの問題については多数取り上げられておりますので、きょうはアフガニスタン情勢について議論をしたいと思います。

このアフガニスタン情勢も、非常に泥沼化してきたという報道があります。ある専門家の報告をちょっと紹介したいと思います。昨年です。

二〇〇六年を振り返ると、タリバンなどの武装勢力、民間人、アフガン治安部隊・警察、多国籍軍の「国際治安支援部隊」兵士を含め一年間の死者は約四千人を数えた。辺境地域での戦闘は十分把握されていないため、辺境地域の戦闘に巻き込まれた戦死者を算入すると四千人を超えるといわれる。現在、月平均で三百人以上が命を落としており、しかも死者数は増加の一途を辿っている。

米軍がイラク戦争で釘付けにされ、世界がイラク戦争に目を奪われている間に、アフガニスタン南部では略奪、放火、襲撃、戦闘、自爆テロが頻発するようになった。

それはちょうど一年ほど前から、アフガニスタン南部を中心にはじまり、全国的な広がりを見せるようになった。
というようなレポートも報道されたりしております。

さて、最初に麻生外務大臣にお伺いします。

アフガニスタン情勢、外務省としてはどのようにとらえていらっしゃるのか。特に、タリバンの勢力の復活という点についてはいかがでしょうか。

麻生国務大臣

アフガニスタンに関しましての治安状況というのは、場所によってかなり違うと私どもは認識をいたしております。

少なくとも、カンダハル等々の南、またパキスタンとの国境沿い、パシュトゥンの多いところ、このような地域においては、いわゆる治安状況というのは極めて不安定なものになっておるというように理解をしております。

片方、カンダハルの北の方は、いろいろな形で随分安定しているように思いますし、BBCの放送を見ましても、CNNの放送を見ておりましても、いずれもその地域において前よりよくなった等々のニュースがきのうもおとといも流れておりましたのは、もう御存じのとおりだと存じます。

掃討作戦というのは、NATO等々がやり始めておりますのは、これも御存じのとおりでして、この中に当然米軍も入っているとは思いますが、約三万五千人の新正規軍が入ってきておりますし、いわゆる現地人の警察官というのが約六万五千人というように、いろいろな訓練等々を始めておりますので、そういった意味で、治安改善というものを努力するためには、軍よりは警察の治安強化というのが大切だというのが一点。

もう一点は、武装解除というものが、我々、政府として主にやっておりますDIAGと称する非合法武装集団の解体というものに力を入れておりますが、こういったものも依然困難な状態ではありますけれども、いろいろな意味でこういったものが進んでおります。

また、道路をつくっております人夫が襲われる等々の問題がありましたけれども、この問題につきましても、私どもとしては、インフラ整備ができないとこれはどうにもならぬということでもあろうと思いますので、南部の方の道路等々につきましては、引き続き私どもとしてはこれを継続してやっていこうと思っております。

辻元委員

イラクでも、地域によって治安状況や戦闘の状況が違うのは当たり前なんですけれども、全体的にアフガニスタンの状況は深刻化しているというように見た方がいいと私は思います。

国連の事務総長も昨年の九月十一日に、アフガニスタン情勢に関する国連事務総長報告というのを緊急に出しております。これは、九月の段階で二千名以上の戦闘で死者、そのうち少なくとも三分の一以上が市民であったと。そして、これは前年の三、四倍の死傷者になっている。そして、今まで自爆テロというのは少なかったようなんですけれども、それが、二〇〇五年は十七件であったが、去年は八月の時点で既に六十五件になっているとか、それから、いろいろな案件をレポートされております。また、日本の国連大使の大島大使が、昨年緊急に安保理でお声かけをされて、訪問されまして、非常に憂慮を示しているレポートを、論文も発表されたりしているんですね。

ですから、私は、このアフガニスタンの深刻さというのをかなり重大に受けとめた方がいいというようにまず思っております。

さて、そこで、安倍総理が一月十二日にNATOで演説されました。きょうもNATOの問題は取り上げられておりますけれども、その中でアフガニスタン支援に触れられました。これについて引き続き伺いたいと思います。

NATOの地方復興支援チームが、PRTと言われているあれですが、実施する人道支援との協力を強化しますと発言され、また、きのうのチェイニー副大統領との会談でも、このPRTに関して連携を今調整中だと説明されたようなんです。

そこで、このPRTというのは、武装勢力との戦闘が続く危険地帯とか戦闘終了後の不安定地帯に、軍の防護つきで文民も一緒に派遣するというプロジェクトで、米軍が始めて、今NATOを中心とした治安部隊が引き継いでいるわけですけれども、今までの経過をちょっとおさらいしてみます。

久間防衛庁長官にまずお伺いしたいと思いますが、二〇〇五年にもう既にこの話は出ておりまして、当時の大野防衛庁長官が、このPRTへの参加は特措法の枠組みでは困難である、そしてさらには、治安を含めた活動は武力行使あるいは武力行使と一体となるという憲法上の論議があるので慎重であらねばならない。さらには、これは政府参考人の答弁ですが、昨年ですけれども、現在の特措法上の協力支援活動には当たらないと解釈される、直接の活動に参加できない、実施できないという答弁なんですけれども、先ほど久間防衛庁長官も、自衛隊との関係で申し上げれば、アフガニスタンに今以上のことは考えていないという御答弁でしたが、今までの確認をさせていただきたいんですけれども、同じ認識でしょうか。

久間国務大臣

現在の特措法上で、テロ特措法でやれるケースがあるかなというと、皆無とは言いませんけれども、非常に少ないんじゃないかなというふうに思います。だから、このままの、現在のままの法律では非常に、もちろんこのPRTがどういう内容か、具体的にそれを、ミッションを聞いてみないとわかりませんけれども、一般的にやっているものからいくとなかなか難しいんじゃないかなという感じがします。

辻元委員

失礼しました。防衛大臣でございました。失礼しました。

麻生大臣にもお伺いします。

昨年の四月二十七日の参議院の外交防衛委員会で、大臣も、治安というのが入ってくるのでPRTに参加するのは難しいという御答弁、今も変わっていないでしょうか。