つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2007年2月27日 予算委員会

2007.2.27

議事録

166-衆-予算委員会-16号 平成19年02月27日

辻元委員

社民党の辻元清美です。

きょうは、安倍総理が憲法のことをたびたび発言されておりますので、憲法問題、憲法の議論と内閣の関係などについて質問をしたいと思います。

官房長官中心にと考えておりまして、今記者会見に行っていらっしゃるようですので、五分ほどおくれてこられるということですので、まず、伊吹文部科学大臣に長崎県での発言についてお聞きしたいと思うんです。

人権だけを食べ過ぎれば、日本社会は人権メタボリック症候群になるんですねとおっしゃったそうです。私はちょっと驚いたんですね。人権メタボリック症候群とは一体何なのかと思いました。人権という言葉をこのように使うのは不適切ではないかとも思いました。どういう御趣旨ですか。

伊吹国務大臣

官房長官が来るまでの五分と言わず、もう少し問答させていただければ結構だと思うんですが。

まず、先生の党は何よりも護憲の党ですから、そのことに私は敬意をあらわしたいと思いますが、憲法第十二条に、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任」がある。「すべて国民は、個人として尊重される。」そして「国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、」云々という規定がございますね。

私が担当している学校現場で、この前通知を出しましたが、きょう、ある新聞が私のメタボリック症候群の見立ては誤診だという社説を書いておられましたが、私のカルテを十分読んでおられるのかなと思いました。それは、こういうことが書いてあるんですよ。学校現場でいじめられている子供の人権が侵されていることを、担当している文科大臣が人権メタボリック症候群などと言うのはとんでもないという趣旨のことが書いてあります。

問題は、いじめられている子供に対して、いじめる子供がいるんですよ。そして、この子供、いじめる子供を授業に出られない状態にするとか教室の外へ出てもらうというような、一種の体罰的なものを行った場合に、必ず学校現場で起こることは、子供の教育を受ける権利はどうなるんだ、うちの、処罰をされた子供の人権はどうなるんだということが常に起こります。そしてこれは、多くのかわいそうな、いじめられている子供の人権、少数の人たちの人権を守るために、公益の範囲内で、やはり、いじめをする子供の権利というものは制約をしなければならないんですよ。

ですから、私が申し上げたのは、ここにきっちり書いて、前後をどの程度読んでいただいているのかと思いますが、個人の立場だけを考えると、大切な権利には義務が伴う、守るべき自由には規律がある。これは一緒に両方とも極めて大切にしないと、自由と権利だけを振り回している社会はいずれだめになる。自分の権利だけを考えていると、感謝の気持ちはなくなるし、育ててくれた親やおじいさん、おばあさんのことはどこかにいってしまって、家庭内暴力、自分に授かった命である子供を虐待したり、育ててくれた親を逆に殴り殺したりするという嫌な事件がずっと起こってくる。人権は大切だ、個人の権利は大切だということは今も変わらぬ真理です、侵してはならない真理ですが、濫用はしてはならないものです。このように申し上げているわけです。

辻元委員

今の御発言で、私は、大臣は人権ということと権利ということをちょっとごちゃごちゃに使っていらっしゃるのではないかと思うんですね。

人権という概念は、人権を尊重すると言います。権利は濫用してはならぬ、これは権利という言葉にくっついてきます。人権を濫用ということは、普通、おっしゃったことはないと思うんですね。

というように、人権というのは、人それぞれどんな人でも人として尊重されるべきだということが人権という概念であって、その上で権利や義務があるわけですね。ですから、私は、権利は濫用してはならぬはそのとおりだと思うんですけれども、人権という概念、日本は果たして、では人権意識が進んでいるのかどうか。

権利の濫用、先ほどおっしゃったとおりですよ。いじめる子供の問題も、権利の制限とおっしゃいました。子供の人権の制限はこれはできないわけです。その子にも人権があるわけです。ですから、御存じのように、ニュージーランドなどでは加害側の子供たちのケアというのを物すごく考えているわけですね。そこをやらないと、制約をするとか、それから、体罰ということはお考えになっていないと思いますけれども、罰するだけではだめだということ。

ですから、人権ということ、例えばこの前、柳澤大臣が女性は産む機械だという発言をされて問題になりました。これはやはり女性の人権との関係で問題があるじゃないかという指摘が多々なされたわけですね。

ですから、私は、大臣に申し上げたいのは、日本は決して人権大国ではないと思います。やはり、その柳澤大臣の発言も、人権意識が足りない国ではないかと国際的にも見られていると思いますし、障害者の問題にしましても、これはここで私は議論はしませんけれども、応能負担か応益負担かという。応益にするというのは、私は障害者の人権との関係で問題があると思っているわけです。かつ、例えば民法の、この間、七百七十二条の議論もされてまいりました。これも、子供の人権の立場から見てどうするのがいいかということなんですよ。

ですから、私は、文部科学大臣ともあろう方が、非常に大事な立場ですから、人権ということを、まだまだこれからこれは、メタボリックどころか栄養不足で、どんどん栄養をやって人権意識は育てていこうと。しかし、権利については、多々、今おっしゃったような議論がございます。この人権と権利ということをしっかり概念として分けて考えていただくということが大事じゃないかと思っております。これは指摘にとどめておきます。今後またちょっと議論をしたいと思いますので。

では、一言だけですね。

伊吹国務大臣

先生、私どもが大学で習った法哲学によると、人権というものは人間に固有の権利なんですよ。そして、それを担保するものが、法律上書き連ねられている権利なんですね。ですから、人権と権利というものは全く別問題ではありません。これは盾の表裏のようなものでして、お互いに補完し合いながら守っていくものですから、私は、人権は大切だ、個人の権利は大切だということは今も変わらぬ真理です、侵してはならない真理ですと申し上げているわけです。

〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕

辻元委員

今おっしゃった人権と権利の関係ですけれども、今、日本はもう少し人権大国になるように政治の側でも努力すべきだ、人権は大切だとおっしゃったところで、その趣旨は同趣旨だと思います。

ただ、私はやはり、先ほど最初の御答弁で、御発言を紹介していただいた折に、人権という言葉と権利というのがごちゃごちゃに入っていました。ここの部分はしっかりお考えいただきたいというように指摘をしておきます。でないと、この間から柳澤大臣の発言も出まして、また文部科学大臣が人権とメタボリック症候群をくっつけて発言している。これはメタボリック症候群で悩んでいる人に対しても失礼な……(発言する者あり)何かそうだというふうに、何か悩んでいるのかどうか知りませんけれども、失礼な話だと思います。人の健康の状況と人権をくっつけるものではない、これは不適切な発言だということを指摘しておきたいと思います。

さて、そういう中で、憲法の問題について質問をしたいと思います。

官房長官にお伺いします。

安倍総理が、就任以来たびたび、最初はこうおっしゃっていたんですね、自分の在任中に憲法改正をなし遂げたいと。途中から、いろいろ指摘されたからかもしれません、期待するとか、発言を変えていらっしゃいますけれども、これは安倍内閣としての方針なんでしょうか。