つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2006年11月7日 憲法改正手続に関する法律案等審査小委員会

2006.11.7

議事録

165-衆-日本国憲法に関する調査特別委員会 日本国憲法の改正手続に関する法律案など審査小委員会…-2号 平成18年11月07日

辻元小委員

社民党の辻元清美です。きょうはどうも皆さん、ありがとうございます。

まず最初に、CMの問題について何人かの方にお伺いをしたいと思います。

まず、民放連の参考人の方、どちらの方でも結構なんですけれども、この案件の場合または政治的な案件の場合、先ほどから内容に問題、問題というのは、著しく虚偽であったり、何か非常に偏ったネガティブキャンペーンであったりとかというようなことになれば、内容的な考査というのはあると思うんですね。ただ、CMの場合、内容だけで、量ですね、著しく反対または賛成、今回の案件の憲法であるならば、量的にCMの希望に著しく偏りがあった場合は、現状ですとどのように御判断されるのか。または、この著しく偏りというのは、憲法に限って申し上げるならば、別に何か配慮をしなければいけないというようにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。CMの回数とかですね。

というのは、なぜこう申し上げるかといいますと、きょうは山田参考人から、表現の自由との関係で非常に貴重な御発言もいただき、今井参考人からは、さまざまな市民団体の現場なども御存じというところからいろいろな御発言をいただいて、参考になりました。

私らは、割と身につまされたことがあるんですよ。表現の自由というのはわかるんですけれども、例えば選挙のときでも、少数の団体やグループ、政党になりますと極度に戦う力が、工夫とおっしゃるんですけれども、特にこのテレビCMについてのみは、ちょっとほかと格段の資金力の差があります。

大きな政党ですと、大会派は自民党ですけれども、ええなと思いますよ。小泉さんのこんなのをばんばんやっているわけですよね。うちなんかの場合だと、別にうちがそうやから言うているわけじゃないんですけれども、CMつくったんですけれども、流すのに物すごいお金がかかるわけですよ、例えば一億円とか。そうすると、もとから物すごく大きな組織と小さな組織では、事テレビCMについての資金量の差というのは、何か二乗、二乗、二乗ぐらいの大きさで影響力に違いが出るんじゃないかという懸念を非常にしています。一定の規模を確保できない組織や個人は圧倒的に無理だと思うんですよね、参画することについて。ですから、一つは量についてどうかということをお伺いしたいんです。

ですから、表現の自由はあるんだけれども、工夫というのもあるんだけれども、では、果たして平等にいろいろな人たちに運動に参画してもらうというところであれば悩ましいなというところもあって、ここはこれから、きょうはこれだけの方に来ていただいてお話を伺っていますが、さらにいろいろな立場の人にも来てもらいたいと思いますので、量についてどういうふうにお考えかということが一点目です。

もう一つが、今井参考人の方からキャスターの意見表明ということがございました。これについて民放連の現場の方はどのようにお考えか。

それから三番目に、政党の議席配分によってと。先ほど枝野委員の方からはフィフティー・フィフティーというような発言も出たんですけれども、自公の与党からは余りそういう声は聞いたことがないので、枝野委員の声が両法案提出者の声とはちょっと違うと思います。

例えば日曜討論という番組があるんですけれども、あれは各党行くわけですね。発言は一回一分なんです。確かに大会派の発言の回数の方が多いわけですが、著しく議席でとかじゃなくて、登録している政党というか認められている政党で一回につき一分間発言と。回数は違ったとしても、あそこに行きますと少数の意見もかなり反映されるという印象を持つわけですね。あれがもしも議席配分によって発言の時間が違ってくると、また全然違うことになると思います。ああいうイメージというのは、ひとつ何かできるんじゃないかと思っているんですけれども、例えば討論なんかの場合、民放連の方にお伺いしたいんですが、各政党の場合、それから賛否平等に扱うという場合、どういうことに注意すると考えていらっしゃるか。

もう一つは、広報協議会というものについて、山田参考人からはもうなくしてしまえというような御趣旨の発言もあって、ああ、そういうのも白紙から考えることもできるのかなというふうに改めて思いました。

以前は、これは国会図書館などの機関がやったらどうかという意見もちょっとありまして、これはどういうことかといいますと、こういう議員の中、国会の中だけではなく、公共空間でいろいろな専門家たちも賛否両論言いますので、これについてはこういう賛成意見があり、これについてはこういう反対意見がある。私たちもよく国会の中で、国会図書館などが作成する、調査室なども作成する資料というのをいただくんですけれども、かなりバランスよく、わかりやすく、専門家も含めていろいろな人たちの賛否の意見などが紹介されているということで、これはもう一度根本からいろいろ考え直せないかなというふうに思っているんです。

山田参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど、なくしてしまってもいいというふうな御発言もありまして、それについてもう少し詳しくお伺いしたい。

最後に、山田参考人が運動期間が短いんじゃないかということもおっしゃいました。これについて、二年程度という御提案もいただいているんですけれども、運動期間についてどう思われるのか。

それと、今井参考人に、先ほどの広報協議会の議席配分などについて、現行の法案についてどのようにお考えか。先ほどこの点については御発言がなかったのでお聞きしたい。

もう時間ですか、委員長。まだあるんですけれども、ではもう一回チャレンジします。お願いします。

山田(良)参考人

辻元さんの、CMの量、バランス、回数のことについてお答えをいたします。

憲法改正国民投票法案、広告に関することについて、自主的な判断でお願いしたい、七日間のことについても含めてと言えば言うほど、やはり我々の責任が非常に問われてくるわけでございまして、番組も広告もすべてを通して、放送というものが国民投票についてどんな役割を果たせるか。そしてそれが、国民の方々がどのような納得感が持てるかということ。それから、国民の方々がテレビの放送に関して、特にCMに関して不公平感を持たないかどうかということがとても大事なことだというふうに思います。

そういう観点から、CMについてはその内容、賛成、反対だけのような内容もオーケーなのかどうかということも含めて、それから、広告主様はどういう方々までお受けするのか。それから、これは前回の委員会で天野参考人がおっしゃっていたんですけれども、スポットCM、十五秒、三十秒、六十秒、それ以上とございますけれども、今回の国民投票なんかの場合に十五秒のCMが果たして許されるのだろうかというようなことも御提起なさっていましたけれども、私、大変に参考になりました。天野さんは、少なくとも六十秒ないと、国民投票について意見広告はできないんではないかというようなこともおっしゃっていました。その時間の長さ。それから、どの時間帯に放送をするのか。その総量はどれぐらいお受けするのか。それから、今辻元さんがおっしゃっていたバランスをどうするのか、回数をどうするのか。それから、価格をどうするのかということです。

これはやや私見になりますけれども、この国民投票のCMについて、我々放送局は、これをビジネスチャンスにしようというふうには私は思っておりません。全体の放送というものの役割の中で、番組も広告も一緒になってどうやって豊富な情報を国民に届けられるかという観点の中でCMも考えたいというふうに思っております。そして、基本的には放送局は一つ一つの独立した放送局ですので各社の判断なのですが、今回の場合には民放連の中で大きなくくりとして明確なルールづくりは必要なのではないかというふうに思っております。

以上です。

渡辺参考人

渡辺でございます。辻元先生の御質問についてお答えいたします。

キャスターの意見表明ということについてどうなのかと。今井参考人が先ほど御説明された中では、今井参考人が知り合いのキャスターと話した、そうすると自分の番組で賛成か反対か言わないと番組自体が成り立たない、賛成に投票してくれ、反対に投票してくれとはもちろん言わないけれども、そういう趣旨だったと思います。投票の誘引をしてはまずいというのは当たり前の話で、これは論外であります。

もう一つ、キャスターが番組の中で自分の意見を言うというのは、これは民放連レベルで話したわけでもありませんけれども、私の個人的な考えも含めて言いますと、これは非常に私は疑問視します。番組の中でキャスターが、私は憲法改正案に賛成である、反対であるというふうに明言、明示するということは、余りにも影響が大き過ぎるのではないかと私は思っています。

ともかく、テレビでニュースを報道して、番組で伝えるというのは、このような重大なことが今提起されていますよ、中身はこうですよ、皆さん考えてくださいという情報をいかにバランスをとってきちんとたくさん伝えるかというのがポイントだと思っています。個々のキャスターの個人的な見解を表明するというのは、私の考えでは、番組の趣旨には合わないだろうということで、それは今井参考人と話されたキャスターの意見とは我々は違います。ですから、恐らくそういうものが番組編成、制作の過程で出てきたときには、恐らく許容することはないというふうに考えております。これは民放連全体の意見ではありません。

それからもう一つ、これはNHKだと思いますが、日曜討論の例を先生お出しになりながら、時間の配分の話をされました。詳細は存じておりませんが、一視聴者として拝見する限り、NHKの日曜討論は、時間的な、物理的な公平性は比較的担保しているのではないかなという印象を受けております。

もちろんそれは大事なことだと思うんですけれども、あえて言えば、ストップウオッチではかって時間を合わせるという物理的な公平性は、一定程度はもちろん担保しなければいけないけれども、それが金科玉条のものだとは思っておりません。つまり、余りにもバランスを欠いていてはまずいですけれども、討論の場で、それももちろん生放送の場合でしたらば、同じような条件で自由闊達に議論ができるという場が保証されている以上、それは発言される、出席される方の熱意だとか意欲だとか、そういったものと直接影響があるわけでございますから、ストップウオッチ的な公平性というものはもちろん大事ではあるけれども、それが最重要の問題だとは考えてはおりません。

以上です。

山田(健)参考人

辻元議員から三つ御質問をいただきましたが、最初に、身につまされると言われました量の問題からお話をしたいと思います。

著しい偏りが本当にあるのかどうかということだと思います。前回の衆議院選挙を例にお話しになったというふうに推測いたしますけれども、もしそれを言うのであれば、広告の問題ではなく報道の問題に突き当たってしまうんではないでしょうか。それを言うならば、現在の与党案あるいは民主党案の中でも、報道には手をつけない、報道は自由にするという原則を既に打ち立てているわけでありまして、その原則自体がゆがんでしまう可能性すらあるんではないか。少なくとも、広告の分野で著しい偏りがあったのかどうかというと、私は、そうでもなかったんではないかというふうに思っているわけであります。

すなわち、そこについては、いわゆる前回選挙で果たしたテレビの役割というのを危惧されているというふうに思いますが、余りにも危惧すると、それは結局は報道規制につながる話になってしまいませんかということであります。

それから、もちろんテレビの影響力はあります。ありますが、同時に、テレビが出始めてからもうウン十年がたちまして、視聴者のリテラシーも明らかに上がっております。あるいは、インターネット等々の登場によって、相対的にはテレビの影響力も下がっているということが言えるのであります。

その中で、あくまでもテレビの影響力だけがずば抜けて大きいということを前提にした議論が本当に現在として正しいのか。あるいは、今から三年後あるいは五年後かわかりませんが、実際に国民投票が行われるその時期において正しいメディア状況認識かどうかというところについてもさらなる御審議が必要ではないかというふうに考える次第であります。その点、立法事実についてもう少し吟味が必要ではないかという話であります。

それから、二つ目に発議の関係でありますが、国民の知る権利を充足させるためには、より正確に、十分に国民の意見を吸い上げる必要があります。

これは期間だけの問題では当然ありません。例えば、現在の発議の方法をもう少し工夫して、例えば最初の提案から一度衆議院選挙を挟んで、もう一度国会で審議をした上で発議をする、そういう方法によって、期間を延長して、より国民の意見を吸い上げるという方法もあるでしょうし、あるいは、現在行政機関が行っているパブリックコメントのような制度をこの憲法改正の問題について導入するという考え方もあるでしょうし、いろいろな考え方をもって、できる限り多くの意見を吸い上げて情報を流通させるということが必要であって、その一つの方策が期間の延長でもあるという考え方であります。

最後に、広報広聴活動でありますが、これにつきまして私が一番問題だと思うのは、ひとえに、政治的イシューに関する表現行為の内容を、まさに事前にその政治的な活動の中心にいらっしゃる政治家、国会が審議をする、そのための事務執行に当たって、客観・中立性、公正・平等性を確保するというところであります。もちろんこれについては、一番最初に枝野議員から、むしろ現在の政見放送のような、無色透明と言えるかどうかわかりませんが、中立的なそういう放送を目指すという意味にすぎないんだというお話もあったというふうに推察いたしますけれども、しかし、やはり結果的には表現内容をチェックするという行為を国会が持つということについて、私は疑念を感じざるを得ないということであります。

その上で、もしそういう疑念があるならばできる限りなくしていく、あるいはこの広報広聴活動の中で、政党の意見、あるいは憲法改正のさまざまな意見を出していくのではなくて、それはより自由な情報、言論活動の中で、あるいは意見表明活動の中で、社会として議論のフォーラムの空間をつくっていく方がいいのではないかという考え方であります。

以上です。

今井参考人

辻元さんの質問に答える前に、渡辺さんの方からお話があったので。

前回も言ったんですが、この衆議院憲法調査特別委員会の平成十八年十月に出された報告書にも書かれていますけれども、ニュースキャスターの政治的発言の問題で、七月二十五日にデンマークのペーデ選挙コンサルタントに面会されたときに、保岡興治議員の方から、「テレビのニュースキャスターは政治的発言をしてはならないのか。」という質問をされています。それに対して、ペーデさんという選挙コンサルタントが「デンマークのテレビ・ラジオにおいては、その内部ルールとして、」内部ルールですけれども、「内部ルールとして、ニュースキャスターをしている時は、自分の政治的意見を述べてはならないことになっている。」というふうにおっしゃっています。それで、メディアの規制に違反した場合の制裁の有無や、違反しているかどうかについても保岡さんは質問されていますが、ペーデさんは、法的な処罰ではなくて世間からの批判を浴びることになるだけだと言って、「(笑)」と書いてあります。

私は、先ほど言ったパーソナリティーの方と、ラジオのパーソナリティーの方ももう三十年以上務められている人気番組のパーソナリティーですけれども、あとはテレビのニュースキャスターの方にお話を伺ったときに、憲法九条についても、その改正の発議がされたら、それに対する意見表明を行うというふうに言われたんですよね。それで、この意見表明をもし制限したり規制することがあるとすれば、渡辺さんにお伺いしたいんですが、それは何を根拠に、民放連がやるのか各放送局がやるのか、どういう機関でどういうことを根拠に意見表明を規制されるのか。

もう一つは、ついでに言えば、活字媒体では、スイスでもフランスでもそうですが、逆に著名な論説委員や編集委員やジャーナリストが賛否を具体的に表明して言説することが求められています。新聞社として、そして個人として、改憲の賛否について、あるいは国民投票での賛否について、明確に意見をすることが逆に求められています。放送ではそれは違うということだったら、一体何で違うのかについても伺えたらありがたいです。

その後、辻元さんにもお答えします。