165-衆-本会議-19号 平成18年11月30日
辻元清美君
私は、社民党を代表して、反対討論を行います。(拍手)
今日まで防衛庁を庁としてきたのは、戦前の軍国主義の反省に立ち、戦後の日本の土台をつくってきた平和主義の積極的な具現化であったということを、皆さん、今こそ思い起こすべきです。諸外国並みにといいますが、むしろ、平和国家としての意思をあらわすために、あえて省ではなく庁にしているのだと胸を張って世界にアピールした方が日本のためになり、変える必要はありません。
一方、防衛庁の実態を見ると不祥事が絶えません。情報流出、薬物、誤射、無断海外渡航、そして最も憂慮すべきは、自衛隊員の自殺者が近年は年間百人を超えているという現実です。また、防衛庁の談合は三十年前から延々と組織ぐるみでやっていたことがわかりました。きょうも航空自衛隊の情報流出が発覚するというありさまです。士気を高めるために省にといいますが、まず、みずからの組織改革をすることが先ではないでしょうか。
自衛隊法の本来任務に海外での諸活動を加える点は、自衛隊の基本的任務を根底から変えることにほかなりません。本来任務を専守防衛としてきたのは憲法との整合性を図るためであり、状況に流されて変えられるような次元の話ではありません。海外任務について「別に法律で定める」とされ、海外派遣の恒久法制定への意図も透けて見られます。
今必要なことは、海外での自衛隊の活動を丁寧に検証することです。
人道復興支援は、今では、軍事組織による大がかりな活動の時代ではなく、より機能的な非軍事組織にシフトしているのが国際的な流れです。
また、現在、航空自衛隊は内戦状況のバグダッドに物資を運んでいます。しかし、その活動実態は明らかにされておりません。人道復興支援といいながら、なぜ明らかにできないのでしょうか。アメリカでさえ、イラク戦争は間違っていたという声が今高まっております。そのイラク戦争に自衛隊を今なお派遣中であり、その総括もなされない中で本来任務にしようというのは、余りにも愚かです。
そして、この法案だけではなく、外務大臣の核保有議論発言や安倍総理の集団的自衛権の解釈見直し発言は、対立をつくり出し、戦争を呼び込むという安倍路線の本質のあらわれではないですか。議論は自由だと論理をすりかえるのは見苦しいばかりです。(発言する者あり)
最後に申し上げたいと思います。
今、やじで大きく声を飛ばしてはりますけれども、まるでこの状況は大政翼賛会みたいじゃないですか。反対の意見を封じ込めるのはやめてください。
私は、最後に、国会を大政翼賛会にしないためにも、声を大にして反対と訴えて、私の反対討論を終わります。(拍手)