つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2006年3月1日 予算委員会

2006.3.1

議事録

164-衆-予算委員会第七分科会-2号 2006年03月01日

辻元分科員

社会民主党・市民連合の辻元清美です。

きょうは、私は、イランのモッタキ外相も来日しておりまして、このイランの核開発問題が今世界じゅうの注目を浴びております、それにも関係しまして、国際的な核不拡散、この体制下における、日本も六ケ所の再処理施設ということでいろいろな議論がされておりますけれども、これをめぐる情勢はどのようなところにあるのかということを、二階大臣初め、そしてきょうは、内閣府、外務省、そして文科省の多岐にわたる項目がありますので、お越しいただいておりますので、それぞれの御担当の方々から答弁をいただきたいと思います。

まず最初に、二階大臣にお聞きします。

昨日、モッタキ外相とお会いになったと思うんですけれども、その会談内容はどのようなものだったのか、まず教えてください。

二階国務大臣

お話のとおり、昨日、モッタキ外相と経済産業省におきましてお目にかかりました。

イランのモッタキ外相は、かねて日本でも五年間にわたって大使を務めたということで、日本の事情はかなり詳しく承知をしておられる様子でありましたが、私の方からは、ただいま委員からもお話のありましたとおり、核の問題について、我が国がこの問題に対して、広く多くの国民の皆さんも、核に関しては、申すまでもなく、唯一の被爆国である、ここからして、大変深い関心を有しておるというお話を申し上げました。

イランの外相の方は、私のそうした問題意識の中でも、できるだけ日本との二国間の経済問題に議論の焦点を移したいということは言葉の端々にもうかがえたわけでありますが、今、イランとロシアとの間でのウランの濃縮の共同事業等に関する協議につきまして、その中身を御説明いただきたいということを申し上げたわけであります。

これに対してモッタキ外相からは、イランは原子力の平和利用の権利を有しており、原子力活動は平和的に、核拡散防止条約及びIAEAの査察の枠内で実施する考えであるなどの、イランの政府の従来からの立場を述べられた上で、私の申し上げました我が国の懸念ということに関しましては、イランの友人としての御意見として受けとめて、必ず本国に伝えますということが外相としての、時間も短かったわけでありますが、精いっぱいのスタンスでございます。つまり、我々の方の抗議といいますか、我々の意思表示に対しまして、国に帰って必ず幹部に伝えるということをおっしゃったわけであります。

また、ロシアとイランの協議状況につきましては、イランの原子力の平和的利用の権利とイランに対する国際的な信頼のかけ橋としてウラン濃縮の共同事業を検討しており、その実施の場所と期間について検討している旨の説明がありました。

いずれにしましても、我が国としては、イランが核問題に関する国際社会における懸念を真剣に受けとめて、核問題の解決に向けて真摯な努力をされるよう、国際社会と協調しながら、引き続き強く働きかけていくということが我が国の姿勢であるというふうに認識をしておるところであります。

辻元分科員

今、大臣も本当に懸念を持たれているという御発言でした。

こういう中で、油田の共同開発ということも日本とこれからしていこうという方向性で、この問題は日本にとっては非常に大きな問題につながりかねないと思いますので、このイランの核開発というのをいかにソフトランディングさせるかというところに払われる努力というのは、今本当に喫緊の問題だと思っております。

そういう中で、イランはウランの濃縮ということを言っておりますけれども、再処理をめぐりましても、プルトニウムの扱い、そしてこの核拡散ということについても、戦後、ちょっと新しい局面に今直面しているのではないかという私は懸念を持っているんです。

北朝鮮やイランという話も出てきていますけれども、それ以外の国でも、今、ウランの濃縮をしたいというような国も出かねない。そういう中で、日本が、唯一の被爆国と大臣はおっしゃいましたけれども、どういうかじ取りをしていくのかというのは、実は国内の六ケ所の問題の判断にも影響してくるということは、これは私だけが指摘しているわけではなくて、国際的に指摘する科学者や世論、そして国連の中でもそういう声が出てきているという、これ以上今まで核兵器を持っていた国以外のところでプルトニウムを生み出すということについての、核拡散の観点から、テロの問題もありますし、懸念が出てきているという、新しい局面に入っているという認識のもとで、引き続き質問したいと思います。

これは外務省になるでしょうか、一月二十六日に、同じような観点で、アメリカの六人の議員が在米日本大使に対して、六ケ所再処理工場運転開始について懸念を表明する書簡というのを送りました。これに対して政府は見解を出しているわけですけれども、ちょっと一部紹介しますと、「私たちは、六ヶ所再処理工場運転開始を始めようという日本の計画についての私たちの懸念を表明するために、書簡をお送りする次第です。」と。ちょっとずっと割愛しますけれども、日本がやったら、ほかもやりたいといったときに、前例となって、同じように、平和利用である、または、査察を受ける、NPT体制を守っていくというときに、なかなかほかをとめられないんじゃないかという懸念を表明されているんだと思うんですね。

それ以外にも、昨年の五月五日ですけれども、ちょうどNPT体制についての議論が集中的に行われたときに、これもアメリカですが、元国際原子力規制委員会の方や、それから物理学ノーベル賞受賞者の何名もの方、そしてさらに元国防長官ペリーさんまでも、連名で、この六ケ所使用済み燃料再処理工場の運転を無期限に延長することによってNPTを強化するようにとの日本への要請というのを出されました。

この一文には、六ケ所工場は核兵器を持っていない国における最初の工業規模再処理工場であるから、その計画どおりの運転は、またほかの国が再処理施設や濃縮施設をつくるのを思いとどまらせるためになされている国際的努力、今、特にこの核拡散の問題が注目されている中で、こういう国際的努力の障害となるという指摘や、さらに、日本が分離済みの民生用プルトニウムのストックの過剰をこれ以上ふやさないようにという決定をすることによって、日本は被爆国ですけれども、この核不拡散体制のリーダーシップを示してほしいというような内容。こういうような要望や、それから書簡がアメリカから送られてきております。

この中で、こういう書簡の存在というものに対して日本政府はどういうふうに対応したのか、まずお答えいただきたいと思います。

中根政府参考人

お答え申し上げます。

先生御指摘の、アメリカのマーキー下院議員ほか六名の議員からの書簡の件でございますけれども、これは、一月の二十七日、現地時間でございますけれども、日本のワシントンの在米大使館が受領しております。これにつきましては、現地時間でございますけれども、二月十四日付で返書を六名の議員あてに発出をしております。

この返書の中では、日本のプルトニウム利用というのは厳に平和の目的に限られていること、六ケ所再処理工場に対しても、IAEA及び国内保障措置が厳格に適用されており、日本の平和的利用に関しては何ら疑念がないということを強調しております。

それから、先生の御指摘の、昨年のNPTの運用検討会議の議場外でのNGOの方々からのいろいろな六ケ所についての御意見ですけれども、これは私自身も運用検討会議に参加しておりまして、こうした方々に対して、日本の返書の中でも申し上げましたような内容についての説明をして、理解を深めるように努力をしたという経緯がございます。

いずれにしましても、日本としましては、これまでも核不拡散及び核軍縮を最優先の課題として取り組んでおりますので、今後とも、日本における再処理事業については、厳に平和目的に限られるものとして、今後とも国際的な理解の上に進めていくという方針でございます。

辻元分科員

御承知のように、社民党の立場は、脱原発ということを言っております。しかし、そのプロセスについて今ここで議論しようとしているのではなく、そのプロセスの一環になるかと思いますけれども、日本は平和利用と言ってきた、この平和利用の問題と、それから核不拡散ということの両立、または矛盾点というものが、今までになく噴出しかねない状況に来ているという点が私の問題認識の一点目です。

それから、もう一点は、テロの脅威などということが大きく変わってきた。かつ、プルトニウムというものに対して、この再処理ということを今までの核保有国以外が進めることについて、かじを大きく切っていくのかどうか、このプルトニウムが地球のあっちでもこっちでもどんどんふえていく方向への国際的な政策転換に拍車をかけるのかどうかという大きい視点から、皆さんの御意見を伺いたいと思うんですね。

さて、そういう中で、このプルトニウムの保有量、日本の保有量について、先ほどのアメリカの議員の方々の手紙の中にも、こうあります。余剰プルトニウムを持たないとの原則を日本が約束した一九九七年十二月のIAEAに対する日本声明を、これは世界じゅうが高く評価する、自分たちもしている、しかし、私たちは、二〇〇三年末までに日本のプルトニウム保管総量は四十・六トンに増加したと理解している、商業用の増殖炉計画がなく、MOX燃料使用計画が相当の問題に直面しているということを考えれば、新しい再処理工場におけるさらなるプルトニウムの分離、蓄積は、この日本の方針に反するものではないかという指摘をしているわけです。

そこで、まず、事実関係で、プルトニウムの保有量について、IAEAへの報告は全量ということになっておりますので、海外の分も含めて、今、どこにどれだけあるのかということを報告いただきたいと思います。