つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

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2014年5月30日 経済産業委員会

2014.5.30

議事録

本日は、小規模企業振興基本法案及び商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援法の改正案について質問させていただきます。

私自身、実家は小さな商売をしておりました。私が生まれたときは洋服屋だったんですが、大阪の船場などでやっていました。事業がうまくいかなくなって、その後、クリーニングの取り次ぎをやったり、そして、小さなうどん屋さんなど飲食店もやってまいりました。

私の父の父、私の祖父は戦死いたしまして、ですから、父は、生活が苦しい中で、奈良県の山奥から大阪に、中学を出てすぐでっち奉公に行きました。根っからの商売人。昔は、中学を出て、いわゆるでっち奉公に行って、体で商売を覚える。ですから、何回商売に失敗しても、また借金してやると言うんですよ。もうええから、どこか働きに行って、毎月給料を振り込んでくれる家になりたいねんと私は子供のときに思いました。それでも、商売にチャレンジする。

この間、日本商工会議所や、それから全国商工会連合会、そして中小企業同友会など、さまざまな皆さんのヒアリング、また、参考人での御意見も聴取いたしまして、総合しますと、御要望が幾つかありましたけれども、皆さん、最大の課題は資金繰りと。資金調達、確保の支援をしてほしいというのがトップに挙がっておりました。これはよくわかります。私も、小さいときに、盆、正月はないんですね。暮れになったら資金繰り、借金取りが来るかもしれない。だから、家族で正月に遊びに行ったということは一回もなかったんじゃないかと思われます。

二つ目に多かったのは、思い切った販路の開拓の支援。これは、小さい洋服屋や飲食店は、大きな専門店が来ると負けてしまって、なかなか特徴を持っていろいろな販路を開発できない。これも骨身にしみております。

そして、三つ目、税、社会保障に関する負担感の軽減。やはり、社会保障の負担がありますので人を雇えない、それが悪循環になってしまう。また、自営業者は国民年金しかないということで、将来不安も非常に高い。うちもそうでした。今も親はぶうぶう言うてます。

そして、事業承継の支援。結局、うちも七十過ぎて、そこまで店を頑張ったんです、飲食店。やはり、近所に大きなチェーン店のような飲食店が来て潰れてしまったということなんです。

ですから、今回のこの法案というのは私も骨身にしみておりまして、私は商売人党をつくりたいぐらいの気持ちで国会に来たわけです。いつも思うのは、小さな商店が元気にならない限り日本の再生はない、これは信念なんですね。

先日、参考人の方がこういう発言をされたんですね。これは、中小企業同友会の国吉参考人、シンク・スモール・ファースト、これはEUで言われている政策で、事業や政策をつくっていくときに、小さなことをまず最初に考えて、大きな方の支援をしましょう。このとおりだと思うんです。

まず、ちょっと事実関係を確認してから質問に移りたいんですが、調べてみますと、調査室の資料によりますと、企業数全体は三百八十六万者、このうち中小企業は三百八十五万者、九九・七%、これはよく言われます。この中小企業のうち小規模企業は三百三十四万者、中小企業のうちの八七%を占めます。さらに、五人以下の小企業者が三百一万者を占めるんです。ということは、五人以下の、自営業も含める小さなお商売が、全体の七八%、大企業とか全部入れて。

ということは、それこそシンク・スモール・ファーストで、小さな事業をしている人たちの支援を考えていくこと、ここに光を当てた基本法、遅過ぎるぐらいだったんじゃないかと私は思っております。

そこで、大臣にまずお伺いしたいと思うんですが、「中小企業基本法の基本理念にのっとり、」と入っているわけですが、中小企業といえば、これは三億円以下とか五千万円以下、また、従業員数も三百人以下とか五十人以下。一方、小規模事業は全く違いまして二十人以下、または、二、三人の商店街の店なども小事業者に入ります。おのずと、中小企業の対策と、例えば小さな五人以下の小企業者の対策は違ってくると思うんです。

まず最初にお聞きしたいのは、中小企業基本法、そしてこれは二つ目の基本法ですが、これは、中小企業基本法の下にあるわけでもなく、並立で、ちゃんと違う性質の基本法として、関連はありますが、位置づけられているのかどうか。そしてさらに、中小企業対策と、この小規模の小企業者対策は、同じようなメニューではないはずなんです。どこに違いがあるのか。中小企業というところを小規模企業と書きかえて上書きするだけじゃだめなんです。どこに違いがある政策を打ち出していこうとされているのか、この点をまずお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣

お話を伺っておりますと、辻元先生の御家族もさまざまなビジネスに取り組んでこられた。そして先生御自身も、商売人党をつくりたいと。今、国会でも新党の話が出ている中で、また先生もおつくりになるのか、こんなことも思ったところでありますけれども。

昨年の通常国会におきましては、中小企業の成長発展を支援するという基本理念は維持しつつも、小規模企業の意義づけなどをより明確にするために行いました中小企業基本法の改正を含めた、小規模企業にも焦点を当てた八本の関連法案を一括で改正します小規模企業活性化法を成立させたところであります。

今回の基本法は、これをさらに一歩進めまして、小規模企業固有の課題を洗い出した上で、小規模企業の振興に関する施策について総合的かつ計画的に、また関係者が一丸となって取り組む体系をつくり上げる、こういう観点から提出をしたものであります。

これまでの中小企業基本法は、中小企業の成長発展を一つの考え方にしておりました。もちろんこの考え方は維持をいたしますけれども、多くの小規模事業者にとりましては、成長発展だけではなくて、現下の厳しい経営環境の中で、事業を維持する、雇用を維持すること、また、技術を伝承していく、こういったこと自体も重要でありまして、事業の持続的な発展を新たな基本原則として位置づけることとしたところであります。

具体的な政策立案の指針として、中小企業基本法にはない基本計画を策定し、そしてそれの国会への報告、そして、毎年、進捗管理、こういったことを行う旨定めたものでありまして、中小企業基本法と全く方向性が違うかといいますと、そんなことはありません。ただ、より小規模企業に焦点を当て、そこの中でも、事業の持続的な発展のための具体的な方向性を打ち出したのが今回の法案だと思っておりまして、昭和三十八年に中小企業基本法を制定して以来、五十一年ぶりの基本法ということでありまして、小規模企業関係の団体の皆さんの期待も大変大きい。成立によりまして、国として、また地方や関係者も挙げて、小規模企業そして小企業を応援していく、こういう明確なメッセージを打ち出していきたいと思っております。

ダーウィンは進化論の中で、生き残っていく生物は、最も大きなものでも最も強いものでもなく、一番環境に対応できるもの、このように語っております。小規模企業者が事業環境の変化にしっかりと対応できるよう、国としても全面的な支援をしてまいりたいと考えております。

辻元委員

中小企業の対策と同じ方向を向いているのはそうなんですけれども、小規模また小企業者の対策はちょっと別の、切り離すことではないんですけれども、別のものであるというぐらいの姿勢で、やはり細かい施策が必要になると思いますので、取り組んでいただきたいと思います。

大企業はほっておいてもええというわけじゃないんです。私も日本航空が潰れそうなときの担当で、ほんまにしんどい思いをしました。大企業も非常に大変なんですけれども、小さいところ、先ほど申し上げましたように七八%が小さな事業者ですので、そこは別物であるというぐらいで取り組んでいただきたいと思うんです。

そんな中で、小規模企業や小企業者は、お商売という面だけではなくて、社会的な役割も非常に担ってくださっています。

これは、先日、全国商工会連合会の石沢参考人がこういうことをおっしゃいました。小規模企業は我が国の経済発展の原動力であります、加えまして、自営業者が多いわけでありますので、防災や消防団活動、あるいは高齢者支援、また祭りなどの伝統文化、地域社会の担い手であります、小規模企業の振興と地域の発展は表裏一体であります。このとおりだと思うんです。委員の皆さんの御地元でもそうだと思います。

私は大阪の高槻市と島本町というところが選挙区なんですが、例えば高槻まつりという大きな夏の祭りは、商工会議所やJCを初め、商工者が担っておりますし、この五月のゴールデンウイークにも、たった数人の自営業の、カフェをやっている若い人たちが中心になりまして高槻ジャズストリートというのを十数年前に企画をして、三十五万人の町に二日間で十五万人、外からもお客さんが来てくれるというような大きなイベントに育ち、そういうイベントをやることによって、町が生き返る、そしてまたお金を使っていただける。

この五月の十六日には、地元に古い野見神社という神社がありまして、京都に近いですので、古い能舞台があるんです、これをずっと保存してきたんです、高槻商工会議所の皆さんがそこで薪能を、それも、うちの高槻市の能を守ろう、伝統芸術を守ろうという市民団体と一緒になって、薪能をその古い能舞台で、商工会議所が中心になって行いました。

多くの市民の皆さんが来てくれる、そうすると、またそれが商店街の活性化につながるというような取り組みや、それから、同じくこの高槻商工会議所が、障害者雇用ということで、高槻市と障害者団体と商工会議所が一緒になりまして、障害者の雇用をどう持続可能に、自分たちの町でつくり出していくか。これは私もいろいろな会に参加して一緒に取り組みをしているわけですが、そういう意味におきまして、社会の担い手。

そして、先日、民間のシンクタンクが衝撃的な発表をいたしました。人口の減少と東京圏への集中がこのまま続けば、日本の半数の市町村で行政サービスの維持が困難になって、自治体が消えるという推計が出た。これの解決策として、処方箋は、少子化対策の充実と、もう一つ、地方中核都市の重点的整備と町のにぎわいを取り戻す。私は、こういう大きな意味での、社会的な意味だけではなく、今の日本が直面している危機を救うのも、この小規模事業者、小企業者、ここの、今回の基本法にかかっている。松島副大臣が、そうだと。そして、女性の活躍にかかっていると実は思っておるわけですね。

そこで、個々の事業とか企業への支援だけではなく、総合的に、観光の施策、商店街の再生、まちづくり、それから公共交通の整備、地域ブランドの再生。面的と先ほどおっしゃいましたが、総合的な施策が必要だと思うんです。この総合的な施策は、どこでどういうようにつくっていこうとされているんでしょうか。

松島副大臣

辻元委員と本当に思いが一緒で、握手したいような気持ちでございます。

おっしゃるように、お祭りにしても、そして地域の子供たちにボランティアで太鼓を教えたり、剣道を教えたり、あるいは消防団の担い手も、自営業者と言われる、小規模事業よりも、むしろ個人事業主や五人以下の小企業者、こういう方々が中心になっていると思います。

今回の法律におきまして、七条に、私も画期的だと思う条文がございます。一部はしょって言いますけれども、地方公共団体は、小規模企業が地域社会の形成に貢献していることについて、地域住民の理解を深めるように努めなければならない。経済産業省のこういう法律で、地域社会というような、社会の形成に役立つ、こういうような言葉、文言というのは今までほとんどなかったと思います。そういう位置づけにこれをしているわけであります。

と同時に、それを含むもっと大きな連携という意味におきましては、今回の国会で中心市街地活性化法の改正をやりました。これと同時に、これに当たるものを国交省では町の中心部に、経産省の場合は商業施設を設けて、商店街なんかの話でしたけれども、国交省ですと、住民が中心部に住みやすいように、さらに交通体系もそうしよう、そういうような法律を一緒につくることによって人の集まりというものをしやすくするというようなことも今回の国会でやっている次第でございます。

このように、やはり会社を会社としてだけ捉える、会社という、会社と地域が別にあるんじゃなくて、その中にある位置づけというものをしっかりと捉える、これがこの法律だと思っております。

辻元委員

先ほど公共交通と申し上げまして、私、国交省で働いていたときに、公共交通の充実ということで、交通政策基本法、前の国会でやっと成立させていただいたんですが、そういうトータルな施策が必要だと。そのときに、省庁間の連携というのが非常に重要になってきます。中小企業基本法のときもその問題が出されて、そして私たちも、政権のときに、中小企業憲章を制定するということで、中小企業施策のときもさんざん省庁間の連携を言いました。

この中小企業憲章の中にも、これは理念や考え方を初めて整理したということで、今、民間の各種団体の皆さんも、この中小企業憲章を国会決議にしてほしいという御要望や運動もありまして、私も国会決議になるように努力はしていきたいと思っているんですが、この中にも、「関係省庁の連携は、起業・転業・新事業展開への支援策の有効性を高める。中小企業庁を始め、関係省庁が、これまで以上に一体性を強めて、産業、雇用、社会保障、教育、金融、財政、税制など総合的に中小企業政策を進める。」とあるんですね。

ところが、中小企業の対策にしても、小規模事業よりも先にこちらがあったわけですけれども、いろいろ点検していくと、例えば、製造業や商店街は経産省や中小企業庁、食品産業や水産加工業などは農林水産省、建設業や貨物自動車運送業などは国交省、そして理容・美容業やクリーニング業や福祉関係は厚労省というように、やはり、先行していたはずの中小企業対策もまだまだばらばら感があるんですね。

今、経産省の中に、中小企業や小規模事業に対して、省庁縦割りではなくトータルに、しっかりとした施策を打ち出そうという会議があるのは存じ上げておりますけれども、特に小規模企業などに関しては、先ほど申し上げました、地域の崩壊ということを食いとめる、これは国家危機対応の一環だと私は思うんですね。このままほっておくと、少子高齢化の中で都市と地方の格差が広がり、後で災害のことも申し上げますが、国家危機対応の一環というぐらいの重要な位置づけで、小規模企業等の対策を、省庁を横断して議論し、施策をつくっていくような、それこそ総理直轄の専門の会議ぐらいつくった方がいいんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣

考え方としては、どういう組織をつくるかは別にしまして、委員のおっしゃるとおりだと思っておりまして、縦割りで、なかなか小規模企業対策ができない。

先ほど申し上げたように、地域を面として捉えて、そこの中で、中小企業政策から交通ネットワークの話から、さらには地域自治体も巻き込むわけでありますから、総務省、そして自治体本人、さらには金融庁の地域金融、全体として取り組むような体系というものをきちんと整えてまいりたい、こんなふうに思っております。

まさに地域のコミュニティーをどういうふうに維持していくかということが極めて重要でありまして、先ほど、御地元の神社の薪能について、地域の商工会の方々等々が運営にかかわっておられると。神社は、もともと、ルソーの社会契約論を中江兆民が訳すときに、ソサエティーという言葉がなかなか訳せないということで、神社の社で会う、社で会うというところから、日本のコミュニティー、ソサエティーというのはできているわけでありまして、こういった、地域を中心に省庁のネットワークをしっかりとつくっていきたいと思っております。