右の質問主意書を提出する。
平成二十九年三月九日
提出者 辻元清美
衆議院議長 大島理森殿
安倍昭恵内閣総理大臣夫人の総理公務補助とそれを支援する職員に関する質問主意書
二〇一七年三月七日に閣議決定された答弁書によれば、安倍昭恵総理夫人が「内閣総理大臣の公務の遂行を補助すること(以下「総理公務補助」という。)を支援する職員二名を内閣官房に置いているほか、日常的には各省庁で勤務しているが、安倍総理夫人の総理公務補助を必要に応じ支援する職員三名を内閣官房に併任させている。」ということであった。関連して以下の国会答弁がある。
〈二〇一七年二月二十八日、参予算委〉
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の妻は、一応、私の妻ではありますが、これ一応私人であります。
〈二〇一七年三月一日、参予算委〉
○内閣総理大臣(安倍晋三君)妻は、妻は私の言わば総理大臣夫人として外遊等に同行する上においては公人的な色彩を持つわけでありますが、妻は妻、別途人生があるわけでございますし、例えば原発政策において私と相入れないところの集会に行くこともあるわけでありますが、それは全く公人ではないわけですよね。そういうものもあるわけでありますし、先方がどういう肩書を書いているかということまではそれは責任を持てないわけでございますが(略)。
〈二〇一七年三月二日、参予算委〉
○政府参考人(土生栄二君)総理夫人が内閣総理大臣の公務を補助する活動を行うためには、総理の出張に同行する場合には旅費法の対象となり得るということでございます。その場合、総理夫人に対しましては、交通手段及び路程に応じ、その際に掛かった経費が交通費として支払われるということでございます。なお、第二次安倍内閣発足以降、日当は辞退の申出がなされており、支払われていないということでございます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 何名付けるかということについては、これは相談して決めていることでございまして、実は、今でもそれは、相当それぞれ二人の常駐の方は忙しい日程になっているということは申し添えておきたいと思います。
○政府参考人(土生栄二君)秘書の数につきましては、先ほど来お尋ねがございましたけれども、平成十八年以降、多くは非常勤一名ということで推移をしておりまして、民主党政権時代も同様の状況であったというふうに聞いております。(略)安倍内閣になりまして、地球儀を俯瞰する外交、あるいは経済活動の強化ということで、総理夫人の業務が多大に拡大をしているという状況から体制の強化を図ったということでございます。
○政府参考人(土生栄二君) 私的な行為につきましては、その活動については関与しないというふうに承知しております。
〈二〇一七年三月三日、衆国交委〉
○土生政府参考人 職員につきましては、確認をしたところ、公費により出張した事実はないということでございます。仮に私的な行為でということにつきましては、政府としてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○土生政府参考人 一般論として申し上げますと、夫人の依頼によりまして、夫人側の負担によりまして国内において出張するということはあり得るものと承知しております。
○土生政府参考人 平成二十七年九月五日につきましては、たしか土曜日であったと思いますけれども、勤務時間外でございまして、これは職員の私的活動に関することでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○土生政府参考人 私的な行為として同行していたということはあり得るものと考えております。
〈二〇一七年三月二日、参予算委〉
○内閣官房副長官(野上浩太郎君)(森友学園に随行した公務員の旅費)その旅費につきましては、総理夫人が支払われているということであります。
〈二〇一七年三月八日、衆経済産業委〉
○土生政府参考人 職員としましては、当面の公務遂行補助活動に関する連絡調整を行うため、公務として同行をしていたということでございます。私的な活動そのものを職員がサポートするといったものではなかったものと承知をしている(略)。
○土生政府参考人 常時そうした連絡調整等の必要が生じているということでございますので、その時期に連絡調整等の業務が必要であれば、同行をしまして、夫人と、例えば車中あるいは空き時間等で打ち合わせをしまして、次の行動予定を決めていくということでございます。
以下、質問する。
問一 総理夫人の「総理公務補助」について
1 安倍総理夫人は「内閣総理大臣の公務の遂行の補助に係る活動を、私人としてその補助をしていただいている」ということだが、「公務の遂行の補助に係る活動を、私人としてその補助をする人」は、安倍総理夫人以外に、どのような人が相当するのか。
2 安倍総理夫人以外に、「公務の遂行の補助に係る活動を、私人としてその補助をする人」に相当する人で、支援する職員を常勤でつけていた人は、戦後、また現在の日本で、安倍総理夫人以外に存在するか。
3 「経済活動の強化」ということだが、総理夫人が担う総理公務補助とは、具体的にどのようなものがあるのか。経済産業省から二名の公務員を派遣しているということだが、この二名が担当しているのは「経済活動の強化」に関わる総理公務補助と考えてよいか。
4 安倍総理夫人の総理公務補助の具体的な活動については、政府内の誰が、どのような権限で定めているのか。政府が定めた総理公務補助の具体的な活動について、安倍総理夫人が断ることはできるのか。また、安倍総理夫人が私的な活動を理由に、総理公務補助を断った事例は過去にあるのか。また、安倍総理夫人の私的な活動が障壁となって、総理公務補助が遂行されなかった事例は過去にあるのか。
5 安倍総理夫人以外の「私的な行為」に、総理公務補助の支援を行う職員が、公務として同行した事例を示されたい。
問二 総理夫人による総理公務補助を支援する職員について
1 平成十八年十月四日から平成十九年九月二十五日まで及び平成二十年十月九日から現在まで、総理夫人による総理公務補助を支援する職員は、それぞれの年次ごとに何人置かれてきたか。主たる勤務地、採用された官庁、常勤か非常勤かの区別、その職務内容について明らかにされたい。
2 「何名付けるかということについては、これは相談して決めている」ということだが、安倍総理夫人については、誰と誰が相談し、何を基準に決めたのか。安倍総理はそれに関与したのか。安倍総理夫人の意向は関係しているのか。
3 総理夫人による総理公務補助を支援する職員が、総理夫人による総理公務補助の支援をするために出張した場合、旅費・宿泊費・日当等の諸手当は二〇一六年十二月の各府省等申合せにしたがい、適切に支給されるものか。また出張において正規の勤務時間を超えて勤務したことが証明できる場合には、「一般職の職員の給与に関する法律の運用方針」にしたがい、超過勤務手当が適切に支給されるものか。
4 総理夫人による総理公務補助を支援する職員が、総理夫人の私的な行為の支援をするために出張した場合、旅費・宿泊費・日当等の諸手当は支給される対象となるか。またその場合、正規の勤務時間外の活動であったときは、超過勤務手当は支給される対象となるか。
5 安倍総理夫人の「私的な行為」の時間内に、総理公務補助を支援する必要があると判断するのは誰か。個々の職員の判断で行われるのか。その場合の基準は何か、具体的に示されたい。
6 当該職員が安倍総理夫人の「私的な行為」に公務として同行した日付、時間、場所、内容についてすべて明らかにされたい。その場合に、旅費・宿泊費・日当・超過勤務手当等の諸手当が公費から支給された金額はそれぞれいくらか。また、安倍総理夫人により支払われ、公費の支払が減免された金額はそれぞれいくらか。
右質問する。