民進党の辻元清美です。総理が訪米され、首脳会談が行われ、日米共同声明が出されました。これはスタートで、私は、これから経済と安全保障の面でさまざまな荒波が押し寄せてくるのではないかと懸念しております。
トランプ・リスクといいますか、一つは、経済の面では、為替にまつわることであったり、安全保障の面では、特にトランプ大統領はISIL打倒ということを鮮明にしていますので、日本へのこのことも含めた協力、自衛隊への要請などあるのではないかと、トランプ・リスクということで、私は懸念する面がございます。その中で、経済は麻生副総理にこれからかじ取りを、そして安全保障の面では、日米共同声明を見ますと、安全保障の最後のところに、外交・防衛担当閣僚に対し、日米両国おのおのの役割、任務及び能力の見直しを通じたものを含め、日米同盟をさらに強化するための方策を特定するため、日米安全保障協議委員会、2プラス2を開催することを指示したと入っております。これから、特に安全保障、防衛面は稲田大臣を中心に議論していくということになります。そんな中で、稲田大臣は、先日、マティス国防長官とも会談をされております。そこでも、我が国は防衛協力を、質も量も強化し、みずから果たし得る役割の拡大を図るというようなことを話されたということです。
さて、そこで、これから、日本は憲法九条がございますので、できることとできないことがあります。ここの線引きはしっかりアメリカにも理解してもらわなければなりません。それと同時に、シビリアンコントロール、これをしっかりきかせて、そしてこの協力を果たしていくということ、この二つが非常に重要だと思います。
そこで、最初に、ちょっと先週問題になっておりました南スーダンの日報破棄問題、二、三確認をしたいと思うんです。これは、先週の過程でも、どうも日報を隠蔽したのではないかとか、それから、現場では、南スーダン、七月に大きな戦闘があったということを衝突と書きかえているけれども、これは果たしてどうなのか。また、最近、統合幕僚長が現場に対して、あたかも、現場が戦闘と書くことを衝突と言うように、現場を自粛または萎縮させかねないような発言も出ておりまして、非常に懸念がございますので、幾つかこの点について、まず、稲田大臣に質問をさせていただきたいと思います。ちょっとパネルも示しながらいきたいと思います。
まず、稲田大臣は、先週、こういう発言をされました。これは先ほど申し上げました、今後、日米の協力でも憲法九条でできることとできないことの線引きを大臣みずからがしっかり認識していてもらわないと困るんですけれども、先週、南スーダン の現場のいわゆる日報というものが見つかり、そこには、ちょっとパネルを見ていただきましたら、 衝突ではなく戦闘と。これは七月の状況ですね。 宿営地から二百メートルに着弾。二百メートル宿営地から離れたところに着弾したということは、一つ間違えれば、宿営地を直撃ということになる事態。そして、激しい銃撃戦、さらには、戦車、砲撃砲で戦闘と書かれていた。これが現場の派遣部隊の記録でした。これは情報公開でジャーナリストが請求したわけですけれども、それが、破棄されて、ないということを、防衛省は最初はそういう態度でした。そして、その間に、駆けつけ警護の閣議決定があり、そして自衛隊を派遣するということをした後に、いや、見つかりましたというように、見つかってきたわけです。そして、一カ月大臣は知りませんでしたというのが先週までなんです。その過程での質疑で、現場は戦闘があったと言っているじゃないか、大臣の報告は衝突になっていますね、ここが問題になりました。そこで、大臣は、国会で答弁をする場合、憲法九条上の問題になる言葉を使うべきではないということから、武力衝突という言葉を使っておりますという御答弁をされたんです。
これは、憲法九条で違反をすることであっても、抵触しても、言葉を置きかえて合憲にしてしまうととられかねない発言なんですよ。わかりますか。それでは、この衝突それから戦闘、憲法九条の稲田大臣にとって線引きは、何はしちゃいけないのか。南スーダンがどういう状況になったら自衛隊は、PKO五原則はもとより憲法九条上に抵触するから、どういう状況になったら撤収しなきゃいけないとお考えですか。線引きを教えてください。
○稲田国務大臣
まず、委員の質問の中で事実的に、事実が異なっているところは指摘させていただきます。 前回の質問の中で、戦闘を衝突に書きかえたということが問題になったことはありません。また、日報の戦闘を衝突に書きかえたということもございません。さらには、隠蔽したということもありません。さらには、破棄をしたことは事実でありますけれども、破棄をしたことは、これは陸上自衛隊の文書管理規則に基づいて破棄をしたということなので、違法でもありません。
その上で、今委員が御指摘の、七月の段階の大臣報告資料、衝突事案というところを問題にされております。その時点で、私は大臣ではありませんでした。そして、前回の質問において、私が、戦闘という言葉を国会で使うことは、戦闘行為という、まさしく委員が問題にされているところの、PKO五原則にとって戦闘行為があったかどうか、まさしく国際紛争の一環として国、国または国準との間で行われるところの人を殺傷し物を毀損する行為かどうかということが非常に問題になっている中で、一般的用語としての戦闘、すなわち国または国準の間での紛争ではない、国際的紛争の一環としての紛争ではないものについて、その戦闘行為と紛らわしい戦闘というものは使うべきではないということを申し上げたわけであります。どうなったら憲法に違反するかどうか。
まず、PKO五原則、これは……(発言する者あり)お答えいたします。国対国、国または国準の間の国際紛争の一環としての戦闘行為が行われるような場合、この場合はPKO五原則に抵触をしてくる、すなわち憲法上の問題が起きると思います。しかし、それがあればそれでいいのかということではないんです。まさしく七月の事案のような大規模な武力衝突があって、そして自衛隊がその宿営地から出られない、みずからの安全を確保しつつ有意義に活動できるかどうか、そこもしっかり見て考えるということでございます。
○辻元委員
私は、大臣失格だと思いました。 前の大臣の説明資料だから私は知りませんとおっしゃいました。防衛省はそういう組織なんですか。事実、防衛省の中で使われた資料を私たちは細かく見ております。そういう大臣は見たことないです。
それでは、稲田大臣にお聞きしましょう。今、国または国に準ずる組織がそれぞれ戦う、それは戦闘だ。それでは、今、ISILをめぐるシリアの内戦は戦闘ですか、衝突ですか。
○稲田国務大臣
今、その点について法的な評価をしておりません。
○辻元委員
今までの防衛省の答弁、ISILについてはどういう評価でしたか。御存じないんですか。歴代の大臣が答えていますよ。御存じないんですか。稲田大臣です。
○稲田国務大臣
国であるとか国準であるとかの法的な評価はしていないと承知しております。
○辻元委員
それでは、稲田大臣のその物差しでいけば、ISILをめぐるシリアでの今の内戦状態は衝突ということですね。
○安倍内閣総理大臣
それは、私は自衛隊の最高指揮官でありますから。(発言する者あり)
○浜田委員長
静粛に。
○安倍内閣総理大臣
従来から私は何回もこの予算委員会で既に答えておりますので、私が答えた方が適当だろうと思ったわけでありますが、ISILに対しての軍事作戦についての後方支援は、私たちは政策的には考えていないということを申し上げておりますので、当然、それに対する検討 は行っていないということでございます。
○辻元委員
全く質問と違う答弁を総理が出てお答えになる。今私が質問したのは、稲田大臣の、先ほどISILについては、要するに国に準ずる組織という判断はしていないという御答弁でしたよ。ですから、ISILをめぐる今シリアで内戦状態になっているのは、その判断基準でいけば、 戦闘が行われているのではなく、あの状態は衝突ということになるんですねと聞いたんです。いかがですか。
○稲田国務大臣
今ほど総理が答弁申し上げましたように、ISILについて、国、国または国準であるかどうかの法的評価を行っていないわけであります。したがいまして、戦闘行為かどうかの前提としては、国または国準の法的評価がない限りはやらないということでございます。
○辻元委員
ということは、衝突ということでいいんですね、稲田大臣。
○稲田国務大臣
戦闘行為という用語についての法的な評価は行っていないということでございます。
○辻元委員
ISILをめぐる問題については、今後、日本は有志連合に入っていますよ、トランプ政権からいろいろな相談が来ると思いますよ。しかし、これが戦闘か衝突か評価していない。防衛大臣として、私は、しっかり、一体これはそうしたらどういう事象なの。ISILが、今いろいろな、シリアの内戦のようになっていますね。あれは稲田大臣はどういう事象だと捉えているの。
○安倍内閣総理大臣
これは、政府としての統一見解を先ほど申し上げたのであって、私がここで何回も答弁をしておりますように、ISILに対する軍事作戦の後方支援はしないということを政策的な判断として申し上げました。しないわけでありますから、それは憲法との関係で行えるかどうかということを検討する必要がないわけでありますから、検討していない。検討していないわけでありますから、防衛大臣が政府を代表して答えられる立場にはないということは明確にさせておきたいと思います。
○辻元委員
委員長、もう二度とないようにしてください。というのは、総理、私は防衛大臣に質問しているわけです。そこに、防衛大臣が答えずに総理が出てくる。これは、世界じゅうに対して、この防衛大臣は情けないなと思われるんですよ。これから2プラス2を任せるんでしょう。総理みずからが、この防衛大臣では任せるのはちょっと心もとないなと思うから答弁に出てきているんじゃないですか。そうじゃないんだったら、出るのをおやめいただきたい。
それでは、経過に行きます。経過に行きますね、稲田さん、しっかり答えてくださいよ。
この日報の問題について、一月二十四日、本会議場でも、安倍総理の施政方針演説に対して、共産党の志位和夫議員が、この日報が破棄された問題を取り上げました。志位さんはこう言っています。国連PKOに参加する陸上自衛隊幹部が、首都ジュバで昨年七月に大規模な戦闘が発生した際の状況を記録した日報を破棄していたことが明らかになりました、日報を破棄した自衛隊幹部の行為を是とするのか非とするのか。日報が破棄されていたということを前提に、是とするのか非とするのかと質問しました。それに対して総理は、破棄した行為について、関係法令に基づいて取り扱っている旨の報告を受けていると、破棄は問題はないという答弁をしているわけです。
稲田大臣にお聞きします。一月二十四日というのは、この一カ月前の十二月の二十六日に、既に防衛省では、日報はあった、この記録はありましたと確認をしているわけですね。そして、その確認された約一カ月後に、志位代表質問で、この戦闘と書かれた記録、日報があるかどうか問われ、ないことを前提にした答弁をしているわけですよ。これは問題じゃないですか。普通、代表質問への答弁は、関係部局、そしてこの場合は統合幕僚監部、そしてさらには官邸も含めて、総理への代表質問の答弁は調整をするはずです。一カ月前にこのいわゆる日報があるということは確認されているのに、一月二十四日、志位代表質問での答弁では、ないとしていた。これは組織ぐるみの隠蔽ではないですか。
○稲田国務大臣
まず、先ほども御答弁いたしましたように、破棄したこと自体は陸上自衛隊の文書管理規則にのっとったもので、目的を達成した後に一年以内に破棄する文書として破棄をしておりました。しかしながら、私も、十二月十六日に破棄による不開示決定の報告を受けたときに、本当に破棄をしたのか疑問に思い、その捜索を指示したところでございます。そして、今委員が御指摘になったように、統合幕僚監部において日報のデータを昨年十二月二十六日に確認し、それ以降、日報の内容の確認、中央即応集団司令官報告資料の内容の確認、双方の文書の不開示箇所について精査、調査が行われていたところでございます。また、並行して、当初の不開示決定に係る経緯などについて把握することに努めておりました。
そして、委員御指摘のように、私に報告があったのが一月二十七日であったことは事実でございます。一度破棄したと説明した資料が発見されたことを明らかにする以上、防衛省としては、その資料の内容をしっかりと国民に向けて説明する必要があり、私に説明を行うに当たり、一定の準備が必要だったということですが、他方、今委員が御指摘になったように、私の指示で探索した結果、資料が見つかったという事実自体について、事務方から速やかに報告が上がるべきだったと私も思います。私としても、この点を関係部署に対し厳しく指導し、注意をしたところでございます。(発言する者あり)
○浜田委員長
静粛に願います。
○辻元委員
稲田大臣、昨年の十二月二十六日に 見つかっていたわけですよ。今おっしゃった稲田大臣の答弁は、先週も何回もお聞きしました、黒塗りしていたとか、いろいろ。でも、一月二十四日に代表質問で問われたときに、関係部局が集まって、日報はある、これは確認しているわけです、統合幕僚監部も。そして、内局も知っていたと私はきのう聞きました。
ということは、日報はあるけれども、共産党の志位委員長の質問でした、この代表質問に対して、日報はありましたと言うか、日報は、いやいや、ないんだということにして答弁するか、防衛省の中で検討して答弁をしているんじゃないですか。事実は、このとき問題になっていたわけですよ、駆けつけ警護をめぐって、戦闘があったんじゃないか、焦点になっておりました。だから、代表質問で質問があったわけです。
もう一回言いますよ。一月二十四日に代表質問の答弁を調整する際に、既に黒塗りしていました何だかんだと言っていましたよ。では、この日報は、この段階ではあるけれども、ないことにして答弁しようということを組織ぐるみで調整、相談して答弁したと。そうじゃないと答弁できないじゃないですか。どうですか。その相談はして、ないことを前提に今回は答弁しておこうと決めたということですね。違いますか。どうぞ。
○稲田国務大臣
その時点の総理の答弁を私が見たときに、私は、破棄をしたという前提で見ておりましたので、全く違和感は感じませんでした。しかしながら、今委員が御指摘のように、その時点においてどうだったのか、そしてどういう認識であったかということも含めて、しっかりと検 証、調査をしたいと思っております。
○辻元委員
これは、先週から、シビリアンコントロールの問題と直結しているから取り上げているんです。南スーダンの現場で一体何があったのか、そして、それを現場の隊員がどう伝えているのか、そして、自衛隊の中で、そして防衛省の中でどう取り扱っているのか、大臣は蚊帳の外だったということですか。
私が南スーダンの問題について九月にもここで質問しましたね。どんな説明を受けていたんですか。そして、一番大事な現場の報告ですよ。これは私は一番大事だと思います。今後、ほかの活動にも自衛隊が行くかもしれない。そして、国会での答弁です。代表質問ですよ。総理の口からしゃべる答弁ですよ。
では、大臣の今の話だと、私は知らなかった、でも……(発言する者あり)蚊帳の外なんですよ、実態は。私は知らなかった、でも、防衛省の中の内局と統合幕僚監部で相談して、既に見つかっている日報はあるけれども、確認をしているけれども、これは廃棄したと言っているから、隠して、うその答弁をつくった、しかし私は知りませんでしたと言っているということですね。いかがです か。
○稲田国務大臣
まず、委員御指摘の、私が蚊帳の外で、南スーダンの情勢について何も知らされていないということをおっしゃいました。私は、大臣に就任してから、今もそうですけれども、毎日毎日、南スーダンの情勢について、日報のみならず、現地の情報、さまざまな情報、そして二十四時間以内の状況について報告を受けております。その上で、PKO五原則が守られているかどうか、そして要員の安全を確保して、そして有意義な活動ができているかどうか、今も自衛隊は灼熱の地で毎日道路工事をしているわけです、そういった状況についてもしっかり確認をした上で、派遣の延長、それから駆けつけ警護についても判断をしたところでございます。
そして、今の日報の破棄の点、そして破棄が、破棄していなくて実は見つかったということについては私は一月二十七日まで知らなかった、その事実を申し上げたということでございます。
○辻元委員
ですから、私が今お尋ねしているのは、私は知らなかった、しかし、内局や統合幕僚監部で、既に見つかっているものを隠蔽し、総理の答弁をつくったということでよろしいですか。
○稲田国務大臣
そういった点も含め、大臣の指示を受け再探索し、文書が発見され開示に至った経緯、この点についての事実関係は、しっかりと調査してまいりたいと考えております。
○辻元委員
答えておりません。先週から何をしていたんですか、この問題で。もう一度言いますよ。大臣が私は知らなかったという答弁は、結局どういうことにつながるかといえば、先ほど大臣は、統合幕僚監部などで、十二月の二十六日、この代表質問の約一カ月ぐらい前に日報は見つかった、しかし、どこを黒塗りにするのか、部局で検討していたと言っていましたね。そしてこれは、情報開示請求が来ているので、内局も一緒にやっていたわけです。この一月二十四日の代表質問への答弁をつくるに当たって、私は知らなかった、しかし、結果として防衛省の組織ぐるみで、ないことにして答弁しようと誰かが調整してそうしたということだから、組織ぐるみで隠蔽したということになるんじゃないかと聞いているんです。いかがですか。
○稲田国務大臣
私が探索を命じて見つかって開示に至るまでの事実経過については、しっかりと検証してまいりたいと思います。その上で、今委員が御指摘になった総理の御答弁ですけれども、 御指摘の日報は、南スーダン派遣施設部隊が、毎日、上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けています。 なお、日報の内容は、報告を受けた上級部隊において、南スーダンにおける活動記録として整理、保存されていると承知しています。この点については、事実の誤認はなかったというふうに思っております。
○辻元委員
今の答弁は、代表質問に対して総理がお答えになった答弁を擁護しているんですよ。 結局、虚偽に基づいて国会の質問に答えたことを、いや、これは虚偽じゃなかったと、大臣みずからが今擁護しているわけですよ。わかりますか。今そういう答弁をしたということは、あなたも一緒に調整したということをみずから露呈したということですよ。いかがですか。
○稲田国務大臣
そういうことではございません。 私は、一月二十七日に初めて知ったわけであります。その上で、総理がどう答弁されていたかということを今紹介したにすぎません。私は、今委員が私に尋ねたことと同じ疑問を持ちました。なので、今、その期間における事実関係については、しっかりと調査をして検証してまいりたいと考えております。
○辻元委員
もう一回ちょっと見ていただくと、十二月二十六日に見つかっているわけです。そして、一月二十四日に、この問題の一番焦点になっていた、南スーダンの戦闘が書かれている記録、 日報がどうなのかと代表質問で問われたわけです。そして、これは見ていただいたらわかるように、一月二十五日に統合幕僚長に日報の存在を報告、一月二十七日に稲田大臣に報告。二十四日に質問されているわけですよ。これは明らかに、統合幕僚長に報告する直前ですよ、二十四日に、黒塗りをしていましたとかどうのこうの、そんな話、通用しないですよ。前日ですよ。前日でも、これを出さない、この日報の存在は伏せて答弁をするということを、防衛省の中で誰かがそう決めないと答弁をつくれないじゃないですか。わかりますか。誰か一人で、これを見せない、見せないと隠していたのと違うんですよ。この話は、黒塗りをどうするかとか、これが正しいのならばですよ、統合幕僚長に報告する直前ですよ、質問は。だから、防衛省の中で組織ぐるみで隠蔽していたと認定できるじゃないですか。違いますか。それを今、これから調査する。もう認めたらどうですか。組織として隠していましたと認めたらどうですか。いかがですか、大臣。
○稲田国務大臣
まず、破棄したこと自体は法律違反ではありません。しかしながら、私も、あるんじゃないかと思って捜索を指示いたしました。そして、あったら必ず公開しろ、探して、あれば必ず公開しろということで指示をしたわけであります。そして、一カ月後の一月二十七日に報告を受けた。この経過については、しっかりと事実関係を調査したいと考えております。
○辻元委員
私は、現場の自衛隊員の皆さんは、今も南スーダンで、過酷な状況の中で頑張ってくださっていると思います。そして、私、内局や統合幕僚監部の人たちも頑張っていると思いますよ。 しかし、結果がこうだったわけですよ。どっちかしかないんですね。統合幕僚監部や防衛省の内局で代表質問の答弁をめぐって調整をして、あった、その問題になっている記録、日報がなかったことにしようと組織ぐるみで決めた。それを大臣が知っていたら、自分でみずから指図したということになります。知らなければ、蚊帳の外に置かれていたということなんですよ、実際に。総理大臣の答弁です。その自覚はありますか。自分にどんな責任があると思いますか。蚊帳の外に置かれていましたとみずから今御自分でおっしゃっているに等しいわけですよ。それで、今から 調査をします。これは人の命がかかっている問題なんですよ。
例えば、南スーダンに行く自衛隊の家族の方々です。こんなことをおっしゃっていました。報道もされています。防衛大臣が戦闘を武力衝突と言葉を言いかえて現地を安全かのように表現するなんて、国民をばかにしている。派遣隊員に関する新聞記事を見かけると、目を皿のようにして読んでいる、とにかく無事で帰ってくるのを待つしかない。この人は隊員のお母さんなんですけれども、見送った息子にお守りを手渡した。そして、戦闘があったと認識しているなら、家族に報告するのが筋だ、不安を抱えながら送り出した家族を何だと思っているのか。これは青森市の、自衛隊員の息子が南スーダンに行っているお父さんなんですよ。ですから、現場で一体南スーダンがどうなっているのか。特に七月に大きな戦闘があった。それは一体現場ではどのように記録されていたのかということは、非常に重要な問題としてきたわけです。
先週までは、大臣がああ一カ月も知らなかったのか、それだけで当事者能力がないじゃないか、大臣として務まるのか。先週は、辞任したらどうかという声までこの委員会で出たんですよ。それで、今週、引き続き、一月二十四日に代表質問があった折は、その一カ月前に見つかっているわけですから、調整をして、少なくともこの日報はなかったことにして答弁をしましょうということを防衛省の中で相談して決めたということですねと。 事実が物語っているじゃないですか。そこまでは お認めになった方がいいですよ。大臣、いかがですか。
これは私が別に個人的に言っている話ではない。自衛隊員の家族や、今南スーダンに派遣されている自衛隊員、そのことにも思いをはせて、間違ったことは間違ったと言った方がいい。実際に、調整しないと、あったものをなかったということを前提にした答弁はできないじゃないですか。どうですか。あったということを言っていないんだか ら。どうですか。そこまではきょうはお認めになった方がいい。
○稲田国務大臣
まず、御家族のその発言について紹介をされました。私は戦闘を武力衝突と言いかえているのではないんです。そうではなくて、戦闘行為というのは、非常に重大な意味を持っていて、国または国準、国対国の国際紛争の一環として行われるという非常に重い言葉であるので、それと紛らわしい戦闘という言葉は使わない。そして、国または国準… …(発言する者あり)それは国会の場です。国会の場では使わない。しかしながら、自衛隊が、みずからの安全を確保しつつ、そして有意義な活動ができるかどうか、その生の事実はしっかり見ましょうと。七月のあの重大な武力衝突、そういったものについて、生の事実はしっかりと見た上でそこは要件を判断していくということでございます。その上で、私が一月二十七日までその日誌が存在することを知らなかったということは事実でございます。そして、その間に総理の答弁があったことも事実でございますので、今御指摘の点も含め、しっかりと調査をしてまいりたいと考えております。
○辻元委員
実際に答弁ができ上がり、本会議場で答弁されているわけです。調べるまでもないですよ。調整しないと、ないことを前提にした答弁はつくれませんよ。違いますか。ですから、この答弁は防衛省の中で調整してつくったわけですね。どうですか、稲田大臣。どこかから降って湧いたわけじゃないですよ。稲田大臣、防衛省の中で調整して、先ほど……
(安倍内閣総理大臣「これは私の答弁だから」と呼ぶ)総理、控えてください。総理、先ほど申し上げたよ うに、稲田大臣になったらむきになって私が私がというのは、もうおやめになった方がいいですよ。それをすればするほど、大臣の資質に欠けるということを総理みずからが証明されていることになるんです。これから2プラス2とか、国際的に見ても、大丈夫かしらと思われるんですよ。
稲田大臣、お答えください。答弁は省内で調整して……(発言する者あり)菅原さん、さっきの注意は聞いていないの。これは与野党関係ないですよ。代表質問での答弁ですよ。自民党の皆さんも、これが私たちの政権のときだったら徹底追及されるんじゃないですか。立法府と行政府の問題でもある。シビリアンコントロールの問題でもあ る。大臣、もう一度申し上げますよ。防衛省の中で調整して答弁はつくったんですね。
○稲田国務大臣
総理の答弁をつくる際には、もちろん防衛省も関係しますでしょうけれども、関係各省、そして官邸としっかり調整をした上でつくっているというふうに認識をしております。
○辻元委員
今、関係省庁及び官邸も一緒になってこの答弁をつくったという御答弁でした。そうなると、もっと火が広がりますよ。組織ぐるみ、防衛省ぐるみだけじゃなくて、政権ぐるみで隠蔽していたということになるんじゃないですか、稲田大臣。どうですか。稲田大臣が言ったんだ、今、官邸もって。官邸も関与しているんですね。どうぞ。
○稲田国務大臣
一般論として、総理の答弁をつくる際には、関係各省そして官邸、調整した上でつくるのは当然だと思いますよ。民主党政権でもそうだったというふうに思いますよ。その上で、その事実関係については調査するというふうに申し上げているわけでございます。
○辻元委員
調査するまでもなく、既にこの問題の記録はあったということを防衛省の中で確認されているのに、それを伏せて、誰かが伏せておこうというようにして答弁をつくらないとつくれないわけです。ですから、稲田大臣御自身のおっしゃっていること、わかりますか。稲田大臣みずからが、官邸も関与するのは当たり前じゃないかと。官邸も含めて、そうすると、組織ぐるみで、問題の、戦闘と書かれている記録がなかったことにして、では官邸も一緒になって答弁をつくりましょうということにした、今回もということですね。稲田大臣、もう一回答弁してください。総理、総理……(安倍内閣総理大臣「いや、私 に対する質問も、答えも正確じゃない」と呼ぶ)違う違う。もういい。総理はいい。委員長、委員長……(発言する者あり)
○浜田委員長
静粛に願います。稲田防衛大臣、その後に内閣総理大臣から答弁願います。
○稲田国務大臣
まず、隠蔽する意図は全くありませんでした。そして、隠蔽する意図がないから今開示しているんじゃないんでしょうか。ですから、隠蔽を組織ぐるみでやったということについて、私は否定します。しかしながら、なぜ、一カ月間、これだけ時間がかかったのか、そして、今、総理の答弁がどうだったのかということをおっしゃいましたので、しっかりと事実関係は調査をいたしますということを申し上げております。
○安倍内閣総理大臣
志位さんの私に対する質問は、日報があるのかないのかという質問ではありません。志位さんの質問というのは、破棄したことを前提として、日報を破棄した自衛隊幹部の行為を是とするのか非とするのかという質問でございました。ですから、私の答えは、日報は、南スーダン派遣施設部隊が、毎日、上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けている。これは、まさにそういう報告を受けているわけであります。いわば、紙の文書については破棄をしましたが、しかし、それは法令上問題なかった。それが電子的に残っているということがこのときわかっていたということでありますが、でも、質問はそういうことではなくて、破棄……(発言する者あり)今、ええっという、私の言ったことは聞いていなかったんですか。破棄したということについてどうだったかということを聞かれているわけでありまして、それに対しては、まさに私は、答えたのは、破棄したことを是とするのかどうなのかということについては、これは、本会議ですから、聞かれたことにしか答えられませんから、御指摘の日報は、南スーダン派遣施設隊が、毎日、上級部隊に報告を行うために作成している文書であり、公文書等の管理に関する関係法令及び規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けています、なお、日報の内容は、報告を受けた上級部隊において、南スーダンにおける活動記録として整理、保存されていると承知しております、このように答えているわけでございます。
それと、殊さら我々は戦闘というものを隠蔽しようという意図はそもそもないわけでございまして、事実、平成二十四年に、隣国のスーダン軍の戦闘機が南スーダンを繰り返し空爆するなど、スーダンと南スーダンとの間で大規模な武力衝突が発生しました。そのときも、部隊の報告書には戦闘という言葉が使用されているんです。ちなみに、これは民主党政権時代ですよ。そのとき、自民党議員の質問の主意書に対しては、野田政権は、戦闘については全く言及せず、武力紛争は発生していないとの答弁書を閣議決定しているということは申し添えておきたい。そのときも戦闘という言葉は書かれているということは申し 添えておきたいと思います。
○辻元委員
まあ、総理、そうむきにならずに。先ほどから申し上げているように、稲田大臣になったら……(発言する者あり)
○浜田委員長
静粛に願います。
○辻元委員
後方支援なのか何だか知りませんが、今総理がおっしゃったことは全部承知して質問しているんです。承知していますよ、それは。それは、稲田大臣も記者会見で同じような、つくったお答えをされているからなんです。私が申し上げているのは、既に十二月二十六日に見つかっていたものを、一月二十四日に、あるけれども、これはあるということは、普通は、あったらありました、一月二十五日に統合幕僚長に 報告しているわけですから、どうしますか、これ はあるということは言わずに答弁しましょうねと、ないことを前提にして答弁していることが問題なんじゃないですかと言っているわけですよ。それはそうですよ。ですから、今総理は、さっき稲田さんが答えたことと同じことをおっしゃった。そういうことを おっしゃるだろうなと思ってここに立っております。しかし、一カ月以上も前に発見されていたものを、誰かが協議して、このときに、ありますと、志位さんはないのがおかしいじゃないかと言っているのに対して、破棄したことを前提に答弁をつくっている。それは、あるのに隠していたということなんですよ。
ですから、稲田大臣は、南スーダンの現状は私はよく心得ておりますと言いましたけれども、私が九月に質問したとき、テレインホテルでの大きな戦闘について、あなたは、報道で知りましたと言ったんですよ。覚えていますか。一番問題になっている大激戦のところ。そして、今これが、自衛隊の日報にもその表記がなされているかが焦点になっています。きのう、私は防衛省に聞きました。そうすると、戦闘が激 しいときは自衛隊員は外に出ないから、その現場は実際に確認していない、後でいろいろなところで聞いてわかったというような答弁なんですよ。
○浜田委員長
時間が来ておりますので、取りまとめてください。
○辻元委員
ですから、実際に日本政府がどういう情報を把握しているかも不確かなんです。稲田大臣、同僚議員がまた午後この続きをやります。私は、今のような御答弁では自衛隊員の御家族の心配は増すばかりだと思います。シビリアンコントロールが果たして機能しているんですか。大臣にその能力があるのかどうか。安倍総理が一々答弁、助けてもらわないと答弁できないんですから。
隠蔽大臣か、または蚊帳の外大臣かと言われかねないということを申し上げて、午後、続きを同僚議員がやります。終わります。