つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

安倍総理、自民党憲法改正草案の実現こそ、自民党議員の「公約」ですか?

2016.10.3

国会ブログ高槻・島本日記

9月30日、私の予算委員会での質問が、各メディアで報じられています。
まず私は、稲田防衛大臣の過去の発言の撤回を求めました。

「短・中期的には、アメリカの核の傘を頼る、あるいはシェアするということで乗り切るとしても、長期的には日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討するべきではないでしょうか」(『正論』H23年3月号 「憲法改正・核・「徴兵制」~タブーなき国防論議こそ政治の急務」)
→稲田防衛大臣答弁「いま日本が核保有をすべきではない」
「いま」はやらないが、「将来」はどうなのか、というのが国内外での関心事項なのです。私はこの発言の撤回をあらためて理事会ではかるよう求めました。また結果をお知らせします。

そして、先にブログでも述べた稲田防衛大臣の全国戦没者追悼式への参列の問題です。
これについては、日刊ゲンダイが詳しく報じています。
日刊ゲンダイ

私は毎年、8月15日を格別な思いで迎えています。これまで国会などでも述べてきた通り、私の父方の祖父はブーゲンビル島で戦死しており、遺骨も返ってきておりません。戦況から想像すると、餓死であった可能性が高いのではと考えています。
そうしたこともあり、私は夏のお盆の時期を、全国戦没者追悼式に参列するか、年老いた両親を連れて父方の祖父が眠る戦没者の墓へ墓参するかの、どちらかで過ごしています。
昨年私は、テレビ朝日「朝まで生テレビ」に出演したあと、全国戦没者追悼式に参列しました。安保法制をめぐって激論をかわした中谷防衛大臣の姿もありました。衆参議長や日本遺族会会長などに続き、国務大臣は献花を行うのです。
今年は、いよいよ80代となった父と母を連れて、祖父の墓がある戦没者墓地に墓参をいたしました。そこは、遺骨もない人たちが眠る墓地です。墓碑には、10代で亡くなった方のお名前も刻まれているのを見て、あらためて手を合わせました。

この日の質疑では、南スーダンPKOの自衛隊員の救護体制についても、「医官が3名」「初期治療しかできないステップ1の施設なので、手術すらできない」そして戦闘中に医療活動を行う「第一線救護衛生員の教育開始は来年以降」という事実も明らかになりました。これについては、詳しく報告していきます。

そして、驚いたのは自民党憲法改正草案についての安倍総理の答弁です。2000年に憲法調査会ができたときの最初からのメンバーである私は、ずっと国会での憲法議論を見続けてきました。また詳しく述べますが、逐条審査もおこなってきており、17年間で235回もの調査や審査をしてきたのです。

私は、「しかし17年間議論してまいりましたけれども、ここがというところがなかなか出てこなかったのは、やはり国民の中から、ここを変えてもらわないと本当に自分たちの生活や人権が制約されて困るという声がなかったことの証左」だ、と指摘しました。
さらに私が、草案を「国民不在だ。白紙に抵抗があるなら棚上げした方がいい」と追及したことに対し、安倍総理は「我々自由民主党は、すでに憲法改正草案をお示しして、その上で選挙に臨んでいるわけであります。その上で、ここにいる自民党議員は当選をしているわけでありますし、私もそうです。ですから、国民不在というその御指摘は全く当たらない」「最終的に決まったら、自民党はこれでいこうということになっている」と答弁したのです。
これはさんざん言われていることですが、安倍総理は参議院選挙中の街頭演説では、改憲問題にまったく触れませんでした。なのに、選挙結果が明らかになった直後に、草案について実現していくのが「総裁としての責務」と発言したのです。いったいどこが「選挙で示した」のか。
何より、安倍総理のいう通りならば、いま当選している自民党議員はすべて、「自民党憲法改正草案」の実現を公約にしている、ということではないですか。「あれは谷垣総裁のときに決めたこと」などと逃げていないで、「これが自民党の案だ」と堂々と議論すべきだと思います。

以下、私の予算委員会質疑を収録します。

○ 辻元 民進党の辻元清美です。

先ほどの細野委員の憲法の議論を聞いておりまして、まず冒頭、一点確認をさせていただきたいことがあります。総理もよく、最後は国民が決める、そのとおりなんですが、この憲法改正というのはどういうときに議論が始まるのか。一つは、国民の皆さんが、主権在民ですから、ここを、憲法を変えてもらわないと人権がじゅうりんされるとか制約されるとか、本当に困るという声があっちからもこっちからも出てきて、ここを、憲法を改正してほしいという非常に多くの国民の皆さんの声が出てきたら、それを立法府で受け取って、それでは変えましょうか、議論しましょうかというのが、主権在民の国の、立憲主義の国の憲法改正のプロセスだと思います。
きょうは全大臣いらっしゃいます。もう一つは、全大臣そろっていらっしゃいますのでちょっとお聞きしたいんですが、皆さん所管されているそれぞれの所管、日本の国民の暮らしやさまざまな社会を守っていく上で、ほぼ森羅万象、きょうおそろいの全大臣が所管されていると思いますが、皆さん御所管の政策で、憲法のここを変えないと今所管されているこの政策が遂行することができないということをお感じになっている、お持ちの大臣がいらっしゃいましたら、挙手をして答弁してほしいんです。いかがでしょうか。
といいますのは、先ほどから憲法審査会の話が出ているんですが、実は憲法調査会から、二〇〇〇年にできました。そして、約十七年間、国会で、調査会、それから調査特別委員会、審査会で議論してきたんです。私は二〇〇〇年の最初からのメンバーでした。
この約十七年間に二百三十五回、国会で憲法の調査や審査をしてまいりました。逐条審査もしてきているんです。実は、例えば、個別テーマごとの各論調査、それから各条や各章の点検も、例えば百八十一国会から百八十三国会まで三国会にわたってしてまいりました。
しかし、十七年間議論してまいりましたけれども、ここがというところがなかなか出てこなかったのは、やはり国民の中から、ここを変えてもらわないと本当に自分たちの生活や人権が制約されて困るという声がなかったことの証左だと思うんですよ。
例えば、先ほど出ておりました自民党の憲法改正草案ですが、国防軍の話がありました。反対の方が多いです。国民の中から、ああ、国防軍にしてほしいとどんどん声が出て、それを各党が取り上げて、こういうふうにしましょうかというのがプロセスじゃないですか。
私、驚きましたのは、自民党の改正草案で、表現の自由です。公益を害する活動や結社は禁止。これは、国民の側から表現の自由の制限をしてほしいという声が、国民の人権を守る法務大臣、ありましたか。ないんですよ。ですから、各政党は、この憲法改正に、私はやはり立憲主義の憲法を議論する原理と作法があると思います。自民党はお出しになっています。しかし、私たちは国民の代表ですから、なぜこの案を撤回、白紙と申し上げているかというと、国民不在だからなんです。世界じゅう見ましても、どこの国も憲法改正をやっておりますよ。しかし、ここが困るなというところを、その声を受けとめてやっているわけです。丸ごと憲法改正案を出している政党がある国は、私は存じ上げません。そちらの方が異例であり異常であるということを総理は御認識なさった方がいいんじゃないでしょうか。違いますか。私は、総理、そういう案を出していない政党は無責任であるというのは、全く本末転倒だと思います。国民主権、自民党の憲法改正草案は国民不在ですよ。ですから、白紙ということに抵抗があるんだったら、総理にお聞きします、一回棚上げした方がいいですよ。自民党のためですよ。いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 我々自由民主党は、既に憲法草案をお示しして、その上で選挙に臨んでいるわけであります。その上で、ここにいる議員は当選をしているわけでありますし、私もそうです。ですから、国民不在というその御指摘は全く当たらないのではないでしょうか。つまり、それは、我々を支持した人々は元さんの目には全く入らないということだと思いますが。そして、そもそも、確かに、私たちが出している草案についても十分な理解を得ていません。ですから、そうであれば、そもそも三分の二の形成は難しいでしょうし、たとえ三分の二を形成したとしても、国民投票に付したら、これは否決される。これはこういう仕組みでありますから、我々は、その中において、自民党の議員は憲法を改正した方がいいと考えているわけでございます。しかし、その中でもさまざまな、自民党の中にだってさまざまな意見はもちろんあるんですよ。自民党草案を議論したときには、その中でもさまざまな議論がありました。しかし、最終的に決まったら、自民党はこれでいこうということになっているわけであります。ただ、先ほど来申し上げておりますように、これがそのまま通るとは私も考えてはいないわけですよ。ですから、政治は現実の場でありますから、そこは、さまざまな議論をする中において、これは、国民投票に付すための案が、憲法改正案が、三分の二を形成するための案ができる上においては、我々の考え方とは違う、違うというかそのままではないだろう、こう思っているわけでありまして、その前のものを撤回するというのは、まだまだ出していないわけでありますから、基本的な考え方としてお示ししているものを撤回するか撤回しないかということではないんだろう、このように思います。

○ 辻元 それぞれの国の憲法改正のプロセスをよく勉強なさった方がいいと申し上げておきます。私は、丸ごとの憲法改正案を出すという行為そのものが政治を不安定にすると思います。そして、国民不在と申し上げましたが、国民不安ですよ。押しつけ憲法論というのがありましたけれども、これは国民不在の押しつけ憲法改正草案じゃないかと申し上げて、次の質問に移ります。きょうは、安全保障の議論、浜田委員長ともさんざんここでいろいろされていましたけれども、いよいよ南スーダンにPKOが行きます。稲田大臣にその前に基本姿勢を一点、二点お聞きしておきたいと思います、防衛大臣におつきになりましたから。一つは、核保有の問題なんです。これは大臣就任のときも記者会見などで問題にされました。こういう発言を稲田大臣はされております。長期的には、日本独自の核保有を単なる議論や精神論ではなく、国家戦略として検討すべきではないでしょうか。これを問題視されて、さまざまなところで指摘も受けておりますが、稲田大臣、この場で、国会の場で、この発言は撤回するということをはっきりおっしゃった方がいいと思います。これは日本の国是と全く違うと思うし、防衛大臣をお務めになりたいのならば、この場でこの発言、今ここに私、発言されて活字になっておりますのでね。国際的にも違ったメッセージを出されては困ると思いますので、稲田大臣、この場で発言を撤回すると一言でいいからおっしゃったら、次へ進みますから。どうぞ。

○稲田防衛大臣 私がまだ大臣になる前、対談の中で、文脈の中で、憲法上必要最小限度の自衛の措置は認められているというその文脈の中で、そういった発言が雑誌の中であったと記憶をいたしております。しかしながら、私、記者会見のときにも申し上げましたように、私は、今、日本が核保有をすべきではないというふうに思っております。そして、非核三原則、しっかりと守っていくべきだと思っております。

○ 辻元 いつも今保有すべきではないとおっしゃるから、問題になるわけです。大臣、私が申し上げているのは、そのお話は記者会見等でもされているのは承知しております。ただ、安倍総理もつい先日の本会議で、核兵器のない世界を目指し、国際社会とともに努力を積み重ねてまいりますと。今、北朝鮮の核実験の問題に直面をしております。そんな中で、世界じゅう、北朝鮮に対してもしっかり批判をして、これをとめていかなきゃいけない。一方、防衛大臣が、いや、今は必要ないと思っていると。そう曖昧では、国際的にも信頼をなくすだけではなく、主張ができなくなる。それも防衛大臣ですよ。ですから、活字になってひとり歩きしますから、この発言は撤回すると国会の場でおっしゃっておいた方が稲田大臣のためになるんじゃないかと思って私は質問していますよ。撤回すると一言言ってください。

○稲田防衛大臣 核兵器のない世界に向けて全力を尽くす所存でございます。

○ 辻元 よく私たちも、こういう雑誌なんかがあるんですけれども、発言というのは、何を言っても言いわけになるんですよ。ですから、もうこれは撤回しておきますとはっきりおっしゃったらいいんですよ。活字だから、世界じゅうの人が読めるんですよ。私だって入手できているんだから。撤回しますと日本の防衛大臣として一言おっしゃった方がいいですよ。もう一度。

○稲田防衛大臣 非核三原則を堅持し、核のない世界に向けて全力を尽くす所存です。

○ 辻元 その態度そのものが、何でこれを撤回すると言えないんですか。その理由を教えてください。はい、どうぞ。撤回すると言えない理由。

○稲田防衛大臣 雑誌の中で、憲法九条のもとで最小限度の自衛権の行使はできるという中において、検討すらしないということ自体が憲法に違反するという文脈の中でそういった発言があったかと思いますが、現実問題、我が国は非核三原則を堅持し、そして核のない世界を目指し、私も防衛大臣として全力を尽くす所存でございます。(発言する者あり)

○ 辻元 では、ちょっと言います。
これは私は大きな問題だと思います。一言やはり言うべきですよ。だって、長期的に検討すべき、今も検討するとおっしゃったですよ。その道まで閉ざさないというような。委員長、これはちょっと理事会で協議してほしいんです。私は、文書でこの発言を撤回するということを防衛大臣として、特に北朝鮮の核実験と直面している我が国、非核三原則を持っているだけではありません。広島、長崎の皆さんもいるんです。国連の中でCTBT、この間も賛成をしているじゃないですか。ですから、文書で撤回をするということを私は出していただきたいと稲田防衛大臣に求めておきますので、理事会で協議してください。

○浜田委員長 理事会で協議いたします。

○ 辻元 もう一点お聞きしたいことがあります。稲田大臣はこういうことをおっしゃっています。自国のために命をささげた方に感謝の心をあらわすことができない国家であっては国防は成り立ちません、これは日本という国家の存亡にまでかかわるとおっしゃっています。ところが、そうおっしゃっている大臣が国防の責任者になられて、ことしの八月十五日です、防衛大臣になられて初めての八月十五日、全国戦没者追悼式がございました。これは閣議決定までして、天皇皇后両陛下、総理大臣、両院議長を初め、政府の公式の追悼式。ことしは五千八百人の遺族の方。遺族の方は、御高齢の方が多いです、全国から出てこられているんです。これは、先ほど天皇陛下の御公務の話がございましたが、最重要の御公務だと言われております。これを欠席されたんですよ。あなた、いつも、命をささげた方に感謝の心をあらわすことができない国家ではなりませんと言っているにもかかわらず、全国戦没者追悼式、これに欠席するというのは、私は言行不一致ではないかと思いますよ。そう思いませんか。いつもおっしゃっていることと。違いますか。政府の公式ですよ。そして、調べました。防衛大臣で閣議決定されてから欠席したのは、あなただけなんですよ、今まで。言行不一致じゃないですか。いかがですか。

○稲田防衛大臣 私が常々、日本の国のために命をささげた方々に感謝と敬意、そして追悼の思いを持つということは、私は日本の国民の権利でもあり義務でもあるということを申し上げてきました。そんな中で……(発言する者あり)義務というよりも、心の問題ですね。心の問題ですというふうに申し上げてきました。その中で、今回、戦没者追悼式へ出席しなかったという御指摘ですけれども、それはまことにそのとおりでございます。そして、その理由については、就任後、国内外の部隊について、一日も早くみずからの目で確認して、その実情を把握して、また激励もしたい、そういう思いから、部隊の日程を調整してきた結果、残念ながら出席をしなかったということでございます。( 辻元「反省していますか」と呼ぶ)大変残念だったと思います。

○ 辻元 これは急にジブチの出張が入ったと言われているんですけれども、八月十三日に日本を出発して、十五日を挟んで十六日に帰国されているんですよ。十二日に持ち回り閣議で、ばたばたと出発しているわけです。確かに、世界各国、日本の国内の自衛隊の現場を防衛大臣が視察されること、激励されることは大事ですよ。しかし、あなた、日ごろ言っていることと違うんじゃないですか。こうもおっしゃっていますよ。いかなる歴史観に立とうとも、国のために命をささげた人々に感謝と敬意をあらわさなければならない。毎年、靖国神社に行ってこられましたね。このジブチの、何か、そのいつもおっしゃっていることと、それも公式行事ですよ。先ほどの天皇の御公務の話がありましたけれども、何回もおっしゃる言葉を推敲されて書き直されたという報道も出ておりました。そんな中で、あなたの戦争で亡くなった方々への心をささげるというのは、その程度だったのかと思われかねないんですよ。ですから、そんなに緊急だったんですか。いかがですか。

○稲田防衛大臣 今、今までの私の発言、読み上げられたとおりです。その気持ちは、今も変わりません。今回、本当に残念なことに出席できなかったということですが、御指摘は御指摘として受けとめたいと思います。

○ 辻元 私たち国会議員は、例えば地元で式典があったり集会があったりします、この日も。でも、防衛大臣ですよ。ジブチ、行きたくなかったんじゃないですか。稲田大臣がいつも八月十五日に靖国に行くと、防衛大臣が行くと問題になるから回避をさせるためではないかと報道されているんですよ。あなたは、私は防衛大臣だったら信念を貫かれた方がいいと思いますよ。南スーダンの質問をします、南スーダンについて。これも防衛大臣です。安保関連法、強行採決から約一年たちました。いよいよ動き出す可能性があるんです。その第一弾が南スーダンPKOの新任務の付与だと言われております。この中で、南スーダン、御承知のように、七月の八日から大統領派と前第一副大統領派の間で大規模な衝突が起こっている。七月といえば参議院選挙のころですよ。そして、二百七十人の死者が出たと言われていますけれども、私、現地のNGOの方に一昨日電話をかけまして、ヒアリングを
いたしました。そうすると、現地では千人ぐらいの死者が出ているんじゃないかと言われているんです。といいますのは、現地で、御遺体が腐敗するのですぐに埋めてしまった、いろいろなところで。被害の実情がわからないと言っています。ここで、ほんの二カ月前には戦車や武装ヘリ、ロケット砲も使われたと言われています。国連の施設にも砲弾が撃ち込まれ、多くの死傷者が出た。戦闘で約四万人が退避したと言われています。PKO部隊にも死者が出ております、これは中国ですけれども。そんな中で、この南スーダン、PKO五原則のことも含めて揺らいでいるんではないかという懸念の中で、新任務、宿営地の防護や他国軍や民間人含めてのいわゆる駆けつけ警護というものなんですね。まず、総理にお伺いします。現在、二カ月半たっております。この中で、自衛隊が活動しているエリアも含めて南スーダンの状況、そしてPKO五原則は崩れていないという御判断でしょうか。

○安倍内閣総理大臣 南スーダンにおいては、本年七月に首都ジュバ市内においてキール大統領派と当時のマシャール第一副大統領派との間で衝突が発生し、治安が悪化したことから、政府として引き続き緊張感を持って現地情勢を注視しているところであります。他方、衝突発生後、双方が敵対行為の停止を表明して以降、これは衝突発生後直ちに双方が敵対行為の停止を表明したわけでございまして、大統領も第一副大統領もその指示を出したわけでございますが、現地の情勢は比較的落ちついているというふうに承知をしております。当該衝突については、現地に派遣されている要員からの報告や我が方大使館そして国連からの情報等を総合的に勘案すると、PKO法上の武力紛争が新たに発生したとは考えていません。また、当時の第一副大統領派等が紛争当事者に該当するとは考えていないわけでありまして、したがって、PKO参加五原則は維持されていると考えております。

○ 辻元 私、今お聞きしたことはちょっと上辺という感じがします。おととい聞きました話では、確かに自衛隊の宿営地があるあたりはおさまっているんですが、そこから六、七キロ先になりますとまだ銃撃戦があると。六、七キロというと、東京駅から新宿ぐらいです。という話を直接、十五日まで現地にいたNGOのスタッフに聞きました。これは、大統領派がPKOの増派を反対していたんですね。なぜかと思ったら、要するに、UNハウスというのがあるんですが、これは国連です。この近くに避難民の収容施設があるんですが、ここが副大統領派と言われている部族が多く避難しているということで、政府軍と言われる大統領派が攻撃しているというわけですよ。避難民や、その避難民を保護している国連の職員というのは主にそこで働いている。そして、このUNハウスの近くに自衛隊の施設隊の作業現場もあるわけです。そうしますと、どういうことが起こっているかというと、なぜ増派を大統領派が嫌がったかというと、この避難民の収容所というか、避難所みたいなところに反政府軍と見られている副大統領派の部族がたくさんいるから、そこを政府軍が攻撃したりするものだから、そうすると、PKO部隊がそれを防ごうとしたら政府軍と戦うことになってしまうわけですよ。ですから、PKO五原則は、その政府の当事者の、原則、受け入れの合意がないとできないというところがもう既に崩れかけている、また崩れているんじゃないかと各国が懸念を始めていることを、稲田大臣、御存じですか。

○稲田防衛大臣 当然、南スーダンの現地情勢は注視をいたしまして、日々報告は受けているところです。本年七月、ジュバにおいて、キール大統領派と当時マシャール第一副大統領派との間で衝突が発生をして治安が悪化したけれども、今は、停止を表明して以降、比較的落ちついているというふうに承知をいたしております。また、現地からの報告によれば、ジュバ市内は比較的落ちついていて、引き続き情勢を注視したいと思っております。隊員の安全確保に細心の注意を払いつつ、今後も活動を実施したいと思っております。

○ 辻元 今の答弁では心もとないです。この避難民が退避している施設、ここをしっかり、どういう現状でどういう、自衛隊の隊員の方も調査はされていると思うんですが、大臣、今度視察の予定があると聞いております。いつからの予定を考えていらっしゃいますか。予定で結構です。これは、南スーダンに行かないと新任務を付与するかは決められないと思いますが、いつから行きますか。予定で結構ですよ。

○稲田防衛大臣 国会中でもあり、状況が許せばできるだけ早く行く予定をいたしております。

○ 辻元 きのう紙をいただきましたら、国会の方に許可をというのはそれはそうですが、十月七日から三日間行かれるという紙を防衛省からいただきましたが、今これで準備は進めているということでよろしいですか。いかがですか。

○稲田防衛大臣 今、状況が許せばできるだけ早くということで調整をしているところでございます。

○ 辻元 私、十月八日にジュバに着かれた場合の日程表みたいなものを今持っております。これは……(発言する者あり)いや、きのうこれは防衛省から届きましたよ。それで、大臣、どうもお聞きすると、空港の近くと、そこにいる自衛隊の宿営地のあたりは、おっしゃるように安定しているようなんです。先ほど私が申し上げたUNハウスという国連の司令部がある地域、そして避難民の現状、例えば国連の調査団は、アメリカの国連大使が団長になって、先日、数日間滞在をして、これは本当にPKOを続けられるかどうか調査をされています。ですから、少なくとも国連のUNハウスがあるその近所、ここは絶対行かなきゃいけない、場合によっては一泊ぐらいして行かなきゃいけないんじゃないかと思っております。いかがですか、私の意見も聞いていただけますか。いかがですか。

○稲田防衛大臣 今、日程調整中でございますので、今委員からのお話もいただいたところでありますので、そういったことも考慮しながら日程を詰めてまいりたいと思います。

○ 辻元 次に、自衛隊の安全対策です。先ほど申し上げたようなところに新任務となると、戦闘に巻き込まれるリスクはやはり高くなる。これは認めざるを得ません。そこで、PKOの南スーダンの部隊、医官、医師ですね、何名行っていますか。

○辰己政府参考人 医官は三名ですが、そのほかに衛生関係の隊員を含めると十名ぐらいおります。

○ 辻元 三百五十人で医官が三名なんですよ。そして、先ほど申し上げた状況の南スーダンに行くわけです。そして、これは、国連レベルでいえば一の医療活動だと思うんですが、日本の医官は手術などができますか。

○塚原政府参考人 お答えします。PKOの場合の国連の医療体制につきましては、ステップ一からステップ三というそれぞれの……( 辻元「説明はいい。手術ができるか」と呼ぶ)はい。そういうものになっておりますけれども、ステップ一の施設につきましては、あくまでも初期治療をするということでありまして、手術についての能力を求められているというところではございませんで、ステップ二の方に、カンボジアの施設がございますので、そちらの方に移送いたしまして手術をするということになっております。

○ 辻元 こういう南スーダンに送っている自衛隊の部隊に、医官三名でステップ一、手術することはできない部隊が行っているわけですよ。これでいいんでしょうか。そして、今、こういうことが政府で議論されております。例えば、六ミリ弱のライフルの弾が貫通したらどれぐらいの傷になるか。アメリカなんかは研究が進んでいますけれども、十八センチなんですよ。そして、二分以内に止血しないと死亡する率がぐっと高くなる。こんな中で、TCCCという、死亡を防げる、それは野戦です。医務官が三人いて、そこに連れていかなきゃいけないようでは、これは話にならない。ですから、部隊で緊急の、例えば喉を切開してその場で対処できるとか、そういう、言ってみれば野戦態勢の医療技術をしっかり自衛官が持つ。これは、検討会が開かれているんです。検討会の中身は結構ですので、この教育プログラムはいつから開始されるのか、そして、そういう技術を持った隊員が誕生するのはいつなのか、その部分だけお答えください。

○塚原政府参考人 第一線救護能力の向上につきましては、平成二十五年度に策定をされました中期防を踏まえて検討しているものでございまして、今般、専門家によります検討会の報告書をいただいたところです。この内容を踏まえまして、平成二十年度の前半には第一線救護に関する教育を開始すべく……(辻元「平成……」と呼ぶ)平成二十九年の前半には開始するべく、カリキュラムの検討でありますとか、教育体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

○ 辻元 平成二十九年というのは、来年この教育プログラムをつくりますと言っているわけですよ。そうすると、先ほど私が申し上げた南スーダンの状況の中に、それも、一番危ないのは他国軍への駆けつけ警護と言われる、他国軍が危ないから助けてと言われたときに行く、そして医官は三名、手術できない、そして野戦で緊急対応できる、そういう自衛官の養成は来年からでございますと。この状況で、総理、南スーダンに、私、新任務の付与というのは到底無理だというように、現実を見て、よくファクトを見なさいと総理はおっしゃいますが、そのファクトから見て非常に難しいと思うんですが、総理、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 適切に判断していきたいと思います。

○ 辻元 私は、もしも私が自衛隊員の家族だったらどういう質問がしたいかなと思って今回は考えてきました。本当に治安は大丈夫かな、本当にお父さんまたは兄弟が行っていいのかな。お母さんがいるかもしれない。そして、もしものときはちゃんと対応してもらえるんだろうか。両方危ないと思います。こういうことも未整備なまま強行採決をしました。だから、自衛隊をPKOに送っている、十一月から新任務を付与するというのは、総理、適切に対応しますという御答弁だけでいいんですか。
どうですか、総理。自衛隊員の命がかかっているんじゃないですか。いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 自衛隊は、さまざまな任務において困難な任務が課せられているわけでありまして、それは命がけになることも多々あるわけであります。それは災害出動においてもそうであります。現地で十分に対応できないときに最後自衛隊が出ていくわけでありますから、これは大変困難な任務になることが多いわけでありますから、それぞれの任務において、まさに自衛隊の諸君は危険な業務にも当たっているわけでありまして、そうした業務を指示する際についても我々も判断をしているわけでございます。そして、今回の任務付与については、さまざまな状況を慎重に検討する中において適切に判断をしていくのは当然のことではないか、このように考えております。それと、受け入れ国の同意について先ほど元委員の方からお話がございましたが、受け入れ国の同意はいまだ全く揺るぎがないということでございます。

○ 辻元 正規軍の、政府の兵士は部隊の軍服を着ておりますが、反政府軍と言われる副大統領派はほとんど平服なんですよという話も聞いております。私は、総理の認識は甘いと思います。アメリカの、戦場の心理学の専門家がこういう話をしています。殺される恐怖より、むしろ殺すことへの抵抗感です、殺せば、その重い体験を引きずって生きていかなければならない、でも、殺さなければ、そいつが戦友を殺し、部隊を滅ぼすかもしれない、殺しても殺されなくても大変なことになる。私は、これだけ南スーダンの問題も今限られた時間の中で指摘をいたしました。自衛隊の医療体制の不備、指摘をいたしました。これで新任務を付与して、私は自衛隊にけがをしてほしくないと思います。まして、犠牲者が出るという事態は絶対に起こしてはならないと思っているんです。こういった気持ちは国民の全ての皆さんが抱いていると思います。総理も同じだと思うんですね。しかし、このような状態で新任務を付与して送るというのは、相当の覚悟がないと送れないですよ。総理は、政治は結果責任だとおっしゃっています。最後に、総理にお聞きします。自衛隊員に万一のことがあったら総理は辞任をする、その覚悟はお持ちですか。それぐらいの覚悟でないと、この医療体制で、南スーダンに新任務を付与して危険度が上がります、送れないと思います。万一のことがあったら辞任するぐらいの覚悟が必要だと思いますが、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 当然、自衛隊に任務を付与する以上、私に責任があるわけであります。しかし同時に、自衛隊の諸君というのは、まさに、我が国を守るため、そしてまた任務を遂行する上において、身をもってその任務を遂行していくということを宣誓しているわけでございます。その上において、私も任務を付与していくわけでございます。いわば、こちらも覚悟を当然持って指示をするわけでございますが、しかし同時に、自衛隊にしかできない任務を彼らは遂行しているわけであって、現在であっても、この南スーダンにおけるPKO活動、どこのPKO活動にしろ、これは危険が伴うわけであります。当然、危険が伴わないのであれば、これはそもそも自衛隊が果たす任務ではないわけでありまして、海賊対処活動もそうでありますし、南スーダンのPKOについてもそうであります。南スーダンにつきましては、中央アフリカやコンゴ民主共和国といった六カ国と国境を接しており、南スーダンが一刻も早く安定した国家としてひとり立ちしていくことが地域の安定、ひいてはアフリカ全体の平和と安定につながると考えられるわけでありまして、これまでも我が国は、自衛隊派遣のみならず人道支援や民生支援など大きな貢献を行い、南スーダンや国連を初め国際社会から高い評価を受けているわけであります。しかし、これは、自衛隊が行く以上、完全に安全な、例えば東京で仕事をしているのとは違うわけでございまして、そういうさまざまな危険が発生するというリスクの中で仕事をしているのは事実でありまして、そういうところに部隊を出す以上、常にそういう危険を覚悟して我々も指示をしているわけであります。

○ 辻元 私は、自分の進退をかけて、自衛隊員を送るんだったらその覚悟を持っていただきたいと申し上げたんです。長々と事情説明してくださいと言っておりません。これは本当に心配しているんですよ。国会の周りを多くの国民が取り囲んで、強行採決したのは誰ですか。そこまでやったんだから、自分の進退をかけてくれと言っているわけですよ。自衛隊の皆さんに今この場所から敬意を払おうと拍手するよりも、総理の仕事は、医療体制を整えたり、最後は責任を持つということを自衛隊員に向かって堂々と、自分の身を賭すということだと思います。それを申し上げて、ちょっと残念な答弁でした、ちょっと悲しかったです、終わります。