つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

6月19日「安保法制特別委員会」質疑内容

2015.6.19

国会ブログ

今日の委員会質疑で、中谷防衛大臣は、砂川判決について

「限定的な集団的自衛権の行使が合憲である根拠たりえる」

と答弁し、直接の根拠ではないとした6/15の答弁を修正しました。

 

また、横畠内閣法制局長官は、現在違憲であるとしている徴兵制について「単なる環境の変化で法的評価が変わるはずもない」と答弁しました。

それなら、集団的自衛権の行使はどうなのか!?

 

以下、本日の「安保法制」特別委員会での辻元の質問と答弁のテープ起こしを抜粋して掲載します。

(※委員会での配布資料 → 資料1 資料2   資料3

 

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2015年6月19日 「安保法制」特別委員会 テープおこし(抜粋)

○辻元 前回に引き続きまして、官房長官にもお出ましいただいております。最初30分ということですので、冒頭、長官からご答弁を何点かいただきたいと思います。
先日の党首討論でも徴兵制のことが問題に出ました。そして、昨日、石破大臣もテレビのインタビュー等で徴兵制について触れられているようなんですね。ここで、ちょっと官房長官に御認識を伺いたいと思います。安倍総理は、先日、徴兵制について、憲法が禁じるところの苦役に当たる、これは明快であるわけでございますと御答弁されたんですね。この苦役というのは憲法18条のことだと思います。「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。また、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」これだと思うんですね。これは、しかし、ここ、どこを見ても、徴兵制は禁止していると書いていないんですよ。ということは、政府の解釈で、政府が禁止というような解釈をしているということでよろしいですか。

○菅官房長官 徴兵制は、本人の意思に反して、兵役と言われる役務の提供を強制されること等から、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨から見て、憲法上許容されるものではないということに解されています。

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○辻元 今、徴兵制は禁止すると明文はないけれども、13条と18条の趣旨からこれは禁止と解釈されているのではないかというご答弁だったと思います。さて、そこで、前回、菅官房長官に私は、今回の一連の政府お出しの安全保障関係の法案について、合憲という学者の方はいらっしゃいますかということで、具体的には3名の方のお名前を挙げました。 私、この3名の方のご主張を調べてみたんです。そうしますと、3名とも、徴兵制は憲法違反とする政府の解釈は間違いであるとご主張されている方で、びっくりしたんですよ。ご存じでしたか。3人とも、徴兵制は、この政府の解釈じゃなくて、できると言っているんですが、ご存じでしたか。その事実だけ、3人とも言っていたということをご存じかどうかだけお願いします。

○菅官房長官 そのことは私は知りませんでした。

○辻元 例えば、最初に、トップバッターとして名前を挙げられた西修さん、政府の徴兵制に関する解釈は、およそ世界的に通用しない解釈と言わなければならない。そして、2人目にお名前を挙げられた百地章さん、意に反する苦役に反するから徴兵制はできないという議論は、私は反対でありますとおっしゃっています。そして、もう一人、3人目に挙げられました長尾一紘さん、この方は、徴兵の制度と奴隷制、強制労働を同一視する国は存在しない、徴兵制の導入を違憲とする理由はないとおっしゃっているんですね。官房長官、私、ほかの方、10名ほどと言うので、憲法審査会等でお名前を自民党議員の方が挙げられた方も見ましたけれども、特にこの3名、ほかの方ももっとすごいことを言ってはるんです。非核三原則はもう要らぬのちゃうかとか、それからいろいろなことをおっしゃっていますよ。もっと、憲法は集団的自衛権のフルサイズと言われているものまで解釈できるんちゃうかとか。この3名のお名前を挙げられましたので、徴兵制もできる、解釈で変えられると言っているわけですよ。私、憲法規範というのは、要するに長年の歴代の積み重ね、これを安易に、例えば中曽根総理はこうおっしゃってきました。官房長官、聞いてほしいんです。尊敬されていると思います。

中曽根総理は、憲法の解釈論は、この後なんです、政策論や願望でやるべきでないと思う、時々政策を変えなきゃいけないかもしれないけれども、それはやはり憲法の枠内でできることを精いっぱい考えていかないと、もし政策論や願望でやれば、総理大臣がかわるごとに憲法の解釈が変わるという危険性もあると言っているわけですね。こういう中で、昨日石破さんの発言が飛び出しているわけです。よく似たご発言の趣旨だと思いますよ。石破さんが総理大臣になられるかどうかは知りませんけれども、なられてまた、いや、解釈で変えられるんじゃないか、こうなりかねないわけですね。
総理は、国際情勢に目を向けると、従来の憲法解釈固執は政治家として責任放棄というように昨日おっしゃいました。歴代の総理は、やはり政策や願望はある、しかし、それで憲法解釈をころころ変えたらいかぬといってやって今日まで日本をもたせてこられたわけですね。今、合憲だとご主張なさっていると政府が頼りにしている西さんは、安保懇に入っていましたよ。そういう方が、例えば徴兵制の一例を見ても、解釈で変えられるんだと。ころころ変えられるということですよ。こういう方々で、立派な方かもしれませんけれども、憲法とか政府の解釈に明記されていなければ、砂川もそうでしょう、自衛権と書いてあるけれども、集団的自衛権はだめと明記されていないから、これは集団的自衛権も含んでいるかもしれないという解釈でしょう。今政府のやろうとしていることはそういうことなんですよ。そして、これら3名の方は、ご自身のイデオロギーや主張に合わせて、菅さんがこの間名前を挙げられた方ですよ、歴代政府が積み重ねた憲法解釈を変えても問題はないとお考えのようなんですね。徴兵制の件でも明らかなように、自己の主張に憲法を合わせようとする、このような方々が今回の法案を合憲と主張されても説得力に欠けると思いますが、いかがですか。

○菅官房長官 それは、あくまでも憲法学者の一つの意見だろうというふうに思っています。

○辻元 憲法学者の方、各種報道機関も世論調査をしておりますが、名前を挙げられた方とは別の方々の場合もあるけれども、大体、合憲はどんな調査も3人になるんです。100人以上の人がとか、また、反対は200人以上の方がいらっしゃる。要するに、政府が名前をお挙げになった方々などのように、他の解釈もその時々の情勢によって変えられると言う人しか今回、合憲と言っていないということなんです。ここを心得てほしいんです。さてそこで、横畠長官。横畠長官も徴兵制について過去答弁されているんですね。これも同じ答弁、13条、18条などの規定から見て許容されるものではないとご答弁されていたり、政府の閣議決定された答弁書もあります。しかし、集団的自衛権の行使などについても、歴代の政府が答弁書も確定し、大臣も、中谷大臣も答弁したり、もうさんざんやってきたわけです。 それを、一部ならいいとか、限定的と切り出したり、砂川判決の自衛権に集団的自衛権は書いていないからいいんだとか、47年見解は後でやりますけれども、これは論理と当てはめだから反対の結果が出てもいいんだとやっているでしょう。横畠長官は、徴兵制は許容されるものではないと今ご答弁されていますけれども、安全保障環境や時代が変わったら、これから少子化ですよ、どんどん若い人は減っていきますよ。そして、もしも、こんなことはあってはならないことですけれども、後方支援だと言っていて自衛隊員に被害者が出た、そうすると、自衛隊員に募集する人が減るかもしれませんよ。また、日本の国の周りが大変だ、安全保障環境が危ない危ないと言いながら、それやったら必死で日本を守らなあかんのに、いやあ後方支援に行け、任務がどんどんふえてきたら、自衛隊員の数も足りなくなるんじゃないですか。そうすると、日本国憲法草案、自由民主党、ここにあります。この自民党の改憲草案には、国は、国民と協力して、領土、領海、領空を保全し、こう書いてあるわけですね、国民と協力してと。それで…… 今、当たり前だとおっしゃった人たちは、憲法13条と18条をよく見た方がいいと思いますよ。これは、自民党は、言ってみれば、国民に協力しろと言っています。憲法でそういう方向に変えようとしているわけです。

横畠長官は、今できないと言っているけれども、今回と同じような手法で、徴兵制についても、時代環境が変わった、自衛隊員じゃ足らぬ、安全保障環境が危ない、環境によって徴兵制を、一部限定的徴兵制とかを編み出して、また引けるようにできるんじゃないかとお考えですか、これは未来永劫できないとお考えですか。どうですか。

○横畠法制局長官 限定的徴兵制というものが全く思いつきませんので、このたび議論させていただいております、集団的自衛権一般ではなくて新三要件において我が国を守るための必要最小限度ということを明確に限定した集団的自衛権の議論とは全く別であろうかと思います。 徴兵制そのものにつきましては、単なる環境の変化によって法的評価が変わるはずもないわけでございまして、今後とも違憲であるという判断に変更はあり得ないと考えております。

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○辻元 今答弁されても、この間、私と横畠長官との議論、やりとりで、誰が、昭和47年、1972年見解について、論理と当てはめだというような理解の仕方、今までの歴代の法制局長官及び政府がやってきたのかと言ったら、私が考えましたとおっしゃったんですよ。答弁していますよ。ですから、今、長官が、ないと思いますと言っても、政府の憲法それから憲法解釈への信頼というのは、歴代内閣が積み重ねてきた議論の上にあるわけです。そうすると、今答弁されていることも、それから閣議決定されたことも変えられるんじゃないかというところが今回の大きな一つの問題なんです。これは憲法規範が揺るぐということなんですよ。ですから、中曽根さんは、政策や願望で憲法の解釈は変えてはならぬと言っているわけですね。その一線を超えているんじゃないか。官房長官、私の言っていること、わかりますか。 憲法規範の信頼が今揺るいでいると思いますよ。いかがですか。

○菅官房長官 私たち政府の最大の仕事というのは、やはり国民の皆さんの命と平和な暮らしを守る、このことが政府の責務だというふうに思っています。今日までのさまざまな憲法の問題でも、自衛隊発足当時は、憲法違反である、まさに憲法学者の皆さん、大勢じゃなかったでしょうか。あるいは、PKO法案が国会で議論されたときに、自衛隊を派遣すべきじゃなかった、このことについてもまさに憲法学者の皆さんは多くの方が反対だったんじゃなかったでしょうか。しかし、今のことを、今日のことを考えているときに、自衛隊そしてPKO活動については、国民の皆さんの今大きなご理解をいただいているというふうに思います。いずれにしろ、私たち政府の最大の仕事というのは、たびたび申し上げましたように、国民の皆さんの生命と平和な暮らしを守るために憲法の枠内の判断で何が必要かということを考える中で、今回、法案を提出させていただいたということであります。

○辻元 今までは、積み重ねの中だったんです。よく、戦争に巻き込まれてこなかったのはどうしてかという議論がありましたが、集団的自衛権の行使という一線を越えていなかったからだと思いますよ。例えば、朝鮮戦争のときに、日本は危ないかもしれぬ、今言われている米艦防護に行かねばならないといって行っていたら、戦争に巻き込まれていたかもしれませんよ。それは、いろいろな見方があります。日米安保もあります。しかし、集団的自衛権の行使という一線を踏み越えてこなかった、中曽根さんをはじめ歴代の総理がその線を越えてこなかったことが日本を守ってきたということは事実なんです。それで、お聞きしたいと思いますが、数ではないとおっしゃった。そして、この後、数ではないんだという根拠に、最高裁、憲法の番人は最高裁である、その見解に基づいてこの法案を提出させていただいたとおっしゃっているわけですね。砂川判決が根拠ですか。どうぞ。

○菅官房長官 まず、砂川判決というのは、最高裁の判断が判例として法的拘束力を持つという意味の根拠ではなくて、まさに法制局長官も、そのことが前提である旨ということは述べているというふうに認識をしております。私たちは、まさに、新三要件のもとで定められている限定的な集団的自衛権の行使、このことに限られるものであって、昭和47年の政府見解、 そうしたものを踏まえて行ったことでありますし、砂川判決についても軌を一にしている、こういうふうに思っています。

○辻元 この前は砂川判決のことだけご答弁されていて、ちょっと軌道修正されているんですね、その後、記者会見で、昭和47年見解に基づいて。これは、軌を一にして、中谷大臣も前回のご答弁でこうおっしゃっています。砂川判決そのものを根拠としたものではなくて、あくまでもこれまでの政府見解の基本的論理から導き出したものでございますと。しかし、砂川判決と軌を一にしているとおっしゃったわけですね。そのとおりですね、大臣。

○中谷防衛大臣 はい、申し上げました。この点は、内閣法制局長官と共通した部分でございます。

○辻元 ということは、一番基本的な論理というのは昭和47年、1972年の政府見解をもとにしている、根拠にしている。そして、砂川判決もそれと軌を一にしているというのが、今回の、合憲、憲法との整合性の柱であるということです。そこで、官房長官にお聞きしたいと思います。となると、この昭和47年、1972年の政府見解、そして軌を一にしている砂川判決と言われているこの論理が、矛盾があるじゃないかとか、政府の主張はおかしいじゃないかということが論証されれば、この法案は憲法違反ということになり、撤回される、それでよろしいですか。憲法違反になるでしょう。その論理がもしもおかしいということになれば憲法違反ということになる、裏返せばそういうことじゃないですか。

○菅官房長官 私たちは、全く合憲であるという自信を持って法案を提出しているというところであります。

○辻元 その根拠は、昭和47年の政府見解をもとにしているということですね。

○菅官房長官 今回の法整備に当たっては、今、昭和47年の政府見解の基本的論理、これは全く変わっていないというふうに私たちは考えています。この基本的論理において、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」としている。砂川事件に関する最高裁判決、この考え方と軌を一にしているということでありまして、また、今回、この整備に当たって、集団的自衛権の行使、一部限定容認しましたけれども、それはあくまでも自衛のための必要最小限度に限定をいたしております。 集団的自衛権の行使を日本は認めるものではなくて、他国の防衛それ自体を目的とする行使は認められなくて、あくまでも国民の生命と平和な暮らしを守ることが目的であって、極めて限定的なものでありますし、さらに、この点は、新たな三要件が明確に示しておりまして、憲法上の明確な歯止めとなっております。その上で、今回の法制では、この三要件は全て法律の中に盛り込んでおりますので、法律上の要件となっております。あくまでも、昭和47年の政府見解の基本的論理の枠内である、こういうふうに考えています。

○辻元 ということは、最後に、あくまでもから結論だと思いますが、昭和47年見解の枠内ではないんじゃないかということになれば、憲法違反になるということですね。

○菅官房長官 私たちは、自信を持って、枠内という形で国会に法案を提出させていただいているところであります。

○辻元 ここははっきりさせておいた方がいいんです。政府は何をもって合憲と言っているか。そのラインというか、それは何か。それは47年政府見解であると言っているわけですから、この枠内でないということになれば憲法違反、踏み出してしまうということでいいかと聞いているわけです。

○菅官房長官 政府としては、一年間さまざまな検討をして、閣議決定の後に今回法案を提出していますから、当然、憲法の枠内であるということの法的根拠の中で今回提出をしているということであります。

○辻元 この憲法の枠内でという、はかる物差しというか、それは昭和47年見解だとおっしゃったので、この昭和47年見解の適法性というか論理性が、これはおかしいなということになれば憲法違反になる。もう一回聞きますよ。今おっしゃっていることの裏返しですから、そこははっきりさせてほしいんですよ。じゃないと、要するに、今憲法違反の 議論があるけれども、どこが政府は憲法に合うと言っている。では、それが合わなければ憲法違反なんだなというのは、この昭和47年見解とおっしゃったので、これが適合しないということになれば憲法違反ということでいいんですね。もう一回、官房長官。

○菅官房長官 政府は、今の47年の政府見解の基本的論理の枠内、そして、このことは最高裁が判断しています砂川事件と軌を一にしている、そういうことでありまして、それと同時に、新三要件の中に明確に憲法上の歯どめも行っていますので、政府としては、間違いなく憲法の枠内という形の中で提出をさせていただいています。

○辻元 では、枠内でなければ憲法違反ですね。

○菅官房長官 私たちは、今説明をさせていただきましたけれども、説明したとおりに、憲法の枠内であるという形の中で法案を提出しているということです。

たびたび申し上げていますけれども、今回の法整備に当たっては、47年の政府見解の基本的論理、これは全く変わっていないということです。そして、この基本的論理において、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」としている、この砂川事件における最高裁判決の考え方と軌を一にしている、そういうことであります。私たちは、まさにその上に新三要件が、これは明確になっておりますので、憲法上の歯どめにもなっているということで、今回の法案は、この政府見解の基本的枠内、論理の枠内、昭和47年の、ということであります。

○辻元 簡単に聞きましょう。今おっしゃった官房長官の、最後に、これが憲法の枠内になっているということについておっしゃったようなことが、昭和47年見解、砂川判決が軌を一にしている、そこから新三要件を導き出した、これが合憲のラインであると。ですから、これが崩れれば憲法違反になるということでいいですね。ここは確認しておかないと。要するに、どこが合憲のラインなのか。だから、これが崩れたら、論理がおかしいなということになれば、憲法違反ということになりますね。答えてくださいよ。もうここは答えておいた方がいいよ、官房長官。答えておいた方がいいですよ、堂々と。自信があるんだったら、答えてください。自信がないから答えないんじゃないの。そういうことです、そうでございますでいいんですよ。

○菅官房長官 堂々と、崩れないと考えています。

○辻元 だから、崩れたら憲法違反だということでいいですね。もう一回。

○浜田委員長 静粛に願います。

○辻元 もう一回。はいとお答えいただければいいんです。

○浜田委員長 菅内閣官房長官。冷静に願います。

○菅官房長官 先ほど来、論理については47年の話をしているじゃないですか。そういう中で私たちは堂々と、このことを自信を持って、枠内であるという形の中で提出をさせていただいているわけでありますから、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

○辻元 今、47年見解の話が出ておりますが、これが唯一の根拠。そして、中谷大臣が、砂川判決そのものを根拠にしたものではなくて、これは軌を一にしているということですから、そぎ落としていけば、1972年、昭和47年の政府見解が合憲の唯一の根拠である、これでよろしいですか、官房長官。

○菅官房長官 47年の、私申し上げましたけれども、政府見解の基本的な論理の枠内であり、そして、このことは、最高裁も述べています砂川事件と軌を一にしている、そういうことであります。

○辻元 唯一の根拠は47年見解なんですよね。中谷大臣も、砂川判決そのものを根拠としたものではなくて、でも軌を一にしていると言っているだけなんですよ。ですから、47年見解が合憲の根拠であるということでいいですね。そこははっきりさせてください。

○浜田委員長 一旦整理させていただきます。官房長官の記者会見の時間も迫っておりますので、もう一度、辻元清美君から質問をいただき、そしてそれにしっかりと官房長官に答えていただきたいと思いますので。辻元清美君。

○辻元 合憲の根拠は、この昭和47年、1972年の見解が唯一の見解か。ほかに合憲の根拠というものがあるのなら、示してください。

○菅官房長官 これについては、先ほど来私が答弁していますことと全く同じ答弁になります。それは、47年の政府見解の基本的論理、これは全く変わっていないわけでありますし、それと同時に、基本的論理において、「自国の平和と安全維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」としている、砂川事件に関する最高裁の判決、これとは軌を一にしている、そういうことであります。 そして、今回、平和安全法制は、この基本的枠内で私たちは自信を持って法案を提出している、こういうことです。

○辻元 砂川判決も、そうすると、私の質問の他の根拠に当たるんですか。

○中谷防衛大臣 この根拠ということでございますが、私が申し上げましたのは、最高裁の判断が判例として法的拘束力を持つという意味での根拠ではないという趣旨でありまして、法制局長官も、このことは前提である旨述べております。なお、砂川事件の最高裁の判決では、まず、国連憲章は、全ての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有しているということは承認していると述べております。そして、判決は、憲法9条によって、我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではないとした上で、「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」と述べております。この部分が47年と軌を一にしているわけでありまして、憲法上認められる自衛の措置については、個別的自衛権、集団的自衛権という区別をして論じているわけではないということでありまして、この新三要件で認められる限定的な集団的自衛権の行使は我が国の自衛の措置に限られるものでありまして、砂川判決の範囲内のものでございます。この意味で、砂川判決は、限定容認する集団的自衛権の行使が合憲であるということの根拠たり得るものであるということでございます。

○辻元 根拠たり得るものであると今おっしゃいましたね。そういうことは、もう一回確認しますよ。砂川判決は、法的拘束力がないが、根拠たり得るわけですね。

○中谷防衛大臣 まず、この昭和47年の政府見解は憲法の解釈の基本的論理を示したものでありまして、この基本的論理は維持をしている、そして憲法の範囲内であるということで、この47年の政府見解のいわゆる①の部分、こういった「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」これは砂川判決で示された判決の部分でありまして、そういう意味では軌を一にしている、また、範囲の中であるということでございます。

○辻元 大臣、そうすると、砂川判決と集団的自衛権の行使が絡まるというか、いつ大臣、そういうことに気づいたんですか。私、先日、この間も名前が出た山崎拓さんに聞いたんですよ。砂川判決というのを、今まで政府の中で集団的自衛権の行使の議論の最中に出てきたことがあるか。あの方は中曽根総理のときから官房副長官をされて、そんな話は政府で聞いたことがない、突然今回出てきたということなんですけれども。中谷大臣は、いつ、誰から聞いたの。高村さんに教えてもらったんですか。いつから知っていましたか。

○中谷防衛大臣 これは昨年でありますけれども、昭和47年の政府見解をもう一度じっくりと熟読いたしまして、この中の基本的な論理の中に、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」と。この文章は、まさに砂川判決の部分の「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」まさにこの部分が47年の政府見解に書いているということで、これは軌を一にする、その範囲の中であるというふうに自分なりに理解したわけでございます。

○辻元 昨年とおっしゃいました。だから 昨年以降なんですよ、この論理は。そうでしょう。それまでは違うわけですよ。では、ちょっと法制局長官にお聞きしますが、 次は、砂川判決は昨年以降そういう理解になったと今おっしゃったわけですが、47年見解の方に行きます。長官は、昭和47年見解の①、②の部分は変えようがない、変えることができない、憲法改正をしなければ変えることができない、まさにそういうものであると、前回のこの委員会で、15日、答弁されております。ですから、基本的論理の②の部分を今日は質問したいと思います。本当に変えていないのかということなんですが。この②の部分、皆さん、お手元の資料の3枚目の、いつも出している資料ですが、②のところを見てください。ここで、「だからといって、」のところからですが、「平和主義をその基本原則とする」云々かんぬんあって、ここで、波線を引いてある、これは以前も議論になっておりますが、 あくまで外国の武力によって「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処」して、そのときは 武力行使していいですよということを示されていますが、この外国の武力攻撃、これは、昨年の閣議決定以前、以前ですよ、長官、以前は、この外国の武力攻撃というのは、外国の我が国に対する武力攻撃という理解だったと思うんですね。これは1ページ目を見ていただいたら、後で申し上げますが、安倍総理が昔から集団的自衛権の一部容認、限定容認はできるんじゃないか、できるじゃないかと何回も質問してはるんですね。それに対して秋山長官の答えで、③のところの中ほど、「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、」これと軌を一にするように、自衛隊法でも「直接侵略」。ですから、昨年の閣議決定までは、このいうところの基本論理②の外国の武力攻撃は、我が国に対する武力攻撃ということで歴代法制局も理解をしてきたということでよろしいですか。昨年までで結構です。第二次安倍政権が出てくる前まではどうだったか。

○横畠法制局長官 この昭和47年見解の①、②の部分は、まさに憲法第9条のもとで我が国として武力の行使ができる場合がある、極めて限られていますけれども、そういう場合があるんだという、その理由、根拠をまさに述べているところでございます。御指摘の②の部分でございますけれども、さすがの日本国憲法第9条も、国民が犠牲になる、まさに国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される、そういうときに、日本国の政府なり国として何もしないのか、そんなことまで憲法九条が命じているはずがないだろうという、まさにその根本論理を述べているところでございます。その意味で、外国の武力攻撃という意味ですけれども、47年見解の②の外国の武力攻撃という部分については、まさに国家レベルのといいますか、そういう武力攻撃という意味でありまして、③の結論から振り返って見ますと、それは実質、我が国に対する武力攻撃がこれに当たるというのが、③の結論を踏まえればそうなりますけれども、②の論理そのものからしますと、先ほど申し上げ たように、9条のもとで武力の行使ができる根拠というものを示しているわけですから、必ずしも我が国に対する直接の武力攻撃に限定されているものではない。②の論理としては限定されているものではないということでございます。

○辻元 1ページ目の③でも、我が国に対する武力攻撃。ですから、長官、長妻さんとのやりとりでも、去年の閣議決定以前といいますか、第二次安倍政権が出てくるまでは、この外国の武力攻撃は、法制局の中でも我が国に対する武力攻撃であるというふうに捉えていらっしゃったと思いますし、政府の答弁は全部、我が国に対する武力攻撃なんですよ。 ですから、別にその後の話を聞いているのではなくて、それ以前の政府の解釈は、我が国に対する武力攻撃という解釈で来たということでよろしいですねとお聞きしております。

○横畠法制局長官 ②の論理の解釈そのものをしたことはないわけでございます。③の結論まで至った場合について、それがどれに当たるかということになりますと、③の結論で言っていることを踏まえますれば、我が国に対する武力攻撃というものが②の外国の武力攻撃に当たる、そのように考えていたわけでございます。

○辻元 もう一度聞きますよ。①、②は基本論理であるとおっしゃっています。ただ、今までの政府は、ここで言うところの外国の武力攻撃、そのときは日本は反撃していいですよというこの外国の武力攻撃の解釈は、昨年の閣議決定以前は、秋山答弁だけではありません、自衛隊法3条でも、直接侵略と出ています。ですから、我が国に対する、外国の我が国に対する武力攻撃という理解で今までは来ましたねということ、解釈してきましたねということだけお聞きしています。この論理を議論したとかしないじゃないんですよ、という 解釈で我が国は来ていますねということを確認しています。

○横畠法制局長官 昭和47年見解の②の部分の解釈として③を述べているわけではなくて、この点は、御説明しておりますけれども、①、②に該当する場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという事実認識を前提として③の結論を導いているということを説明させていただいております。

○辻元 事実認識を認定してということであるから、昨年の、昨年の……

○横畠法制局長官 昭和47年見解の①、②は基本論理でございます。②の部分の外国の武力攻撃ということについての解釈の結果として③の結論が出てきたということではございませんで、これもご説明しているとおりでございまして、この①、②の要件に当てはまる、そのような場合はどういう場合があるのかという、これは事実認識でございますけれども、その点につきましては、当時以降、昨年までは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみがこの①、②の要件に当てはまるのだという事実認識のもとで、③の結論を導 き出していたということでございます。

○辻元 そうしたら、長官、別の角度から聞きます。昨年の7月以前も、ここに、外国の他国に対する武力攻撃も、読める、入っているというように法制局は理解してきたということでいいですか。

○横畠法制局長官 ですから、この②の部分は、まさに実質的に、何で憲法第9条のもとでも武力の行使ができるのだという、その理由をまさに説明しているところでありまして、先ほども申し上げましたけれども、国民が犠牲になる、そういうときに、本当に武力の行使まで禁じているのかというとそうではないという、そこの根本的な理由、かつ、それがまさに限定されるんだという、そこのところを述べた肝のところでございます。ここに言う外国の武力攻撃ということについて、それ自体の解釈ということで、それがまさに我が国に対する武力攻撃に限るということを申し上げたこともございませんし、その意味で、ここの外国の武力攻撃というものは……

まさに、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される、その原因となるような、まさに国家レベルの武力攻撃、そういうような意味にこれは当然とれる、解されるということでございます。

○辻元 横畠長官は参議院での答弁で、かつては、これは肝なんですよ、長官がおっしゃったように、②のここは。どんな攻撃を受けたときに我が国は武力行使ができるのかという肝が、この外国の武力攻撃にある意味集約されているんです。ここをどう読んできたかということなんです。そして、去年の7月までは、全て、外国の我が国に対する武力攻撃という解釈で、答弁書も答弁も統一されておりました。そして、先ほど申し上げた自衛隊法3条でも直接侵略に対する、軌を一にしているんですよ。ですから、去年の7月までは、外国の我が国に対する武力攻撃のときだけよと解釈をしてきた。しかし、去年の7月、何とかしなきゃということで、ここに、外国の他国に対する武力攻撃も、書いてないから読めますよというように変えたんじゃないですか。参議院の答弁で、我が国でない他国に対する外国の武力攻撃ということも含まれると考え出したのは横畠長官が初めての法制局長官ですかという質問に対して、同様に考えていた者がいたかどうかは存じませんと答弁されている。ということは、ここの解釈をあなた自身が編み出した。ああよかった、外国の武力攻撃としか書いてない、我が国はここには入ってない、だから、我が国の武力攻撃のときだけ日本は武力行使できるという基準をこれで動かせるな、やったと。さっきの砂川と一緒ですよ。自衛権に集団的自衛権はだめよと書いていない、だからこの外国の武力攻撃を他国も含まれるというふうに、ほかにそう考えていた人は知りませんと。あなたが考えたんですね。

○横畠法制局長官 私が考えたわけではなくて、もともと書いてあるということを申し上げたわけでございます。

○辻元 どこに書いてありますか。今までの答弁書、答弁、それから政府のいろいろなさまざまなところのどこに、外国の、他国に対する武力攻撃という言葉が書いてありますか。示してください。

○横畠法制局長官 過去の答弁でいろいろ申し上げているのは、昭和47年見解の③の結論までたどり着いた後の、その状態を前提として御説明しているわけでございます。 なぜそのような武力行使が許されるかという理由、根拠を述べているのが①、これは砂川判決と軌を一にしてちょっと広いんですけれども、それで、②のところで、まさに憲法第九条を前提として絞り込んでいる、そういう論理構造になっているわけです。③の結論に至るのは、この②の「外国の武力攻撃」という文言を解釈してそうなっているということではないということを申し上げているわけです。まさにその実質的な理由が①、②でございます。

これまでの、従前の事実認識として、その①、②に該当するようなことというのは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合しかないのだという、それは事実認識でございます。それを前提にしますと、従前の③の結論になるんだ、そういう論理構造であるということを申し上げているわけです。

○辻元 寺田委員に少し時間をもらいましたので。今③をもとにとおっしゃいましたが、③の結論を導き出す①と②は基本的論理、物差しなんですよ。物差しの解釈を政府はどうしてきたかということを私は問うておるわけです。そうでしょう。前回の私の質疑で、この①と②は基本論理で、③は当てはめ、こういう理解の仕方、何代か前の法制局長官もそんな理解の仕方をしたことはないとおっしゃっているから、誰がやったのと言ったら、私ですと答弁されたんですよ。あなたが理解の仕方も変えて、そしてその基準となっている、あなたが言うところの①と②の論理の部分の一番肝の、どういうときに武力攻撃ができるかという ところの解釈の仕方、外国の武力攻撃、我が国に対する武力攻撃のときだけよというのが基本論理の解釈であって、それを他国というのを、今まで、そうするとここに他国を含めてきたということを証明できないじゃないですか。わかりますか、言っていること。あなたが、基本的構造も私が考えました、そして、この外国の武力攻撃に他国も含まれていると いうこともあなたが考えました。これで、先ほど申し上げました基本的論理の、物差しの解釈の仕方というのは非常に重要だと思いますよ、今まで。それを、我が国に対する武力攻撃というのを、他国に対する武力攻撃もオーケーよというように、ここの部分の解釈を、誰かが解釈しないと導けないわけですから、を変えたのはあなたですねと。他に存じ上げておりませんと言っているから、同じようなことを言っていた人というのは。今まで同じような、あなたと同じように、外国の武力攻撃しか書いていないから他国も含むと言っていた人がいたら教えてください。そして、そういう文献とかあったら提出してください。どうですか。

○横畠法制局長官 何度も申し上げていますけれども、その①、②の部分は物差しでございます。従前は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、それに物差しを当てればよかったということでございます。つまり、物差しを当てるもの、対象は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合だけだったわけです。その意味で、この物差しを集団的自衛権に当てようと試みたことはなかったかもしれません。今回は、集団的自衛権一般ではなくて、まさに 国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるような、そういうまさに究極の状況にある、そういう場合における他国に対する武力攻撃が発生して、まだ我が国に対する武力攻撃に及んでいないかもしれませんけれども、そういう場合があるんだという認識のもとに、では、それにこの①、②の物差しを当てはめることにした。当てはめてみたら、ちゃんとその範囲におさまっているという判断ができるんですよということを申し上げているわけです。

○辻元 わかりやすくご説明いただきましたが、横畠長官がやったことは、物差しの目盛りを変えたということです。歴代がつくってきた物差しの目盛りを、集団的自衛権の行使を何とか認めようということで、目盛りの幅とかを変えちゃったんですよ。

これは、続きはまた引き続き行いますが、要するに、基本論理②の肝のところの解釈の仕方を変えた。これは、物差しの目盛りを変えた、また、形を変えたんです。これは後でやりますが、我が国への武力攻撃で線を引いてきたのを、自国防衛ということで広げたんですよ。これはまたやりますよ。物差しの目盛りを自国防衛に変えたんですよ。最後ですけれども、長官はこうおっしゃっています。意図的、便宜的な解釈というのは何だというお尋ねでございますが、具体的に言いますと、例えばこれは昭和47年見解①、②の部分を変えるような解釈であろうかと思います。変えるような解釈をしているんですよ。今まで 誰も、外国の我が国に対する武力攻撃だけで、外国のなんて入れていない。解釈を変えたわけですよ。ですから、この47年見解の①と②は物差しで当てはめというのもあなたがお考えになった。

そして、①と②の物差しの目盛りもあなたは変えて結論を導き出そうとしている。ですから、私は、 47年見解は根拠にならないし、中谷大臣が砂川判決は去年聞いたとおっしゃっていた。そんなもの論理になりますか。だから違憲だと言っているんです。最後にもう一回申し上げます。来週の24日、会期末ですが、それまでよく考えて撤回してください、この法案。終わります。