6月27日、「『いわゆる従軍慰安婦問題に関連する資料等』に関する質問主意書」に対する答弁書が閣議決定されました。
質問主意書
答弁書
「河野談話」が出された後も、政府は慰安婦関連の資料について、新たな資料の発掘を続けてきました。また、研究者や市民の努力により、数多くの公文書が発見されてきました。中には安倍政権が認めようとしない「官憲による強制」の証拠資料も含まれています。とくに、日本の省庁に保管されていたものが数多く見つかっており、このことは「河野談話」が作成された当時も、本当は省庁が確認することは十分可能だったことを示しています。
6月2日に、研究者・市民の手で、河野談話以降に発見された資料529点、日本軍慰安婦の事実認定に関する資料53点が政府に提出されました。
今回の質問主意書は、これらの資料のうち、「日本の省庁が保管しており」「政府の担当部署が『慰安婦関連資料』として把握していないと思われる資料」152点の扱いについてただしたものです。しかし、答弁の内容はあえてその趣旨を理解しようとしないものでした。以下、主要な答弁を記します。
・河野談話のもととなった政府調査が終了した以降も、「新しい資料が発見される可能性はあることから、そのような場合には、関係省庁等に対して内閣官房に報告をするよう求めているところである」と答弁しており、1996年7月24日に平林内閣官房内閣外政審議室長が出した通知は現在も有効であることが判明した。すなわち、政府は現在も資料収集を続けており、調査は現在も継続されていると考えられる。現在事務を引き継いでいるのは内閣官房副長官補付である。
・慰安婦関連資料は、「関係省庁等において、内閣官房に報告すべき関係資料に該当するか否かを適切に判断された上で、報告されたものであり、内閣官房副長補付(以下、担当部署)において、必要に応じて公開している」とある。答弁書では、今回研究者らが政府に提出した資料については、担当部署で保管しているが、担当部署は「そのような経緯で把握した資料について」整理もしないし、今まで政府が「慰安婦関連資料」として把握してきた資料リストとの突き合わせもしないという。
「そのような経緯」とは何でしょう。市民が持ちこんだものなど、初めから検証する必要がないという意味でしょうか。それとも「担当部署に直接持ち込むのではなく、まずは各省庁に持ち込んでくださいよ」という意味でしょうか。後者であっても、担当部署である以上、持ち込まれた資料については、各省庁におろして点検させるのが当たり前の「仕事」だと思いますが・・・百歩ゆずって、あらためて各省庁宛てに提出し直すなどの対処をすればよいことになります。
ただ、「これらの資料のリストと、担当部署が手元にある資料のリストを照合して、持っている資料ともっていない資料を教えてほしい」という問いに答えられない、という答弁は理解しがたいものです。
「すべて慰安婦資料として認定しろ」と要求したわけではないのですから、価値判断を除いたレファレンス機能は最低限果たすのが担当部署の役割ではないでしょうか。この点は、引き続き要求していきます。