本日、「集団的自衛権の行使と報復攻撃に関する質問主意書」に対する答弁書が閣議決定されました。
質問主意書
答弁書
日本が集団的自衛権を行使すれば、相手国の報復行為を正当化することにつながり、全面戦争に発展する可能性が高いことは従来指摘してきた通りです。日本の周辺で有事が起こり、「戦争にまきこまれる」場合と、「自ら先制攻撃をして全面戦争に突入する」場合では、日本の国土や国民に対する武力攻撃の想定が全く異なるものとなるという認識が必要だ、という観点から出した質問主意書です。
以下、重要な答弁を列挙します。
・この間、「米国は非米国市民を守らない」ことを裏付ける資料を発掘してきた水島朝穂・早稲田大学教授が、ホルムズ海峡に公海はないことを指摘してきました。
詳細は→直言「ホルムズ海峡の機雷掃海――安倍首相の『妄想』」(2014年6月23日)
政府はこの点について、「ホルムズ会場の最狭部においてはイラン及びオマーンが主張する領海が重複しており、公海は存在しない」と認めました。したがって、ホルムズ海峡で機雷除去をするということは、他国の領海内での集団的自衛権を想定することになります。
・安倍総理は「いわば現実から目を背けているダチョウの論理」と繰り返し答弁してきました。そして、ありもしない事例を想像して、国民をだましています。しかし、北朝鮮からの「グアムやハワイに向かう弾道ミサイル」に核兵器や生物兵器が搭載されており、日本上空で撃墜したらどうなるか、等の問いには、集団的自衛権の行使容認を前提とした問いには答えられない、という答弁でした。
・1954年6月3日・衆議院外務委員会での下田条約局長発言「(集団的自衛権は)国際法上、攻撃国側から抗議あるいは報復的の措置に出られてもいたし方のない問題」について、政府の現段階の見解を聞きました。「国際法上、一般に、違法な武力攻撃を行っている主体が、適法な集団的自衛権を行使する主体に対し、集団的自衛権を行使されたことを理由として武力を行使することを正当化することはできない」との答弁です。これは、「適法な集団的自衛権の行使」であれば、相手国からは報復を受けないという見解でしょうか。だとすれば甘すぎます。そもそも、相手国の武力行為を「違法」かどうかを、いつ、どこで判断するのでしょうか。それは相手国からの報復行為が起こる前に行われるのでしょうか。相手国は、自らの武力行為を「違法である」と認めるのでしょうか。
・北朝鮮の弾道ミサイルは原発を射程に入れているのか、という問いについては、「我が国のほぼ全域がその射程内に入る可能性がある」と答弁し、その可能性を否定しませんでした。にも関わらず「原発へのミサイル攻撃」については仮定の質問には答えられないとの答弁。さらに弾道ミサイルが発射された場合の対応は①「多層的な防護体制により(略)対応する」→これはミサイル防衛システムを指していると思われますが、やはり前述の水島教授が「世界」7月号で指摘しているように、PAC3の数は原発の数より少ないので防御はできないことを政府はこれまでも答弁しています。②「万が一被害が発生するおそれがある場合には、警報の発令や避難措置の指示」等を行う→ミサイルを撃ち落とせなかった場合は、これしかできないということです。石破元防衛庁長官は「きちんとした対応ができる」(2002年11月5日衆議院安保委員会)といっていますが、対応不可能ということです。
本日は、夜はテレビ朝日「朝まで生テレビ」、そのまま移動してTBS「あさチャン! サタデー」に出演し、集団的自衛権の議論をします。ぜひご覧ください!