11月19日の国家安全保障特別委員会で、私は特定秘密保護法において、「報道の自由」と「知る権利」が守られるかどうか質問した。
まず初めに、法案第21条には取材行為について「『著しく不当な方法』によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為によるものとする」と書かれている。
森大臣に、「報道の自由を守るためにこの条文をつくったのか?」と問うと、「その通り」という答弁。
しかし、果たしてこの条文が報道の自由を守ることになるのか。
特定秘密をスクープした場合、「取材源の秘匿」は報道に携わる者にとって絶対に守るべき原則。これは守られるべきと考えるか、と問うと、「21条に基づき尊重する」とのこと。
しかし、「不当な方法」であるかどうかは、誰がどうやって決めるのか。
わざわざ法律に書き込んでしまった以上、特定秘密をスクープすれば、必ず記者は「不当な方法」で情報を入手したかどうかを調べられることになる。わざわざ法律に書き込むということは、そういうことなのだ。
森大臣は、「21条にのっとり・・・」と答弁を繰り返すが、甘い。フランスでは情報源に関する捜査は禁じられ、ドイツでも「ジャーナリストは報道目的で機密を公表しても違法としない」と法改正を実施した。そこまでやらないと、21条が恣意的に解釈され、事実上の報道規制につながる可能性は否定できないのだ。
また、この「著しく不当な方法」について個別事例で確認。例えばいま、福島第一原発に作業員の身分に入って、現場のルポを書いているジャーナリストはいるが、これは「不当な方法に当たらない」と言質をとった。
さらに、特定秘密の指定について質問。
「違法なことを隠すために」特定秘密に指定することはあってはならないということでよいか、と森大臣に確認。「その通り」とのこと。
ところが、私はかつて安全保障委員会で、航空自衛隊による空輸活動について追及をした。第一次安倍政権のときだが、市民団体やジャーナリストなどが必死に調査して得た情報をもとに、「米兵を運んでいるのではないか」と黒塗り文書の中身を問うた。すると、当時の久間大臣は「国連職員です」と答弁。
民主党政権になって、墨塗りがとれて明らかになったことだが、国連職員はたった1割。それ以外の大半は武装した米兵であり、裁判所でも「(米兵の輸送は)憲法違反」という判断がなされた。
黒塗り文書について、小野寺大臣は「特定秘密にあたらない。『中位』程度だ」と答弁。これにはびっくり。「中位」程度の秘密について、国会議員が国会で何度追及しても、大臣が事実上の「虚偽答弁」を繰り返し、しかも憲法違反の中身が含まれている。これで特定秘密法案が通ったら、いったいどうなるのか。
これを森大臣に問うても、小野寺大臣が出てきて森大臣にしゃべらせようとしない。時間だけが経過していく。
私は「委員長、答弁は森大臣です。議事をとめてください」と叫ぶと、なんと野党席の維新の会の議員たちから、私に激しいヤジ。野党が野党にヤジるなんて、いったいどうなっているのか!?
私は、違法に情報を隠ぺいしたものには罰則規定がないのか、とも問うた。沖縄密約事件(外務省機密漏えい事件)では、米国が支払うはずの地権者に対する土地原状回復費400万ドルを、日本政府が肩代わりするという密約をしているということが、新聞記者の取材で明らかになった。これは明らかに法令違反であるにも関わらず、取材方法が不当であることを理由に、記者が罰せられた。私たちはこの事件から何を教訓にすべきか。国家による法令違反や情報の隠ぺいがまかり通ってきた。
よって、特定秘密において法令違反の情報を故意に隠ぺいした場合には、関わったものを処罰することも考えなければならない。そこに緊張感をもたせないまま、情報漏えいだけの罰則を強化することは許されない。
私は森大臣に聞いた。「あなたの所管する消費者庁で、『特別管理秘密』を指定したことはあるのか」。「ありません」という答弁。そう、消費者庁で「特別管理秘密」は一つもないのだ。
そして、この「特定秘密」の制度で重要なこと━━運営の統一基準など━━は、内閣官房で決めていくことになる。つまり、本来の担当大臣は菅官房長官なのだ。
重要な秘密を扱ったことすらなく、今後責任もって制度の運用に関わらない人が、すべての人の人権に制限をかけられかねない重要法案の担当大臣として答弁している現状が浮き彫りになった。前例のない無責任体制、国会軽視が安倍政権になって続いている。
私は最後に、明日からの質疑に菅官房長官が出てきて応じるように求めて質疑を終えた。
政府与党は、性急な決着をはかろうとやっきになっている。こんなことを許したら、国会は永遠に汚点を残すことになる。
この法案は、まったく必要ない。それどころか、安倍政権のやり方があらわしているように、社会を悪くする方にしか働かない。
一人でも多くの人に、特定秘密保護法に反対の声をあげていただきたい。
最後まで、あきらめずたたかいます。
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