9/5(木)、超党派の議員の「原発ゼロの会」による東京電力福島第一原発の視察に参加し、汚染水対策の現状を調査してきた。
政府の動きも遅い。国会の経済産業省委員会ももたもたしている。
そこで、超党派の議員で現場調査をしよう、行動しよう、ということになった。
実は、9/3に行われた「原発ゼロの会」主催の国会エネルギー調査会で、「巡回パトロールを増やすというが、誰が行うのか」という私の質問に対し、東京電力は「東京電力の社員がやります」と明言した。「本当に東京電力の社員がやるのですね。技術の問題もあるので、確かめておきたい」と念を押すと、「東京電力です」と再び回答。調査会はネットで配信されていたから、このやりとりをご覧になった方も多いと思う。
ところが翌日、東京電力から私の事務所に一本の電話。「『補足』があります。当面は東京電力の社員が巡回しますが、将来は協力企業の方にもお願いすることになります」とのこと。
汚染水の問題は、結局人間の手で処理しなくてはならない。これはますます、現場を確認しなくてはという思いを強くして視察に向かった。
視察団は、現職の国会議員が、自民党の河野太郎さん、秋本真利さん、みんなの党の山内康一さん、椎名毅さん、真山勇一さん、阿部知子さん、そして私。さらに前国会議員の逢坂誠二さん、加藤修一さん、服部良一さん。同行有識者として環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さんも加わった。
9:30にいわき駅前に集合し、マイクロバスでJヴィレッジへ向かう。いわき駅前の線量は毎時0.08マイクロシーベルトと、東京とあまり変わらない数値。しかし広野のインターに差し掛かると、じりじりと数値が上がっていく。
サッカーの人工芝のコートがホールボディカウンターの受験場になっていて、まず順番に測定。
その後、Jヴィレッジで東京電力の副社長から概要説明を受ける。携帯電話などの精密機器類をはじめ、持っていくものは最小限にして、東電のバスで福島第一原発の入隊域管理棟へ。
途中、アラームが高くなり、車中で毎時6.56マイクロシーベルトを記録。
管理棟へ着くと、さまざまなチェックを受けたのち、マスクやタイベックという防護服に着替えて免震重要棟へ移動。
所長に現在の作業状況を聞いた後、質疑応答。
当日配布資料「東京電力福島第一原発における汚染水の現状と今後の対策について
そして、所内で働くみなさんを激励。世話人の阿部議員と河野議員があいさつ。
いよいよ現場を視察へ。防護服のなかはかなり暑くなるということなので、クールベストを着こむ。全面マスクで、手袋や靴下も二重にするなど、所員の方の指示にしたがって装備完了。
原子炉注水ポンプや処理水貯蔵タンクなどをバス車中から見た後、多核種除去設備(アルプス)を見学。設備内は毎時1マイクロシーベルト程度と比較的低い線量ということ。
地下水バイパスの井戸も確認。現在は試験運転中とのこと。
その後、汚染水の貯留タンクへ。漏えいのあった場所は線量が高いため、車中で盛り土状況を確認し、同じフランジ型タイプのタンクがあるH6エリアでバスを降りる。乗降時には靴にビニールを付け外しすることで、汚染土の車中への持ち込みを防ぐ。
今朝がたの激しい雨で、タンク周りは水だまりがたくさんできている。もれがあった場合は土壌内に拡散していくのでは、と懸念する。線量計は毎時37.2マイクロシーベルトを記録した。
タンクはかなり大きく、目視だけでもれのチェックは不可能。サーモカメラなどで推移確認を行っているとのこと。
その後、1号機から4号機までを陸側と海側から確認。
問題となっている4号機の使用済み核燃料については、クレーンが設置され、11月には取り出しが可能とのこと。ぜひ頑張って作業を進めていただきたい。
海には工事中の遮水壁が。
3号機を海側から見たところで、測定器が大きな音を出し、毎時900マイクロシーベルトを計測。車中でも、ほとんど1ミリシーベルトに近い数字だ。
写真は溶接タイプのタンク。
現場視察終了後、マスクを脱いだときは大きく息を吸い込んだ。そして、作業員のみなさんが厳しい作業環境のなか、懸命の作業をされていることを、今まで以上に痛感。
私たちは、ふたたびJヴィレッジへ。移動途中、農地の汚染土の仮置き場が果てしなく広がる。復興への道のりの遠さを実感する。
Jヴィレッジについたとき、まず作業場のクレーンが折れたとの報告。その直後、漏れた汚染水が土壌に浸透し、地下水に到達した可能性があると緊急報告を受け、緊張が走る。その後時間の許す限り意見交換。
この日の視察で、あらためて汚染水問題の深刻さを実感。土壌はかなり複雑な状況になっていると思われ、ひとつの方法で解決できるような道はないだろう。凍土方式の陸側遮水壁についても、24時間長大な壁面を凍らせておくには、膨大なエネルギーが必要だ。しかも、世界に例のない巨大な工事となるため、リスクも高い。本当にこれでいいのか、一刻も早い国会議論が必要だ。
オリンピック誘致に総理が走り回っているが、この汚染水対策にこそ、まず走り回るべき。
この日は視察が午後になったため、現場で作業をする方々の姿は見られなかった。「夏場は午後2時から5時までは熱中症対策で作業をとめています。朝5時から正午までに終わらせるようにしているんです」とのこと。それでも熱中症になる方はいるという。
机の上でどんなにきれいな工程表をつくっても、現場を支えるのは人間だ。機械のように24時間同じペースで働くことはできないし、次々と新たな問題が浮上して「もぐらたたき」をするにも限界がある。
私たちは、今回の調査をもとに対策の提言を作る。原発事故対応は党派を超えての対応が必要だ。
なお、この日の私の積算放射線量は、30マイクロシーベルトであった。