つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

法務委員会で質問:ハーグ条約に関する質疑で、DV被害についての支援を求めました

2013.4.17

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私は、衆議院の法務委員にはじめて就任しました。検察行政や人権擁護などを所管するこの委員会、直接人の生命・暮らしに直結する質疑が続くので、しっかりとりくんでいかなくては。
今国会の最大のトピックが、一方の親が他方の親の同意を得ずに国境を越えて子どもを連れだした場合、原則としてその子をもといた国に戻すという、いわゆるハーグ条約の実施法案の審議です。批准国には欧米が多く、日本は長い間批准を求められていました。
ただ、この条約については様々な立場があります。子どもを連れ去った親の六割は母親で、DV被害にあって虐待から逃れるために帰国した人が多いという調査結果から、批准に際しては慎重な対応が必要だ、という声も届きます。
2010年アメリカ国勢調査による統計によれば、
・アジア系人口の推移:2000年 約1024万人→2010年 約1467万人(4.8%)※人口増加率 43.3%
日本人を含むアジア系人口がこれだけ増加しているということはDV・虐待被害者支援ニーズもおのずと増えてきます。しかし、2004年の調査によれば、在米アジア人総人口に対して、アジア人向けのシェルターは4つしかない、という報告もあるのです。
DV・虐待等に悩む親による子の連れ去りを未然に防ぐためには、連れ去りが起こる前に、適切な支援が行われることが重要。でも、在外公館はもともとDVや児童虐待の被害者の相談機関・支援機関ではないため、相談や支援に習熟精通している職員の配置もなく、一時保護など具体的に利用できる制度もないという状況があるのです。
ハーグ条約の根本は、子どもの福祉を第一に考えること。
4/24、その立場から私は、政府に質問しました。
Q、日本の在外公館の役割について。DV被害に苦しむ人たちが相談にきたときに、単に相談窓口を紹介するというだけではなく、ひとりひとりに寄り添うコーディネーターのような役割を果たす必要がある。一時保護や同行支援についても、NGOへの業務委託などを行うべきではないか。
A、現在委託先を検討中。一時保護や付添い支援ができる団体との業務委託を検討していきたい。
Q、在外公館がその国のDVに詳しい弁護士と委託契約してはどうか。
A、予算を計上して、体制を整えていく。
Q、海外のケースで、在外公館の職員がDV被害者の保護に大きな役割を果たしたケースもある。連れ去りが起こる前の対応が重要なポイントになるので、スタッフ研修や専門性強化が大事になるのではないか。
A、ワーキングチームをつくり、また支援団体との連携も深めていく。
Q、DVなどによるいわゆる連れ去りがあって、相手国の中央当局から連絡がきた場合、邦人がその国で裁判などをする場合には、日本の中央当局はDVなどを立証するための情報提供など協力要請をすることになるが、どうなっていくのか。
A、主要締結国からは、おおむね前向きな回答が得られている。
Q、連れ去った親が引き渡しに同意しない場合に行われる「代替執行」という措置は、「第二の連れ去り」にもなりかねず、子どもへの心身の影響が最も懸念される。ソーシャルワーカーが立ち会うという答弁があったが、識者からは「専門性が違うので心配」という意見があった。法務省・外務省だけではなく、厚労省もチームのなかに入り、ワーカーの研修を行う。さらに児童精神科医などの立ち会いも必要ではないか。
A、児童精神科医や研修について、厚労省とも協議して対応していくようにする。
Q、代替執行のマニュアルをつくる際には、虐待やDVの専門家もいれるべき。
A、了解。
Q、子どもが返還された場合、「送り返しておしまい」ではなく、その国で安全で安定した生活が送れるようになっているか、最低三年は継続して実態把握をし、そういう支援を現地機関に委託するなどして寄り添い型のケアを行うべき。そして、調査結果をフィードバックして運用や法律の見直しに生かしていくべき。
A、実態把握を通して得られた経験を、今後の適切な実施に活用していきたい。ただし、相手国との関係で、独自調査は難しい。
この問題については、さまざまな立場で苦しんでいる人がいることが、法務委員会の審議でも明らかになっています。
本日、法案の採決があり法務委員会で可決されました。そして私たちの問題意識が反映された附帯決議が行われました。
「政府は、本法の施行後、当分の間、一年ごとに、国境を越えた子の連れ去り事案の実態及び本法の運用実態を調査、検証し、その内容を国会に報告するとともに公表すること。また、本法の施行後三年を目途として、本法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」
子どもに負担を負わせないよう、法の運用も含めて、これからもチェックしていきます。