つじとも通信 VOL.22
2011.06.01
ボランティア+エネルギー転換→共生社会へ!
持続可能な共生社会へ
浜岡原子力発電所の停止要請と震災ボランティア連携室の設置。私は、この二つの政治判断が、菅政権を特徴的に現していると考えています。
少なくとも自民党政権では成し得なかったことでしょう。これをきっかけに未来の政治潮流は変化していく、いや、政権内に身を置く者として、変化させていく。その自覚をもって「大震災と原発事故」という厳しい現実と日々格闘しています。
「自然エネルギーへの転換」と「社会の絆の再生」は、日本の政治・経済だけでなく、私たちの生き方・価値観(ライフスタイル)を変えていきます。
では、どんな方向へ? それは、「持続可能な共生社会」に向かってです。自然と人間の共生、都市と地方の共生、生産者と消費者の共生、世代間の共生、地域の共生、男女の共生、世界との共生……。
エネルギー・デモクラシーの実現
浜岡原発の停止要請を発表したとき、「すべての原発を止めるべき」「電力は大丈夫か」「唐突だ」と様々な反応がありました。
私はまず「止まった」という事実にこそ目を向けるべきと考えます。戦後一貫して進められた「国策」への疑問と不安が国民の中に大きく広がっている事実は否定できません。専門家や業界からも「このままでいいのか」という声が出始めています。
しかし、このことは私たちが「いまからでも未来を選択できる」ということを示しているのではないでしょうか。未来志向でつながり、政府、自治体、企業、研究者、市民が力を合わせ、考えぬき、いままでとは視点を変えたエネルギーのビジョンを探すことが大事です。
中央集権型ではない地域分散型エネルギー政策への転換、即ち「エネルギー・デモクラシー(民主化)」の実現は、社会全体の民主化と情報公開、そして市民の政治や経済への参加促進につながると世界中で立証されています。私も含め現政権にはそこまでの道筋をつける責任があります。社会のしくみを転換させるのですから、摩擦もあるでしょう。しかし日本がこれだけの途方もない犠牲を払った以上、覚悟をもって前に進むのみです。
助けあいジャパン
「自分も何か役に立ちたい」そんな助け合いの思いや行動が日本中、世界中に広がっています。被災三県にはボランティアセンターが六四カ所立ち上がり、登録ボランティアだけで三〇万人、国内外から駆けつけたNPO・NGOや各種団体は数えきれません。
阪神淡路大震災で私がボランティアとして活動したとき、政府や行政への提案・要望の窓口がなかったり、「たかがボランティア」という対応をされたり…そこで翌年、「そんな政治を変えよう」とNPO法制定を公約に立候補しました。当選後は阪神淡路大震災の被災者の皆さんといっしょに、市民立法で「被災者生活再建支援法」制定にも取り組みました。
あれから一六年、今回の菅総理の対応は早かった。震災の翌日には内閣府参与の湯浅誠さんに「ボランティア活動と連携したい」と直接電話。その翌日に私は官邸によばれ、災害ボランティア担当の内閣総理大臣補佐官に任命されました。市民運動出身の総理ならではの発想です。その日からボランティアを政府と対等なパートナーとして被災者支援の「協働」作業を開始しました。
宮城では「ボランティア団体・国・県・自衛隊」の被災者支援四者連絡会が立ち上がりました。炊き出しや物資配布、女性や子どものケアなど様々な課題を話し合っています。約五〇〇団体が加盟する「東日本大震災支援全国ネットワーク」主催でNPO・NGOと政府の定期協議も重ねています。五月二五日には仙台でも開催され、私も参加しました。今まででは考えられなかった動きです。
政治の羅針盤を「新しい公共=絆社会」実現の方向へ、そんな役割を担って、私は被災地を走り回っています。
内閣総理大臣補佐官として
先日、友人で歌手の綾戸智恵さんに「辻元清美みたいな議員が官邸にいること自体、政治は変わったのでは」と言われましたが、私はみなさんに「辻元がいてよかった」と思っていただけるよう被災者支援、そして共生社会実現のために力を尽くしてまいります。
辻元清美