つじとも通信 VOL.17
2009.12.7
国民目線でグランドデザインを書きかえる
「希望を見失う政治から希望を紡ぐ政治へ」
副大臣になってもうじき二カ月半。もう一年くらい続けているような濃密な日々が続きます。
苦悩と希望は友だちや。私は、こう言い続けてきました。そして、いまの新政権も、希望を求めるからこそ苦悩しています。
私はいま運輸・観光担当の副大臣として、JAL再建対策本部事務局長、緊急雇用対策本部、地球温暖化の鳩山イニシアチブタスクフォースメンバーなどを兼務。そこに社民党国会対策委員長、女性青年委員長などを加えると、六足くらいのわらじを履き替えながら、永田町と霞ヶ関を走り回っています。
政府のなかに入って予算や税制、審議会メンバーなどあらゆる見直しを行う中で思うのは、正直「よくここまで放っておいたな」ということ。前政権が残した「負の遺産」を処理するには、いまがギリギリのタイミングでした。
私は国交省に残された「負の遺産」は三つあると思います。一つ目は、無駄なハコモノづくりにかたよった予算と経済戦略。可能な限り予算の使い道を「ひと」へと変える最前線が、公共事業をたくさん抱える国交省です。ダム以外にも高速道路、整備新幹線など、何が必要かを一つずつ点検している最中です。
二つ目が、業界団体の要請を中心に決めてきた政策決定プロセス。これからは利用者である生活者=市民の立場からしっかり点検し直します。
私は来年度の通常国会で「交通基本法」を制定する方針を表明しました。「あらゆる人が移動する権利を国としてきちんと保障する」という新しい概念をもとに、交通弱者といわれる高齢者やハンディキャップを持った人、経済的に苦しい人の目線にたった交通政策へとシフトさせていきます。
また、これまでは「国土の均衡ある発展」として中央集権で交通政策を決めてきましたが、これからは地域で工夫しながら実情にあった交通政策を立てていく仕組みを作りたいと考えます。
三つ目は、政官財の癒着というシステムそのものです。私たちが国交省に入って、パンドラの箱を開けました。そして、一気に今までのタブーが出てきています。政治家が自分の地元に公共事業を誘致し、税金を落とすことで力を誇示し、一部の業界とくっついて選挙応援してもらう――そんなしくみが長年続いてきたことで、不必要なものが日本中に生まれました。
JAL問題も、私は政治の責任が大きいと考えています。一企業の問題として結論を出すことと、航空行政のあり方を変えることの両輪が不可欠です。
国民目線をもとにこれらをいったんリセットし、日本のグランドデザインを書き換える作業を、国交省が率先してやらなくてはいけません。それは大変だけど、とてもやりがいのある作業です。
結局、政治主導とは国民主権と同じ意味。現政権の「苦悩」は、古い政治のもとで苦しめられてきた人たちの「希望」を紡ぐものでなくてはなりません。
「負の遺産」を整理するのは誰がやってもしんどい作業。だけど、国民が選んだ政権だから、いっしょにがんばれる。そんな思いで取り組んでいきたいと考えています。
辻元清美