第180回通常国会が終了しました。会期途中から自民党が審議に応じない期間が続き、何でも「政局」にしようとする与野党議員たちが跋扈(ばっこ)し、国民生活に直結する重要法案がいくつも積み残しになったことは本当に悔しいです。
「足のひっぱりあいではなく、前向きの議論を」と今後も呼びかけ続けます。この国会で私は与党の国土交通政策責任者としてフル回転しました。多くの犠牲者を出した「高速ツアーバス事故」の一因は、自民党時代の行き過ぎた規制緩和でした。私は大急ぎで見直しを行い、政府に新体制への移行を緊急提言しました。また、東日本大震災からの復興予算づくりや、環境にやさしい社会へ向けた予算づくり、税制改正などの作業を全速力で行ってきました。
国会最終盤で、大仕事となったのが「原発ゼロ社会」を決める議論。私は、民主党のエネルギー・環境調査会の副会長に就任、この2週間は早朝から深夜まで連日の議論、議論、議論。すでに「築40年で廃炉に」「原発の新設・増設は行わない」などの原則を民主党政権が決めているものの、「原発ゼロの目標時期」について、党内意見は真っ二つ。原発推進派の議員からは「2030年で原発ゼロなら電気料金は最大2・1倍になる」「原発ゼロなら日本経済はもたない」「自然エネルギーを急に増やすのは実現不可能」などの反対意見が。
私をはじめ菅前総理などのグリーンエネルギー派議員との激論となりました。
たとえば電気料金については、20年かけてじわじわ上昇します。経済のパイが膨らむことや物価上昇も勘案が必要です。また、2030年の原発比率を25%とした場合でも、電気料金は1・8倍であり、その差はわずか0・3倍であることや原発による電気料金の試算は「事故がない」前提。保険料などを考慮するともっと高い試算となります。
実は2037年には日本のほとんどの原発は築40年を迎え、残りはわずか5基。そのうち再稼働が疑問視されている浜岡原発・女川原発を除けば、残りは3基。その3基が動かないだけで「日本経済がもたない」のであれば、原発の云々とは別に、そんな脆弱な日本経済への対策が必要です。私は、エネルギーシフトの過程で、新しい産業の育成をはかり、ピンチをチャンスにしていくことが経済対策にもなると考えます。
7月1日、私が補佐官のとき尽力した「再生可能エネルギー固定価格買取制度」がスタート。太陽光発電事業などの新規参入が増え、再生可能エネルギーによる発電能力は計250万kw超に。このわずかな期間で、原発2・5基分が上乗せされる計算です。これだけ短期間に投資が進んだのは、政治が意思を示したからに他なりません。
何より、旧来のペースで原発を動かすと、あと数年で核廃棄物の貯蔵場が満杯になります。子どもたちにこれ以上ツケを回さないためにも、できる限り早期の脱原発が、コスト面からみても必要です。
エネルギー・環境調査会の議論は一進一退の攻防が続き、ついに党として「2030年代にゼロ」というぎりぎりの結論が出ました。これは、国策として54基もの原発をつくった自民党では絶対に出せない結論です(自民党はいまでも、原発の是非の結論を10年後に先送りするといっています)。もちろん私は早い時期のゼロを目指してがんばります。
そのためにも政府が「2030年代ゼロ」の結論を後退させないよう、しっかり見張り続けます。