つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

2010年、辻元清美の「仕事」

2010.12.28

国会ブログ

第一七六回臨時国会が終わりました。この間は、ひとつひとつの課題をこなしていくことに邁進しました。年末を迎えるにあたり、「仕事の棚卸し」をしてみようと思います。
●辻元清美の仕事-1
セーフティ・ネット充実へフル回転
辻元清美&湯浅誠さん対談
【ゆあさ・まこと】特定非営利活動法人 自立生活サポートセンターもやい事務局長。元「年越し派遣村」村長。内閣参与。
辻元 政権交代して、当事者の人に入ってもらおうとセーフティネット実現チームを政府内に立ち上げました。私が国交副大臣で副主査、湯浅さんが事務局長でトータルな議論を始めたところで政権離脱になったのですが、私が再び与党の立場で仕事をすることになったので一緒に政策を進めていこうと打合せています。
湯浅 障がい者のために障がい者福祉があり、失業した人のために雇用保険がある。この光が細かったり、弱かったりすると、影の部分が残ってしまう。それが制度の谷間、この谷間が日本社会では広く大きい。福祉が小さい国だからです。この部分をカバーしてきたのが企業と家族の傘で、人によっては地域だった。その企業や家族や地域に支える力がなくなり、孤立する人が続出してしまった。その人たちに光をあてる社会サービスをつくっていかなくては。今モデル事業を自治体で始めていて、成果を見つつ制度化を考えていくという状況です。
辻元 政府の中で仕事をしてみてどうですか?
湯浅 中でも外でも変わんない。仲間を増やしてつながって物事をやっていくというのは運動も同じです。相手が官僚や国会議員だったりするだけで。
辻元 まわりからの評価が変わるでしょ。
湯浅 「入ってもろくな成果を出せていない」という評価は当然ありますし、「細かく見ると色々動いているね」といってくれる人も。ホームレス問題をやっていたころにくらべたらまだ味方は増えた方です。
辻元 湯浅さんとはロビー活動もしています。あの議員に会いに行こうとか。
湯浅 私は今の変化にあわせて多くの人が「生きやすい」社会へと仕組みを変えることが必要だと思っているので、それらを解決するため政策として進めたい。
辻元 トータルで言えば社会的包摂政策、社会的に排除するのではなく包括していく。私もNPO法を最初に作った時は、なかなか理解してもらえなかった。でも今やNPOの人も官邸に出入りしている。私はそこに希望を見出したい。
湯浅 生活する人の現状からどれだけ目を離さずにやれるのかというのが試金石になるんですよね。そして「作る」と「求める」をセットでやっていく、私は今のような社会がいつまでも続くのはいやなんで、そういうことをやっていきたいと思っています。
「セーフティネット実現チーム」で検討されてきた「パーソナル・サポート・サービス」は、従来の困窮者支援の枠組みを大転換させるしくみです。
これまでは、助けを求めて行政の窓口に来た人が制度に適合しないと、また一定生活が上向けば、たとえサポートが必要な状況であっても、行政は何もできませんでした。
生活保護に頼らざるを得なくなる前にサポートする予防的ケアや、困窮状況を脱した後の就労支援などの伴走的なケアをめざすのが新しいサービス。積極的に支援が必要な人たちを探しにいく仕組みも検討されています。
こうしたサポートを行うには行政資源だけでは不十分。人は社会に関わり、居場所を探すことが必要だからです。そのためにも孤立した人を社会につなぐNPOなどの活動がますます重要になります。近々モデル事業を行っている近畿内の市町村を視察し、現場の状況を見て来ます。
社会に絆を取り戻すことはいまの政治がやるべき最大の課題。政権交代の意義を進めるためにも、しっかりとりくみます!
●辻元清美の仕事-2
新しい公共・NPOの優遇税制実現へ
地味でも、静かに着々と進行している政策があります。「新しい公共」。鳩山政権下で「新しい公共円卓会議」が設置され、当事者や専門家が議論を重ねて「新しい公共宣言」をまとめました。それを受けて菅総理のもと「新しい公共推進会議」が始動。NPOなどへの寄附税制の見直しや税額控除の導入、非営利法人が「市場」で活動しやすくなるための制度やNPOバンクなど小規模金融制度に関する見直しなどを実現していくことに。市民運動に寄附はなかなか集まらず火の車という現実に苦しんできた私は何とかこの議論に関わりたいと思ってきました。
そこに朗報! 政府の会議に対応して民主党内に鳩山前総理を会長に「新しい公共調査会」が作られることになりました。無所属クラブとして民主党と会派を組む私に、一二年前のNPO法制定の経験も活かしてほしい、と副会長就任要請が。会長代行の松井孝治前官房副長官や事務局長の細野豪志前民主党幹事長代理と共に、政府サイドの会議にも出席しています。
一〇月二七日、第一回目の推進会議が官邸で開かれ、菅総理や仙谷官房長官など関係閣僚もNPO当事者たちと一緒に意見交換。二〇人の民間メンバーにはピースボート時代の知り合いの顔もちらほら。もちろんネットで同時中継。
寄附税制の優遇団体と認められるための規制緩等どの実現に向けて、新法かNPO法改正かも論点のひとつ。NPO法は議員立法として超党派の議員同士の議論の末、全会一致で成立しています。今回の法制化も超党派で実現できれば……と、NPO議員連盟の再結成に向けて私はフル回転。
そして一二月一日、総会を開催。役員には重量級議員、NGO出身議員が名を連ねる。さらに一二月七日には提言を菅総理に手渡しました(左記)。私は「議員立法で実現させたい」。国民新党の亀井亜紀子議員から「与野党全部が一致している政策はこれだけですので、お願いします」と言われ菅総理も頷きました。超党派の議員、政府、NPOなどの当事者が議論して一定の方向を出す。まさに「熟議の民主主義」の実践にしたいと考えます。
NPO議員連盟役員一覧(敬称略)
顧問●鳩山由紀夫(民)/福田康夫(自)
共同代表●加藤紘一(自)/江田五月(民)
副代表●枝野幸男(民)/額賀福志郎(自)/斉藤鉄夫(公)/浅尾慶一郎(み)/笠井亮(共)/照屋寛徳(社)/亀井静香(国)/与謝野馨(日)
幹事長●辻元清美(無)
幹事●細野豪志(民)/鶴保庸介(自)/富田茂之(公)/山内康一(み)/塩川鉄也(共)/服部良一(社)/亀井亜紀子(国)/園田博之(日)
事務局長●中谷元(自)
事務局次長●岸本周平(民)/谷合正明(公)
NPO法人の税制支援に関する提言(抜粋)
1. 認定NPO法人に対する寄附について、税額控除方式を導入し、税額控除の割合は寄付金の50%(所得税額の25%を上限)とし、現在の所得控除方式との選択制とすること。
2. 認定NPO法人の認定要件について、大幅な緩和を実施すること。具体的にはPST(パブリック・サポート・テスト=法人が広く一般から支援されている度合いを数値で計るもの)要件について、3000円以上の寄附者が100名以上あれば認定するという絶対値で判断する基準を導入すること。米国の認定制度にあるような「仮認定制度」を導入し、PST要件を満たさない場合でも、税制優遇措置を受けられるスタートアップ支援措置を講じること。PSTの特例である、基準値を5分の1以上とする措置を恒久的措置とすること。地方自治体が条例で独自に指定したNPO法人には、PST等の要件を課さずに寄附税制の支援が受けられるようにすること。
3. 所轄庁によるNPO法人の情報開示をインターネットで行うこととし、NPO法人の信頼性を高めるとともに、市民がより適切に寄附先を選択できるようにすること。
4. 地方分権を促進する視点より、認定NPO法人の認定主体を国税庁から、主たる事務所がある都道府県知事に移管すること。この場合、認定要件をいっそう明確化し、行政の恣意的判断をできるだけ排除するとともに、都道府県が運用しやすいように図ること。
5. 認定NPO法人が、収益事業から収益事業以外に支出した場合は、社会福祉法人等と同様に、収益事業の所得の50%(または200万円)までを損金算入できるようにすること。
6. 上記の措置に関しては、次期通常国会で法案を成立させ、早急な実現を図ること。
7. いっそう寄附を促進する観点から、日本版プランド・ギビング制度(信託を活用したNPO法人等への寄附への税制優遇)の導入、寄附金への年末調整制度の適用や、地方自治体における1%支援制度の採用を促進する措置などの検討を行うこと。
●辻元清美の仕事-3
交通基本法そして新しい国土交通政策を
国交副大臣時代に国交省の全部局をあげ取り組んだ「交通の憲法」交通基本法案作り。次期通常国会での提出に向け政府内外で様々な動きを進めています。
政府内では、法案準備に加えて、地域の公共交通を支えるための予算(地域公共交通確保維持改善事業)として例年の約二倍の四五三億円が「元気な日本復活特別枠」に要望されました。民主党の国土交通部門会議(私も筆頭理事として運営役)のもとに「交通基本法ワーキングチーム」もつくられ活発な議論が進行中。私はNPOや事業者、労働者団体等各方面の関係者と意見交換を進めています。
航空政策についても副大臣時代の案件が結実しつつあります。羽田空港の国際ターミナル開港が大きく報じられましたが、ここまでこぎ着けるのは大変でした。昨年の今頃は前原前国交大臣や私が「羽田をハブ空港に」と発言しただけで非難の嵐。地元住民との衝突の末出来た成田は国際線、羽田は国内線という棲み分けがあったからです。アジア各地の空港は繁盛しているのに、このままでは共倒れ? そんな危機感から羽田からも国際線を飛ばす決断をし、実現しました。
要望があるから地方空港を作るという今までのやり方ではなく、世界の中の日本として将来をしっかり見据えた長期的な戦略を組み立てていかなくては。また関西国際空港は有利子負債の返済を除くと経営自体は黒字に。特に低価格航空の就航で活気が出ています。「あるモンは工夫して使わなソン」の根性で空港・航空の建て直しを進めます。
朝日新聞「耕論」(一一月五日)でも発言した通り、航空政策は観光や文化やスポーツと一緒に考えるのが大事。私は「観光立国で日本を元気に」とエコツーリズムや農業観光、メディカルツーリズム等を推進。中国人個人観光客の日本入国ビザの要件緩和も実現し、中国からの観光客は八月までに一〇四万人で昨年の年一〇一万人を超えました。
旅で自分も日本も元気に。お互いの交流を深め、内需の活性化もはかろう。ヒト・モノ・カネを動かして経済を活性化し、地方に仕事を創出。そして何より観光は平和育成産業。そんな思いで観光庁とタッグを組み仕事をしています。
●辻元清美の仕事-4
外交・安保に積極提言
日米関係の会合にも積極的に参加しています。日米のシンクタンク、マスコミ、学者、政府、政治家が一同に会するフォーラムに参加しました(※)。元外務官僚で拉致問題を担当した田中均氏やコロンビア大学のジェラルド・カーチス氏など日米両政府に影響力がある面々が一同に会し、今後の日米関係について議論。来春には菅総理とオバマ大統領に提言を出します。もちろん、普天間問題も含みます。私は「不信や怒りに囲まれた軍事施設はいざという時に役に立たない。辺野古への新基地建設を押し切れば沖縄の全基地が怒りで包囲され、日米関係は極度に不安定になる」とスピーチ。この発言に米政府の人が「興味深い発言だった」と声をかけてきました。
政治家は民主と自民のみの参加のようでしたが、今回は私にも声がかかりました。これからは保守系の会合にも積極的に参加して主張していきたいと考えています。同じ考えの人たちだけではなく、考え方の違う人たちとこそ議論しなければ世の中は変わらないのではないでしょうか。
※一一月一六日「ワークショップ・日米関係の再構築をめざして」「『日米中関係の管理と強化』日本語版出版記念セミナー」参加者:北城恪太郎(日本IBM株・最高顧問)、小林陽太郎(富士ゼロックス株・元取締役会長)、土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)、山本正(財・日本国際交流センター理事長)、若宮啓文(朝日新聞社コラムニスト)、梅本和義(外務省北米局長)、任暁(中国大使館一等書記官)、フィリップ=P=ホフマン(米国大使館公使)、グレン=F=フクシマ(エアバス・ジャパン株・代表取締役会長)、ジョージ=パッカード(米日財団理事長)、マーティン=ファクラー(ニューヨークタイムズ東京支局長)、ロバート=フェルドマン(モルガン・スタンレー証券会社ディレクター)他 ※敬称略