5月10日、15時50分からの「障がい者制度改革推進会議」に出席するため、内閣府へ。「推進会議」は福島内閣府特命担当大臣のもとで、抜本的な障がい者施策の改革について議論を進めている。本日は省庁に対するヒアリングで、厚生労働省、総務省、国土交通省の順番で意見表明と質疑が行われた。私は国土交通省代表としてバリアフリー施策についてヒアリングを受けるため、会議に出席したのだ。
会議の議論はすべてフルオープン、会場内にはモニターが設置され、手話通訳と要約速記が表示される。会議を見事に切り回ししているのは当事者団体の方で、委員のメンバーも半分以上が当事者や関係NPOの方々で、今年に入ってから7回以上も会議が開かれている。
厚労省と総務省の質疑が長引いたため、しばらくその場で議論を聞いた。委員の方々から厳しい口調で現実をつきつけられ、どちらの省庁も重い宿題を背負って退席。
この会議のあり方は、政権交代を象徴する光景だと思う。私は「当事者の方々といっしょに、フルオープンで行うこの会議に敬意を表します。利用者の立場にたって、それを起点に交通や建造物のあり方など、国交行政を変えていくことが大事です」とあいさつ。
交通基本法のなかに移動の権利を明記する方向で議論していることについて、委員からは「期待したい」という意見。そのほかにも45分間の質疑のなかで多くの論点が議論されたが、なかで「乗車拒否を受けた場合などの申し立てを行える第三者機関を設置してほしい」という要望があった。これに対し私は「全国バリアフリーネットワーク会議というのを、国交省の本省だけでなく全国の出先機関に設置している。これらをもっと活用し、利用者の声を聞いて解決できないか」と発言した。ここにいる委員の方々も、セレモニーには参加しても実質的に中身に関与していないという。実態のあるものにしないともったいない、とこの場で確認。
また、進行役からは「差別禁止法の分野でも、移動の問題は大きなテーマ。いっしょにやってもらえるか、方向性を聞きたい」と問われた。「ガンガンやりましょう」と私が答えると、会場から笑いが。
いまはとくに都会と地方の格差が激しくなっている駅のバリアフリー化などについても議論があった。これについては予算の制約が大きい。どうやってお金を生み出すかの工夫が必要だ――と苦しい心情を吐露したが、みんな理解してくれている模様。
「公共交通のバリアフリー化などの工程表について推進会議でまとめるので、国交省に要望を出したい」と福島大臣。
私は「当事者主権という言葉がでてきているように、問題をよくご存じの方から聞いて解決していくのが基本。予算というジレンマのなかでやっているため全部いっぺん変えることは難しい。しかし、要望は承ります」と率直に回答すると、「やれるところからやるしかない」と委員から意見が出た。地をはうような努力でここまでやってこられた方々だけに、言葉のひとつひとつが重い。
国交省のヒアリングが終わると、うれしいことに場内から拍手がわき起こった。率直な意見交換は、課題解決に向けた前進につながるはずだ。バリアフリーは障がいのある方や高齢者だけに向けた施策ではない。誰もが必ず、当事者になる可能性があるのだ。社会のユニバーサル化は、私たち全員が豊かに自分らしく暮らすために欠かせないビジョン。しっかり進めていきたい。
明日は、緊急雇用対策本部の「セーフティ・ネットワーク実現チーム」の第一回会合が開かれる。メンバーは細川厚生労働副大臣を主査に、私や長安国交政務官、小川総務政務官などが入る。枠組みづくりについてこの間、事務局長の山井厚労政務官や「もやい」事務局長の湯浅誠さんらと協議してきた(湯浅さんは事務局長代理に就任)。こちらも急務だ。具体策を提示していきたい。