つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

海上保安庁の女性職員研修

2010.2.23

国会ブログ

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2月2日、全国から研修生38名が参加した海上保安庁の女性職員研修で講話を行いました。その内容を抜粋してお伝えします。この研修は、女性職員に対し、意欲的に自らのキャリアアップを考え、より高度な業務への取組み意欲を高めようとする力を養うことなどを目的として実施されたもの。部外講師によるコミュニケーション研修、部内の先輩女性職員による講話、意見交換などが行われました。
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皆様こんにちは。国土交通省副大臣の辻元清美です。
今日は皆様にお目にかかるのを楽しみにしていました。その理由は、国交省は女性が少ないからです。副大臣に就任して4ヶ月、レクなどで毎日いろんな方が来ますけれども、女性から説明を受けたのはたった一回しかありません。
国交省も男性が多いですが衆議院も男性の割合が多い職場です。日本の衆議院の女性議員の比率は11.3%で、世界の国会議員の女性の割合を見ますと、女性の参画が進んでいると言われているスウェーデンが47%と約半分です。世界で一番比率が高いのはルワンダ(アフリカ)の56.3%で、南アフリカ44.5%、キューバ43.2%、アルゼンチン41.6%、スペイン36.3%、ドイツが32.8%、ネパール33.2%と大体3割ぐらいが女性議員で、日本は韓国の13.7%よりも低くなっています。
いくつかデータを照会しますと、働く女性の数は増えており、女性の場合は非正規で働く人が多いのですがこの人達を含めると専業主婦の家庭よりも共働きの家庭の方が多いです。50代後半以上の場合、お父さんが働いてお母さんが家にいて子ども2人という家庭がモデルでしたけれども、今は男も女も働いて子ども1人といった男女とも働く家族構成の方が多くなってきています。
男女の就業者の割合は女性41.6%、男性58.4%と男女とも働くという社会にはなっていますが、管理職の割合で見ますと女性は9.3%しかいません。これも他国と比較しますと、スウェーデンでは働く女性の割合は47.3%で日本とあまり変わりませんが、管理職の女性の割合は32.3%で3割を超えています。他にはフランスで38.5%、アメリカが42.7%と世界の先進国では3人に1人は女性の管理職がいるというのが常識となっています。日本は男女とも働く社会になってきてはいますが、まだまだ女性の管理職の割合が低いという特徴があります。
さらに紹介しますと、国家公務員の採用者で本省の課長、室長クラスの女性の割合はわずか1.9%という特徴的な数字があります。
現在、人間開発に関する指数という、働いたり自分の好きなことを選択することができることを表す指数が国際的に発表されていますが、トータルで見ると日本は世界8位です。しかし、これにジェンダー指数といった女性がどれだけ社会で活躍できているかという指数を含めると順位が急に58位まで下がってしまいます。
今の日本は全体的に見ると、世界で出遅れています。
女性が生き生きしている会社は今伸びてきています。私は観光庁も担当していますが、今観光で伸びているのは、女性が行って快適という旅館や観光地で、一昔前の「おっちゃん達のドンチャン騒ぎ」をメインとしているような旅館、観光は寂れてきています。
今、女性の力を社会や組織がどれだけ取り込んでいけるかということがその社会や組織がバランス感覚を持って、風通しを良くするための一つのバロメーターになっています。ですから色んな企業で女性の参画を会社の一つの大きな柱として取り組んでいます。
国交省でも審議会や他の関連するところの人事、この間もメンバーの案を持って来ましたがパッと見たら女性がほとんどいないので全部やり直しにしました。放っておいたら探さないので女性を探すよう指示しました。もうちょっと女性を入れたらどうですかとか男女共にやっていきましょうと意図的に言っていこうと思っています。
女性参画が増えている国は制度としてもやっており、ある国では、国会議員の候補者のうち3分の1は女性を出しましょうといって引き上げている国もありますし、男女共に働こう、一緒に暮らそうという教育を進めている国もあります。
男女共同参画白書によると、6歳未満の子供を持つ夫の家事の時間は増えてはきているようですが、日本は1日1時間でそのうち育児は33分ということです。以前は男性の家事の時間が29分しかないという世界で恥ずかしい数字でした。一方、出生率が上昇しているフランスでは男性の家事の時間は2時間30分、アメリカでは3時間13分です。
日本も男女共に働く、暮らす、生きていくということが少しずつ前に進んでいるのかなと思います。
日本の現状をお伝えしたところで聞いてみましょう。
(研修生を指し)
辻元:今何年目ですか?
研修生A:10年です。
辻元:仕事はどういう仕事をしていますか?
研修生A:庶務です。
辻元:仕事は楽しいですか?
研修生A:・・・。
辻元:長官がいるからといって気にしなくていいですよ(笑)。どうですか?
研修生A:大変です。
辻元:あなたはどうですか?
研修生B:私も庶務です。
辻元:楽しいですか?
研修生B:楽しいとは言えません。
辻元:そうですか。現場で働いている方は?
(挙手した者を指し)
辻元:どちらで働いていますか?
研修生C:船で働いています。
辻元:私もピースボートというNGOの活動で船に乗っていましたが、どうですか?楽しいですか?
研修生C:楽しいです。
辻元:楽しいですか。あ~よかった。どれくらい勤務を続けていますか?
研修生C:1年です。
辻元:その前は?
研修生C:その前も船でした。3年くらい。
辻元:周りの人は男の人が多いですか?ばっかり?
研修生C:ばっかりです。
辻元:ばっかりやんな。例えば長官が仕事をしていくにあたって全員女ばっかりでいつも男が一人だったらどう思います?
長官:大変です。
辻元:大変でしょう?(笑)女の人はそういう環境が多いわけですよ。どこ見ても男ばっかり。ですからやっぱり最低3割なんです。物事は3割変われば質が変わると私は信じていますが、これは男女の比が3割ということだけじゃなくて、最初小さな声が上がってそれが3割ぐらいの声になると非常に大きな影響力を持つ。これが大体3割くらいだと思います。
ですから私は日本の管理職であったり、男性ばっかりの職場に3割ぐらい、国交省だって3割女性だとずいぶん空気も変わると思うんですね。3割を目指していかなければいけないと思います。
もう一人くらい、現場で働いている人。どうですか?
研修生D:楽しいです。
辻元:どういう現場ですか?
研修生D:船艇です。
辻元:なんか船は楽しそうですね。飛行機はいますか?どうですか?
研修生E:楽しいです。
 
私は、女性も男性もあまり関係なく、その人の特長によって自分のやりたいこととか、仕事とか、生き方の多様な選択が出来る社会が良い社会だと思っています。
前の方がしんどいと言っていましたが、私もしんどいです。仕事っていうものは大体しんどいものだと思います。
私は今国会で議員という仕事や副大臣という仕事ですけれども、その前はNGO、自分たちでグループを作って国際交流の仕事をする組織を立ち上げて、世界中のいろんな国に行って援助活動をサポートしたり交流プログラムを組んだりしていましたが、そのときみんなに楽しそうにしていますねと言われました。でも毎日追われるように仕事をして楽しいというよりも何でこんなしんどいことを選んでしまったんだろうと思いながらやっていました。しかしやりがいはあったんです。
そのやりがいというのは何かというと、これは男女関係ないと思いますが、人の役に立っているとか、自分の仕事が社会と繋がっていると感じたときにやりがいというものを感じていました。
皆さんの仕事はまさしく縁の下の力持ちと言うか、海難事故があったときとか色んな危機管理とか、これはなくてはならない仕事という意味では本当に社会の皆さんの役に立つ仕事、職種だと私は思います。やはりそこに意味を見出せるかどうかが一つ大きなことだと思います。この仕事を選んで一回やってみようと思ったということはやはり社会との接点とか自分が何か役に立ってみたいという気持ちがあったと思います。
私は立ち食いうどん屋の娘で学校も奨学金をもらいながら通って、NGO時代もバイトを必死でしてなんとか食べ繋いできました。今は国会議員で派手そうに見えますが、そうではなくて、いろんなことをちまちまやっていますが、やりがいがあるとしたら社会の役に立ちたいとか自分が折角この時代に生きてるんだから何か自分で社会を変えたいとか、そういう思いが支えで仕事をしています。
男性が多い職場ですし、世襲議員なども沢山いる職場で、ゼロというかマイナスぐらいからきている自分達は、自分で仕事が出来るようになるまで努力してしんどいんですけれども、今自分がこれをやりたい、これを目指したいということの一つは、泣く子どもをつくりたくないということで、そのために働いているようなものです。
日本の社会は今経済的に苦しくなってきています。皆さんと同い年くらいの男の人も女の人も派遣切りとか仕事を持てない人が出てきています。その中で子どもたちが高校を辞めなきゃいけないとか学校に行けないとかすごく辛い思いをしている子どもが増えてきていますが、辛い思いをする子どもを一人でも出したくないというのが私のバネになっています。
なぜかと言うと、私は父親の蒸発や借金など割合寂しい思いや辛い思いをしていた子どもだったと思います。その頃の思いが残っていて、私が子どものときよりももっと辛い思いをしている子どもが増えているんじゃないかということが気がかりで、何とか辛い思いをする子どもを一人でも出さない社会を作りたいというのが私の励みです。
そこで国交省でやれることは税金の無駄遣いを削って、少しでも子どもたちや皆の役に立つことに税金を振り向けるようにしたいと一生懸命頑張っています。今私はそのために仕事をしています。
自分の今はこれだというものは探さないと分かりません。私も何のために国会議員をしてるのか、何のために選挙に出るのか、何のために生きているのかということを自分で考えて色んな人と語って試行錯誤した中で自分がやりたいことに気付いて、そのために出来ることを一生懸命やっているので、しんどいことや嫌なことがあっても乗り越えていけます。
自分のやりたいことを探し当てるのはとても難しいことですが、私はそれを探し当て続けたいと思いながら生きていきたい、仕事を続けたいと思っています。
これを放棄するのは簡単ですが、折角一回きりの人生だからそこをずっと突き詰めながらやっていきたいと思います。
社民党は衆議院議員7人で衆参合わせて12人しかいない小さな政党です。党の宣伝から拭き掃除まで何でもしなければならない小さな政党に身を置きながら、政権与党の一員として国交副大臣の仕事もしています。
先週の土日の党大会に全国から党員が来ました。私は今ここに座っているけれど果たしてこれから政治の中でどういう力が発揮できるのかなと、ずーっと考えたところで、私に足りなかったものは覚悟だと気付きました。数がモノを言う政治の世界で、小さい政党ということは最初から分かっているのだから、小さいから出来ないと思うのではなく、小さいけどやってみようと思って今連立政権の中で頑張ろうとしているのだから、覚悟を決めて、こうなったら小さいのを武器にしてやったれという感じでいかなきゃいけないと思い直しました。
女性がバリバリ働きたいということは組織が小さいのと同じようにどこの社会でもまだ少数派ですが、そういう社会の中で生きているわけですから、それを変えていくためにも開き直ってやってみよう、ブツブツ文句言うのは誰でもありますがそれをポジティブに変えていく、今嫌なことがあればそれをどう直していくか、どういう風に自分の生き方を前向きにしていくか。僻まないとか妬まないとかそれをポジティブに変えていこうと毎日思いながら、男性社会の中で如何に自己表現できるかを探しながら仕事をしています。
同時代に生きる、それも国土交通省の仲間として今の社会との接点を動機付けようとしているかとか、今やっている仕事に自分にとっての意義を見つけることが大切だと思います。
こうやって話していますが一緒に自分も励ましています。皆さんと同じように男性社会で働いていますし、議員の世界は競争社会です。ある意味権力闘争というのがある社会で女性が仕事をしていくとなるとプレッシャーもあるし、皆見ているしというのもあって、いつも自分の意味とか意義とかやりがいとかポジティブに自分に言い聞かせながらやっているので、そのプロセスを皆さんに包み隠さず話しています。
もう一つ、NGO活動とか議員をやりながら思っているは、自分にとっての夢は何かというのを常に考えるようにしています。夢を考えるはタダなんです。考えるのは。
子どものときによく夢について作文を書きなさいと言われますが、私の子どものときの夢は漠然と世界1周をしたいというもので、結局私はピースボートという船ですでに世界を5周くらいしています。
大学生のときに、地球山手線のようなものを作って各地で交流しながら船で世界をグルグル周るという夢を語って親を泣かせましたが、結局実現して今船は世界をグルグル周っています。いろんな困難を乗り越えながら周っています。
どういうことかと言うと、夢にはいろんな弊害があって、お金がないとか時間がないとかよく言いますが、もし大金持ちで時間も十分与えられたら何がしたいですか? すぐ言えますか? 今日の晩にでも1回考えてみてください。何にもなかったら寂しいですよ。そうするとお金がないとか時間がないとか忙しいというのを言い訳にしていて、本当は何がしたいのか言えないんじゃないかと気付きます。問われたときにこんなことがしたいとかチャレンジしてみたいとかすぐに言い続けられる人になりたいと思っています。生きていくことは色々と大変なこともあるけど、皆さんには可能性があります。やりがいを持ってがんばってください。夢を書いてみて言葉に出してください。言葉に出すと意思になり、そしてそれは行動へつながります。同じ考え方をしている人はどこかにいるはずです。
それから、この海上保安大学校、海上保安学校学生募集のパンフレットにも「海を舞台に夢は広がる」と書いてますね。そして、このパンフには女性の活躍しているページもあります。女性が各地で活躍されているようですが、私もやってみたいと思って次々と女性が続くように、どうかこれからの女性に皆さんの背中を見せてもらいたい。これが大事だと思います。
全国から集まってきているとのことですが、まだまだ社会の中で女性は数が少ないし弱い立場にあるかもしれませんが、ここで出来たつながりや交流を大切にしてください。いろいろと話してきましたが、今日ここで私が話したなかで何かを感じ取ってもらえたら嬉しいです。