ついに防衛省が、イラクの空輸活動の記録を明らかにした。
この文書の詳細については下記の過去ブログを参照されたいが、私は何度も安保委員会でこの文書の存在を追及してきた。
結果、2006年7月から08年12月までの空輸活動で、空輸した人数26384人のうち米軍は17650人、なんと67%を占めていたことがわかった。他国の軍も合わせると71%が兵士という結果で、国連職員は2564人で1割。
この実態は、2008年に名古屋高裁が違憲判決を出した「米兵空輸」で、後方支援にほかならない。
政権交代以降、情報開示が進んでいる。こうした動きを実現させたのは、情報公開請求や裁判などで地道な活動をしてきた市民グループの方々の努力が大きい。これからも、しっかり連携していきたい。
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2006-11-28
防衛庁「省」昇格法案が採決へ――国民をだましうちにする自衛隊の「本来任務」
航空自衛隊イラク派遣部隊の輸送物資に関する開示文書
これは何か。
イラクでの自衛隊の活動に対する私の質問主意書に対し、「たとえ一部分でも復興支援活動があるから、大部分をしめる軍事活動が正当化される」と答えた政府答弁に合わせるように出てきた一群の文書。
航空自衛隊がイラクで行っている「復興支援」活動の中身を、市民団体が情報開示請求したところ、送られてきたものだという。ここではごく一部のみを公開したが、何しろ一枚目の「医療機器」という品目以外は、すべて黒塗りになっているから気持ちが悪い。11月28日、防衛庁「省」昇格法案の審議が行われる安保委員会で、私はこの文書を片手に質問した。
防衛族にとって「省」昇格はもちろん悲願だが、同時に73もの法律が関連して大改正されようとしていることはあまり報道されない。むしろ意図的に「昇格」問題にしか触れようとしていないように見える。この日の安保委員会で私が追及したのは、自衛隊法を「一部改正」して、海外での平和協力活動を自衛隊の本来任務にしようとしている点だ。
紛争地域では、人道支援はNGOなどの民間の活動に委ねるのがもはや世界の主流。もちろんそれには理由があって、ピースボートで世界の紛争地を支援して回っていた私には、軍隊という組織がいかに人道支援に適していないかがよく分かる。現場主義がもっとも必要とされる「現場」に、タテ割りの組織は向かない。しかも武装した一団が来ることで、丸腰のボランティアまでがテロの対象になるというシャレにならない事態は現実のものとしてあるのだ。
軍事と非軍事――相反する二つの性質をもたされる自衛隊の「無理」を象徴しているのが、非軍事的な「復興支援」の中身を示すはずの、この黒塗り文書だ。見せられない理由は、復興支援の名の下に、黒塗り部分ですべて武器弾薬か米兵を運んでいるからではないか。「国民に対し、こんな黒塗りでしか見せられないような活動をしているのに、はたして国民の十分なコンセンサスを得られたといえるのか」と私は切り込んだ。
防衛庁「省」昇格法案の議論の方向がおかしなことは、複数の識者が指摘するとおり。そもそも防衛庁が「省」になることと、海外派兵が自衛隊の本来任務になることには何の関連性もない。まったく別の内容をどさくさにまぎれて、通してしまおうとしているのだ。本来きちっと議論されるべきは、自衛隊や防衛「省」の位置づけが変わること。いっそ「自衛軍」にして「軍事省」にしましょう、という提案なら国民にもよくわかる話ではないか。またもや国民をだましうちにしようという安倍内閣の本性がまるだし。
6時間という長い審議を終え、安保委員会は休憩に入った。理事は別室に集まったが、その他の議員たちは部屋を出たり、残って談笑したりとさまざま。別室で自民と民主の筆頭理事が協議を始める。この後すぐに委員会が再開され、一気に採決か――そんな緊張が高まる。委員会室の外では、自民党議員の秘書が各安保委員の部屋に電話をかけて、「採決になるかもしれません。戻れるようにしておいてください」と手配している。
「委員のみなさん、お弁当を用意しました!」と委員部が叫ぶ。いつまで待たされるか、分からなくなってきた。防衛庁の守屋武昌事務次官が、官僚を従えて現れた。隅の方で久間防衛庁長官とこそこそ話している。いても立ってもいられなくなったのか、まきを入れにきたのか。
事態が動く。どうやら今日の採決はなくなった。しかし木曜日の午前中に非核三原則など、核論議の集中審議(麻生外務大臣も出席するという)、その後討論、そして採決。午後には本会議を立てて緊急上程ということで自民党と民主党が妥協したようだ。私はもっと審議すべきだと反対した。
ねばりにねばって引き伸ばしてきたが、ついに政治日程が決まってしまった。安保委員会の様子を見ていた法務委員会も、共謀罪の審議入りをしかけてくる危険性が高い。すべては連動している。安保委員会最後の質問では、ぎりぎりまで矛盾点をついていくつもりだ。