○辻元清美君 石破総理、冒頭、おわびからの予算委員会になりました。ちょっとお伺いします。
そもそも、一昨日、予算成立後、速やかに強力な物価対策を策定すると報道されたんですね。私たち、それだったら、今審議している予算は強力じゃなくて無力なのかと。言うんだったら、予算委員会の最中に提案をして予算修正などすればいいじゃないかということになったわけです。
斉藤代表が、公明党の代表が、速やかに強力な物価対策、予算終わったらやるんだと総理が言ったとぶら下がりで発言されたんです。この発言、総理、されたんですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 冒頭におわびを申し上げたとおりでございますが、これ、議事録を取っているわけでもございませんので、一字一句正確に覚えているわけではございません。
これ、政府として、あるいは私として、この予算が最善のものであると思うからこそ審議をお願いをし、こうして議論をさせていただいているものでございます。この成立に万全を期すということは当然のことでありますし、御理解を賜りたいと思っております。これはベストの予算として審議をお願いし、私どもとして成立を期したいと思っております。
その後、予算に関連するものということではなくて、例えば食料品の高騰あるいは燃料費の高騰等々にどのように対応するのかということについての、予算とは関係ない分野におきましても、いろんな対応は可能なことでございます。そういうことも含めまして申し上げたものでございまして、趣旨はそういうことでございます。
○辻元清美君 なぜ、この米価の高騰対策やガソリン税率どうするかとか、予算、関係ないんですか。その認識、おかしいですよ。
具体的に米価の高騰対策やガソリン暫定税率の廃止、こんな話が出たというふうにも斉藤さんおっしゃっていたんですね。こういう話、したんですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) これは、米価につきましては、備蓄米の放出ということを行い、その推移というものをきちんと見極め、今後とも適宜適切な措置は必要であればとっていくということでございますが、今回の放出につきましては、農林水産大臣からもお話をしておるところでございます。
あるいは、ガソリン代につきましては、この定税率の廃止に向けて今いろんな議論が真摯に行われているところでございます。これも答弁で申し上げているところでございますが、これの確実な実施に向けて各党で更なる議論を進めていただきたいというようにお願いをしておるのは、これは議事録を御確認をいただければ分かることでございます。
そういうものについて、これから先、きちんとした対応をしていくということを含んでおるものでございまして、予算の成立を期して、そしてその後もなおなお、審議中にもお答えをしておりますが、食料品の高騰あるいは燃料費の高騰等々について適切な対応を取っていくということを申し上げておるものでございます。
○辻元清美君 例えばガソリン暫定税率の廃止、これ、野党こぞって廃止法案出したんですよ、衆議院で。反対したのは自民党じゃないですか。各党こぞって、公明党も賛成しているわけですよ。ですから、予算で、私たちは組替えでしっかり修正も出しているわけですよ。それは否決しておいて、予算終わったらそういうことも考えます、こんないいかげんな対応で済まされると思っているんですか。いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは一貫して申し上げているとおり、暫定税率を廃止するということはもう我が党もその姿勢でございますが、では、それを行ったことによって、これは目的税ではございませんが、インフラの整備等々に充てておる、そしてまた、それは地方財政にも大きく影響するものでございます。廃止をしたとして、ではどのような財源を代わりに見付けていくのかということなしに、単なる廃止ということを申し上げるわけにもまいりません。
私どもとして、地方が、それは大阪もそうだと思いますが、インフラの整備あるいは老朽化対策、そういうものに対する御要望は物すごく切実なものがございます。そういうものも含めまして、この解を見出すべく更に議論を加速してもらいたいということは、私は、総理大臣としても、そしてまた自由民主党総裁としても申し上げておるところでございます。
これは廃止は廃止だ、それは決まっている、しかしそれに向けて、じゃ、そのお金に代わるものをどうやって見出していくのかということについても併せて解を見出していかなければ、それは私は政治として無責任だと思っております。
○辻元清美君 立憲民主党が出した修正案では、緊急対策として本年度の財源も示しております。そして、しっかり廃止をして、一刻も早くやった方がいいんじゃないかということなんです。
この米価高騰対策、私、10万円の商品券配ったから、強力な物価対策、お米券でも配るのかなと思いましたよ。総理、国民は相当しんどい、生活切り詰めていますよ。そんな中で、こういう混乱を招くような発言をすると、実際に国民やマーケットには強力な物価対策もあるかもとミスリードしちゃったわけですよ。これ、むしろ景気の足引っ張ると思いますよ。
先ほど予算委員会の皆様におわびするとおっしゃいましたけれども、国民にこそ、何だか迷走した発言しちゃったからごめんなさいねと国民におわびしてください。
○内閣総理大臣(石破茂君) この予算が成立ということを期して私ども一生懸命説明もし、お願いもしておるところでございます。
しかしながら、経済がどのように動いていくかということは、私どもとして完全に予測がし得るものではございません。今後も物価が上がるということはあるかもしれない、賃金上昇が物価上昇を超えていくようにということでお願いをしておるわけでございます。
あらゆる方面に向けて、これから先、政府として対応を取っていくというのは当然のことでございますが、委員御指摘のように、じゃ、国民に混乱を招いた、そういうことがありとせば、あるのだと今の議員の御指摘ですが、そうであれば、それは申し訳ないことでございました。申し訳ありません。
○辻元清美君 私、支持率が10ポイントも下がっちゃって、予算終わったらいろいろやらなくちゃと、相当焦って迷走しているように見えるんです。総理、本当大丈夫かと思うんですよ。
今日、朝からまた大丈夫かと思うニュースが飛び込んできました。一問聞きます。
日本時間の本日未明、アメリカのトランプ大統領が、アメリカが輸入する全ての自動車に25%の関税を掛けると正式表明しました。これ、今まで2.5%だった関税が10倍になると、日本経済全体にも相当大きな打撃になると思います。
まず、総理にお聞きします。世界各国、対抗措置をとるということも検討を始めております。そんな中で、日本は対抗措置も含めてアメリカにきちっと対応すべきだと思います。どう対応されますか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは、この発表を受けて、私どもとして適切な対応を考えていかねばなりません。あらゆる選択肢というものは、当然検討の対象となるものでございます。
ただ、私どもといたしましては、アメリカに対して日本は相当の投資を行い、相当の雇用を生み出しているということがございます。それは全部の国、一律だということではなくて、アメリカに対して私どもは投資を行い、雇用を行い、そして最も高い賃金をお支払をしているということがございます。アメリカに対する投資も、屈指のというか、一位の投資をしておると。そうだとすれば、本当に全部の国、同じでいいのかということはきちんと申し上げておかねばなりませんし、今までも申し上げてきたところでございます。そのことについて、アメリカ政府、大統領の理解というものは相当に進んでいると思っております。
しかしながら、いろんなことがございますので、それはあらゆる対応策というものは考えておるところでございまして、それは選択肢としてあるということです。
○辻元清美君 これ、日米貿易協定違反じゃないかと思いますよ。
というのは、2019年の8月に第一次トランプ政権と安倍総理が貿易協定を結びました。厳しい交渉だったんですよ。当時もトランプ大統領は自動車の関税を上げようとした。そのときに、こちらからは牛肉と豚肉を差し出したんですよ。TPPに入っていないのに、TPPと同じ税率にして、豚肉と牛肉、関税を下げて、その代わりに自動車の関税を上げないでねということで2.5%で、アメリカにちゃんとあめを渡している。このときアメリカはとっても喜んだんです、得したなと。それが日米貿易協定ですよ。
私、これ、この協定破りだと思うんです。今あらゆる措置をすると言っているけれども、貿易協定破りだと。農水大臣されていたから、豚肉、牛肉の状況を分かっているでしょう。アメリカは今も、今度は生食用、食べるジャガイモについて、日本では植物防疫で輸入していないものを今輸入しろと言ってきています。
総理、これ、先ほどあらゆる措置をということをおっしゃいましたね、検討すると。その中に、対抗手段、この貿易、日米貿易協定を破っているんじゃないか、そしてさらにはきっちりと対抗措置をとる、それもあらゆる検討の中に入りますね。
○内閣総理大臣(石破茂君) あらゆる対応を検討している、選択肢の中にあるというのは、そういうことでございます。
要は、何が日本国の国益に一番資するものかということを考えていかなければなりません。私どもとして、この25%というものを日本に適用しない、そのようなことを強く要請をしておることでございます。あらゆる選択肢はございます。その中でどれが一番効果的なのかということ、私どもとして考えて、今あらゆる選択肢を念頭に置いておるところでございます。
この委員会における議論はよく承ります。そしてまた、貿易協定の内容は私自身よく承知をいたしております。
○辻元清美君 これ、協定違反ですよ。そこ、しっかり押さえて交渉していただかないと、トランプ大統領と会ってほっとされたかもしれませんけど、結果は全然ですね、何言ってきたんですか。しっかりやってください。
次に、高額療養費の問題。
患者団体の方々とお会いして切実なお声を承った。私、会っていただいてよかったなというふうに思います。全国がん患者団体連合会、日本難病・疾病団体協議会、私は、相当大きな団体で、患者の皆さんを代表して総理がお声をお聞きになったという、そういう理解でよろしいですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) そういう御理解で結構です。
○辻元清美君 特にこの全がん連の天野理事長、いろんな厚労省の役職をやっていらっしゃいまして、今までいろいろ協力してくださっていた方なんです。どんな委員会の委員をされていますか、厚労省。
○政府参考人(鹿沼均君) お答えいたします。
全国がん患者団体連合会の理事長の天野さん、天野氏が参加する厚労省関係の検討会ということでございますが、現在も運用しているものとしては5つございます。1つ目が、医道審議会医師分科会医学生共用試験部会、2つ目が、がん診療提供体制のあり方に関する検討会、3つ目が、患者申出療養評価会議、4つ目が、先進医療会議先進医療技術審査部会、5つ目が、ゲノム医療協議会ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ、この以上5つでございます。
○辻元清美君 あのね、総理、それら今お聞きになりましたでしょう。全がん連の天野理事長も、もう専門家以上に当事者としてですよ、いろんな厚労省の役職に就いて政策づくりに協力してきた方なんですよ。その方々の意見を今回は一切聞かなかった。これ、猛反省ですね。いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 十分に聞いてこなかったと。一切かどうか、それはもういろんなところでございますから……(発言する者あり)いやいや、言い訳しているわけじゃなくて、それは、全く聞いて、全く聞いていなかったというわけではございませんが、いずれにしても、そういう御批判をいただいているということにつきましては、真摯に反省し、おわびを申し上げる次第でございます。平身低頭いたします。
○辻元清美君 平身低頭するとおっしゃった。二度とこういうことしませんね。
○内閣総理大臣(石破茂君) いたしません。
○辻元清美君 あのね、お会いになった3日後にこうおっしゃっていますね。心配しておられる患者のお一人お一人の共感と納得が得られないままにこの制度の改定ということはあってはならない、だから措置を見直したとおっしゃっているわけです。
ということは、再検討でも、今度再検討と言われていますが、全ての患者の皆さんのお話を聞けませんけど、せめて最低限、総理がお会いになった患者団体の方々の共感と納得を得ることなしに、再検討でも制度の改定はしないという理解でよろしいですね。
○内閣総理大臣(石破茂君) 団体も数多くごいますので、全ての代表の方と私が会ってお話をするということは、それは困難でございます。
ただ、厚生労働大臣は高い識見と豊かな人間性を持っておる福岡資麿参議院議員を任命をいたしておりますので、彼がきちんと会って、あるいは担当する政府のスタッフがきちんと会って、こいう病気の場合にはどうなんだろうかということがほかの病気と違う場合は当然あるわけでござますので、そういう団体の方々の御意見を聞くということは私としてもきちんと確認をいたしてまいります。
○辻元清美君 あのね、よく聞いてくださいよ。総理は、心配しておられる患者の方のお一人お一人の共感と納得が得られないままにこの制度の改定ということはあってはならないとおっしゃっているわけです。ですから、全ての人の患者の方の声は聞けません。しかし、今、天野さんの話がありました。最低限、少なくとも総理がお会いになった、そして意見をお聞きになったわけでしょう。先ほど、二度といたしませんとおっしゃったじゃないですか。総理がお会いになった団体の方って日本を代表する団体の方なんですよ。もう日本中網羅していますよ。
総理が直接お会いになったわけだから、そして厚労省も今までいろんな協力をしてもらってきわけだから、少なくとも、全員患者の意見は聞けないけれども、共感と納得が得られないままにこの制度の改定ということはあってはならないとおっしゃっているわけだから、少なくともお会いなった団体の方々の共感や納得が得られないままに今度はまた押し切るということはないですねって確認しているんですよ。素直にお答えください。厚労大臣関係ないですよ。総理はどうするのかです。いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 御指摘のとおり心掛けてまいります。
○辻元清美君 分かりました。
そうしたら、ところが、総理と面会の後、総理と会えてよかったねって私、声掛けたんです、患者団体の方に。そうしたら、石破総理を信じていますと、でも腑に落ちないことがあるんですと、何って聞いたら、なぜ秋までで結論なのかと言うわけですね。
総理、患者の方々の共感と納得が得られないままに制度の改定はあってはならないとおっしゃっているわけだから、その意味では、秋までにとあらかじめ期限を切るのではなくて、患者の方々の共感と納得が得られるまでが期限であって、そこまでとことん丁寧に議論していくということでよろしいですよね。
○内閣総理大臣(石破茂君) これは制度の持続可能性というのも維持をしていかねばならないですが、そういう方々、いや、私は納得できないという団体さんがあるとするならば、それはもう決して行うことはあってはならないということだと思っております。ただ、この結論を得るというものが、議論の密度を濃密にすることによって早くなるということはございますし、持続可能性があるねということをきちんとお示しするのは、それはいつまでも時間を掛けていいというものではございません。
○辻元清美君 今、あってはならないとおっしゃいましたね。石破総理らしいですよ、本当に、この点では。
それでは、もう一度確認します。患者の皆さんは、総理の英断、これで命が助かったと安堵された方もいらっしゃいます。ところが、結局心配されているのは、患者のヒアリングだけをして、はい、意見は聞きましたと秋が来たらまた打ち切られるんじゃないかと心底心配されているんです。でも、今の総理の御答弁だと、あってはならないと、患者の方の共感と納得がない限りやらないというお話でした。
じゃ、御確認したいと思います。期限は秋までなのか患者の方々が納得するまでなのか、どっちですか、はっきりお答えください。
○内閣総理大臣(石破茂君) 秋までに納得と共感をいただけるように最大限の努力をするということに尽きます。それは、単に聞けばいいというようなことを私は全く思っておりません。単に意見は聞きましたよ、でも、納得も共感も得られていないけど決めましたよというようなことはいたしません。
○辻元清美君 努力をするとおっしゃったけれども、大事なのは患者の方々を始め当事者の共感納得であるということだから、あらかじめ期限を切るのはやめた方がいいと思うんです。先ほどからの御答弁を見ていると、努力はするけど、納得できなかったら押し切りませんよというように、改定はあってはならないと何回も御答弁されているわけだから、まず納得と共感、これが一番大事ですね。いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 御指摘のとおりでございます。
○辻元清美君 では次、選択的夫婦別姓行きます。
総理、総理はこうおっしゃっているんですね、打越議員の質問に。選択だからよいというと、それでも駄目だという御意見が少数あると。これ、言った言った。これ、すごい正直な答弁だと思ったの。だから紹介しているんですよ。これは、要するに、自分は全く知らない夫婦が別姓を選択したいという、それも、自分とは関係ない夫婦だけれども駄目だと言っているに等しいわけですよ。この駄目だと言っている人たちの理由って、総理、何だと理解していますか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは、家族の間で氏が異なり得るということは本当によいのだろうかという根源的な疑問、あるいは旧姓の通称使用の法制化を希望される方々が、家族の一体感、子供への影響などの観点からいろんな御意見があるということだと承知をいたしております。
それは、私、少数と言ったかどうかは数えたわけではございませんので分かりませんが、そういうような強い御主張、そしてまた強い価値観に基づくものなのかもしれません。そういう御意見があることは承知をいたしております。
○辻元清美君 総理、その家族に一体感があるかどうかは誰が決めることですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それはそれぞれの意識の問題でございますので、誰かが、はい、一体感があります、いや、ありませんなぞということを有権的に決められるものだと私は思っておりません。
○辻元清美君 そうなんですよ、その家族が決めればいいことなんですよ。
私は、その家族に一体感があるかどうか、決して政治がこうあるべきだと介入するべきではないと思います。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) そういうお考えがあるということが事実であって、それが制度の、新しい制度の創出によってそういう状態が惹起されるということを事実として認識をしておるということでございます。
○辻元清美君 それでは、ちょっと三原大臣。
日本以外の国は全て選択的夫婦別姓制度を導入していますよね。そうした国々では同姓しか選べない日本より家族の一体感が希薄であるというようなデータがありますか。
○国務大臣(三原じゅん子君) 現時点で、夫婦別氏制度が導入されている国において、日本と比較して家族の一体感が希薄であるとする情報には接しておりません。
○辻元清美君 ないんですよ。
それでは、石破総理。男女共同参画会議ってあるじゃないですか。これ官房長官が議長なんですけれども、これは経済財政諮問会議とか中央防災会議など、5つしかない政府の重要政策会議ですよね、男女共同参画会議も。で、経済財政諮問会議なんかは骨太の方針出す非常に重要な会議だ私認識しているんですが、総理も同じ認識ですよね。
○内閣総理大臣(石破茂君) 極めて重要な会議だという認識は強く持っております。
○辻元清美君 それでは、この男女共同参画会議で選択的夫婦別姓制度について既に承認された取りまとめがあります。
三原大臣、この取りまとめの中で家族の一体感についてどのような見解が示されているか紹介してください。
○委員長(鶴保庸介君) 事務方でよろしいですか。
○辻元清美君 じゃ、政府委員でいいですよ。
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
委員御指摘の選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめでは、家族の一体感につきまして、家族の一体感、きずなにとって最も大切なことは、同氏という形式ではなく、愛情や思いやりといった実質であると考えるとされております。また、中間まとめでは、氏を同じくすることにより一体感を強めようとする夫婦と同様に、互いの氏を尊重することによって二人の信頼を深めようとする夫婦もいると考えられるとの記述もございます。
○辻元清美君 今、前半でこうなんです。
これ、男女共同参画会議、総理が重要な会議だと言ったところでこの取りまとめが承認されているんですけれども、家族の一体感にとって最も大切なことは、同氏という形式ではなく愛情や思いやりといった実質であると考えると文書で取りまとめられているんですよ。
これ、もう政府としては決着付いているんじゃないですか、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) その会議が極めて重要だということは先ほど申し上げたとおりでございますが、そこの決定が政府の方針を全て決するものではございません。
○辻元清美君 それ、ちょっと矛盾していますよ。
重要な会議だと言い、骨太の方針決める会議ですよ、これ、機関ですよ、と同列ですよ。世界中に行って、同氏じゃないと家族のきずなが保たれないなんてどこも通用しません、総理。
じゃ、家族の一体感には同氏という形式が極めて大事だというふうな新たな取りまとめを作る予定はないでしょう。
○内閣総理大臣(石破茂君) そのことに私は言及する立場にはございませんが、そのような予定があるとは全く承知をいたしておりません。
○辻元清美君 ということは、今のところ政府は、この一体感にとって、同氏という形式ではなく愛情や思いやりといった実質であるという見解なんですよ。これ決着しています。
そして、子供への影響です。この子供への影響について三原大臣にお聞きします。
同姓か別姓を選べるようにしたら子供への悪影響があるという反対論ありますよね。世界中の国の中で、別姓のため子供に悪影響が出ている事例があれば紹介してください。
○国務大臣(三原じゅん子君) 現時点で、夫婦別氏制度を導入することで子供に悪影響があることを証明する情報には接しておりません。
○辻元清美君 三原大臣、ユニセフが子供の精神的幸福度を国際比較した調査があります。これ、日本は、対象国38か国中何位ですか。
○国務大臣(三原じゅん子君) 御指摘のユニセフの調査によると、我が国は、38か国中、精神的幸福度は37位であると承知しております。
○辻元清美君 総理、日本、下から2番目なんですよ。
その主な理由が、学校のいじめや家庭内不和、自己肯定感の低さだったんですね。日本以外の国は全て別姓も選択する、される国で、氏が親と違うことも当たり前の国です。一方、日本は、同氏に固執しているけれども、家庭内不和などの原因で子供の精神的幸福度が下から2番目、とっても低いという結果だったんです。
総理、このデータから見ても、家族が同氏でないと子供への悪影響があるという意見は、私は根拠としては希薄だ、まあはっきり言えば根拠にならないと思うんですが、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) その37か国中36位でしたっけか、38から37位か。
この数字は私もかねてから強い問題意識は持っております。何でこんなことになるんだということは本当に詳細に分析をしてみなければなりません。
委員が御指摘のようなお考えもありますし、じゃ、どうしてこんなことになっちゃうのということの中に、それは夫婦別氏だとどうなるのよと、別氏の国の方がはるかにその度数はいいんじゃいのという御指摘は、それは真摯に承らなければいけないことだと思っています。
ただ、一つの理由だけで全部が決まるわけではございませんので、これもう様々な要因が絡んでおって、今私の中で何でこうなるのだという分析はいたしておるところでございますが、御指摘はそのとおりだと思っております。
○辻元清美君 この調査によると、一位はオランダだったんですね。これ国会でも質疑されているんですよ。子供の精神幸福度一位のオランダについては、自主性の尊重、個人としての多様な生き方が認められていることが子供の幸福度が高いことにつながっていると言われているんですね。
私は、むしろ、家族はこうあるべきとか、結婚したら氏を統一すべきというような、一つの価値観に統一しようとする、ある意味強要です、風潮は、むしろ子供の多様な生き方、幸せを妨げているんじゃないかなというように思うんです。今、そうかもしれないとおっしゃったけど、独り言で、総理。
自己肯定感の低さというのもあるわけです。やっぱり名前ってすごく大事なんですよ。私、辻元清美でこうやって仕事していますけれども、この後結婚して、まあ加藤さんいらっしゃいますけど、加藤清美になったとするよね。それで、加藤清美って言われてもぴんとこないのよ、ずっと辻元清美だから。分かるでしょう、総理。政治家、割と通称の人多いんですよね。
私は、これから見ても、親と名前が違うことでいじめられたりしたとしたら、そんな差別やいじめをなくさなければならないということであって、むしろ氏を選ぶことが当たり前になったら、親と氏が違うことでいじめることが成立しなくなるということなんですよ。
ですから、私は、子供の幸福を考えても、それから未来の若者たちのことを考えても、これ、もうそろそろ、その子供に影響が出るとか、何か反対しているある学者さんは、保育園のお迎え、何々ちゃんのお母さんと言われなくなるんじゃないかという何か稚拙な話。保育園は同氏でも登録していなかったら迎えに行けませんからね、DVとか連れ去りとかあるから。同氏でなくても、別に他人でも、シッターさんが登録してあれば迎えに行けるわけですよ。全く現実離れした反対論おっしゃっているの。
三原大臣、先ほどの取りまとめでは、子供への影響、これ分かります、答弁。さっきの男女共参画会議の取りまとめでは、こうなっているんですよ。紹介します。もう、ちょっと私が言っちゃうわ、三原さん。言う、はい、どうぞ。
○国務大臣(三原じゅん子君) 平成13年の中間まとめでは、家族における子供の安心感にとって重要なものは、親子間の対話や愛情であって、親子が同氏であることではないと考えられるとされています。
○辻元清美君 政府のさっきの男女共同参画会議で承認された取りまとめなんですよ。もうこの10年間積み重ねられてきているんです。
次に、旧姓の通称使用を法制化したらどうかいう主張もあります。
世論調査では旧姓の通称使用が一番多いと言われるんですが、毎日新聞が相当詳しい調査を発しました。これによると、旧姓の通称使用の拡大を選択した人を対象に、更に選択的夫婦別姓導に賛成か反対かを聞いたところ、賛成が61%、反対が18%だったんですね。
この通称使用の拡大ということを選んだ人も、圧倒的に、別にほかの人が選択的夫婦別姓でいろいろ氏を選んでもいいという結果なんですよ。総理、御存じでした。
○内閣総理大臣(石破茂君) 承知をいたしております。
○辻元清美君 なんですよね。
それで、法務省に聞きます。
この通称使用の法制化については、29年前、法制審議会で議論されています。このときに3つの案が議論されて、旧姓の通称使用の法制化についてはC案として検討されました。この案では通称のことを呼称と呼んでいますけれども、このC案の議論について法務省民事局参事官室がどのような報告書をまとめているのか、説明してくだい。この点だけで結構です。
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
平成8年までの法制審議会による調査審議におきまして、いわゆるC案として、夫婦は同一のを称するものとする現行の制度を維持しつつ、婚姻によって氏を改めた夫婦の一方が、婚姻前の氏を自己の呼称として使用することを法律上承認するという案も検討されたと承知をしております。
もっとも、令和、失礼しました、平成7年9月に公表された婚姻制度等の見直し審議に関する中間報告の説明によれば、この案については、呼称という概念を用いて、事実上の夫婦別氏制を実現しようとするものであるが、制度上は、夫婦の一方が婚姻によって氏を改めることになるから、個人の氏に対する人格的利益を法律上保護するという夫婦別氏制の理念は、ここにおいては後退している、また、氏とは異なる呼称という概念を民法に導入することになると、その法的性質は何か、氏との関係をどのように捉えるかなど、理論的に困難な問題が新たに生ずる、さらに、この民法上の呼称は、現在戸籍実務において用いられている呼称上の氏との混同を生じさせ、氏の理論を一層複雑、難解なものにするおそれがあるとの観点から、長期的な展望に立った氏の制度として採用することは、相当ではないとして採用されなかったものと説明されております。
○辻元清美君 これ、専門家や、まあ法務省もある程度入って、この法制審議会、5年間議論したんですよ、発表するまでに、答申出すまでに。そして、このいわゆる通称の法制化については、法的性質は何か、氏との関係はどのように捉えるかなど、理論的に困難な新たな問題が生じる、氏の理論を一層複雑、難解なものにするおそれがある、氏の制度として採用することは相当でないという結論付けをしたんです。
総理、もうこの通称使用の法制化、私、困難と決着付いていると思います。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは、専門家では一定の結論は得られているということですが、では広く国民の皆様方に理解が得られているかというと、私はそうだとも思っておりません。
これはやはり、広く国民の皆様方に御理解をいただく、専門家はこう言っているよ、こうやって結論が出ているよということと、国民の理解、共感と納得を得るのは少し次元が異なるものだと思っております。
○辻元清美君 あのね、ところがね、これ民法の体系は変わっていないわけだから、私たちは法律を議論しているわけです。無理ですよ。
法務大臣にお聞きします。
法務省が要綱まで作った法制審案、これによれば、民法改正で同氏、別氏を選べるようにした場合も、法制審案ですよ、運用で、今のように旧姓の通称したい人がいればそれは排除するものではないという理解でよろしいですね。
○国務大臣(鈴木馨祐君) 仮定の質問ではありますけれども、当然排除はされないということで結構でございます。
○辻元清美君 総理ね、総理はこう言っています。
国民の意見が分かれていると答弁されているんです。
国民の意見が分かれているからこそ、一人一つを強要するのではなくて自分に適した制度を選べるようにする方が国民にとって幸せなんじゃないですか。同氏を選びたい人は同氏、別氏を選びたい人は別氏。その上で、今法務大臣の答弁がありました、運用で旧姓の通称使用を選びたい人は通称が選択できるようにすれば、三方よしで、より幅広い国民が望むことに応える、政治として、ことになると思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 反対論を唱えておられる方々も、本当に真摯に反対論を唱えておれるんだろうと思っています。つまり、委員のおっしゃることは私なりに納得もします。そうだろうなというふうに思いますが、しかし、そういう制度をつくること自体がどうなんだということについての根源的な疑問を呈しておられることに対してどう応えるかということはかなり難しいなとは思っています。ただ、そういう制度をつくることはどうなんだと、そもそも、そういう議論かなというふうに私は思っております。
○辻元清美君 あのね、国民が大反対しても、安保法制とか憲法違反と言われても、突っ切ったのは自民党でしょう。30年も掛けて、自民党は同氏だけに固執して何を守ろうとしているんですか。政府の議論の積み重ねは一つずつやりましたよ。全部決着付いているじゃないですか。
最後に申し上げたいと思います。
この国会で総理は、いつまでも引きずっていいお話だと思っておりませんと答弁されています。決着しましょう。もう結論出ているんですよ。
立憲民主党では、与野党を超えて御意見も聞きながら、与野党の皆さんの、広範な賛同をいただける法案を取りまとめて、来月、4月中にも提出したいと思っています。
総理はね、きちんと答えを出すのが国民に対する我々の、議員の責任だともおっしゃっています。私は皆さんに呼びかけたいですよ。もう党を超えて法案出しますからね。法案出したい人はほかも出せばいいんですよ。議論して、そして、一緒に国民にしっかりと、特に未来を担う若者たちに責任を果たしていきましょう。そう呼びかけて、質問を終わります。