つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

2024年12月3日 本会議 代表質問全テキスト:政治改革、能登震災支援、非正規雇用問題、日米地位協定、選択的夫婦別姓など

2024.12.5

国会ブログ活動報告速記録・議事録国会質問

 


○辻元清美君

立憲民主党の辻元清美です。
会派を代表し、石破総理大臣の所信表明演説に対し、質問をいたします。

熟議と公開
衆議院では、与党過半数割れになりました。与党多数で押し切る国会ではなく、与野党、国民の見えるところでオープンに、しっかり議論をして、合意形成をしてほしいという民意が示されました。
そこで、総理、約束してください。与党多数の本院参議院、参議院は与党が多数ですけれども、この参議院でも、熟議と公開、よろしいですね。

補正予算と能登震災支援
さて、やっと補正予算です。能登の被災者に届くのはいつでしょうか。
震災関連死が247人に上り、直接死の227人を上回りました。地震では生き延びたのに、その後の困難の中で命を落とす。だから、一刻も早く補正予算で本格支援を開始しよう、そう私たちは言ってきたんじゃないですか。なのに、石破総理は、被災者支援より、裏金隠し・自己都合解散を選んだ。その間に救える命があったんじゃないですか。

能登はこれから厳しい冬を迎えます。地震から元旦で一年。一年たっても本格予算の、補正予算が届かない。これが石破政権の実態ではないですか。
これ以上犠牲者を出さないためにどのような対策を行うのか、具体的にまず示してください。

■政治改革
能登の被災者や物価高で生活が苦しい国民は増えています。なのに、自民党の裏金・脱税事件の決着はまだ付いておりません。
そこで、来年夏の参議院選挙の公認問題。
総理は、衆参で違う対応をすることはございませんと述べ、参院選でも同じ基準で非公認の判断をする考えを示しました。このお考えに変わりはないですか。参議院選の非公認の基準はどうするんですか。政倫審に出る、出ないで決めるんですか。また、非公認の支部にも2,000万円を配るんですか。お答えください。

総理、政策活動費は廃止するんですよね。今まで自民党はこれだけは廃止できないと言い張ってきましたが、選挙後、廃止と言わざるを得なくなった。これは、一票の力で政治を動かしたあかしではないでしょうか。
しかし、自民党はまだ抜け道を探しています。外交や営業の秘密、またプライバシーなどを理由に例外を設けるんですか。第二の政策活動費になりかねません。その抜け道の一つが地方組織。地方組織の政策活動費も廃止でよろしいですね。

■「年収の壁」問題
さて、次は、年収の壁問題です。
総理は所信表明演説で、103万円の壁の引上げに言及されました。総理、この引上げ額を決めるに当たって、何の指標を使いますか。最低賃金ですか。それとも消費者物価指数ですか。お答えください。
さらに、最低賃金、そして、消費者物価指数の食料品、基礎的支出項目、総合、それぞれについての引上げ額と国、地方の税収減の試算を示してください。

103万円の壁を引き上げても、その先には130万円の崖が待ち受けています。現状では、130万円を超えると、国民年金、国民健康保険の保険料を支払うということになるものの、将来受け取る年金給付が増えるなどのメリットはありません。
立憲民主党では、この130万円の崖を給付金で埋める就労支援給付制度の導入に関する法律案を提出いたしました。
政府の2年間程度の臨時的な措置、昨日も答弁されていましたけれども、これでは不十分です。壁と崖、この際、合わせて解消することを提案しますが、いかがでしょうか。

闇バイト対策
さて、連日、闇バイト事件が報道されています。
まず、政府がやっと動き出した闇バイト対策について説明をしてください。

「まともに働き、安定した収入があれば、闇バイトとは関わらなかったと思う」これは闇バイトに手を染めてしまった若者の声です。
闇バイトに至るまで、4人に3人は就労、就学をしていたという調査があります。そこからは、貧困家庭の問題や、仕事があっても不安定で低賃金、生活ができない若者の実態が浮かび上がっています。そして、被害を受ける高齢者の社会的孤立があると言われています。

私は、根絶するためには、啓発や取締り強化はもちろん必要ですが、貧困対策や若者の低賃金の改善など、闇バイトがビジネスとして成立しない社会をつくる必要があると考えます。総理、いかがでしょうか。

■スポットワーク
この闇バイトに悪用されていると言われているのがスポットワークです。
近年、若者を中心に、スポットワークや隙間バイトが広がっています。大手アプリ4社には延べ2,000万人以上が登録。一方で、内容や労働条件が違っていたとか、けがをしたけれども労災認定されなかった、トラブルも増えているんです。
禁止された日雇派遣と同じような問題がこのスポットワークでも発生している。
総理、実態調査とルール整備を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

■非正規雇用問題
総理は、非正規雇用をなるべく減らさなければならないと主張されてきました。
なぜ減らさなければならないと考えるのか。どのような施策で減らしていくのか。答弁を求めます。

同一労働同一賃金の法整備後も、基本給を見直した企業は半数、ボーナスは二割、扶養手当や退職金に至っては一割未満にすぎません。若者が安定した仕事に就くためにも、私たちは同一労働同一賃金の法整備の不備を改める必要があると考えますが、総理、いかがでしょうか。

また、総理は政労使会議で、2020年代中に最低賃金の全国平均を1,500円に引き上げる対策案を来年の春までにまとめるという方針を話されました。総理、2020年代中に1,500円でいいですね。どこで、誰が議論をして、来年の春とは何月までに対策案をまとめるのでしょうか、お示しください。

先日、衝撃的な将来推計が発表されました。2050年には全世帯に占める単身世帯の割合が44.3%になると示されたのです。ほぼ二人に一人が単身世帯。総理の受け止めはいかがでしたか。
私もシングルで、こうやって仕事をして、一見強そうに見えるかもしれませんが、親の介護や自分の老後を考えたら大きな不安に襲われるときがあるんです。ですから、もっと厳しい環境の人たちの不安はいかばかりかと心が痛みます。
もちろん家族を持つ持たないは個人の自由ですが、希望しても家族を持てない人も増えています。単身世帯の増加、その原因の一つがやはり不安定な非正規雇用の問題。総理、この認識はありますか。

■企業団体献金の禁止
さて、民主党政権から2回目の安倍政権に移ったとき、経済団体が自民党への企業献金の呼びかけを再開し、ほぼ同時に労働法制の規制緩和を要望いたしました。あれから12年、非正規雇用が約4割に達し、少子化が加速され、単身世帯が増加。日本企業の国際競争力は低下し、日本は経済成長しない国に陥ってしまったのではないですか。
総理も、所信表明で、30年前、日本のGDPは世界全体の18%を占めていましたが、直近の2023年では4%です、1位だった国際競争力は今38位に落ちていますと述べ、この現状を認めています。ほとんどの期間、自民党政権だったんじゃないですか。

総理は、アベノミクスについて、トリクルダウンは結局起きなかったと、はっきり何回もおっしゃってきました。今も同じ認識ですか。
企業献金をしてきた経済団体の要望を忠実に実行した結果、トリクルダウンは起きず、富が偏る不公正な政策決定がなされたと感じている国民がたくさんいるんじゃないですか。総理はそう思いませんか。
国民が不公平感満載で政治が信用できない国に経済成長はありません。

企業・団体献金について、総理は54年前の最高裁判決を錦の御旗のように答弁していますが、同じ判決には、大企業の巨額の寄附について、金権政治や政治腐敗の醸成といった弊害との表記もあり、法律での対処についても言及しています。
日本の公平公正で健全な経済発展のためにも、総理、企業・団体献金禁止、ここで明言していただきたい。いかがでしょうか。

昨日の本会議で総理は、この企業・団体献金のことを質問された答弁で、何かむっとして答弁されていたように見えるんですね。5,000万円とか何千万円も企業が自民党に一社で寄附している、これに対して国民も不信を抱いているんですよ。そして、それを批判して、その答弁、むっとして答える。
これこそ「ふてほど」、「不適切にもほどがある」じゃないですか、皆さん。
今日は、総理、ぜひ爽やかにお答えいただきたいと思います。

■防衛増税
次に、防衛増税。
総理は、年末の税制改正で決着を付けるとの認識を示しました。今月中に決めるということでよろしいですね。
総理、そもそも自民党内はまとまるんですか。茂木元幹事長は防衛増税は必要ないと主張。また、来年夏の参議院選挙を控え、参議院自民党からも増税反対ののろしが上がるんじゃないですか。まとまらないのなら、それまでの財源はどうするんですか。

また、トランプ次期大統領に近い元政府高官は、GDP比 3%程度への引上げに言及しました。そもそも総理は、NATEも2%に引き上げるから日本も2%というのは相当に乱暴なお話と発言してきました。ならば、3%なんて突っぱねるんですよね。はっきりお答えください。

また、総理は、円が高いときに設定された計画だとし、物価や人件費の高騰、為替変動を考えると、43兆円を見直す必要があるとも述べています。一ドル108円での計算が大半で、本年には一ドル160円すら記録しています。予算が3割消失した現状、積み上げた装備を買うのは不可能ではないですか。43兆円を超過するというようなことはないと断言できますか。

また、総理は、積み上げた予算一つ一つ点検していくべきと、まともなこともおっしゃってきました。総理の言葉どおり、無駄がないか点検すべきと思いますが、いかがでしょうか。
思い切って防衛費43兆円を見直して、軍事から人へ付け替えたらどうでしょうか。103万円の壁引上げの財源も探しているじゃないですか。この防衛費43兆円が物すごい足かせになっているんですよ。点検した方がいいですよ。

そして、軍事から人へ、給食費の無償化。
所信表明で、総理は、人づくりこそ国づくりとおっしゃいました。国を守るのも、新しい産業を生み出すのも人です。未来を担う子供たちが栄養バランスの取れた世界一おいしい給食が食べられる国にしましょうよ。
立憲民主党では、ほかの野党の皆さんと協力して、学校給食無償化法案を提出予定です。総理、給食の無償化、実現しましょう。

■交通崩壊
また、総理は、政界きっての鉄道ファン。そこで、鉄ちゃん総理にお聞きします。
総理は、こうおっしゃっています。状況が厳しいから本数を減らす、サービスを落とす、路線を減らす。本当にそれでいいのだろうかと危機感を訴えてきました。
交通崩壊を食い止めるために、どれぐらいの予算を掛けて、何をされますか。
地域公共交通再編支援の予算は、たった363億円。一方、総理が5割高だと指摘しているイージスシステム搭載艦は、2隻で7,900億円。一隻分の予算だけでも公共交通予算に回せば、どれだけの人や地域が守れるのか。現に、防衛予算は1,300億円使い残しをしています。43兆円見直して、交通崩壊を止める予算にしたらいかがでしょうか。

■日米地位協定の見直し
次に、日米地位協定。
16年前、私は衆議院予算委員会で、当時の石破防衛大臣に、沖縄での米海兵隊員による女子中学生への性暴力事件について質疑をいたしました。このとき、総理は地位協定に触れ、犯罪を減らすことにどのように資するかということをちゃんと議論しなければならないと答弁しています。
あれから16年、総理、どこでどのように地位協定について議論してきたのですか。性暴力被害は減ったのですか。
昨年の報道ベースだけでも、沖縄では2ヶ月に一回ぐらい女性への暴行や性暴力が発生しています。女子差別撤廃委員会でもこのことに勧告が出ました。そして、那覇市で総理は、見直しに着手すると表明。沖縄県民への約束は重いです。

総理、これ、全国知事会でも、全会一致で抜本改定の提言が出されております。着手の一歩として、有識者や首長も入れた検討会の設置を提案いたします。いかがでしょうか。

■非核三原則と憲法九条
総理は、核政策についても、核シェアや核の持込みも具体的に検討せねばならないと主張をされてきました。理由を説明してください。
これに対して、ノーベル平和賞受賞の被団協、田中代表理事は、怒り心頭とおっしゃっています。
総理、核シェアや核の持込みの検討か、それとも非核三原則堅持か、ここではっきりしていただきたい。

一方、核兵器禁止条約・締約国会合のオブザーバー参加については、真剣に検討するともおっしゃっています。来年3月に開催されます。総理、一緒に行きましょう。いかがでしょうか。

また、総理は、憲法九条について、三項加憲案、つまり、九条に自衛隊を書き込む自民党の改憲案には、むしろ積極的に反対と主張されてきました。私にもおっしゃっていましたよ。同じ見解ですか。

■気候変動対策とPFAS規制
気候変動枠組条約について、国際的な懸念があります。それは、トランプ政権になったら、パリ協定からアメリカが離脱するのではないかということ。
総理、トランプ次期大統領には、パリ協定から離脱せず、アメリカの責任をしっかり果たすように進言するおつもりはありますか。
パリ協定1.5℃目標達成のためには、日本は温室効果ガスの削減目標の更なる引上げが必要です。先進国の責任も加味したら70%以上の削減が必要との声もあります。日本の目標数値とその達成の道筋を示してください。

また、水は命の問題です。PFASに関する現在の政府の調査、不十分だと思います。立憲民主党では、PFASの調査を国に義務付け、飲み水の安全を確保する法案を検討しています。
政府による主体的な調査と公表、規制の強化が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

■外交姿勢
さて、外交姿勢について。
先日のAPEC、自席で一人ぽつんとスマートフォンをいじっていらっしゃった姿を見て、私、ずっとそうしていたとは思いませんけれども、一抹の不安を覚えたんですね。というのは、総理は人付き合いが悪いという定評があるとよく聞くんですよ。総理、外交は人付き合い良くやっていただかなければ困ります。
そこで、お聞きします。

総理が師である田中角栄元総理から大きな影響を受けたと言っていらっしゃる、角栄氏の非戦、戦争しない非戦、対米自立の構え、日中国交正常化の偉業について、どのように理解し、どのような影響を受けたのか、説明してください。
私は、安倍、岸田路線の軍備偏重路線に非常に危機感を抱いています。過去の過ちを二度と繰り返さないためにも、戦争体験を持つ先輩議員から学ぶことは多い。しっかり答弁をしてください。

■選択的夫婦別姓制度の実現
さて、この度の衆議院選挙、史上最多の73人の女性衆議院議員が誕生いたしました。まだ20%に達成していないんです。73人のうち30人が立憲民主党なんです。立憲民主党は、これからもジェンダー平等政策実現の牽引力になっていきたいと思います。

そして、いよいよ選択的夫婦別姓実現のときじゃないですか。
27年前から、参議院では15回、衆議院では9回、改正案を提出してまいりました。しかし、自民党は、この30年近く審議拒否を続けています。
報道機関のアンケートでは、自民党議員も入れた今回の衆議院の全当選者、選択的夫婦別姓に賛成は65%、反対はたった15%でした。自民党も含めて採決したら、衆議院では今すぐにでも成立する数字なんです。

では、自民党の誰が審議すら止めているんですか、総理。総理、旧統一教会関連団体の国際勝共連合が自民党議員たちに選択的夫婦別姓を反対、働きかけてきたからですか。

歴代総理は、様々な意見があることからと同じ答弁を繰り返してきましたけど、今日はこの答弁やめてください。意見が様々だからこそ、各自が選べるようにすべきではないでしょうか。
皆さん、いかがでしょうか。選択の幅が広がって一体誰が困るんですか。幸せになる人が増えるだけじゃないですか。
自民党まとまらないんだったら、党議拘束を外したらどうですか。審議しましょうよ。いかがでしょうか。

■SNS上の偽情報と選挙
さて、先日の兵庫県知事選挙、名古屋市長選、そして衆議院選でも、SNS上の偽情報拡散による選挙妨害が指摘されました。私も、ネット上のデマを信じた人に、深夜、事務所の壁を破壊して不法侵入され、危害を加えられそうになったことがあります。
総理、偽情報流されたことありますか。どのように対処してきましたか。

所管の総務大臣にお聞きをいたします。
公職選挙法では、候補者の偽情報を公表することを禁じ、罰則もあります。SNSへの偽情報の投稿も該当しますか。また、特定の候補者を応援する動画や書き込みの投稿を行う人を有償で募集する行為、これは公職選挙法違反に当たりますか。
選挙においては、各候補者のビラやポスター、使えるスピーカーの数などに制限が掛かっています。これは公平性を担保するためです。このように量的に制限のある選挙運動について、ある候補者がほかの候補者の選挙運動を行うということはできるんでしょうか。仮にこれが許されれば、誰かを当選又は落選させるための狙いで複数人が立候補する選挙運動が可能になってしまいます。
以上、総務大臣、見解をお示しください。

欧州委員会はガイドラインを採択し、カリフォルニア州では選挙運動での虚偽コンテンツの拡散を規制する法律が制定されました。半年後には参議院選挙もあります。総理、公正な選挙にするため、現状の問題点を分析し、対策の検討が必要と考えますが、いかがでしょうか。

■総理の政治姿勢
最後に、総理が所信表明で触れられた石橋湛山元総理について。
湛山氏は、時の体制にあらがい、総理大臣になっても信念を曲げなかった。私には、総理大臣に就任してすぐにぶれまくっている今の石破総理と石橋湛山氏は正反対に見えてしまうんです。石橋湛山氏はこう言っています。政治家にはいろんなタイプがいるが、最もつまらぬタイプは自分の考えを持たない政治家だと言っています。総理、このままではあなたはぶれまくり、湛山氏の言うつまらない政治家になってしまうんじゃないですか。

石破総理と私は、20年以上にわたり建設的な議論をしてきたと思っています。だから、石破さんが苦労してやっと総理になられたとき、私ちょっとうれしかったんです。ところが、今、正論石破の精彩を欠き、まるで別人になったように見えるんです。残念です。
石破総理は、果たしてただの評論家総理で終わってしまうんですか。石破総理は、ただ総理大臣になりたかっただけなんですか。
国民も、石破さんならぶれずに自民党のうみを出し切って改革してくれると期待していたから、だから人気が高かった。その石破さんが総理大臣になっても自民党のしがらみにがんじがらめになって何も変わらないとなれば、もうどなたが総理大臣になっても自民党政権では真の改革は難しいということになります。そのときは、私たちが替わってやります。

熟議と公開の国会のスタートです。私たち野党も今まで以上に大きな責任を負っている、そのことをしっかり自覚して、臨時国会に臨んでまいります。
御清聴ありがとうございました。


 

○内閣総理大臣(石破茂君)
辻元清美議員からいろいろと御示唆、御配慮に富んだ御質問を頂戴をいたしました。恐縮であります。
基本姿勢についてでございます。

先般の選挙で示されました国民の皆様方のお声を踏まえ、衆参両院において、自由民主党と公明党との連立を基盤に、他党にも丁寧にオープンに御意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様の安心と安全を守るべく取り組んでまいるのは当然のことだと思っております。

■補正予算
能登地域の復旧復興のための補正予算でありますが、これは、補正予算と予備費はどちらか一方でないと本格的な支援が行えないというものではございません。状況に応じて、必要なのは、切れ目のない対応を行うために、この補正予算と予備費の二つを組み合わせて一刻も早い復旧と創造的復興に取り組むということであります。
今回は、デフレマインドを払拭をして賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行するために、経済対策の策定が必要でありました。この経済対策は、指示から補正予算の成立まで通例2ヶ月掛かるということでございます。これは過去の例からも明らかであります。

このため、能登地域の皆様方が受けた地震、豪雨の度重なる被害に対しましては、合計7,150億円の予備費を活用して、避難所の開設、インフラの応急対応、仮設住宅の建設など、復旧復興のフェーズに応じた機動的かつ効果的な支援を切れ間なく行ってきたものであります。
他方、今般、補正予算では、2,684億円の施策を盛り込むことといたしております。これは、予備費のようにその時点で必要となる施策に対応することに加えて、より長い目で見て必要となる事業量にも包括的に対応したものでありまして、災害公営住宅の整備への支援拡充、なりわい支援、災害廃棄物の処理の加速化、公共インフラの復旧復興などの施策、こういうものが該当するものでございます。

■政治改革
来年夏に予定されております参議院通常選挙における公認の方針等についてでありますが、政党の公認の方針等について政府としてお答えをいたすことは差し控えますが、自民党総裁としてあえて申し上げれば、さきの衆議院議員総選挙におきましては、自民党党則における選挙における非公認よりも重い処分を受けた者などについては非公認としたところでございます。来年夏に予定されております参議院通常選挙における公認、非公認の判断について、違う対応を行うということは現時点では考えておりません。
党の内部運営に係ることにつきまして、これ以上の詳細についてお答えをすることは差し控えますが、さきの選挙結果も踏まえつつ、国民の皆様方に納得していただけるような対応の在り方を考えてまいります。

政策活動費についてのお尋ねをいただきました。
政治資金に関するルールにつきましては各党各会派で御議論いただくべきものでありますが、党総裁としてあえて申し上げれば、政党から地方議員を含む各級議員に支出され、その先の最終的な使途が公開されていない政策活動費は廃止する、廃止することとし、我が党として所要の法案を提出をいたしてまいります。
この結果、政党における最終的な支出先等につきましては基本的に全て公開することになり、もはや従来の政策活動費ではなくなります。なくなりますが、外交上の秘密、支出先のプライバシー、あるいは営業秘密を害するおそれに配慮すべき場合など一部の限定された支出につきましては、相手方との信頼関係等にも関わることから、公開を行いつつも、公開の方法には工夫が必要であると考えております。
今後どのような公開の仕方があり得るかにつきましては、我が党といたしましても、各党各会派と真摯に議論を行いたいと考えております。

■「年収の壁」問題
いわゆる年収103万円の壁についてであります。
どのような目的、位置付けなのかにより、参照すべき指標や、これをどのように用いて引上げ幅を確定するのかは異なるものと考えております。
現在、3党の税調会長の間におきまして、税調会長間におきまして、政策的な目的を含めて議論されている、協議されているものと承知をいたしております。参照すべき指標や引上げ幅などについて、お答えをすることは差し控えます。
国民民主党からは、最後に基礎控除の引上げが行われた平成7年以降の最低賃金の上昇率1.73を基礎控除48万円と給与所得控除の最低額55万円の合計額103万円に乗じ、その結果の178万円まで基礎控除を75万円引き上げること、これを提案されているものと承知をいたしております。この場合の国、地方合わせた減収額は、7兆円から8兆円程度と試算をいたしております。
御指摘の消費者物価指数の食料品、基礎的支出項目、総合につきましては、これらをどのような考えに基づいて参照し、どのように税制に反映させるのかによって引上げ幅等も異なりますとともに、3党においてまさに協議が行われている最中でございますので、政府からお答えすることは差し控えます。

いわゆる130万円の壁の対応についてであります。
社会保険の適用に関するいわゆる130万円の壁につきましては、当面の対応として、被扶養者認定を円滑化するなどの年収の壁・支援強化パッケージの活用にまずは取り組んでまいります。
その上で、就業調整を行っている労働者が希望に応じて働くことができるよう、制度的な対応を図ることも重要であると考えております。
政府におきましては、現在、次期年金制度改正に向けて議論を行っているところであり、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用者保険の更なる適用拡大など、関係者間で丁寧に議論を進め、成案を得るべく努力をいたしてまいります。

■闇バイト対策
いわゆる闇バイトへの対策についてであります。
政府におきましては、これまでも、犯罪対策閣僚会議において、闇バイトによる強盗、詐欺への諸対策を取りまとめ、取締りの徹底、犯罪に加担する可能性がある者に対する呼びかけ等の対策を強化してきたところであります。
私自身、SNSなどで闇バイトは犯罪であることを動画により周知したほか、先般取りまとめた経済対策におきましても、防犯カメラの設置、青パトの整備など、町ぐるみの防犯対策の支援を行うことといたしております。

また、闇バイトが行われない社会をつくる必要があるということはまさしく御指摘のとおりだと私も考えております。
貧困や若者の不安定な就労といった問題につきましては、経済的に困窮する方に対する自立に向けた包括的な支援、ハローワークにおけるきめ細かな就職支援、正社員への転換に取り組む事業主の支援などを行っておるところでございます。
国民を守る、全ての方々が安心して暮らせる世界一安全な日本を実現する。それらのためにも、引き続き、治安対策や経済的に困窮する方への支援などに積極的に着実に取り組んでまいります。

■スポットワーク
スポットワークについてであります。
数時間又は一日単位で仕事をするいわゆるスポットワークで働く労働者は、賃金や安全衛生などの取扱いについて通常の雇用と異なるところはございません。事業主は適正に対応する必要があり、違反があれば労働基準監督署が監督指導することになります。
また、スポットワークのあっせんを行う事業者につきましては、求職者への労働条件明示、労働条件を明示することや苦情処理に関する体制の整備等を課しておりまして、求職者保護について都道府県労働局が監督指導等を行っておるところでございます。

今後とも、労働者からの相談に丁寧に対応すること等を通じ、スポットワークの実態を適切に把握しつつ、労働関係法令違反の疑いのあるケースについて都道府県労働局等において監督指導等を行い、スポットワークで働く方々や求職者の保護を図ってまいりたいと存じます。

■非正規雇用問題
非正規雇用と同一労働同一賃金についてであります。
非正規雇用労働者につきましては、正規雇用労働者に比べて相対的に賃金水準が低いこと、有期雇用の場合には雇用が不安定になりやすい傾向にあるほか、いわゆる不本意非正規の割合は減っているものの若年層では割合が高い等の課題があると認識をいたしております。
このため、希望する方々の正社員への転換を支援するとともに、同一労働同一賃金の遵守徹底を図ることが必要であると考えております。このため、短時間正社員など、多様な正社員制度の普及促進を図ることも重要と考えております。

同一労働同一賃金につきましては、令和2年度の法施行以降、取組が進んできているものと認識をしておりますが、これに係る規定につきましては、施行5年後の見直し検討規定に基づき、状況を把握、分析した上で検討をいたしてまいります。
最低賃金の引上げにつきましては、先日、私の政権で初回となります政労使の意見交換を開催し、最低賃金を引き上げていくための対応策を来春までに取りまとめるよう関係閣僚に指示をいたしました。今後も、政労使の意見交換を開催し、官民挙げて問題の深掘りや環境の整備を図ってまいります。
このため、あらかじめ来春の何月までにまとめると申し上げる段階にはありませんが、当政権として、2020年代に全国平均1,500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けてまいります。

単身世帯の増加と非正規雇用の問題についてお尋ねをいただきました。
国立社会保障・人口問題研究所が先月公表した都道府県別世帯数の将来推計では、2050年には全世帯に占める単独世帯の割合は全ての都道府県で上昇が続き、全国平均で44.3%になると見通しが示されましたのは御指摘のとおりでございます。単身高齢者の方も含め、誰もが住み慣れた地域で孤立せず安心して暮らせるような社会づくりが今後ますます必要になってまいります。

特に男性につきましては、非正規雇用労働者の方が正規雇用労働者より有配偶率が低い傾向があります。配偶者がいる率が低いということですね。他方で、非正規雇用労働者の増加は主に高齢者で生じておりますことから、単純に非正規雇用労働者の増加が原因で単身者が増えていると評価することには留意が必要でございます。
希望する方々の正社員への転換を支援するとともに、同一労働同一賃金の遵守徹底を図ることは必要であります。短時間正社員制度など、多様な正社員制度の普及促進を図ることも重要と考えており、これらに総合的に取り組んでまいります。

■アベノミクス
アベノミクスについてのお尋ねを頂戴をいたしました。
アベノミクスは、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながりました。他方、一人当たり平均の実質賃金が伸び悩むとともに、個人消費も力強さを欠いていたと認識をいたしております。
アベノミクスの成果を基に岸田内閣が進めてきた取組を引き継ぎ、更に加速、発展させることで、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現してまいりたいと考えております。

■企業団体献金
企業・団体献金についてであります。
政治資金に関するルールの在り方につきましては、既に政治改革に関する各党協議会において御議論をいただいており、政府としてお答えをすることは差し控えますが、まず事実関係について申し上げれば、昭和45年の最高裁判決におきましては、原告側が、大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を産む、弊害の弊ですね、弊を産む、豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成すると主張したのに対して、最高裁は、そのような弊害に対処する方途は、差し当たり、立法政策にまつべきことであって、憲法上は、公共の福祉に反しない限り、会社といえども政治資金の寄附の自由を有すると述べております。

また、こうした判決も踏まえ、80年代以降、各党各会派による議論が行われ、企業・団体献金について一定の量的制限、質的制限が設けられたほか、寄附の相手方についても政党等に対するもののみが認められる形になったところであり、一定の改革が行われてきたところであります。
その上で、更なる規制の強化につきましては、最高裁判決でも認められている企業の政治活動の自由に関わることでもあることから、必要性、相当性をよく議論する必要があるものと考えております。

政党として避けなければならないのは、献金によって政策がゆがめられることであります。これには個人献金も企業・団体献金も違いはなく、我が党としては企業・団体献金自体が不適切とは考えておりません。
他方で、企業・団体献金を含む政治資金について高い透明性を確保することは政治資金規正法の目的及び基本理念に照らしても重要であります。

政治資金規正法第一条は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の公開などを行うと規定しています。また、同法第二条は、企業・団体献金を含む政治資金を民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であるとした上で、その収支の状況に関する判断は国民に委ね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないようにしなければならないとしております。

我が党といたしましては、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築に取り組む方針であり、これにより、企業・団体献金を含む政治資金の透明性が飛躍的に高まり、国民の皆様方の御判断に資するものになると考えております。

■防衛費
防衛力強化に係る財源確保のための税制措置についてであります。
激変する安全保障環境において日本を守り抜くため、国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化すべきことは論をまちません。
そのための財源確保に当たっては、行財政改革の努力を最大限に行った上で、それでも足りない約4分の1について、今を生きる我々の将来世代への責任として税制措置での御協力をお願いしていると、このように認識をしておるところでございます。

そうした枠組みの下、これまでも5年度、6年度税制改正において与党の税制調査会等の場で議論が行われてきましたが、現在、まさに税制調査会等の場で議論が行われているものと承知をいたしており、与党における議論の途中の段階での政府として何らかの仮定を置いて答弁をすることは差し控えます。

防衛費の引上げについてであります。
国家安全保障戦略では、2027年度において防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせ、そのための予算水準がGDPの2%に達するよう所要の措置を講ずることといたしております。
これは、我が国自身の判断として必要な防衛力の内容を積み上げた上で決定した結果であり、数字ありきではございません。今後の予算措置の水準につきましても、我が国自身の判断で決定していくことは言うまでもありません。

防衛費についてのお尋ねでございます。
防衛費全体のうち、例年8割から9割を占めております人件費や国内生産、調達、基地対策費などは為替の影響を直接受けるわけではございません。為替の変動に直接影響する有償軍事援助、FMSや一般輸入などは約一割から二割というふうな割合になっておるところでございます。
防衛力整備計画の43兆円という規模は防衛力の抜本的強化に必要な水準として積み上げたものであり、円安を伴う為替レートの変動や国内外の全般的な物価上昇が生じている状況にありましても、一層の効率化、合理化を徹底し、防衛力整備計画に基づいて防衛力の抜本的強化を達成すべく努めてまいります。

■学校給食費
学校給食費につきまして、今回の経済対策において、現在の物価高などの状況を踏まえ、地域の実情に応じた保護者負担の軽減の観点から、学校給食費の支援も行えるよう、重点支援地方交付税を追加しております。

学校給食費の無償化につきましては、学校給食の実態調査の結果を踏まえつつ、給食未実施校や実施校でも喫食しない児童生徒には恩恵が及ばないといった児童生徒間の公平性、低所得世帯の児童生徒は既に無償化されていることに伴う支援対象の妥当性、給食費に係る就学援助について、いわゆる三位一体改革により税源移譲、一般財源化を図った経緯を踏まえた国と地方との役割分担、消費者、少子化対策としての政策効果、給食に係る経費の負担を定めた学校給食法の在り方などの法制面等、考えられる課題を整理してまいります。

その際、こども・子育て加速プランにおいて児童手当の抜本的拡充や高等教育費の負担軽減を進めているところであるなど、家計を支援する様々な施策を総合的に考慮する必要もあると考えております。

■地域交通
地域交通は、人口減少等による長期的な需要減に直面しておりますが、地方創生の基盤であり、ローカル鉄道の再構築に向けた地域の関係者の合意形成に国が積極的に関与する仕組みを設けるとともに、デジタル技術を活用した省力化などを図りつつ、複数の事業者間や他分野との連携、協働によって生産性向上等を図り、地域交通を再構築するため法改正と予算の大幅拡充を行ったところでございます。

令和6年度当初予算に、交通空白解消の取組を含めた今般の補正予算案を合わせて、600億円近い額を計上しておるところであります。
今後も、制度、予算等、あらゆる政策ツールを総動員して地域の移動の足を確保をいたしてまいります。

■日米地位協定
米軍関係者による性犯罪及び日米地位協定の改正についてであります。
米軍関係者による性犯罪はあってはならないものであります。これが現在も発生していることについて、政府といたしまして極めて深刻に受け止めております。
本年10月には、女子差別撤廃委員会において御指摘のような見解が示されたことも承知をいたしております。
本年7月、米側は、在日米軍施設・区域からの外出等についてのルールを定めましたリバティー制度の見直しや在日米軍人に対する研修、教育の強化を含む一連の再発防止策を発表し、実施をいたしておりますが、これが再発防止につながるかどうかが重要なのであります。在日米軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を引き続き働きかけてまいることといたします。

その上で、日米地位協定については、私は防衛大臣退任後も議員として議論を続けてまいりました。この問題意識を含め、先般、自民党の中で検討するように指示をいたし、これを受け、11月28日には自民党でアジアにおける安全保障のあり方特命委員会の初回会合が開始され、議論が行われるようになったところでございます。
引き続き、自民党において議論を重ねていくものと承知をいたしておりますが、党における議論も踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力を強化するとともに、在日米軍の信頼性、同盟の強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、適切に判断をいたしてまいります。

■非核三原則
核共有と非核三原則、また核兵器禁止条約についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
政府といたしまして、一般に、いわゆる核共有は、平素から自国の領土に米国の核兵器を置き、有事には自国の戦闘機等に核兵器を搭載、運用可能な態勢を保持することによって自国等の防衛のために米国の核抑止を共有するといった枠組みと考えられていると承知をいたしております。

一般論として、国の安全保障の在り方については、それぞれの時代状況、国際情勢等を踏まえた様々な国民的議論があり得ると考えておりますが、核共有につきましては、仮に先ほど申し上げたような枠組みを指すのでありますれば、政府としては、非核三原則や原子力基本法を始めとする法体系との関係から認められないものと考えております。

その上で申し上げれば、私が従来核共有の文脈で申し上げてまいりましたのは、非核三原則を堅持した上で、米国の拡大抑止に係る意思決定のプロセスについて米国との意思疎通を行うことの重要性を申し上げたものでございます。これは、先ほど申し上げた核共有には当たらないものの、現下の厳しい安全保障上の喫緊の課題に現実的に対応していく観点から、我が国の安全保障を強化する上でも重要な取組であると考えており、米国の拡大抑止の信頼性をこれまで以上に強化させるよう事務方に指示をいたしておるところでございます。
政府としては、今後とも、我が国自身の防衛力を強化していくとともに、日米安保体制の下、核抑止力を含む米国の拡大抑止の信頼性をこれまで以上に強化していくための方策を不断に検討いたしてまいります。

■核兵器禁止条約
また、核兵器禁止条約についてお尋ねをいただきました。
我が国周辺では、核・ミサイル戦力を含む軍備増強が急速に進展するなど、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しております。加えて、核兵器禁止条約は核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約でありますが、同条約に核兵器国は一か国も参加しておらず、また、その出口に至る道筋は立っていないのが現状であります。

こうした中で、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかねばなりません。NPT体制は、核兵器国、非核兵器国が広く参加する唯一の核兵器のない世界に向けた普遍的な枠組みであります。我が国は、NPT運用検討会議においてリーダーシップを発揮することを含め、NPT体制の下で現実的かつ実践的な取組が一歩一歩進められるよう取り組んでおります。
政府といたしましては、抑止力を維持強化し、安全保障上の脅威に適切に対処していくことの大前提に立ちつつ、NPT体制を維持強化し、核軍縮に向けた国際社会の機運を改めて高め、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を実践、強化いたしてまいります。

■憲法
憲法改正についてお尋ねをいただきました。
内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての内容等について直接申し上げることは差し控えますが、自民党総裁としてあえて申し上げれば、我が党においては、憲法改正の条文案の起草に向けた議論が行われており、本年9月には自衛隊の明記について論点整理が行われたところであります。
党総裁としてこれを私も引き継いでまいります。

■気候変動対策
合衆国次期政権の気候変動対策と我が国の温室効果ガスの排出量削減の取組方針についてであります。
次期削減目標の策定とその実現策について国の審議会で検討を深めております。脱炭素とエネルギー安定供給、経済成長の同時実現を目指すとの考えの下、世界全体での1.5°C目標の実現に向け、科学的知見やこれまでの削減実績等を踏まえつつ年内に案を取りまとめ、我が国のネットゼロへの道筋をお示ししたいと考えております。実効ある地球温暖化対策のためには我が国に比べても排出量の多い国々の取組が必要であり、その取組強化に向け対話を進めてまいります。

次期政権発足後の合衆国政府による政策につきまして政府として予断を持ってコメントをすることは差し控えますが、我が国としては、引き続き各国と連携し、気候変動問題に取り組んでまいります。

■PFAS問題
PFASに関する飲物の安全確保についてであります。
有機フッ素化合物であるPFASのうちPFOS、PFOA等につきましては、飲み水を経由した健康リスクの低減を図ることが重要であります。
先日、国において全国の水道事業及び水道用水供給事業におけるPFOS、PFOAについての調査結果を取りまとめ、公表したところです。
今後、専門家の御意見も伺いながら、水道事業者等に遵守や検査及び公表を新たに義務付ける水道法に基づく水質基準への引上げを含め、来春を目途に対応の方向性を取りまとめてまいります。

■外交姿勢
田中角栄元総理の発言と私の外交姿勢についてであります。
御指摘のような田中角栄元総理の様々な発言や心構えにつきましては、そこから学び、それをどう継承し未来につなげていくか試行錯誤しておるという意味におきまして、私自身、大きな影響を受けておるところでございます。
その中でも、角栄先生が言っておられたのは、あの戦争に行ったやつがこの国の中心にいる間は日本は大丈夫だと、それがいなくなったときが怖いんだと、だからよく勉強してもらわなければならないのだと言っておられました。これは、私自身、常に反すうし、そして自戒をしておるところでございます。この言葉は、今の日本にとって極めて重要な言葉だというふうに認識をしております。

私自身、昭和32年の生まれで、もちろんあの戦争に行ったこともありません。行かれた方々、まだ御存命でお元気な方も大勢いらっしゃると思いますが、この国の中心からはその多くがリタイアをされたものだと承知をいたしております。さればこそ、今の時期に我々が、非戦、あるいは日中国交の在り方、世界の在り方、平和の在り方について、角栄先生のお言葉を借りれば、だからよく勉強してもらわねばならぬのだということをかみしめねばならないと、反省しながら思っておるところでございます。

我が国は、平和国家として戦後一貫して国際社会の平和や繁栄に努めてまいりました。現在の厳しく複雑な国際環境におきましても、こうした姿勢を貫き、日米同盟を軸に友好国、同志国の輪を広げるとともに、中国を含む各国との対話を重ね、法の支配に基づく国際秩序を堅持していくことが大事だと考えておるところでございます。

■選択的夫婦別氏制度
選択的夫婦別氏制度についてであります。
令和3年に実施いたしました夫婦の氏に関する世論調査におきましては、夫婦同姓制度を維持した方がよい、夫婦同姓制度を維持しつつ旧姓使用についての法制度を設けた方がいい、選択的夫婦別姓制度を導入した方がいいという三つの選択肢について、回答された方の御意見は分かれております。
子供の氏をどうするかといった論点を含め、しっかりと議論し、より幅広い国民の理解を得る必要があると考えております。

また、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、各党、各議員において様々なお考えがあるものと承知しております。
自民党内の議論の進め方について政府としてお答えをすることは差し控えますが、御指摘の選択的夫婦別氏制度につきましては、国民各層の御意見、国民における議論の動向等を踏まえ、まさしくオープンな熟議という考えの下に必要な検討を行うことが必要であるということだと承知をいたしております。

■SNS上の偽情報
SNS上の偽情報についてであります。
私に関しましても、それはそれは数多くの情報がありまして、その全てを確認したわけではございませんが、私の言動を曲解したような情報もあると感じたことは多々ございます。私といたしましては、様々な機会を捉えて正しい情報を発信し、国民の皆様方に広く伝わるよう努めてきたところでございます。
選挙におけるSNSの利用の在り方についてのお尋ねを頂戴いたしました。
SNS等のインターネット上の偽情報や誤情報は、短時間で広範に流通、拡散し、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な問題であると認識をいたしております。

選挙においても、インターネットの特徴である伝播性や速報性の高さから、候補者等に対する悪質な誹謗中傷が行われるおそれが指摘をされております。こうした課題や指摘は認識をしております。
他方、選挙におけるSNSの利用の在り方については、表現の自由や選挙運動、政治活動の自由に関わる重大な問題でもあります。各党各会派で御議論いただく事柄であると考えておるところでございます。

■政治姿勢
政治家としての姿勢についてであります。
委員の御指摘はよくよく私としても受け止め、反省をし、改めていかねばならないと思っております。かねてから申し上げておりますように、議員になることも、あるいは閣僚になることも全てそうでございますが、それらは全て手段であって、目的ではございません。そこを混同し、ひっくり返して考えてはならないのだということはよく承知をいたしております。湛山先生がおっしゃいますところのつまらない政治家とならないように、よく自重自戒をいたしてまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。


 

○国務大臣(村上誠一郎君)
辻元議員の御質問にお答えいたします。

一番目の質問は、SNSへの偽情報の投稿は公選法の違反になるかという御質問であります。
これは虚偽事項公表罪についてのお尋ねでありまして、公職選挙法において虚偽事項公表罪が設けられていますが、SNSを含め、インターネット上の発信なども公職選挙法の対象となるものであります。

二番目の御質問は、特定候補の応援動画の書き込みの投稿を行う人を有償で募集する行為は公選法に違反になるかという御質問であります。この選挙における報酬の支給についてのお尋ねであります。
一般論で申し上げると、例えば、業者が主体的、裁量的に選挙運動の企画立案を行い、当該業者が選挙運動の主体と認められる場合には、当該業者に対しその対価として報酬を支給することは公職選挙法上の買収罪に該当するおそれがあります。
一方で、業者が単に候補者の指示の下に、その具体的な指示内容に従って一連の機械的な作業を行ったものと認める場合については、当該業者への報酬の支払は買収罪に該当しないものと考えられます。

三番目の御質問は、量的に制限のある選挙運動について、ある候補者が他の候補者の選挙運動を行うことができるかという御質問です。
この選挙運動の規制についてのお尋ねでありますが、一般論で申し上げますと、選挙運動は公職選挙法で認められている範囲内で行われる必要があり、公職の候補者が他の候補者の選挙運動を行う場合には、その態様によっては公職選挙法上の数量制限などに違反するおそれがあるものと考えています。
いずれにいたしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かについては、具体的な事実に即して判断されるべきと考えています。
以上であります。