○辻元清美君 立憲民主・社民の辻元清美です。
東日本大震災のとき、私は総理補佐官として被災地支援に当たりました。その経験を踏まえて、緊急集会について意見を述べます。
まず、緊急集会の権能ですが、緊急性のあるものである限り、法律の制定、予算の議決について別段の制限はないと解されており、第177回国会の32本の法律や2度の補正予算の内容については、仮にこれらを緊急集会で対応したとしても問題はないと考えられます。
一方で、議員立法が多く提出され、修正案も複数提出されました。緊急集会でこうした法案が参議院議員の議案発議権として認められる必要がありますが、昨年の土井真一参考人の陳述にあったように、「大規模な自然災害等の緊急事態においては、広範な措置を逐次講じる必要があることから、内閣が開催要求時に示すべき案件も包括的なものにするほかなく、それに応じて参議院議員の議案発議権や質疑、討論等が及ぶ範囲も広範なものになる」というものであり、国会法百一条において「内閣総理大臣から示された案件に関連するもの」と定めた現行制度で対応可能と考えられます。これは先ほどの自民党の佐藤筆頭と全く同じ意見でございます。
また、首都直下地震などいかなる事態でも、発災から数日以内の緊急集会の開催を可能にしておくために、国会議員関係のBCPも検討しておく必要があると考えます。
東日本大震災のとき、統一自治体選挙が被災地で繰延べされたことを理由に、議員任期延長改憲を主張する人たちもいます。東日本大震災当時、東北以外の地域、例えば九州、北海道でも、大阪でも東京でも、全国で自治体選挙は普通に実施されました。2万人以上が亡くなった大津波、そこに世界最大級の原発事故の中でも、全国の選挙は被災地以外スムーズに行われました。
衆議院任期延長ということは、このとき普通に選挙ができた全国の大半の地域の議員の任期もわざわざ延長するということになるのです。しかし、当時の自民党は野党でした。そのときに、菅政権の信を問えと。仮に政府が、議員任期延長が決まっていて、と判断しようとしても、被災地以外では選挙をするべきだと言っていたと思います。なぜなら、まだ福島第一原発の事故処理が続いて相当緊迫した時期に、自民党は民主党政権退陣と内閣不信任案まで提出していたのです。
また、パンデミックなど、コロナもありました。そのときに私の大阪では、コロナの真っ最中の危機の中で、大阪維新は大阪都構想の住民投票を強行したんですね。その後、感染者が増えました。
これ、危機の中で解散につながりかねない不信任案を出したり住民投票を強行したりした政党が、今度は、危機の中では選挙ができない、何が何でも衆議院の任期延長改憲が必要と主張しています。やっていることと言っていることが矛盾するんじゃないでしょうか。
議員任期延長というのは、時の政府の失策隠しの延命に使われたり、政局に利用されたりする可能性が十分あるんです。各国でもそういう事例がございます。そして、政府の危機対応について国民が評価を下す機会が奪われることになってしまうということなのです。被災地以外の国民の選挙権を保障する必要性も含め、被災地においては、先日、西田委員もおっしゃったように、繰延べ投票あるいは選挙期日延長の特例法の制定を緊急集会で行うことで対処すべきと考えます。
立法府の役割は、どんな危機の事態でも、選挙の機会、国民の選択の機会が奪われないようにするためのシステムの構築、公職選挙法の改正や自治体の選挙事務の改善を平時のうちに成し遂げておくということではないでしょうか。この議論をほとんどせずに安易に任期延長をするということこそ、立法府の責任放棄であると申し上げて、発言を終わります。