2023/3/10「原子力発電所の劣化状況の点検・評価・審査に関する質問主意書」を提出しました。
→答弁書は3/24(金)に閣議決定されました。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/211/touh/t211038.htm
原子力規制委員会設置法は、原子力規制委員会の任務を原子力利用における安全の確保を図ることと定義している。原子炉その他の設備の劣化の状況の点検・評価は原子力利用の安全確保に当たって極めて重要である。一方、原子力発電所の高経年化技術評価制度及び運転期間延長認可制度において原子炉等の劣化状況の点検及び将来の劣化状況の評価は原子力事業者が行い、原子力規制委員会はこれを審査する仕組みとなっている。将来の劣化状況をどのように評価するかは、運転期間延長認可において重要な課題である。
以下質問する。
一 原子力規制委員会の山中伸介委員長は、令和五年二月十三日の令和四年度原子力規制委員会第七十二回臨時会議において、「今、重要な劣化のモードとして、圧力容器の中性子脆化とコンクリートと電気ケーブルの特性の劣化、この三つを挙げましたけれども、その三つについては、少なくとも劣化については、六十年以上の実データがもう手に入っております。実際の炉に対して、六十年以上運転してもこれぐらいの健全性は評価できるという、そういう科学的な根拠もございますし、論拠もございます。」と発言しているが、国内にも国外にも六十年以上運転した原発は存在しないのではないか。
二 山中伸介委員長は令和四年度原子力規制委員会第七十二回臨時会議において、「特に時間がたてばたつほど、その炉の特徴というのが出てくる」と指摘している。実際、原子炉圧力容器の鋼材の品質にはそれぞれの原子炉で違いがあり、鋼材に含まれる銅などの金属の量が、中性子照射脆化に大きくかかわっていることはよく知られたことである。また、原子炉ごとに中性子照射量も様々である。ある炉で六十年以上の実データがとれているからと言って、そのままほかの炉の評価ができると言えるのか。
三 各原発の監視試験カプセルの装荷数、カプセル内に含まれる試験片の種類、試験片の数(母材・溶接金属・熱影響部)の別に示されたい。
四 監視試験片が足りなくなる場合には監視試験片を再生する方針と理解しているが、令和五年一月十一日第二回高経年化した発電用原子炉の安全規制に関する意見交換会において、原子力規制庁の金城原子力規制企画課長は、「溶接幅の狭い手法を採用したプラントがあって、そういったプラントの監視試験片、再生する場合に、必要な長さが確保できずに、試験片の再生が困難な場合がある」という説明を事業者から受けたと述べている。具体的にはどのプラントで再生が困難なのか。
五 各原発の監視試験片取出し結果のうち、シャルピー衝撃試験、破壊靱性試験について、回次及び試験実施年、照射量、母材・溶接金属・熱影響部の脆性遷移温度と上部棚吸収エネルギー、加速試験か通常の照射試験かの別をそれぞれ示されたい。
六 原子力規制委員会は、日本電気協会が策定したJEAC4206―2007「原子炉圧力容器に対する供用期間中の破壊靭性の確認方法」を原子炉の経年劣化状況の審査に利用しているが、このJEAC4206―2007は何を確認するものか。
七 日本電気協会は、JEAC4206―2007「原子炉圧力容器に対する供用期間中の破壊靭性の確認方法」を改訂(JEAC4206―2016)したが、この変更理由は何か。
八 原子力規制委員会は令和二年九月、JEAC4206―2016の採用を却下しているが、この理由は何か。現状はどうなっているのか。
九 JEAC4206について、今後どのようにしていくのか。
十 JEAC4206では加速試験の評価方法も定めているが、原子力規制庁は加速試験結果をどのように評価しているか。
右質問する。