2022年12月6日 参議院環境委員会速記録:原発の耐用年数40年問題を質疑、「世界の廃止決定済みの原発は199基、平均寿命は約29年」「原子力規制委員会の見解は『40年に停止期間を上乗せはできない』」「電力会社の設置許可文書にも『寿命末期40年』『設計耐用年数40年』の記述を政府が認める」
2022.12.7
2022年12月6日 参議院環境委員会議事録
辻元「COP27の合意:フェードアウトではなくフェーズアウトに向けたリーダーシップを」
→中谷経産副大臣「各国それぞれ電力、エネルギーの置かれた状況が異なる。将来的にフェーズアウトに向けてフェーズダウンをしっかりと進めていく」
○辻元清美君 立憲民主・社民の辻元清美です。
今日は、COP27、それから原子力発電所の使用期限、また、時間があればアスベストや水俣の被害者救済についてもお聞きをしたいと思います。
まず、COP27についてなんですが、西村大臣、会議に参加されましたけれども、最大の成果は何だったでしょうか。
○国務大臣(西村明宏君) COP27に参加させていただきました。
温室効果ガスの排出を削減するという緩和の重要性、これをCOPの全体の決定、カバー決定に盛り込むこと、また、排出削減に向けた野心と実行力を高める緩和作業計画の採択、これを重視していたところでございますが、まさにそのとおりの成果が得られたものというふうに承知しております。最終的に重要な合意に至ったということで歓迎したいというふうに考えています。
また、今回のCOPで注目されておりましたロス・アンド・ダメージにつきましては、技術的支援等を包括的に提供するというロス・アンド・ダメージ支援パッケージというものを我が国として発表いたしまして、各国から非常に賛同を得られたところでございます。また加えて、二十一人の閣僚級のバイ会談、そして、ウクライナなど五つの国や機関と今後の協力に関する覚書を締結することができました。さらに、ジャパン・パビリオンにおきまして、水素ガスタービン等の展示や四十三のセミナーの開催によって、世界の脱炭素化に向けた我が国の取組を発信できたと思っております。中でも、今回立ち上げましたパリ協定六条を実施する能力構築を支援するパリ協定六条支援パートナーシップ、これには六十九の国、機関の参加表明を得ることができました。
来年、UAEで開催予定のCOP28に向けましては、今回の成果を踏まえて、世界全体の気候変動対策が更に進むように貢献してまいりたいというふうに考えております。
○辻元清美君 やはりこの気候変動への対応で、石炭火力のことがやはり今回も大きな問題になったと思います。
西村大臣にお聞きします。
この石炭火力、COP27の合意では、フェーズダウン、非効率な石炭、化石燃料への補助金のフェーズアウトに合意していると思います。また、その前ですね、六月のドイツのG7では、日本は他のG7の国々とともに二〇三五年までに電力部門を完全に脱炭素化し、石油火力の全廃していくということにこの間のG7では合意しています。来年は、広島でこのG7の会合もございます。ですから、日本は確実に履行していかなきゃいけないと思うんですけれども、この合意を確実に履行しなければならないと、参加されて合意してきたということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(西村明宏君) 今のCOP27の決定文書におきましては、昨年のCOP26での決定から後退することなく、全ての締約国に対して、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の逓減及び非効率な化石燃料補助金からのフェーズアウトを含む努力を加速する旨が、加速することを求める旨が盛り込まれているところでございまして、我が国としては、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けまして、再生可能エネルギーなどの脱炭素効果の高い電源を最大限活用して、その中で、石炭火力についてはその比率をできる限り引き下げていくことが従来からの基本方針でございます。
○辻元清美君 それでは、経済産業副大臣、これを、どのように石炭火力を合意に基づいて減らしていくのかという具体的な予定と、この既に三十一か国がフェーズアウト、全廃計画を立てています。日本も期限を決めた石炭火力のこのフェーズアウト計画立てるべきだと思いますが、今どうなっていますか。
○副大臣(中谷真一君) 先生、御質問ありがとうございます。
二〇三〇年に向けた非効率石炭火力のフェードアウトを着実に実施するために、大手電力会社等を対象に非効率石炭火力のフェードアウトに関する計画の作成を今求めております。
フェードアウト計画では、具体的な石炭火力発電所の休廃止の見通しのほか、予想される発電量の減少の記載も求めているところであります。こうした計画を参照しながら一定の仮定に基づき集計すると、石炭火力の発電量は、二〇一九年度の約三千億キロワットアワーから、二〇三〇年度には二千六百億キロワットアワーまで低下するという結果を得ているところでもあります。
政府といたしましては、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けまして、脱炭素社会への転換を加速し、化石燃料への依存を低減していくことは重要というふうに考えているところであります。その実現に向けましては、電力の安定供給を確保しながら二酸化炭素の排出量の多い石炭火力の発電比率をできるだけ引き下げていくことが基本というふうに考えております。
他方、必要な供給力が必ずしも十分確保されていない状態で、段階で直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じますと、電力の安定供給に支障を及ぼしかねないという現状もございます。こうした状況を踏まえながら、電力の安定供給を大前提といたしまして、二〇三〇年度に向けて、当面は効率的な石炭火力発電を活用しつつ、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めてまいります。
二〇五〇年に向けましては、水素、アンモニア、CCUS等を活用いたしまして、石炭火力を脱炭素型の火力に置き換えていくという取組を加速してまいります。
以上です。
○辻元清美君 今、アンモニア、水素混ぜると。これ、CO2の削減に限りがあるということと、このCCUSは非常にコストがネックになっていて実用化のめどが立っていません。
今、副大臣はフェードアウトとおっしゃいました。世界ではフェーズアウト、全廃なんですね。日本はフェーズアウトと言わずにフェードアウト、これなぜ違うんですか。
○政府参考人(山田仁君) お答えいたします。
今のお尋ねの点でございますが、今フェードアウトの計画を策定をしているところでございますけれども、各国それぞれ電力、エネルギーの置かれた状況が異なる中で、我が国としてはそういう形で今改革を求めているところでございます。
○辻元清美君 大臣ね、来年、日本の広島で岸田総理肝煎りのG7サミットがあるんですよ。日本が一番遅れているんですよ、先進国の中で、御存じのように。
これ、環境大臣として会議に参加されてきましたので、フェードアウトではなくフェーズアウトに向けて計画を進めるというふうにリーダーシップ取ってほしいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(西村明宏君) フェードアウト、日本での言い方でございますけれども、世界的にフェーズアウトと言うのは承知しております。
ただ、今回様々な中で、フェーズアウトというよりもフェーズダウンと、低減していくというような形で我が国としても主張させていただいているところでございまして、将来的にフェーズアウトに向けてフェーズダウンをしっかりと進めていくということでございます。
○辻元清美君 コロナがあって、ヨーロッパは大臣御承知のようにグリーンリカバリーという言葉が出ました。グリーンでリカバリーしていく、経済もグリーンにしていく。
そして、今度のウクライナ危機で出てきたのはEU、リパワーEUですね。要するに、リパワー、ウクライナなど戦争の危機などがあるかもしれないので、そこの危機から脱するために、エネルギーの効率化などの省エネ、エネルギー供給の多角化、再生可能エネルギーへの移行の加速、再生可能エネルギーへの投資のファイナンス、結局、このエネルギー危機を克服するという、この危機をばねにしてリパワー、こういう危機が来てもちゃんとやっていくようにしようというこういう発想でヨーロッパは進んでいます。私、これすごいなと思うんですよ。
リパワーEU、御存じですね。
○国務大臣(西村明宏君) 今御指摘になりましたEUが掲げるリパワーにつきましては、ロシアによるウクライナ侵略を受けまして、ロシア産の化石燃料への依存度を二〇二二年末までに大幅に低下させて、二〇三〇年よりも早い段階で脱却を目指すとした政策パッケージであるというふうに承知しております。
辻元「ウクライナ危機やコスト高でヨーロッパは原発投資も減っている。特定重大事故対処施設の設置が義務付けられているのでは」
→山中規制委員長「武力攻撃については、原子炉等規制法の範疇外」
○辻元清美君 危機だからずるずる行くんじゃなくて、危機だから思い切ってこの危機をばねにしてそれを克服していくことを脱炭素と両立させる策を投資を入れてやろうとしているわけです。ところが、日本は石炭火力についても今、いやいやアンモニアを混ぜるんですとか、ずるずる行っているんですよ。
これびっくりしましたのは、二〇三〇年よりかなり前にロシア産化石燃料依存からもう脱却するという目標を決めています。再生エネルギーの投資を大幅に増やします。原子力は、実は私、じゃ、原発に頼るのかなと思ったらそうじゃないんですよ。二六%から一八%へ下げると。というのは、原発のリスクが非常に高くなってきている。後でやりますけど、老朽化の問題ですよね。
ですから、例えばイギリスででも一旦原発でという、フランスなんかも増設の話が出たんですけれども、例えばイギリス、九基あって、八基が老朽化で二八年までに廃止予定なんですね。二基増設しようとしたんですけれども、事業主体がコスト高で、日立も撤退したんですね。で、これもめど立たずと。
フランスもですね、フランスは今、日本で言われている次世代型という原発のEPR、二〇〇七年、十五年前に着工したんですけれども、機器の不具合、技術的な問題で十五年たってもめどが立たず、また、費用が当初の四倍近い一千八百億円に膨れ上がって、フランスでは今五十六基のうち三十二基が止まってて、かつ、新しくやるんだと言っても、どう言われているかというと、フラマンビルというところで建てようとしているんですけど、これは物事がうまくいかないことの代名詞と言われてて、もう国有化して何とかやるかどうかという話がなされて、非常に深刻なんですね。
また、熱波の影響で、これ気候変動です、フランスでは、熱波の影響でこの冷却水の排出の温度が上がり過ぎちゃって排出できなくなって、出力ダウンを百三十万キロワットから三十万キロワットにしなきゃいけない原発まで出てきているんですよ。
ドイツも今年中に脱原発と言っていたんですけれども、これ、じゃ、延長するという話になったと聞いているんですが、いつまで延長するか。たった四か月なんですよ。来年の四月までの延長で、もうその方針でいくと。その代わり、ドイツでは、再生エネルギー拡大の法律を新たに、過去数十年で最大規模の自然エネルギー拡大加速パッケージ、十年以内に総電力消費が占める自然エネルギーの割合をほぼ倍増して、自然エネルギーの拡大スピードを三倍にするということなんですね。
ちょっと投資額、皆さん、お手元にお配りしている資料も御覧になっていただきたいと思うんですけれども、これ見ていただきますと、黄色がソーラー、青が風力、で、下のニュークリア、原発はこの棒線グラフです。もう要するに、リスクが高いし、お金が掛かるものはやめていこうというふうに相当かじを切っています。
もう一つ、テロの危険が原発があると、今回のウクライナ危機で出てまいりました。これ、各国、物すごくやっぱりこのリスク心配しています。ですから、風力や太陽光はそういう危険性というのは少ないというか、それでもやられたら影響は出ますけれども。なので、この原発に頼るリスクというのが大き過ぎるというような議論になってきて、再生可能エネルギーにぐっとシフトしていっているんですね。ちょっと私もこのテロの問題すごく心配で、規制委員長にちょっとお聞きしたいと思います。
各国とも安全保障上から今まで以上に原発への厳しい対応が取られる可能性があります。委員長も、ウクライナの原発、ロシアに占拠されて、冷やっとされたんじゃないですか。いかがですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
原子力発電所への武力攻撃、決してあってはならないものだと思っておりますし、国際的にもそれは許されるものではないと思っております。
○辻元清美君 でも、実際起こりましたからね。国際的にも許されないと規制委員長が言っていて大丈夫かなと思うんですよ。
今、特定重大事故対処施設、これ設置することが義務付けられておりますね。これ相当厳格に審査をしてもらわなきゃいけないし、ちょっと今回のウクライナの案件なんかも見て、追加で必要なことがあるんじゃないかというようなことも、原子力規制委員会、いや、国際的に認められないと言っているんじゃなくて、項目も検討してもらわなきゃいけないと思いますよ。
まず、厳格に審査しっかりやってもらう、そしてしっかりこれからあの事例を検証して、検討していただきたい。いかがですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 御質問のありました、まず、特定重大事故等対処施設についてまずはお答えをいたします。
特定重大事故等対処施設は、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対応するために、炉心や格納容器の損傷を緩和するための可搬型設備に加えまして、信頼性を更に向上させるためのバックアップ設備として求めているものでございます。
具体的には、重大事故等に対処するために必要な機能を損なわれることがないものであること、格納容器の損傷を防止するために必要な設備を有するものであること……(発言する者あり)はい。武力攻撃につきましては、私どもが所掌しております原子炉等規制法の範疇外でございまして、原子力発電所の施設で何か武力攻撃に対応するものではないと考えております。
○辻元清美君 いや、そういうこと聞いているんじゃなくて、この審査を今やっていらっしゃるので厳格にやっていただきたいということを申し上げているんです、もうその御答弁はいっぱいされていますんでね。
辻元「過去の大臣答弁どうなっているか」
→西村環境大臣「ほとんどの原子炉にいては、中性子照射の脆化について想定年数を四十年として申請している」
○辻元清美君 そんな中で、この原発の四十年運転期間の延長という話が出てきています。まず確認したいんですが、この四十年延長を決めたときの議論、私も承知しているんです。原子力規制委員会にしても、最初、原子力安全委員会という名前が規制委員会に変わりました。国会で事故調があり、もう各委員会、与野党ともですよ、この事態を受けて議論して、規制委員会が生まれて、規制庁が生まれたんですね。
そのときの、まずこの四十年の運転制限についての環境大臣の認識がどうだったか、これについてお答えいただきたいと思います。西村大臣、お願いいたします。
○国務大臣(西村明宏君) 四十年の議論したときの状況については、私、詳細には承知しておりませんけれども、ともかく原子力防災をしっかり進めなきゃいけないということで、環境省としては原子力規制委員会がしっかり安全性を確保して審査をするということをサポートしてまいりたいというふうに考えております。
○辻元清美君 このときの環境大臣の見解、昨日お示ししてあるところ紹介していただけますか。(発言する者あり)
○委員長(滝沢求君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(滝沢求君) 速記を起こしてください。(発言する者あり)じゃ、速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(滝沢求君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(松澤裕君) 先生、大変失礼いたしました。
私、昨日先生の事務所には伺っておりませんので子細承知しておりませんけれども、先生からいただいたというその過去の環境大臣答弁については今ちょっと手元にございませんので、申し訳ありません。
○辻元清美君 これ、質問できませんよ。肝なんですよ。速記止めてください。
○委員長(滝沢求君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(滝沢求君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(西村明宏君) 今の御指摘の件につきまして、第八十回の国会、参議院の予算委員会におきまして細野国務大臣がお答えしているところを読み上げさせていただきます。
四十年とした根拠でございますけれども、まず、原子炉の圧力容器の中性子照射脆化、すなわち、中性子がずっと当たりますから、そのことによって圧力容器が弱くなります。それがどれぐらいの弱さになっているかというのを、急激に冷めた場合にどの温度で原子炉が危なくなるかという分析をしておりまして、その数字を見ておりますと、これが四十年という辺りで例えば百度ですとか八十度まで下がると脆化するという、そういうデータがございます。
すなわち、今回のような大きな事故が起こった場合に、水を入れます。水を入れて原子炉の温度が下がる場合に、百度よりも下がってくると、急激に下がるその状況に耐えられない可能性が出てくるというデータがございます。そういったデータも含めて、既に現在設置されているほとんどの原子炉につきましては、中性子照射の脆化について想定年数を四十年として申請しておりますと答弁していると承知しております。
○辻元清美君 今も変わらないですね、大臣。
○国務大臣(西村明宏君) 今、そのペーパー、私も初めて見させていただきまして……(発言する者あり)ええ、細野大臣はそういう答弁をされているというふうに承知しております。
○辻元清美君 ですから、今も引き継いでいますねって聞いています。
○国務大臣(西村明宏君) 具体的な安全規制の在り方につきましては、独立した原子力規制委員会において科学的な見地から検討されると承知しております。
辻元「原子炉設置許可申請等における記述ついて」
→規制庁「東海第二原発『寿命末期40年』、福島第一原発『設計耐用年数40年』の記述あり」
○辻元清美君 そうすると、その原子力規制委員長の更田さんはこう言っています。この運転期間はもう立法府の国会審議で相当議論したと、技術的見地のみならず幅広い観点からと。ですから、技術的見地も検討したと更田さんは言っています。
そこで、原子力規制庁に聞きます。
例えばこの最後のところ、中性子照射の脆化について、想定年数を四十年としてほとんどの原発が申請している。例えばですね、日本原子力原発東海第二原子力発電所、これ寿命末期、つまり四十年という記述が原子炉設置許可申請にあると思います。また、福島第一原発、これについては、変更設置申請にですね、設置変更申請にですね、発電所の耐用年数を三十年として当社は指示したが、メーカーは主要機器の設計耐用年数を四十年としている、このような記述はありますか。確認されていますか。
○政府参考人(大島俊之君) お答え申し上げます。
まず、日本原子力発電東海第二発電所についてでございますけれども、昭和四十七年十二月の日本原電株式会社東海第二発電所原子炉設置許可申請第八十四部会参考資料に、寿命末期、つまり四十年後のNDT温度との記載があることは事実でございます。
また、東京電力福島第一原子力発電所についてでございますけれども、昭和四十五年一月の東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉設置変更許可申請三号炉増設第五十五部会参考資料には、当社は、発電所の耐用年数を三十年として指示したが、メーカーは原子炉安全、あっ、原子炉圧力容器及び内部構造物、制御棒駆動機構、再循環ポンプの主要機器の設計耐用年数を四十年としているとの記載があります。
以上でございます。
○辻元清美君 この環境大臣の当時の答弁のとおりで、想定年数を四十年として申請しているところ多いんですよ。
経産副大臣、同じ認識ですね。
○副大臣(中谷真一君) 当時そういう議論があったことは承知をしておりますが、今現在は利用政策の観点から審議会において様々な議論を進めているところであります。
○辻元清美君 これ、中性子の脆化について想定年数を四十年としている原発が多いわけですよ。その利用の観点もへったくれもないんですよ。
既に前のところから、更田委員長も、技術的見地のみならず、技術的見地からも議論しているというふうな話がもう、今までの積み重ねがならされているわけですよ。
辻元「更田前委員長発言『原子力規制法が定める運転期間の四十年は、暦の上の年数であり、原子炉の停止期間も含む』
→山中規制委員長「コンクリート構造物等、長期停止期間中も劣化する特性があることから、高経年化した原子炉の安全性の確認はその停止期間も含めた暦年で行うべき」
→辻元「原子力規制委員会の見解は、停止している期間を上乗せはできない、だ」
○辻元清美君 そうしたら、規制庁長官にお聞きをいたします。
これ、こういう答弁もあるんですね。更田委員長が、原子力規制法が定める運転期間の四十年は、御質問もありましたように、暦の上の年数であり、原子炉の停止期間も含むものでございますと。これは、これと軌を一にして、長官も先日、長期停止期間は劣化が進んでいないとして除外できると定量的に定めることはできない、つまり長期期間は劣化してないよと言えませんと。ですから、その暦上の期限は暦上の期限だという立場ですね。委員長。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
原子力規制委員会として決定した令和二年七月二十九日の見解のとおり、コンクリート構造物等、長期停止期間中も劣化する特性がございますことから、高経年化した原子炉の安全性の確認はその停止期間も含めた暦年で行うべきものであると考えております。
私もその考え変えるつもりございません。
○辻元清美君 原子力規制委員長こうおっしゃっていますけど、経産省も同じですね。
○副大臣(中谷真一君) 今委員長おっしゃったことも含めまして様々な意見ございますので、今それを審議会、審議会で、その科学的な見地、そういうものも含めまして今議論を進めているところであります。
○辻元清美君 西村大臣ね、規制委員長はこれは駄目だと言っているわけですよ。
今、停止、長期停止している期間を四十年にプラスしてその寿命にしたいというような話もあるようですが、その立場取らないと言っているわけですよ。
経産省、様々な意見って何ですか。規制委員長が言い切っていることを、経産省、様々な意見があるから、規制委員長が言い切っている、様々歴代の規制委員長が言ってきている見解を変えることができるという認識ですか。
○副大臣(中谷真一君) 今原子力委員長が、原子力規制委員長が言われたことは、それは規制委員長の御意見ということで、これは、それは私どもも同じだというふうに思っております。
この技術的な安全確保の在り方につきましては、高い独立性を有する原子力規制委員会の中で検討されるということだと思います。
○辻元清美君 それでは、要するに、暦上に含めるということですから、長期に停止していたけれども、それを上乗せして寿命にするというようなことはできないとおっしゃっているわけです。それでいいんですね。
○副大臣(中谷真一君) ただ、原子力規制委員会から、運転期間の定めについては利用の在り方に関する政策判断であり、同委員会が意見を述べる事柄でないとの見解を示されているということもあるわけであります。
いずれにせよ、運転期間の在り方や必要となる制度の整備につきましては現在も審議中であり、まだ具体的な方向性は決まっておりません。今後とも、様々な御意見を伺いながら議論を進めてまいります。
なお、当然ながら、運転期間に関する利用政策の方向性がどうであれ、原子力規制委員会により安全性が確認されなければ原子力発電所の運転ができない仕組みとすることは、これは大前提であります。その上で、安全規制の在り方については別途高い独立性を有する原子力規制委員会において検討を行っているものと承知をしているところであります。
○辻元清美君 これ、勝負あったなんですよ、今までの議論で。原子力委員会の見解は、停止している期間を上乗せはできないと言っているわけですよ。
では、歴代の委員長、このような事実を含めて、例えば、初代の田中委員長が原子力運転制限四十年について、所信でですね、議運で、参議院の議運でどういうことをおっしゃったか、今の委員長、お答えください。Aです、A。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 御指摘のございました田中元委員長の国会答弁、読み上げさせていただきます。
四十年運転制限です。四十年運転制限制は、古い原子力発電所の安全性を確保するために必要な制度だと思います。法の趣旨を考えましても、四十年を超えた原発は厳格にチェックし、要件を満たさなければ運転させないという姿勢で臨むべきです。
○辻元清美君 これは、六十年まで延長するかどうかという話もあるのでおっしゃっているわけですね。四十年は厳格に守らなきゃいけないと。
当時の自民党の見解はどうだったかと申し上げますと、これ議員立法でしたから、自民党はこういうふうに見解を出しています。何か自民党の方が、四十年では足りないから、もっと何年も引き延ばすためにこのような結論を出したんではないかという話があるんですが、全くこのことについては私が明確に否定しておきたい。
公明党も同じようなことを言って、この四十年というのは重いんですよ。
辻元「世界の原発、廃止決定済みの原発は何基で、その平均寿命は何年か」
→経産省「199基、約29年」
○辻元清美君 じゃ、世界の原発、今、廃止決定済みの原発は何基で、その平均寿命は何年か、お答えください。規制庁。
○政府参考人(山田仁君) お答えいたします。
国際原子力機関、IAEAによりますと、二〇二一年十二月末時点において世界で廃止を決定済みの原子炉は百九十九基であり、その平均運転年数は約二十九年となっております。
○辻元清美君 二十九年なんですよ。長いと言われているアメリカでも三十九年なんですよ。一番長いのが、これパキスタンにあるんですけどね、カラチ原発。五十年なんですよ。今四十年プラス六十年になっていますよね。それで、これ技術的にも、先ほど申し上げましたように、申請書にも四十年って書いてありますよ。
規制庁、委員長にお聞きをいたします。
このような議論がありましたね。で、委員長が急にこういうことを言っていらっしゃる。今は原子炉等規制法にこの四十年制限のことは書いてあります。それに従ってやっていらっしゃると思うんですね。ところが、原子炉等規制法の運転期間に関するところは、利用者、利用政策側の法体系の中で規定されるものと考えておりますと。
今、原子炉等規制法、規制庁、所管していますね。何でこれ、いつ、この利用政策側の法体系の中で規定するものと、いつ、どこで決まったんですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 運転期間の延長認可制度につきましてはかなり長い間議論を重ねてまいりまして、令和二年七月二十九日の原子力規制委員会において、運転利用期間については利用政策判断であって、原子力規制委員会が意見を申し述べる事柄ではないとの見解を示しております。
辻元「規制法に使用年限40年が入っていると大きな支障があるか」
→山中規制委員長「支障はない」
→辻元「立法事実がないから変える必要ない」
○辻元清美君 その意見を申し述べる立場ではないということなんですけど、委員長はこの間、利用政策側の法体系の中で規定するものと発言しているわけですよ。意見を申し述べる立場にないと言いながら、利用政策側で法体系の中で規定されるものと言っているじゃないですか。どこで決まったんですかって聞いています。
それと、原子力、この規制法にこの使用年限四十年が入っていると何か大きな支障があったから利用政策側に変えた方がいいという意見ですか。支障があったんですか、今まで。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 特段の支障はございません。
○辻元清美君 じゃ、支障がないのに、何で利用政策側の法体系で規定されるものって。支障ないんでしょう。立法事実がないじゃないですか。変える必要ないんじゃないですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 繰り返しになりますけれども、原子力規制委員会は、令和二年七月二十九日に、運転期間の定めにつきましては、原子力利用の在り方に関する政策判断であり、原子力規制委員会が意見述べる事柄ではないとの見解を示しております。
そのため、原子力規制委員会は、運転期間の定めについて、利用政策の観点から特段検討には加わっておりません。その上で、原子力利用政策の検討により運転期間の定めがどのような制度になっても、原子力規制委員会としては高経年化した原子力発電所の安全性を厳格に審査できるよう安全規制を検討するために議論を重ねてきております。
辻元「資源エネルギー庁が利用政策側の法体系で運転期間についての定めを引き取るという方針、誰から聞いたのか」
→山中規制委員長「経済産業省の方針を聞いた上で制度設計をしようと、原子力規制委員会で聞いた」
→辻元「規制する側が規制される側にあらかじめお伺いを立てて、規制する側がそれに合わせて対応することがないよう、規制庁は独立させた」
→辻元「規制庁長官も次長も技官も経産省出身という人事は初めて。委員長自身も、委員に就任する直前まで原子力事業者から多額の寄附を受け取っていた。国民からは厳しい目で見られている」
○辻元清美君 エネ庁呼んでいますよね。で、このときにこう言っていらっしゃいますね。資源エネルギー庁が利用政策側の法体系で運転期間についての定めを引き取るという方針をきちんと確認した上で、自分たちもいろんな規制を検討しなきゃいけない。
この資源エネルギー庁が利用政策側の法体系で運転期間についての定めを引き取るという方針、誰から聞いたんですか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) GX会議において原子炉の運転期間について様々な議論がなされていることを知りました。原子力小委員会、資源エネルギー庁の委員会でも九月の二十二日にそのような議論がなされたということを承知しております。
その上で、原子力規制委員会としても、その方針を聞いた上で、高経年化した原子炉の安全性に継続的に厳正に対応するために、経済産業省の方針を伺った上で制度設計をしようということで、十月五日の原子力規制委員会に資源エネルギー庁の意見を聞きました。
○辻元清美君 それ、規制のとりこと言うんですよ。要するに、規制する側が規制される側にどうするおつもりですかとあらかじめお伺いを立てて、規制する側がそれに合わせて対応しますよと。それが困るから、原子力規制委員会は、規制庁は独立させたんですよ。
委員長ね、何回もこれ国会で言われているでしょう。どうして国会で指摘されているかという意味分かりませんか。しまったな、エネ庁呼んでまずかったなと、やっぱり今までのこの立法趣旨含めてですね。で、立法府で御判断することって、なんですよ。
しかし、立法府は、最終的に立法府で決めればいいじゃないかという立場じゃないんですよ、原子力規制庁は。それは内閣の各省庁ならいいですよ。独立しているわけで、で、原子炉等規制法に入っていて何の支障もないとおっしゃったじゃないですか。当時は、推進側、進める側じゃなくて規制する側に四十年の規定を入れましょうとさんざん議論をした、それが立法趣旨ですよ。
委員長ね、分かってほしいんです、御自分の立場を。この間のさんざん議論されていて、今までの情けない答弁やめてください。やっぱりちょっと規制庁としての自覚が足りないと思うんです。いかがですか。反省ないですか。
○委員長(滝沢求君) 山中委員長、時間ですので、お答えは簡潔に願います。
○政府特別補佐人(山中伸介君) 高経年化した原子力発電所の安全規制に関しましては、引き続き、私ども責任を持って職務を果たしてまいりたいというふうに思っております。
一方、運転期間については利用政策側の判断されることというふうに私ども考えております。(発言する者あり)
○委員長(滝沢求君) 辻元委員。
○辻元清美君 いや、ちょっと……
○委員長(滝沢求君) まとめてください。
○辻元清美君 これ、最後に申し上げますけど、これ、規制庁長官も、それから次長も技監も、全員経産省出身に初めてなったんですよ。そして、委員長自身も、委員に就任される直前まで原子力事業者から多額の寄附を受け取っていらっしゃいましたね。ですから、国民がどういう目で見ているかなんですよ。
今までの議論で、もう仕様書にまで四十年と書いてあるじゃないですか。技術的にも検討してきたんですよ、私たち。私もやりましたから、分かっていますよ。引き続き、これは厳しい目で見られていると。反省の言葉がなかったのは残念です。よく肝に銘じていただきたい。流されたらあきません。自分たちの立場を考えてください。支障がないということを政府に聞かれたら答えるのが規制庁ですよ。
終わります。