本日11月30日(水)、下記の質問主意書を提出しました。12月9日に答弁書が閣議決定される予定です。
→12月9日(金)答弁書が出ました。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/210/toup/t210049.pdf
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今後の経済見通しや政府が「百六万円の壁」と説明してきたことの正当性及び年金額の変動等に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
令和四年十一月三〇日
辻 元 清 美
参議院議長 尾辻 秀久 殿
物価高騰が国民生活を直撃している中、国民の大きな関心事であるところの税金の使い道や社会保険の適用拡大、年金額の変動について、政府が説明してきたことへの是非の確認を含め、広く明らかにすべき点が存在する。また、今回の「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」には物価高騰を抑える効果が想定されているが、来年度の年金額が下がる可能性も指摘されている。
以下、質問する。
一 内閣府は令和四年七月二十九日の経済財政諮問会議に「中長期の経済財政に関する試算」を提出した。そこでは、「経済に関するシナリオと想定」として、「成長実現ケース」と「ベースラインケース」の二つのケースが示されている。それぞれ、前者では「全要素生産性(TFP)上昇率が、日本経済がデフレ状況に入る前に実際に経験した上昇幅とペースで、足元の水準(〇・五%程度)から一・四%程度まで上昇する」、後者では「全要素生産性(TFP)上昇率が将来にわたって〇・六%程度で推移する」との前提が置かれている。なお、内閣府が公表している全要素生産性(TFP)上昇率については、公的年金の財政検証のための経済前提で用いられている。ついては、二〇〇六年度から二〇二一年度の各年度の全要素生産性(TFP)上昇率の実績を示されたい。
二 令和四年三月二十二日に成立した令和四年度予算には、経済産業省通商政策局所管の「ロシア・中央アジア地域等貿易投資促進事業」として、三・一億円が計上されている。
1 前記事業に関し、令和四年十月末日までの執行状況及び令和四年度中の執行見通しについて、具体的な支出(予定)先と金額をもって示されたい。
2 令和四年度第二次補正予算案の中で、ロシア関連の事業が含まれているか。含まれているとすれば、その項目と金額を明らかにされたい。
三 厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」において、「これからは、年収百六万円(月額八・八万円)を超える等の各種要件を満たした場合に、厚生年金保険(厚年)・健康保険(健保)に加入し保険料負担(厚年・健保)(労使折半)が新たに発生するものの、その分保障も充実します」との記載がある。次の1から3までのケースは厚生労働省が言うところの「年収百六万円(月額八・八万円)を超える」に該当するか示されたい。
1 雇用契約時の所定内賃金が八・八万円未満であって、翌月以降の所定内賃金が八・八万円を超えた場合
2 雇用契約時の所定内賃金が八・八万円未満であって、かつ時間外手当や賞与などを含めた年収が百六万円を超えた場合
3 複数事業所で働いている労働者について、それぞれの事業所との雇用契約時の所定内賃金が八・八万円未満であったものの、両事業所から受け取った所定内賃金の年間合計が百六万円を超えた場合
四 厚生労働省は、毎年度、当該年度の「年金額改定について」を公表しているが、「年金額の改定ルール」の「参考指標」の一つである「名目手取り賃金変動率」については、「二年度前から四年度前までの三年度平均の実質賃金変動率に前年の物価変動率と可処分所得割合変化率を乗じたものです」とされている。
一方、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大が進められているが、短時間労働者の厚生年金適用者が増えることで、毎年度の年金額改定で用いられている実質賃金変動率にどのような影響があるのか、厚生労働省の資料では明らかにされていない。ついては、ここで言う「二年度前から四年度前までの三年度平均の実質賃金変動率」について、対象としている労働者の雇用形態別・労働時間別・性別の人数を示されたい。
五 政府は、令和四年十月二十八日に「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定し、物価抑制効果を「消費者物価(総合)一・二パーセントポイント程度以上」としている。この物価抑制効果が令和五年度の年金額(新規裁定年金・既裁定年金)に対してプラスに働くか、またはマイナスに働くかなど、具体的な影響について見解を示されたい。
右質問する。