2020年12月25日、安倍前総理は桜を見る会前夜祭の参加費補填問題について、衆・参の議員運営委員会に出席し、謝罪と訂正を求めました。桜を見る会について衆議院調査室は、安倍前総理は118回ものウソの答弁をしたと発表していますが、この委員会の答弁で新たに「119回目」のウソをついたことが浮上しました。
衆・参の議院運営委員会で安倍前総理はホテル明細書について、
安倍)明細書が存在しないと言ったことは一度もない
安倍)ホテルにはあるかもしれないということは申し上げてきた
安倍)そこはまちがいないんだろう
と、これまでと異なる答弁をしました。一番の驚きは「明細書がない」というのは「事務所にないという意味だ」と答弁を翻したことです。
そこで、明細書をめぐる安倍前総理の過去の答弁を、国会会議録検索システムを使って検証しました。
桜を見る会の「明細書」について、立憲民主党の議員が指摘したのは2019年11月20日、参議院本会議における那谷屋正義議員の質問でした。当時、安倍前総理は本会議で、明確に、2回も「明細書の発行はない」と答弁しています。その答弁も質問の度に変遷します。
答弁の回数も示します。
安倍)明細書の発行はない(2回)→2019/11/20那谷屋正義・12/2吉田忠智
安倍)受け取ってない(1回)→2020/2/4黒岩宇洋
安倍)提示はなかった・頂いてない(1回)→2/17辻元清美
また、2020年2月17日、私がANAホテルから取り寄せた文章には次のことが明記されていました。
辻元)この7年間に貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったか?
ホテル)ございません。主催者に対して見積書や請求明細書を発行いたします。
このホテル側の回答を示して安倍前総理に質しました。その答弁は次の通りです。
安倍)この後、事務所から当たらせたいと思います
私の質問は午前中でした。昼休みを挟んだその日の午後、今度は同じ質問を小川淳也議員がしました。
小川)「貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったでしょうか。」という問いです。ホテル側の回答は、「ございません。主催者に対して、見積書や請求明細書を発行いたします。」例外はないという答弁でありました。そこで、事務所に御確認いただいた結果として、いかがだったでしょうか。
安倍)桜を見る会前日の夕食会は、平成25年、26年及び28年の三回は全日空ホテルで実施。私の事務所の職員はホテル側と事前に段取りの調整を行ったのみであり、明細書等の発行は受けていないとのことでした。
午後の質疑で安倍前総理は以下の答弁をこの日だけで11回発言。
安倍)発行は受けてない(11回)→2/17小川淳也×4、奥野総一郎×2、山井和則×5
そして3月4日は
安倍)保存してない、受け取った記憶がない(1件)→3/4福山哲郎
としてついに記憶がなくなりました。
以上のように、「明細書の発行はなかった」「発行を受けていない」という答弁を安倍前総理は、のべ15回しています。これをどう読んだら「事務所にはなかった」と読めるのでしょうか。
つまり、記事や会見や12月25日の国会で、安倍前総理は「明細書がないというのは、私の事務所には明細書は残っていないということ」であり、「ホテルにはあるかもしれない」ということだと弁明しましたが、そんな発言は、過去には一度もないのです。少なくとも私は見つけられませんでした(どなたか見つけたら教えてください)。
つまり、この答弁そのものが「119回目」のウソの可能性があるのです。
もし、安倍前総理が12月25日に答弁された「明細書が存在しないといったことは一度もない」「ホテルにはあるかもしれないということは申し上げてきた」が実は「真実」だったのであれば、過去の明細書に関する答弁はすべて修正対象です。
しかし、12月25日に安倍前総理が「事実に反する」として国会に修正するとした答弁は以下の点です。
・契約主体は個々の参加者
・後援会は収入・支出なし
・収支報告書に記載不要と認識
・飲食代等は参加者支払いで完結
・だから政治資金規正法等に触れないと認識、のみ。
明細書に関する答弁は含まれていないため、やはりもう一度、謝罪と訂正のために安倍前総理には国会に出てきていただかなくてはなりません。その際には明細書と共に領収書、出納帳をセットで委員会に提出していただきたいと思います。
安倍前総理、真相究明に全力つくしてください。