11月26日 憲法審査会での辻元の発言全テキストです。
○ 辻元委員 今、山下委員の方から、CM規制の法案についての言及がありました。
これは確かに野党の一つの党が出したというのは事実でございますが、実はこれは、野党間の合意がないからとかそういう話ではなくて、この国民投票法案をつくったときに、与野党で、このCM規制は非常に重大な問題であるということで、残念ながら衆議院では、最後、強行採決になりましたけれども、参議院の方で正式な附帯決議になっている案件なんです。ですから、本来は、あのとき附帯決議に書かれたことについては、優先的に、難しい問題であったとしても、しっかり結論を出していくということが必要だと思います。
ですから、これはどこの党が出しているというのではなく、与野党、ここにいる全ての皆さんの、やはり問題意識を持っていただいて、きっちり解決をしなきゃいけないという案件であるということを申し上げておきたいと思います。
その後、私たちは、海外調査も進めていって、例えば、イギリスでEU離脱をめぐる国民投票があった後にキャメロン前首相などにもお会いして、委員の方々が調査を進めました。
そして、各国とも問題になってきたのは、この十数年前に国民投票法をつくったときから深刻になったSNSの問題であると。キャメロン前首相も、デマはますます悪化している、特にSNS上のということで、国民投票等に与えるこの問題が非常に深刻であるという生の声もお聞きしています。
ですから、そういう意味では、附帯決議に書かれたこともこの間放置してきたわけです。ですから、私が非常に危惧するのは、難しい問題だからといってまた先送りになるのではないか。ですから、この国民投票法の改正をする機会を捉えて、この問題についても議論をしっかりするべきであるというように考えております。
このCM規制は、与党対野党とかの話ではないんです。そして、表現の自由など、憲法に深くかかわる問題がこれには含まれています。だからこそ、この問題から逃げてはならない。新藤筆頭にちょっとお聞きしたいんですが、きょうは七項目の国民投票法に対する質疑も若干行われるようですけれども、このCM規制やSNSの問題について、これは非常に重大な認識と思っていらっしゃると思いますが、しっかりこの後、今後議論をしていくという方針であるのかどうか、考えをお聞きしたいと思います。
そしてもう一つ、委員会の持ち方なんですけれども、確かにこれは審査会です、幹事懇談会でよく持ち方を考えていただきたいと思います。一般の委員会では、定例日が決められていても、法案審査が終わったら、一般の質疑をしたいと言っても、与党は大体拒否します。ほとんど委員会が開かれません。
例えば安保委員会とか、これは非常に重要な憲法にもまつわる委員会なども、終わったらほとんど開かれないというのが現状なんですね。
ですから、私たち、長く、憲法調査会からずっとやってきましたけれども、本委員会の持ち方も、以前は、幹事懇談会を何回かやって、そこでも議論しながら本委員会を開くとか、時々のやり方をよく議論していただいてきましたので、そこもよく配慮をしていただきたいと思います。
そして、最後に、社会の分断と国家の分断という話を私は前回もして、一部誤解があったようなので一言申し添えたいと思うんですけれども、大阪の住民投票です。
五年で二回やりました。一回目は、もう二度とやらないというような話をして、内容をちょっと変えてまたやったわけです。二分するような話を数年に一回やるような社会では、政治も社会も安定しないんです。政権交代の時代ですから、分断するような話を、一回国民投票をやって、政権がかわってまた揺り戻すというようなことは、私は、むしろ、私たち政治家ですから、どういう影響を及ぼすかということもよく考えなければならないというように思っております。
ですから、最後に新藤幹事のお考えをお伺いしたいと思います。
○新藤委員 御質問ありがとうございます。
今、とても重要な御指摘をいただいたんだと思います。
まず、CM規制を始めとして、国民投票に係るネットのあり方、これをどうするかということでございますが、私は、前回の国会で、自由討議の中で、国民投票法をめぐる諸課題で、このCM規制のあり方については分類ができるのではないかと論点整理を四つさせていただきました。そして、このことをきちんとたたきにしていただいて、皆さんで議論しようではないですかと。このCM規制の議論を始めようというのは、もう昨年の五月以降、ずっと私たちがお願いしていることであります。それは、立憲の皆さんも、議論すべきだということをおっしゃっています。一致しているんです。
現実に、審査会に入る前の幹事懇においても、国民民主が出された案については、説明をいただいて、予備的議論を始めました。そして、審査会でも、今、私たちが議論するようになっております。
ですから、当初御心配された、国民投票法七項目が採決が終わってしまうと、その法案審査が終わってしまうと、その次の議論がなくなるのではないかということは、これはもう外形的にもあり得ないし、また、私たちも必要性を再度これは申し上げているというところでございまして、先週のこの審査会の中でも山尾委員から御質問いただいて、そうした議論の場はつくるのか、気持ちがあるのかという御質問に対して、私は、お約束をしたいということで申し上げました。
ですから、この七項目は手続の問題です。そして、国民投票の公平だとか自由を確保するためのこの議論は、手続とは分けてしっかりと議論するということは、また再び約束をしたいと思います。
それからもう一つ、法案審査が終わってしまうと自由討議に応じないじゃないか、こういう御心配をいただきますが、憲法審査会は憲法に関することを調査、議論する場でございます。一つは憲法本体に関する議論、それからもう一つは手続たる国民投票法の議論。ですから、自由討議という名の討議を毎週やっているわけです。
ですので、法案審査が終わってしまったら自由討議が行われなくなるのではないかというのは、全くこの審査会においての御心配は必要ないのではないか。これは共有できると思いますし、この議論はきちんと続けていくということは、私はお願いしたいと思います。
それから、最後に、一度否決されたものの取扱いですとか新たなテーマは今お話しされました。それは、先週、山花筆頭からも御提言がございました。我々も、国民投票の自由と公正さを維持するための議論というのは、これは社会情勢だとかさまざまな事情によって変化していくと思います。ですから、これを常に必要性に応じて議論しましょうということは我々からもお願いしたいと思っておりますので、そうしたことをこの憲法審査会の討議の中で議論する、それが憲法論議を深めていくことだと思っておりますので、今、辻元さんがおっしゃったこと、私たちが、審査会の委員が思っていることはほぼ皆さん一緒のことを言っているというふうに思いますから。ですから、心配しないで、七項目は七項目できちんと手続をとって、その上で前に進めていこうじゃないですかということを改めて申し上げたいと思います。