北方四島での日露共同経済活動の具体化に向け、6月27日から7月1日までの日程で官民による初の現地調査団が北方四島を訪問しています。
この現地調査団に参加を希望していた、長谷川俊輔 根室市長が、直前になって参加メンバーから外されました。
北方領土返還要求運動の中心的な役割を担ってきた根室市は、同時に住民同士の交流や災害時の人道支援、医療支援なども積極的におこなってきました。
その根室市の市長の参加が認められなかったことは、非常に大きな問題です。
外務省からは具体的な理由は説明されませんでしたが、ロシア側の意向を日本政府が“忖度”したのであれば、北方領土の返還を後退させることになりかねません。
2月の予算委員会で私は、昨年12月にプーチン露大統領の首脳会談で結ばれた合意文書について質問をしましたが、(「なぜ私の声明を入れなかったのか?」「だって署名も四島名もないから」――そして「ロシア側が異なる呼称を用いても、我が国の立場を害するものではない」と驚きの答弁)
北方領土問題は70年間、気が遠くなるような地道な努力を重ねて少しずつ合意を積み重ねてきたもの。
民進党北方対策プロジェクトチームは、今回の事態を重く見て、下記の談話を発表しました。
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北方四島における共同経済活動に関する現地調査団 から根室市長を外したことについて(談話)
民進党北方対策プロジェクト・チーム 座長 荒井 聰
2017(平成 29)年 6 月 27 日から 7 月 1 日までの日程で北方 四島入りしている「北方四島における共同経済活動に関する 現地調査団」について、当初から参加を希望していた北方領 土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会会長である長 谷川俊輔根室市長が調査団のメンバーから外された。根室市 長は、26 日午後の記者会見で、「外務省担当者から参加でき ないとの連絡があった。非常に残念だ」と述べ、今回の調査 団から外された具体的な理由は示されなかったとしている。
外務省は、「調査団メンバーの選定の過程については明らかにできない」としているが、一部には、根室市長が衆参の 委員会で参考人として「北方四島での経済活動が北方領土返 還運動の障害になってはならない」と陳述したことが、ロシ ア側の態度硬化につながったのではないかとの憶測さえな されている。しかし根室市長の陳述は当然の原則を述べたの であって、このことにより、今回の調査団から、北方領土返還要求運動を推進してきた根室市長を外したということで あれば、極めて重大な問題である。
民進党としては、旧民主党政権時代より、北方領土返還の ための様々な条件整備に努めていたところであるが、もしも 根室市長の参加拒否が上のような理由であるとすれば、今回 の共同経済活動に係る官民調査自体が返還運動の後退を意 味することとなり、極めて重大にとらえざるを得ない。外務 省をはじめとする政府関係者は、根室市長が外された件につ き丁寧な説明をするとともに、今後の北方四島における共同 経済活動について、根室市が確実に関与し、中心的な役割を 担う体制を構築することを求める根室市の要望について、充 分に斟酌するべきであることを表明する。
2017(平成 29)年 6 月 29 日
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なお、本件に関しては北海道新聞に詳しい記事が掲載されています。