●すべての教育の無償化こそ日本再生への特効薬
2017年、新しい年になりました。
私は今年こそ、希望への第一歩をつくりたいと決意しています。
まず第一に、教育の問題です。いまの日本では、一人親(母子家庭など)では二人に一人の子どもが貧困状態という統計も出され、経済的理由で進学を諦める子どもが増えています。現在の大学生の半数が奨学金という名のローンを借りていて、返済の取り立てで自己破産する若者まで出てきているのです。
親の経済力に関わらず、子どもはすべて平等ではないですか。私は、幼児教育から大学教育まで、すべての教育が無償の国を目指します。
国公私立大学の無償化に必要な費用は2.2兆円強、3~5歳児までの幼児教育無償化費用は7500億円という試算があります。民主党政権時代に高校までの授業料無償化をなんとか実現しましたので、あとプラス3兆円あればほぼすべての教育の無償化が実現できることになります。これは消費税1.5%分なのです。
教育の無償化は、成長戦略です。子育て世代が子どもの教育費の負担から解放されれば、国内消費は元気を取り戻す可能性が高いのです。そんな子どもや若者たちが高齢者を支える、これが教育無償化のもたらす「好循環」です。
同時に、長時間労働を規制して、ワーク・ライフ・バランスを整えることも重要です。私たちは、長時間労働を規制する議員立法を提出し、国会で議論するよう求めてきましたが、自民・公明の与党が応じず、いまだ審議されていません。安倍総理は「野党が対案を出さない」といっていますが、しっかり法案を出しても審議に応じないのが現状なのです。
●年金積立金が最大30兆円の大損失!
安倍総理の下、大事な年金の積立金が半分も株式運用されるようになりました。株価は上がるだけではなく下がるリスクも大きいので、私は年金積立金の株式運用の比率を上げることは慎重に、と言ってきました。しかし、安倍総理は国民に断りなく運用枠を広げたのです。そして、超いい加減な試算のもとに、年金給付をカットする法案を出してきました。
私が、政府に質問した結果、政府が試算の大本に使っている指標が、実際には想定を大幅に下回っている事実をつきとめました。政府試算には、「今からバブル期の成長が何年も続く」なんていう現実離れしたものも含まれていたのです。しかも、1年間で最大30兆円の損失可能性を政府はしぶしぶ認めました。
このままでは将来世代の給付も危ない。すべての世代が安心できる年金制度の制度設計を、早急に作り直すべきです。
●自衛隊の安全のために、南スーダンへの武器禁輸を認めない日本政府
南スーダンPKOの状況も心配です。私たちの反対を押し切り、政府は自衛隊の部隊に新任務を与え、南スーダンに送り出しました。市街地を一歩離れれば、銃撃がいまもやまず、大量の武器が政府軍や反政府軍に流れ込んで一触即発の状況です。
アメリカなどが「大量虐殺などをふせぐため」と提案し、国連安保理事会に南スーダンへの武器禁輸等の決議案が採決にかけられましたが、日本やロシアが棄権したため、採択されませんでした。その理由は、「南スーダン政府がPKOに非協力的になれば、自衛隊の安全が確保できないから」だそうです。
昨年の夏、南スーダン政府軍が避難民支援のNGO職員らを暴行・虐殺したことは周知の事実です。紛争当事者がさらなる武器の購入を認められれば、その武器が民間人に向けて使われることになるのです。
自衛隊が出動していることが原因で、紛争を根元からやめさせる決議に協力できないのであれば、本末転倒も甚だしい。一刻も早く自衛隊を撤退させ、人道支援に切り替えるべきだと考えます。
●カジノより年金・子育て・自然エネルギーで成長戦略を
昨年の臨時国会、与党は強行採決を連発しました。それも、年金やカジノなど、国民生活に大きな影響を与える法案です。
カジノや武器輸出で経済成長させようという国を「美しい」と言えるのでしょうか。TPPや原発しかり、日本が大切にしてきた価値を、風景を、安倍政権は壊そうとしているとしか思えません。
民進党の環境エネルギー部会は、年の暮れに千葉県の大規模なソーラーシェアリング式発電所を視察しました。ソーラーシェアリングは、太陽光パネルの下で営農することを条件に、特許が無償で公開された発電方法です。耕作放棄地の減少に歯止めをかけ、農家に直接売電収入が入るしくみとなっており、地域おこしにも大きな希望となっています。
私たちは、具体的なアイデアを実現させることで、信頼できる未来をつくるための議論と行動をしてまいります。
今年もよろしくお願いします。
辻元清美