今日の予算委員会の質疑で、私は稲田防衛大臣に、今年の8/15に行われた全国戦没者追悼式を欠席した件をただしました。
稲田大臣は、8/13から8/16まで、ジブチに海外出張していたのです。異例なほどあわただしく決まった出張だったため、「稲田大臣を靖国神社に参拝させないための指示ではないか」という憶測記事が出たほどでした。その結果、上記の追悼式を欠席する事態になったのです。
各地で活動する自衛隊員のみなさんの活動を視察し、激励するのは防衛大臣の大切な仕事です。
しかし、8/15の追悼式は特別な式典なのです。昭和57年4月13日の閣議決定で「戦没者を追悼し平和を祈念する日」が設けられて以降、追悼式を欠席した防衛庁長官や防衛大臣はいないのです。実は、2015年の「海賊対処レポート」(ソマリア沖・アデン湾における海賊対処に関する関係省庁連絡会)によれば、昨年2015年のソマリア沖・アデン湾の海賊等事案発生状況(IMB年次報告)は「ゼロ」。すなわち、昨年ソマリア沖・アデン湾でおきた海賊事案はゼロ件だったのです。
私も国土交通副大臣のときは、海賊対処などに備えて海上保安庁の大型巡視艇「あきつしま」建造に着手したり、近隣諸国に海保のノウハウを伝えるなど、さまざまな努力を重ねました。こうしたこれまでの日本政府や各国政府のとりくみが功を奏した結果の「ゼロ件」ですが、防衛大臣が追悼式を欠席するほどの緊急性が今回の出張にあったかどうかを知りたかったのです。
『自国のために命をささげた方に感謝の心を表すことのできない国家であっては防衛は成り立ちません。これは日本という国家の存亡にまで関わる』と発言してきた稲田防衛大臣に、今回の出張の緊急性をたずねましたが、「残念」という答弁しかありませんでした。ぜひ今回の指摘を重く受け止めていただきたいと思います。
この日の質疑では他にも、南スーダンPKOに参加する350人の部隊に医官が3人しかいないこと、それも初期治療のステップ1の設備しかないため、手術ができないこと(手術が必要な場合には移送することになります)などが明らかになりました。救命救急士などの資格をもつ自衛隊員に200時間ほどの訓練を施した「第一線救護衛生員」が創設されますが、その教育プログラムがつくられるのは来年以降であることも今日の質疑でわかったのです。間に合わないじゃないですか。
「かけつけ警護」という新任務がこの状況で本当に付与できるのか。しわよせをくうのはやはり現場の隊員です。私は、こうした状況で新任務を与えるべきではない、と強く思います。
10/8には、稲田防衛大臣が南スーダンに視察することを検討しているようです。ぜひ現地の状況をしっかり見てきて、判断材料をもちかえってほしいと思うのです。
ソマリア沖・アデン湾における海賊対処に関する関係省庁連絡会「2015年海賊対処レポート」より